機動戦姫ガンダムSG   作:鍋の中の白い奴シラタキ

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翔べ!ガングニール

 ファンネルから放たれる光が全てを浄化していく。例えそれ神話において無双の力を誇っていた聖遺物であったとしても光の前には穢れとして祓われていく。

 

「私は響を助けなきゃいけないの。だからそこをどいて。」

(当たらなければどうという事はないが!いかんせん数が多い!)

 

光を躱し翼は未来に近づくと説得を試みる。

 

「刃を納めろ小日向!こんなことをしても立花は喜びなどしない!」

「それでも私は響が生きててくれて戦わないで済むのならなんでもするんだ!」

「通じているのに通じていないっ。」

 

ブレードファンネルを振るわれた事で距離を取った翼は先ほどもろに光りを浴びたクリスの側に着地する。

 

「立てるか雪音。」

「アイツとあの子の苦しみに比べりゃあたしは無傷だ。」

 

未来の戦いの様子をエアキャリアから眺めていたウェルが神獣鏡のシンフォギアに外付けされたD.F.S(ダイレクトフィードバックシステム)を通して未来に語りかける。

 

『彼女たち四人は貴女の敵です。倒さなければ立花響が死にますよ。』

「響が!・・・任務了解。」

 

脚部の装甲が開きそこから鏡が円状に展開されると光を放ち放ち始めると未来はバイザーに移されている翼、クリス、切歌、調にロックオンをかける。

 

「撃つのか、小日向!」

「死にたくなきゃあたしの後ろに来い!お前ら二人もだ!」

 

リフレクターを展開するクリスの背後に三人が集まると同時に極光が放たれる。

 

「ターゲットロック・・・。ハイメガキャノン発射。」

「凶祓いと言っても!あたしのイチイバルはカディンギルの一撃すら偏光する!だとしたらばぁ!!!」

 

確かにその言葉通りクリスの展開したリフレクターは徐々に徐々に削られていく。

 

「こんなにもなのか!?」

(許せとは言わない。だけど、今はこうするしか思いつかねぇ!!!)

 

リフレクターが削られていく中クリスは背部にX字の集光装置を展開すると神獣鏡の光からエネルギーを溜めていく。

 

「雪音、何をするつもりだ!」

「きついの入れて目を覚まさせる!今のあたしに思いつくだけの最高の案だ!」

 

そしてエネルギーが溜まりクリスの側からリフレクターが突き破られ形でビームが放たれるが神獣鏡の光を互いに半々の距離に押し返した辺りで拮抗が始まる。

 

「無駄デス・・・。どれだけ強いで聖遺物でも相手が神獣鏡ならそれは無条件でただ消し去られるのを待つだけなんデス。」

「それほどまでに神獣鏡は強力だというのか・・・。」

 

紫と赤の光が装者達が乗っている戦艦を熔解させていっていた。

 

 

 

 

 

 

 戦いの様子をモニターしている藤尭が装者達のバイタルが低下していっているのを報告する。

 

「司令!神獣鏡の光の効果か翼さんとクリスちゃんのバイタルが急速に低下して行っています!このままでは!」

「未来君の響君を思う気持ちがデータ以上の力を神獣鏡に与えているというのか・・・。本部を浮上させ装者達の救出を行う!」

「了解しました!」

 

弦十朗の命令で二課本部を海上にあげようとした時に警報が響く。

 

「何があった!」

「分かりません!医療区画の一部に浸水が起こって隔壁が展開されています!」

 

そう告げる友里であったが何故医療区画に隔壁が降りたのかの答えが即座にモニターに表示される。

 

「これは・・・アウフヴァッヘン!?パターン出ます!」

 

表示されたそれは『GUNGNIR』であった。

 

「ガングニール・・だとぉ!?響君は今どうなっている!」

「響ちゃん、病室に居ません!器具が全て外されています!」

「なんだとぉ!?」

 

海上に向け一条の光が向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 クリスの放っていたビームが打ち破られ神獣鏡の光が戦艦を熔解させながら四人の装者を消しさらんと突き進む。

 

「これだけやっても駄目なのかよっ!」

「切ちゃん・・・。」

「調・・・。」

 

翼は後ろで手を取り合う切歌と調を見るとクリスの前に出ると大剣を構える。

 

「私が一瞬防ぐ、雪音その隙に二人を連れて撤退しろ。」

「何言ってんだよ先輩!」

 

有無を言わさぬ翼がクリスを自身の背後に押しやり光に向け大剣を振るおうとした瞬間であった天から結晶が降り注ぎクリスがあれほど苦戦した神獣鏡の光を容易く偏光させ何も無い方向に向けて霧散させると結晶状のガングニールを纏った響が未来と四人の間に降り立つ。

