司令室で戦況を見て指示を出している弦十朗は入室してきた患者衣のままの響と未来を見ると実際に二人が無事なのを見て一瞬安堵の表情を浮かべるが直ぐに表情を引き締める。
「まだ安静にしておかなければいけないだろうが。」
「居てもたっても居られなくて。」
「寝てるだけってのは私の性には合わないです。」
「全くお前達は。」
目を離して勝手に出撃されるよりはマシだと司令室に居ることを二人に許可を出した直後にクリスのホワイトスコアの反応が消える。
「クリスちゃんのホワイトスコアの反応途絶!それに合わせてイチイバルとの適合係数も下がっています!」
「アンチリンカーか!ウェル博士も並の相手ではないと言うことか。」
「やはり装者二人だけでは。」
「だがノイズが居る今戦力になるのはあの二人だけだ。」
装者は二人だけそう聞いた響は病室で友里から聞いた事を思い出す。
「師匠!
「今の響君を戦場に出すわけにはいかない。」
「私じゃありません!あの二人です!」
そう言い司令室を飛び出して行った響はしばらくすると切歌と調を連れて戻ってくる。
「切歌ちゃんと調ちゃんです!」
「正気デスか?あたし達ついさっきまで敵同士だったんデスよ?」
「それでも世界をみんなを助けたいって思ったから今回の事をしたんだよね?」
「それはそうデスけど・・・。」
手を取りグイッと距離を詰めてくる響に切歌が少し照れていると弦十朗が緒川から二人のギアペンダントを受け取り渡す。
「世界を救いたい誰かを守りたいそう思う気持ちを持つなら俺は君たちを信用できる。それにだ仲間を助けたいのだろう?子どものやりたいことをやらせるのも大人の役目だ。責任は全て俺が取る。」
ギアペンダントを受け取った切歌と調はそれを首にかける。
「信用には応えるデス。」
そう言う切歌の横で調は弦十朗を見て柔和に微笑むと呟く。
「相変わらずなんだから・・・。」
「ん?ああ、そうだな。俺は変わらないさ。」
「何やってるデスか。こういうときだけ。」
「行こ、切ちゃん。」
我に返った調がそそくさと司令室を出て行くのを切歌が慌てて追いかけていく。
「私二人をハッチまで案内してきます!」
「響君!案内するだけだぞ!」
聞こえているのかいないのか響は司令室を飛び出していった。
少ししてハッチ付近の様子を映すカメラ映像にシンフォギアを纏った調に掴まってフロンティアの中心へと向かう切歌と響が映される。
「戦いに行くのは許可していないと言っただろう!」
『戦いに行くんじゃありません!助けに行くんです!』
「減らず口が増える映画を見せた覚えはないぞ!」
戻ってくるよう説得する弦十朗の横に来た未来がモニターに映る響を見ながら言う。
「行かせてあげてください。人助けが一番響らしいから。」
「帰ったら説教だ。」
『うひぃ・・・。了解です!』
通信を切ると弦十朗は眉間を揉む。
「特大のをくらわせてやる。だから生きて戻ってこい。誰も死ぬなよ。」
モニターの向こうでは翼が操るホワイトスコアがモビルドールザクをまた一機撃破していた。
◎
フロンティアの建造物に向かって直進する響達であったが目の前にモビルドールギャンが現われた事で調が急停止をかけると切歌と響を放り出す。
「此処は私と切ちゃんに任せて貴女はマリアの所に行って。」
「でも!」
「早く行くデス。あたしと調は二人揃ってるなら無敵デス!」
ビームサーベルを振るってくるギャンに鎌の刃先を飛ばし応酬する切歌の横で丸鋸をギャンに放ちながら調が響を振り返る。
「貴女を信じて良かった。」
「調ちゃん?」
「これは伝言だけど、私にもそう思わせて欲しい。だからマリアの所に行って。」
「分かった、絶対にマリアさんを助けてくる。」
走ってフロンティアの建造物へと向かっていく響を見送ると二人は二手に分かれると切歌が近くの岩を踏み台にして大きく飛び上がるとチェーンを放ちギャンを拘束する。
「マストダイ!!!今デスよ調!」
「分かったよ切ちゃん!」
歌声が重なり二振りの女神の刃がギャンを細切れにして撃破する。
「こんなのがワラワラ居るんデスか此処は。」
「早くドクターを止めないと。」
二人も建造物へと向かおうとすると先ほど切歌が踏み台にした岩が震えると地を砕きそこからモビルドールドムが現われると二人に向けてジャイアントバズを構える。
「切ちゃん後ろ!」
「なんとドム!?」
ジャイアントバズの引き金が引かれる寸前空からビームが放たれるとジャイアントバズを破壊し続く二の矢がドムを爆散させる。
