機動戦姫ガンダムSG   作:鍋の中の白い奴シラタキ

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愛と怒りと悲しみの!!

 燃え盛る炎の放つ逆光に照らされた翼が刀を構え戦おうと言うのを聞いた瞬間に響は距離は取る。

 

「私の実力を示せって事ですか。」

「そうね、分かっているのなら貴女もアームドギアを構えなさい。」

 

アームドギア即ちビームサーベル等の武装のような物。

 

「アームドギア?」

「貴女が何者にも負けない無双の一振りガングニールを纏うのならば!その手に槍を構えて見なさい!」

 

あの日見た天に掲げられた槍が出てくるように念じるも響の手に槍は現われない。

 

『戦いを望まぬ者がどれだけ念じた所で無駄さ。少女よ君のアームドギアは何かそれは。いや君自身が気づかなければな。』

「・・・必要ありません。」

 

自分は戦いを望まないそう言われた響はゆらりと構えを取る。

 

「どこまでも!どこまでも愚弄するっ!!!」

 

武器を構えるまでもないと言われた翼が感情のままに斬りかかるが振るい始めた時点で全て躱される。

 

「何故当たらない!瞳を!?」

 

当の響は瞼を閉じ肌で殺気を読み取り躱し続ける。

 

「装者となり一月も経たない貴女に何故当たらない!!」

 

脳天を狙い唐竹割りを敢行した翼であったが刀身を挟み込まれ受け止められる。

 

「白羽取り!?」

「この刃には愛を感じます。」

 

流れるように翼から刀を奪った響がそれを振るい峰打ちで翼を退けると言う。

 

「怒りと悲しみで貴女は錆び付いている!!」

「貴女に何が分かる!」

 

再び刀を構えた翼が響へと斬りかかり二人は刃をぶつけ合う。

 

「分かりません!だから教えてください翼さんの事を!」

「教えることなど何もない!認められないのよ!」

「何を!」

 

ギチギチと音を立て鍔迫り合いながら翼が叫ぶ。

 

「風鳴翼が受け入れられないからだ!貴女が私の隣に並ぶなど!」

「涙!?」

「この身は剣!涙など流すものかぁ!!!」

 

宙に飛び翼は刀を超大型化しその柄を蹴りつけ響へと向かう。

 

「感情任せ!」

 

対する響もまた刀を構え受け流そうとするところに突如現われた弦十朗が翼の超大型剣を殴りつける。

 

「おらぁ!!」

「叔父様!?」

 

完全に予想外だったが故に翼は動揺する。弦十朗は踏み込むと生じた衝撃を地面に逃していく。

 

「くぅ・・!」

 

響はそれを刀身を地に突き刺すことによって耐えるが宙に身を躍らせていた翼はろくに態勢を整えることもできずに地に落ちギアが解除される。

 

「なぁにやっとるんだお前達は。たく卸し立てがこの様だ。一体映画が何本借りられるやら。」

 

割れた水道管が噴き出した水により周囲が水浸しになり中頽れている翼に弦十朗が手を伸ばす。

 

「大丈夫か翼。・・・お前、泣いて?」

「泣いてなどいません!泣いてなど!!」

 

そう強く否定する翼であったがその頬には涙が流れていた。

崩れ去った刀だった物を見届けた響は俯く翼を慰めようとするが言葉が出てこない。

 

『触れられたくない傷は誰にでもある。君にも分かるはずだ。』

 

今の自分が翼の傷を抉り塩を塗る存在で有ると言うことは先の戦闘で響は理解していた。それ故誰も何も言わないまま二課へと帰還した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 パチンとランナーからパーツが切り離されるがそれを見た未来があっと声をあげる。

 

「響、そこ切っちゃって良いの?」

「え?あぁ!?」

 

考え事をしながら作業していた為か軸まで切り離してしまった響が悲鳴をあげる。

 

「なにか悩み事?」

「うん、ままならない物だなって。」

 

瞬間接着剤を使いパーツを修復しつつそう言う響に未来は言う。

 

「私は響は響らしくあれば良いと思うな。」

「私を受け入れられないって思ってる人にも私らしくしてて良いのかな?」

「今までそうしてきたじゃない。」

 

RGグフの脚部を組み上げた響がパパッと片付けをすると立ち上がる。

 

「ありがとう未来。私ちょっと走ってくる!」

「もう、門限はこっちの方で何とかしてあげる。」

「ありがとう!」

 

