響とウェル互いの脳量子波と感応波がぶつかり合い両者の感情をゼロ距離で叩きつけ合わせる。
『本当にずるいなぁ君は!』
「何が!」
ウェルの感応波で操られるアッガイの相手をしながら響はリゼルN型を呼び起こすとそれにアッガイの相手をさせ自らに迫るサイコプレートを殴りつけ制御権を奪う。
『君だけじゃない!マリアもだ!僕が自分の身体を滅茶苦茶にしてようやく手に入れたニュータイプ能力を!君たちは産まれながらに持っているなんてさ!まるで世界が英雄を選んでいるかのようだ!』
ビームライフルから放たれるビームをサイコプレートを盾に防いだ響は近くの岩にマフラーを巻き付けるとそれをハンマー投げのようにしてサイコガンダムMk.Ⅳにぶつける。
『だからここまで頑張ったんだろ!一生懸命やって来たんだろ!?なら奇跡の一つや二つが僕にもあって良いじゃないか!』
「人に夢を見て!他人の力を望んで!自分の業を認めない!貴方って人は!」
『何が悪い!僕は天才なんだ!世界は僕と言う英雄により導かれることでより良くなる!』
サイコプレートの制御権が更に二枚響に奪われると互いのプレートが共鳴しサイコフィールドを形成するとそれがフロンティア全体を包み星の地表へも流れ出して行く。
「貴方にだって誰かが持ってない特別があるんだ!なぜそれを誇ろうとしないで!」
『他者より特別ではないどちらかと言えば鼻つまみ者な僕が!ちょっと頭が良いくらいで優しくなんてされるものか!』
「手を伸ばさないから!」
『伸ばして払いのけるのが人だ!立花響!覚えくらいあるだろう!?』
「それでも!私は伸ばし続ける!貴方にも!」
『要らないなぁ!』
ウェルの操るサイコガンダムMk.Ⅳがビームサーベルを抜き放ちサイコプレートに乗ると超速で動きアッガイを倒したリゼルN型を倒すと反転し響へと迫る。
『かつてカストディアンが増えすぎた人間を制御できずに争いを起こしたのなら!僕は人を減らし争いのない理想郷を作ることで人類を救う!』
「たった一人で人を統治するだなんて!貴方は神にでもなるつもり何ですか!?」
『それもまた良いじゃぁないですか!!!僕の納める幸せな世界!』
ビームサーベルをサイコプレートで防いだ響であったが背後から現われたグフのヒートロッドに捕縛されると身を焼かれながら地面に叩きつけられると更に追加で現われたゴッグのメガ粒子砲を浴びせられる。
『消えろ!僕以外の英雄ぅ!!』
「ガァァァァアングニィィィィィィル!!!」
だがしかしメガ粒子砲のエネルギーを一旦吸収しそのままゴッグに逆流させて撃破した響がズゴックの頭部に乗って現われるとズゴックを操りグフの腹部を貫かせ撃破する。
「私は英雄なんかじゃない!ただの立花響だ!」
三枚のサイコプレートが響を包むように彼女の周りを翼のように舞っている。
◎
割れたギアペンダントを握りしめるマリアであったがガングニールなき今何をすべきか分からずに感情だけが先走っていた。
「戦えない私が行ったところで、私が何の役に立つと言うの・・・。」
外で行われている響とウェルの戦いを見るマリアの拳から爪が食い込んだのか血が垂れる。
『マリア姉さん。』
先ほど展開されたサイコフィールドの影響でマリアに声を届かせることができるようになったセレナが姿を現す。
「セレナ・・・。私は貴女の歌を死を無駄にしてしまう・・・。」
『姉さんのやりたいことは何?』
優しくそう問いかけるセレナにマリアは心のままを答える。
「月の落下がもたらす災厄からみんなを救いたい、守りたい!」
『だったら生れたままの感情を隠さないで。』
光を背負うセレナは遙かな悠久の時より紡がれた故郷の歌を紡ぎ始める。
『りんごは浮かんだお空に♪』
「りんごは落っこちた地べたに♪」
歌は世界中継だけではなくサイコフィールドを伝い世界中のGN粒子を活性化させ人の心を一つに繋げ莫大な量のフォニックゲインを発生させる。
『星が生まれて歌が生まれて♪ルルアメルは笑った♪常しえと♪』
「星がキスして歌が眠って♪」