「なんだったんデスか・・・。」
「あれ、なに?」
「鳥、デスか?」
ビームが放たれた方向から翼のように疑似GN粒子を放つガンダムスローネヌルが二人の前に着地するとコックピットからゲイリーが現われる。
「よぉ元気してたか。」
「お前は!」
「なんで貴方が此処に居るの?マムの護衛を任されていたはず。」
「マム?あぁナスターシャ教授か。奴さんな。」
銃声が響き調が目を見開き地面に倒れる。
「死んだよ。丁度こんな風にな。」
「調ぇぇぇえええ!!!お前!良くも!」
「来いよ!こいつの試運転に付き合って貰うぜ!!!」
コックピット内部にゲイリーが戻るとスローネヌルのツインアイに光が宿りその灰色の身体を起こすとGNバスターソードを構える。
『こいつは最高だ!世界が変わっちまったよ!!』
「とんだ気狂い!その首刎ねてやるデス!」
イガリマの刃とGNバスターソードが激突を繰り返すなかスローネヌルのスカートからGNファングが二基放たれ切歌を挟むとビームを放とうとする。
『喰らえよファングゥ!!!』
「死っ!?」
「させないっ!」
だが下から放たれた丸鋸によりファング同士の射線が逸らされることで切歌に当たらない。
「調!?生きて!」
「うん、フィーネが今回だけの特別だって助けてくれた。」
『しぶてぇな。』
GNバスターソードを構えたスローネヌルが二人に斬りかかろうとした瞬間彼方よりミサイルと剣の雨がスローネヌルに向けて迫るとスローネヌルはそれをGNシールドで受け止めると安全マージンを取って大きく後退する。
『バルベルデのガキか、どこからだ・・・。』
「剣ってのは舞い降りるもんだぁ!!!」
『今このときばかりは同意するとしよう!!!』
てっきりミサイルなどと同じく前から来ると思っていたゲイリー隙をつかれ放っていたGNファングを撃墜される。
『上だと!?』
翼の操るホワイトスコアが剣を振るいスローネヌルのGNバスターソードをその手から弾くも直ぐに気を取り直したゲイリーによりGNハンドガンを撃ち込まれホワイトスコアが大破すると翼はコックピットから脱出し切歌達の側に着地する。
「司令からの伝達で貴女達が危機に陥っていると聞いて駆けつけた。」
「助かるデス。」
「ありがとう。」
「ならば良し、剣を構えろ敵は待ってくれん。」
スローネヌルは集まった四人の装者を確認すると肩のGNランチャーを起動する。
『戦いってのは派手にやらねぇとな!!!』
「だったらこっちもド派手にかましてやる!!」
「逸りすぎだ雪音!」
「相手はガンダムだ!全力を超えた全力でやるんだよ!」
ツインバスターライフルをクリスが構え万が一にもスローネヌルの攻撃が背後の三人に流れないようにリフレクターを展開したと同時に両者が引き金を引く。
『消し飛びなぁ!バルベルデのガキ!!』
「あたしの命はお前にくれてやるほど安くねぇ!!!」
放たれたビームが激突し熱と極光が周囲を襲った。
そして翼達の視界が回復するとそこには大穴があいておりスローネヌルが悠然と三人を見下ろしていた。
『これじゃ骨すら残ってねぇな。怖ぇ怖ぇ。』
「ゆ、雪音・・・。」
ガラガラと大地が崩れる音がいたずらに響いた。
◎
自らがフィーネを名乗り全世界に向けて宣戦布告した理由とそうしなければいけなくした者達を世界に知らせガングニールを纏ったマリアは胸の歌を世界に向けて高らかに歌い上げる。
「覚悟は笑顔と共に♪心のままに♪誇りと契れ♪」
しかし激唱むなしく月を押し戻すのに必要なフォニックゲインは集まらない。
「やはり私の歌ではなにも救えないのっ!」
涙がこぼれ落ちそうになりながらもナスターシャの為と心を奮い立たせもう一度歌おうとしたとき背後からウェルに殴り飛ばされる。
「うるさぁい!!!」
「ウェル!何を!?私が歌わなければ月が!」
「落ちなきゃ!僕が好きに勝手にできないだろうが!おおかたナスターシャの差し金だな。あのオバハンそんなに月が好きなら!直接触りに行ってこい!」
操作盤を殴りつけウェルはフロンティアにナスターシャが居る区画を月へと向けて射出する。
「マム!ウェルゥ!!!」
「なんだぁ?僕を殺すのか!?僕を殺すと言うことは全人類を殺すに等しいぞ!」
「殺す!」
「嘘ぉ!?」
槍を構えたマリアがウェルに向かって突進し穂先で貫こうとした瞬間ウェルの背後にある外部へと通じている吹き抜け窓から響が現われ槍の穂先を掴み取る。