 寮を抜け出し月明かりの元ランニングをする響であったが突然前方に現われたフードを被った小柄な人物に前を塞がれる。

右に避ける相手も右に動く今度は反対に左に動くと相手も左に動く。

 

「私に用ですか?」

「ああ、あたしはお前に用がある。」

「どこかで会ったことが?」

「いいや初対面さ。」

 

前に居る人物が自身よりも背が低く更に声から察するに女の子と判断した響が何かに納得したのか言う。

 

「もしかして迷子になったの?」

「舐めてんのか?」

 

ぐいっと響に近づいた少女がフードの隙間から目を覗かせると視線を交わらせる。

 

「あたしにはお前が分からねぇ、だから教えろお前はどうして戦うんだ?」

「その質問。私貴女に興味を抱いたよ。」

 

警戒故に距離を取った響の持つスマホに着信が入ると少女は暗がりに消えていきながら言う。

 

「また会うさ、その時に聞かせろよ。」

「・・・。」

 

気配が消えた事で警戒を緩めた響が鳴り続けるスマホを手に取り通話を開始する。

 

『響ちゃん定例ミーティングの時間よ。』

「直ぐに行きます。」

 

了子からのミーティングの知らせに響は二課へと向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 ここ一ヶ月のノイズの出現情報が記された図がモニターに表示される。

 

「響君はこれをどう思う?」

「なんか此処に近づいてません?」

「聡いな。これはここ一ヶ月のノイズの発生地点だ。響君の言うとおりノイズは徐々にでは有るが確実に此処に近づいている。ノイズについて響君はどの程度知っている?」

 

ノイズについて聞かれた響はそれに答える。

 

「ノイズはポスト・ディザスターに存在するモビルアーマーのように機械的に人のみを襲う物だって認識しています。ただ人が一生のうちにノイズ遭遇する確率は通り魔に遭うようなものだって学校で教わったんですけど。やたら多くないですか?」

「そうね貴女の認識は概ね正しいわ。それに響ちゃんの言うとおりノイズの発生率は決して高くはないわ。だとすればそこには何者かの作為があるわ。」

「作為・・・。」

 

某かの意思によるノイズの出現そう聞いた響は先ほどであった少女を思い出すがそれを伝える前に翼が発言する。

 

「中心点はここリディアン音楽院高等科。ノイズの裏に某かが居るとすれば狙いはサクリストD。デュランダル。」

「デュランダルって事は剣ですか?」

「そうよ、デュランダルは此処よりも地下深いアビスにて保管されている完全状態に近い聖遺物の事ね。日本政府の管理下で我々が研究している物ね。」

 

デュランダルについての補足をオペレーターの友里にされた後に藤尭からもデュランダルについて説明がなされる。

完全聖遺物それは起動するのに莫大な量のフォニックゲインを必要とするが一度目覚めれば誰の手によっても振るう事が可能となる強大な力を持った物である。

しかしそれは今現在眠ったままである。

 

「今の翼の歌であれば起動も可能かもしれん。」

「そもそも起動実験の許可が下りるのでしょうか?」

 

翼であればと言う弦十朗に友里が政府から許可が下りるのかと問うがそれに藤尭が答える。

 

「米国が安保を盾に再三の引き渡しを要求している現状起動実験の許可は下りないでしょう。」

「まさかこの件米国政府が弓引いて?」

「ここ最近政府のデータベースに数万を超えるハッキングが仕掛けられたが犯人の特定には至っていない。米国と断ずるのは早計だろう。」

 

今だ表示されるノイズの出現地点情報を見ながらそう言う弦十朗に緒川は眼鏡をかけると言う。

 

「司令そろそろ時間ですので。」

「もうそんな時間か。」

 

コーヒーを飲み干した翼が司令室から出て行くのを見ながら響が言う。

 

「時間って何の時間ですか?」

「こう見えて表では翼さんのマネージャーをやっているんです。」

「はぁ、こりゃまた結構な物を。」

 

名刺を受け取り去りゆく緒川と翼を見送った響は弦十朗に先ほど思い出したことを伝える。

 

「弦十朗さん、此処に来る前私に何故戦うのかって聞いてきた女の子がいました。」

「分かったこちらでも調べて見よう。」

「お願いします。」

 

その日のミーティングは終了した。

 

 

 

 

 

 

 モビルアーマーサマエルが大量のプルーマを排出し続ける中を赤い機影が疾駆し諸手にて打ち砕いていく。

 