 

「立花!?」

「お前目が覚めたのか!?それよりもなんでギアを纏ってんだよ!!」

 

驚愕する翼とクリスを響は金の瞳で一瞥すると直ぐに視線を未来に向ける。

 

「響!」

「うん、私は此処に居るよ未来。」

「聞いて響!この光は響を助けることができるの!それに神獣鏡があれば響がもう戦わなくて良い世界が来るの!」

「ねぇ未来。」

 

バイザーで覆われている筈の未来の瞳をしっかりと見据えながら響は未来に問いかける。

 

「こんなやり方で戦いの無い優しい世界はできないよ。誰かを傷つけてできあがる世界は息苦しくて暗くて希望なんてない世界だ。」

「でも、そこじゃなきゃ響はこれからもきっと苦しみ続ける!」

「私はこれ以上響に戦って欲しくない!苦しんで欲しくない!例え響と戦ってでも響を助けるんだ!」

(あれが未来をおかしくしてるんだっ!)

 

荒ぶる未来とそれに呼応するファンネルの中に響は未来の頭部のD.F.Sを睨み付けると拳を握る。

 

「だったら私も未来と戦ってでも今泣いてる未来を助けるよ。だから、私は魂を燃やすよ。」

「魂を、燃やす?まさか、やめろ立花!今の貴女はその歌を歌ってはいけない!!!」

 

翼の制止を無視した響とブレードファンネルを両サイドに携えた未来が激突すると響は歌う。

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el baral zizzl Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el zizzl.」

『そんな身体で絶唱!?意識が戻ったのだって奇跡の筈だ!お前は一体なんなんだ立花響!!!』

「貴方が未来にこんな事をウェル博士!!!」

 

絶唱のエネルギーを身に押しとどめた事で背に結晶の翼を生やした響がD.F.Sの向こうに居るウェルに叫ぶ。

 

「私は貴方を絶対に許さない!そして答えるなら簡単だ!この身も心も!シンフォギア(ガンダム)だ!」

『これが、ルナアタックの英雄・・・その真価!?』

 

海を響の翼から放たれる超高濃度のGN粒子が包み込んでゆく。

 

「最速で!最短で!一直線に!真っ直ぐに!私は未来を助ける!トランザム!!!」

「もう戦わないで!苦しまないで!響はもう傷つかないで!!!」

 

発言と矛盾してD.F.Sにより響に放たれる未来の攻撃を響は赤い光を放つと容易く躱す。

 

「私の後ろ!?」

 

背後を取った響によってブレードファンネルが二機とも撃墜される。

 

「そんな物直ぐに脱がせてあげる未来!」

「駄目響!これで響の中のガングニールを消さないと響が死んじゃう!!!」

 

放たれる光を響はGNフィールドを展開することで防ぐと未来へと飛翔していった。

 

 

 

 

 

 

 エアキャリアもまた響が放つGN粒子の高濃度空間に引きずり込まれていた。

 

「なに!?頭の中にいつも以上に声が!」

 

無理矢理に能力を拡張されたマリアは脳内に響く声に煩わされながらも神獣鏡の放つ光を逃さないためにシューターマーカーを放ち光りを収束させていく。

 

「いやぁ、英雄様々ですね。僕の身を蝕む疑似粒子がこの光で浄化されましたよ。これで心置きなく腕を治せる。」

「何が起きてやがる。頭の中に歌が響いて仕方がねぇ。」

「プレリュードですよ。」

「なるほど、ようやくか。」

「ええ、ハチャメチャなパーティがようやく始まる。」

 

マリアが座っている場所とは反対側の位置に車椅子に乗ったナスターシャがせり上がってくるとマリアがシューターマーカーを操作しながら問う。

 

「マムもう大丈夫なの?」

「えぇ、この優しい光で私の身体も少しは活力を取り戻しました。」

「もうすぐでフロンティアは浮上する、だけど切歌と調が。」

「良いのです。あの子達はまだ幼い二課に保護されるならそれが一番。」

「そうね、ならあの子達の為にも私は世界を救わなければならない!」

「マリア・・・。」

 

 艦隊の上ではGN粒子を間近で浴びた四人は光輝く空間に裸で立っている感覚に襲われていた。

 

「な、なにが起こってやがる!?」

「これは、ここに居る者全ての声なのか!?」

「無事か翼!クリス君!」

「おっさん!?前!?」

「叔父様!?」

「悪い!」

 