「立花響!?そこをどけ!」
「どきません!」
「そいつはマムを殺した!貴女を苦しめた!ならば生かす理由は無い!そしてマムの居ない世界に私が生きる理由も又ない!だから殺して死ぬ!」
悲しみから怒りを溢れさせるマリアの言葉を聞いた響は血が滴るのも構わずに槍をより強く握りしめる。
「殺されたから殺す、そんなの空しいだけです!それに生きる理由がないなら後で探せば良い!だから今は生きるのを諦めるな!Balwisyall nescell gungnir tron.」
「聖詠!?なんのつもり!?融合者は適合者ではないのに!」
意味がないとそう叫ぶマリアであったが聖詠が歌われたそれ即ち聖遺物が選んだと言うことである。
故にマリアの纏うガングニールが光となり彼女から引き剥がされるのは当然の帰結であった。
「何が起こっているの!?貴女は一体何なの!?貴女が歌うその歌は!?」
その身にガングニールを再び纏った響が拳を握り答える。
「あの日あの時あの場所で私が受け継いだ星!撃槍ガングニールだ!」
「流石は英雄どんな命でも見捨てな――」
ドンと鈍い音が響きウェルの直ぐ横の壁が響び殴られた事で崩落する。
「殺しはしません。だけど反省はして貰います!」
「僕に反省することなんてない!」
ウェルは近くの階段を転がり落ちるように降りると床に穴を開けそこに飛び込む。
「諦めないぞ僕は!僕は英雄になるんだ!」
「ウェル博士!」
直ぐに追いかけようとした響であったが穴は即座に塞がってしまう。
「今のウェルはフロンティアそのものネフィリムの腕を持つウェルだけがネフィリムの心臓を動力部とするフロンティアを支配できる。」
「マリアさん。」
「だからお願いウェルを止めて。私の罪を。」
「ウェル博士は止めます。だけど私は先にマリアさんを助けます。」
「私を?」
手を伸ばしマリアの手を取った響は言う。
「あの時ライブ会場でマリアさんの事をマリアさんは私の事を知り今こうしている。きっと私たちはわかり合えるんです。だって誰かを守りたいと思う気持ちは同じなんだから。だから私は言います私が私の胸の歌を信じるようにマリアさんも胸の歌を信じてください!そうすればなんとでもなるはずです!」
「胸の歌を・・・。」
「私はウェル博士を止めてきます!なのでマリアさんはマリアさんができることをしてください!」
そう言いウェルが消えた辺りの床を叩き割り降りていく響を見てマリアはいつの間にか溢れていた涙を拭うとお守り代わりにいつも持っていた割れたギアペンダントを取り出し握りしめた。
◎
同時刻地上で翼達がスローネヌルと交戦しているときクリスは地下でノイズを盾とクッションにしたおかげで軽傷で済んでいた。
「まさかノイズに助けられるなんてな。」
ソロモンの杖を介してノイズに自壊命令を送り塵にするとクリスは立ち上がり地上へ行こうとするが奥にある何かが目に留まる。
「こいつは、ガンダムか?」
それは埃を被ったガンダムフレームであった。
クリスは開いているコックピットの中を覗き込みそこに居た骸骨を外に出す。
「悪いな、だけどこいつはあたしが使わせて貰う。」
コックピットにクリスが乗り込むとイチイバルがコックピット内にあった何かを取り込む。
「うぐっ!なんだ頭ん中に!」
フォニックゲインを浴びることで再起動したガンダムフレームがイチイバルのギア形状を変化させる。
ハッチが閉まりコックピット内に明かりが灯るとクリスは鼻血を出しながらも獰猛に笑う。
「阿頼耶識でもなんでも来いよ。あたしはお前を乗りこなしてやる!だから全部ぶつけて来いレラジェ!」
ガンダムレラジェがフロンティアにて目覚めを迎えイチイバルのアームドギアをその手に携え地上へと這い上がる。
地上ではスローネヌルがGNファングを放ち遊ぶように戦っていた。
『どうしたどうした!護国なんじゃなかったのか!?』
「愚弄するかゲイリー・ビアッジ!」
着地した翼に向けてGNランチャーの照準が定められ引き金が引かれる。
「間に合わないっ!」
「そんな!」
調と切歌が発射される前にGNランチャーを破壊しようとするがGNファングに妨害され動くができない。
「私は死なない。」
『なんだ魂は不滅ってか?』
「私は友を信じている!そうだろう雪音!!!」
『骨もねぇな!あのガキはぁ!』
引き金が引かれビームが放たれるが翼の目の前の地面が割れレラジェが現われるとビームをナノラミネートアーマーで全て弾くと徹甲榴弾を放ちGNランチャーを破壊する。