「この身喰らいたければ、柔軟性をもって来い!」

 

それは赤く染め上げられ独自のカスタマイズが施された機体。

更に歌を流しながらプルーマを撃砕していく。

 

「エクシアウィングビート!私の歌はお前達のさざめきでは終わりはしない!」

『後方接近!後方接近!』

 

響はサポートユニットのハロの警告に従い背後から迫るプルーマを跳躍し躱すと落下の勢いを乗せた踵落としで破砕する。

撃破されたプルーマの数が一定に達した事によりミッションボスである大型モビルアーマーサマエルがとうとう動き出す。

 

「歌えウィングビート!大蛇の奏でるレクイエムなど私達が掻き消す!!」

『GNドライヴ稼働率120%!120%!』

 

サマエルが放った大型ファンネルがビームを撃つもその全てが躱され更にその内の幾つかはウィングビートに鷲掴みにされるとナノラミネートが施されているのを利用されサマエル自身が放つビーム砲が防がれる。

 

『無茶するな。無茶するな。』

「サビに入った所なんだハロ!感じてウィングビートも喜んでいる!」

 

ウィングビートのシャイニングガンダムから流用した右手にGN粒子が濃縮され輝き始める。

 

「私のこの手が光って唸る!お前を倒せと輝き歌う!必殺!」

 

再び放たれたビーム砲を躱しサマエルの背に降り立つと一息に右腕で貫く。

 

GN(シャイニング)フィンガァァァァァアアア!!!」

 

内部に激流の如く侵入したGN粒子によりサマエルが内側から破壊されていき遂には機体全体からGN粒子を噴き出す。

 

『GN粒子残存率10%!10%!』

「フィィィィイネ!!!」

 

エネルギー残存率の低下を聞いた事でサマエルより離脱し近くの岩山の上に着地すると背後でサマエルが爆発を起こし機能停止に陥る事でモビルアーマー討伐ミッションが終了した。

 GBNのロビーにてミッションを終らせた響は今現実で自身が戦っているノイズに近い挙動をする鉄血のオルフェンズのモビルアーマー討伐ミッションの内今だクリアしていないミッションを探していたが後ろから未来に声をかけられる。

 

「ヒビキ、もうすぐ約束の時間だよ。」

「ごめん夢中になっちゃってたよ。」

「もう、しっかりしてよね。」

「あははは・・・。」

 

彼女たちは二人ともダイバーネームは名前をそのままカタカナにしたものを使用している。

 

「ログアウトしたら直ぐに行くから先に待ってて。」

「うん待ってるから。一緒に流れ星見ようね。」

「絶対に見よう。」

 

未来がログアウトしたのを確認すると響もログアウトし現実に帰還するとガンダムベースから退店し未来と一緒に流れ星を見る約束をした丘へと向かおうとするが二課から着信が入る。

 

「こんな時にっ!・・・やっぱり私呪われてる。」

 

通話に応じ此処から近い場所にノイズが発生したことを知らされた響は発生地点に向かっていきながら未来に電話をかける。

 

『響?私はもう着いてるよ。』

「ごめん未来!今日行けないかもしれない!」

『・・・それって大事な用事がまた入っちゃったの?』

「本当にごめん!」

 

電話越しではあるが申し訳なさが伝わったのか未来は一呼吸置くと言う。

 

『私は大丈夫。でも今度埋め合わせしてね?』

「ありがとう未来!なんでもやるよ!」

『じゃあ凄いこと頼んじゃおっと。』

「ドンとこいだよ!」

『用事頑張ってね。怪我はしないでね。』

「怪我しないように頑張るから大丈夫だよ。だって私がガンダムだ。」

 

通話が終るとタイミング良くノイズが発生した地下鉄入口へと到着する。

 

「今の私は自分を抑えれるか分からないよノイズ!Balwisyall nescell gungnir tron.」

 

聖詠を歌いシンフォギアを纏った響に通信が入る。

 

『響君大きな反応が確認された。今翼を向かわせているからくれぐれも無茶はするなよ。』

「分かりました。ガングニール、目標を撃砕します!!!」

 

黄色の閃光が緑の光の尾を引き地下鉄へとノイズを打ち倒しながら突入した。




ウィングビートのGNフィンガーは必殺技ではないです。無理矢理GN粒子を相手にぶち込むので自身にもダメージが入ります。

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