フロンティアにフォニックゲインが収束し格納庫に収められていたνガンダムとその随伴機と共に宇宙へと放たれていく。
マリアとセレナが紡ぐAppleは冷たい宇宙に放られたナスターシャにも奇跡を与え少しばかりの生きる時間を与える。
「私は・・・、この光は?」
瓦礫の中から起き上がったナスターシャはフォニックゲインが放つ光を見ると自身が再び目を覚ました理由を察し操作盤に向かう。
「この暖かな光。これがあれば月を押し戻す事も可能。」
月の遺跡へとフォニックゲインを照射しようとしたナスターシャであったがモニターに映されるメッセージを見ると表情を綻ばせる。
『これは人の心の光。誰かが誰かを思いやる小さな暖かな光だ。--A.R.』
「ならば私はあの子達に未来を照らす火を。」
月面に到達したνガンダム達と月遺跡にフォニックゲインが照射されサイコショックが起こる。
「月遺跡、再起動。公転軌道にアジャスト開始。」
ふと外を映すモニターを見たナスターシャは地球を見る。
「ああ、星が音楽になって・・・。」
そしてマリアに向けてメッセージを送ると彼女に与えられた奇跡は終わりを迎えた。
マリアとセレナは何が起こっているのかも気にすることなく歌い続ける。
「かえるとこはどこでしょう♪」
『かえるとこはどこでしょう♪』
「『りんごは落っこちた地べたに♪りんごは浮かんだお空に♪』」
歌い終えた二人はメインルームのモニターに表示されるメッセージに気づく。
『月は直に公転軌道に戻ります。これでもう貴女達を縛る物はなにもありません。』
「マム・・・。」
涙ぐむマリアの手をセレナが握りしめる。
『後は姉さん次第。私に残った全部をあげる。だからみんなをお願いね。』
セレナはそう言うと光り輝き割れたギアペンダントへと吸い込まれていくとギアペンダントが仄かに暖かくなる。
「ありがとう・・・マム、セレナ。全てを終らせてくるわ。」
モビルドールの残骸が溢れる戦場へとマリアは向かっていった。
◎
ズゴックを破壊されバランスを崩した響に右からバクゥが左からはカプルが迫るがバクゥは飛来してきた斬撃にカプルは爆撃により破壊される。
「無事か立花!」
「見た感じは大丈夫そうだな!」
「翼さん!クリスちゃん!」
信じる仲間の到着に喜んでいる響に襲い掛かろうとしていたザクレロがチェーンで拘束され両断されると丸鋸により粉々にされる。
「イガリマと。」
「シュルシャガナ。」
「切歌ちゃんに調ちゃんも!」
続々と集ってくるシンフォギア装者にウェルは頭を掻きむしる。
『羽虫がわらわらとぉ!僕の前にぃ!』
「あれドクターデスか!?」
「厄介そう・・・。」
「大丈夫。マリアさんからも受け継いだこのガングニールとみんなが居る!」
力場が崩れ浮き上がる岩の上からマリアの声が降る。
「そして今此処に歌がある!」
マリアの居る岩に集った装者の中で響が何かに気づく。
「会えたんですね。」
「ええ、おかげさまでね。託された物の再確認ができたわ。」
ビームライフルを防いでいるサイコプレートの向こう側に居るサイコガンダムMk.Ⅳを見据えマリアが叫ぶ。
「ドクター!見せてあげる歌には力があると言うことを!!」
マリアは仄かに暖かい熱を帯びるギアペンダントを握りしめ歌う。
「Seilien coffin airget-lamh tron.」
聖詠に応えギアペンダントが光り輝く。
『シンフォギア?まさかそれは!』
「そう!これは私が受け継いだセレナの心!」
『馬鹿なコンバーターが壊れているのに!』
「分からぬ貴方ではないはずだ!愛故に!!!」
『愛!?ははははは!!確かにならば道理は通る!だが!』
白銀のシンフォギア、セレナから受け継いだアガートラームをマリアが纏いながら共に絶唱にも匹敵する歌を響かせる装者達をウェルは嘲笑う。
『たった六人ぽっちの絶唱で何ができる!』
「貴方にはわかるまいドクター!私たちの身体を通して出る!」
「この七十億の絶唱の光が!」