『ガンダム!?』
『言ったはずだ!あたしの命は安くねぇ!』
「信じていたぞ雪音。」
『信じられてましたよ先輩。』
GNバスターソードを構えGNファングを全て放ったスローネヌルがレラジェへと斬りかかるが腕部を蹴りつけられGNバスターソードの重さに重心をずらされる。
『こいつ動きがっ!』
『あたしがいつまでも成長しないと思うな!』
『だがよファングだぁ!』
『それもお前だけの特権じゃねぇ!!』
レラジェの背の翼状のバックパックの根元から有線式のバレットファンネルが射出されGNファングを撃ち落としていく。
『てめぇ!ビームが効かねぇのはずるだろうが!』
『人をたくさん殺してこれからも殺すお前は生きてちゃいけないやつだ!』
『戦えば人は死ぬ!自然な事なんだよ!なんなら今此処でお前をその仲間に入れてやろうか!?』
『どこまでもヘラヘラと!』
滑空砲を撃とうとしたレラジェであったがGN粒子を纏わせていないGNバスターソードに右腕を切り飛ばされるとそのままコックピット付近を一突きにされる。
『物理にゃ弱いみたいだな!』
『あぶねぇ・・・。』
コックピットハッチが崩れ落ち中のクリスが晒される。
「風鳴先輩!」
「あぁ!!私たちのコンビネーションだ!」
『なに!?』
先ほどの意趣返しのようにスローネヌルの片腕が翼により切り飛ばされる。
「私たちを忘れてたら!」
「痛い目見るデス!」
そして調により頭部を破壊され切歌によりもう片方の腕も破壊される。
「先に地獄で待ってろ!ゲイリー・ビアッジ!」
『クソ!引き時か!』
バレットファンネルとクリス自身が放つ粒子砲によりスローネヌルは破壊されるがゲイリーは背部のコアファイターを利用しフロンティアから離脱していった。
「逃げ足だけは速い・・・。」
久しぶりの起動に加えて大破寸前の損傷を受けたレラジェが機能を停止し膝を突きクリスが外に放り出される。
「雪音!」
しかし地面に打ち付けられる前に翼に抱き留められる。
「無事か?」
「大丈夫だから・・・早く下ろしてくれ・・・。」
「何を赤くなっている。」
「こういうのは外でするもんじゃないんだよ・・・。」
翼は赤くなっているクリスを抱えたまま二課に連絡を入れる。
「司令。雪音が回収したガンダムの回収を。」
『分かった回収班を向かわせる。』
「ありがとうございます。私たちは立花の元へ向かいます。」
『そうしてくれ、響君は今一人だ。』
通信を終らせた翼はようやくクリスを下ろす。
「行くぞ。」
「~~!わぁってるよ!」
「意外と可愛い所あるんだ。」
「うるせぇ!」
調の呟きを聞いたクリスはまた顔を赤くした。
◎
動力部に来たウェルは自身を追いかけてきた響を睨み付ける。
「君が奇跡を起こしてガンダムを呼んだのなら!誰よりも頑張っている僕にも奇跡が起こって良いはずだ!」
「もう逃げ場はないですよウェル博士。」
「うるさぁい!まともたらしく説教を垂れるな!」
奇跡を求めるウェルに応えるようにネフィリムがフロンティアに格納されている中でかつて自身が搭載されていたものと同タイプの機体を呼び覚ます。
「なんだ!?」
突然の揺れに驚くウェルの背後の壁が砕かれそこからサイコプレートが飛び出し響に襲い掛かる。
「これって!まさか!」
壁の中から響の予想とは多少異なるもののガンダムが現われる。
「ガンダム!奇跡は起きる!僕は英雄だぁ!」
それは黒いガンダムであった。背に三日月のようにサイコプレートをマウントするとコックピットが開きウェルがそこに誘われるように乗り込むとツインアイが赤く光る。
「ムーン・・・違う!サイコガンダム!?」
『僕の感応波が過去一でビンビンだぁ!』
サイコガンダムMk.Ⅳに押され響は地上へと押し出されると遅れて地を砕き響の前にサイコガンダムMk.Ⅳが降り立つ。
『証明してみせるさ!この星で僕が最も英雄に相応しいと!そう、君よりもだ!立花響!』
「英雄なんてなろうとしてなるものじゃない!」
響の瞳が金の輝きを帯びるとガングニールの出力が上昇しサイコガンダムMk.Ⅳと拳をぶつけ合った。
タイトルについて
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前の方が良かった
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今の方が良い