魂だけが誘われているが故に衣服は身につけておらず性別問わず海域に居た人間全てが同じ状況に陥って居た。

 

「おおきな星が二つ流れてる・・・。」

「調?」

「今なら分かるあの人は偽善者なんかじゃないって。不思議此処だと思ったことがそのまま口に出る。」

「だから分かるデス。あの二人もマリアと同じデス。泣きながら戦ってるデスよ。」

 

彗星のように空間を駆け巡る黄と紫の星を見ながらそう言う二人の背後正確には調の直ぐ後ろから誰かが声を発する。

 

「これは、バラルの呪詛が一時的に解かれているの?今このときだけだと言っても、流石は響ちゃんと言った所かしら。」

「貴女は・・・。」

「安心なさい、貴女を塗りつぶしたりはしないわ。今の私はあの子が紡ぐ歌の先にある歴史の傍観者。居ないも同然よ。ただあの子に一言伝えて頂戴信じて良かったって。」

 

調の頬を包み込むようにそう言うフィーネに切歌は直ぐにフィーネを隠す。

 

「マリアがフィーネだったんじゃないんデスか・・・。」

「私にも宿る先は決められないわ。」

「本当に調には何もしないんデスよね!?」

「約束するわ。」

 

切歌の後ろから顔を出した調はフィーネに言う。

 

「伝えておく。」

「ありがとう、貴女達に幸有ることを祈って居るわ。」

 

二つの星が一際強い光を放つことで全ての人間が現実へと押し戻されていった。

 

 

 

 

 

 

 互いのファンネルがドッグファイトの末に次々と撃墜されていくが未来の方が一枚も二枚もファンネルの操作は上手であった。それこそ一般的なナチュラルとコーディネーターの間に埋めがたい差があるように。

 

(やっぱり未来は強い!だけど負けられない!)

(響は強い!私なんかよりもずっと!けど負けられない!)

「「泣いている未来(響)を前にして弱音吐いてる暇なんてない!!」」

 

互いの拳が顔面に突き刺さり互いに吹き飛ばされるが今の衝撃でD.F.Sに不調が生じたのか未来に若干の理性が戻る。

 

(私は響を助けたい傷ついて欲しくない苦しんで欲しくない。だったらなんで響はあんな事に私はなんで響と!)

「私がしたいのはこんな事じゃないのにぃぃぃぃいい!!!なんでぇぇえぇええ!!!」

 

自分自身をファンネルで攻撃しようとした未来を響は抱きかかえると神獣鏡の光を収束させているシューターマーカーの群れへと飛翔していく。

 

「離して響!私は響に酷い事を!!」

「離さない!あの時未来が手を繋いで私を助けてくれたみたいに今度は私が未来を助ける。あの光が胸のガングニールを消せるのなら!未来を操るそれも消せる筈なんだ!!」

「ごめん、ごめんね響。」

「謝らないで、私の生きる場所は未来の隣なんだから。」

 

真っ直ぐこちらに向かってくる神獣鏡の光に響と未来は飛び込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 メインシューターに収束された光をマリアはスイッチを押すことで海底に向けて放つ。

 

「道は此処だ!!!」

「遂にフロンティアが浮上するのですね。」

 

巨大な水柱共に海底から巨大遺跡否星間航空用巨大戦艦フロンティアが浮上する。

 

「とうとう確約されたぁ!!僕の英雄への道がぁ!!!」

「遂に始まるな馬鹿でけぇ戦いがなぁ。」

 

私設武装組織フィーネの計画は遂に大詰めへと突入していく。

 

 

 

 

 

 

 バイタル反応が消失した響を捜索すべく小型偵察機を放っていた二課に翼とクリスから通信が入る。

 

『司令!立花と小日向の無事を確認しました!』

『二人とも意識は無いけどちゃんと息はしてる!後F.I.Sからこっちに来た二人も無事だ!』

「分かった!全員一度帰還しろ!」

『『了解!』』

 

無事を確認できたことで司令室の空気が少し緩まる。

 

「肝を冷やさせやがって。」

「司令、医療区画の使用は問題ありません。」

「ああ、一段落だな。後はF.I.Sの奴らをとっ捕まえるだけか。」

「ですが、月の落下は間違い無いとの結果が出てますよ。」

 

その言葉を聞いた弦十朗はモニターのフロンティアを見る。

 

「おそらくはいや確実にあれが月を公転軌道に戻す聖遺物フロンティアだ。」

「詳しくは皆さんが戻ってからにしましょう。」

「そうだな今は休息を取ってもらうか。」

 

緒川にそう言われた弦十朗は一時休憩の命令を出した。

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