サイコプレートに包まれ光り輝く装者達がサイコガンダムMk.Ⅳへと突撃する。
『そんな!世界は僕を要らぬと言うのかぁ!?』
「だったら私の!私たちの手を!」
『嫌だね!お前となんか!』
互いのサイコプレートが砕け散り頭部を破壊されたサイコガンダムMk.Ⅳはフロンティア内部へと落下していった。
「ウェル博士・・・。」
「あの男は何処までも・・・。」
エクスドライブとなったシンフォギアがフロンティアに穿たれた大穴の上に佇んでいるとフロンティアが鳴動を始めると紫電を放ち始める。
「何事デスか!?」
「狼狽えるな!防人たる私たちがどよめいてどうする!」
「いつの間にかカウントされてる。」
いつの間にか防人にカウントされていたことに驚く調と切歌であった。
「もしかしてウェル博士はネフィリムの心臓を!」
穴の位置がジェネレータールームに繋がっていることに気づいた響が穴の奥に行こうとすると穴を中心にフロンティアが崩れていくと先ほどよりも巨大化したサイコガンダムMk.Ⅳが現われる。
『僕が英雄になれない世界なんか!蒸発してしまえば良い!喰らえネフィリム!そして全てを燃やせぇ!』
ネフィリムの心臓にサイコガンダムMk.Ⅳを吸収させ機体をネフィリムガンダムと言うべき物へと変えたウェルがフロンティアとそこにあるモビルスーツとモビルドールを吸収させネフィリムガンダムを暴走させ始める。
「あれがネフィリムの本当の姿!」
『こちらでも確認した!すまないがあのガンダムの放つ熱で俺達は近づけない!』
「ならば私たちがネフィリムとウェル博士を止めます!司令達はいち早い避難を!」
『ああ、不本意ながらそうさせて貰う。全員生きて帰ってこい!』
「心得ました。」
通信を終らせた翼はGN粒子の光を放ち離脱していく二課の潜水艦を見ると刀を構える。
「ドクターが大きくなるのなら!こっちだって!」
「一緒に行くデス調!」
「うん、一緒に行こう切ちゃん!」
アームドギアを合体させモビルスーツのようにした調と切歌がネフィリムガンダムに攻撃を仕掛けるが暴走させられたネフィリムの力でエネルギーを座れていく。
「ああぁああ!!」
「デェェェス!!」
「ぜいやぁ!」
接触している部分を翼が切り飛ばす事で事なきを得た二人が離れると入れ違いにクリスがソロモンの杖を構えて突貫する。
「雪音!何をするつもりだ!」
「ソロモンの杖だって人が作ったんだ!だったら人を救える!あたしが起こしたソロモンだそれくらいやって貰わなきゃ困るんだよ!」
緑の光が広がりネフィリムガンダムの背後にバビロニアの宝物庫の入り口が出現する。
『ふざけるな!英雄になれないならせめて悪魔になってやるんだ!』
「ぐあぁ!!」
抵抗するウェルによりネフィリムガンダムの腕で殴られたクリスの手からソロモンの杖が弾かれるがマリアがそれをキャッチし光の照射を続け入り口を完全に開く。
「狭間に消えろ!ウェル!」
『機体が吸い込まれる!こうなればお前も連れて行くぞ!マリア!』
ネフィリムガンダムに掴まれウェルと共にバビロニアの宝物庫にマリアが消えていく。
「そうだ、それで良い。私とお前共に業を背負っている。なら私は明日を作るためにみんなを守るためにこの命を使う。」
『ふざけるな!そんなのまるで・・・英雄じゃないか!』
覚悟を決めるマリアの周囲に響達がやって来る。
「貴女達どうして・・・。」
「マリアさんがみんなを守るなら私たちがマリアさんを守りますね!」
「立花響・・・。」
装者達がバビロニアの宝物庫に侵入してきた事に気づいたのかノイズと月光蝶を免れるために保管されていたのだろモビルアーマーとプルーマが集まり始める。
「雑魚はあたしに任せろ!お前等はマリアを助けろ!」
「私も共に参ろう雪音。」
「そいつぁ心強いや。」
翼とクリスが鎧袖一触にノイズらを撃破する横で響が腕のアームユニットを槍のように変化させるとマリアを掴むネフィリムガンダムの腕に亀裂を入れそこに力を振り絞った切歌と調のモビルスーツ状のアームドギアがトドメを与えることでマリアを解放するとクリスが叫ぶ。
「そいつでもう一回宝物庫を開け!ソロモンは鍵だ!」
「えぇ!セレナ、私も皆と共に行くわ!明日にぃいぃぃいぃぃいい!!!」
出口が出現しそこに装者達が向かおうとするがネフィリムガンダムがそれを防ぐ。
『なぁみんなで死んで溶け合おうじゃありませんか?』
「此処で誰も死なせない!ウェル博士貴方もです!」
飛翔する装者達が出口へと向けて一直線に突き進む。
「みんな手を繋ごう。」
「手を、そうね貴女達はそうして明日を創ってきた。なら私も手を繋ぐわ。」
手と手が繋がれる中央で重なる響とマリアの手が輝きを帯びる。
「マリアさん。」
「ええ、やりましょう立花響!」
全員のギアの装甲が剥がれゴッドガンダムへと背後で形を成す。
「「私たちのこの手が光り輝く!!!」」
響とマリアの声が重なり宝物庫全体に響く。
「明日を掴めと!」
「轟き叫ぶ!」
背後のゴッドガンダムが石破天驚拳の構えを取ると黄金に輝く。
「S2CA!」
「石破!」
「「バースト天驚拳!!!」」
装者達が虹の輝きに包まれると共にゴッドガンダムが石破バースト天驚拳をネフィリムガンダムのコックピット目がけて放つ。
放たれた拳は巨大な隻眼の老人に姿を変えると雄叫びを上げながらコックピットを抉り抜く。
『こんな何も残さずに僕は死ぬぅ!?』
コックピットが抉られ空いた穴を石破バースト天驚拳の反動で崩れ去ったゴッドガンダムの残骸を置いて装者達は地球へと帰還すると砂浜に着弾する。
「このままじゃゲートが!」
遠くに突き刺さったソロモンの杖に手を伸ばすマリアであったが身体が動かない。
それを近くに二課の潜水艦があるのとそこから走ってくる人影を見た響が安心するとマリアに言う。
「大丈夫です。私たちにはまだ仲間が居ます。」
「仲間?」
「はい、私の大切な親友です!」
こちらを見る響に応えるように未来は全力疾走からのソロモンの杖の槍投げを敢行する。
「もう響が!みんなが戦わなくて良い世界に!だからお願い!閉じてぇ!」
ネフィリムガンダムが爆発する直前にゲートは閉じ空が一瞬宝物庫内を駆け巡った衝撃で揺れるが地球は焼かれなかった。
『やったな!やったな!』
「うん、響が教えてくれたんだ。力がなくてもできることがあるって。」
遅れてやって来たハロ状態のカナデに未来はそう言った。
◎
激戦を終えた装者達の応急処置が終わり皆が海を眺めているとずぶ濡れのウェルが息も絶え絶えに海から上がってくるの見るとマリアが駆け出す。
「ウェル!!!」
「マリアっ!」
そして何かを言う暇も与えずに顎を殴りウェルを宙を舞わせる。
「お前は英雄でも悪魔でもなく、ただのウェルとして裁かれてこい!」
「嫌だぁ!誰か僕を特別にしてくれぇ!」
涙を流しながらそう言うウェルを二課の黒服が拘束して連行していく。
「風鳴弦十朗。」
「なんだ。」
「あと少しだけ私たちに時間を。」
「良いだろう。」
許可を貰ったマリアは先ほど響に渡されたガングニールのギアペンダントを持って響の元に行く。
「立花響。」
「マリアさん。」
「ガングニールは私よりも貴女にこそ相応しい。」
「でもそのガングニールはマリアさんの--」
受け取ろうとしない響に無理矢理ガングニールを渡したマリアは切歌と調と共に連行用のヘリへと向かっていく。
「マリアさん!」
「私と貴女の歌お互いに託しましょう?」
「はい!」
過去を知るもの同士未来へと離れていても歩こうと言うマリアの意思を察した響はガングニールを受け取った。
「私の胸のガングニールは消えたけど奏さんから託された歌は決して無くさない。」
太陽に照らされながら響はガングニールを握りしめそう誓った。
タイトルについて
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前の方が良かった
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今の方が良い