機動戦姫ガンダムSG   作:鍋の中の白い奴シラタキ

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嗚呼、友よ

 ジョシュアとの模擬戦が行われてから数日後。

 ヒビキは明日にビルドダイバーズとのバトルを控えていたが前日と言うことでコンビネーション訓練のミッションを終らせた後にダイバーアカウントを作った未来と一緒に草原エリアに来ていた。

心地良い風が吹き草原を散策二人の肌を撫でる。

足元をハロが転がり回る中を風が運んできた白い花びらがミクの髪に乗っかる。

 

「凄いねGBNってまるで現実みたい。」

 

花びらをつまみ上げ匂いを嗅ぎ微かに香る甘い匂いに驚きながら未来はSDカプルのNPDが泳ぐ湖を眺める。

 

「でしょ、此処は凄い世界なんだ。あの日の生き残りじゃなくて私として生きていける世界なんだよ。」

「・・・何度も言ってるでしょ?あっちにもちゃんと響の居場所はあるよ。」

「ありがとう未来。だけど、やっぱりまだ少し怖いんだ。一歩外に出たらまたあの目で見られて・・・それから・・・。」

「大丈夫、響が大丈夫って思えるまでううんずっと私は響の側に居るから。」

 

向こう側の世界でのリハビリが復帰してから響に降りかかった数々の受難を思い出し身を震わせる彼女をミクは優しく抱きしめる。

心身の機微まで細やかに察知しそれをダイバーに即座に反映するGBNのシステムがヒビキの心が未だに泣いていることを告げていた。

だがそれも単身誰にも何も告げずに響の元へとやって来た未来と言う陽だまりによって癒やされていっていた。

 

「しばらく手を繋いでても良い?」

「もちろん。」

 

手を繋いだ二人がそうして歩いて居ると湖のSDカプルがどこからか来たツキノワッガイに一機が狩られ連れて行かれる。

 

『限定パーツゲット!限定パーツゲット!』

「え!?」

「どうしたの?」

「うわ、ベアッガイの狩りでなんかパーツゲットできた。」

「なにこれ・・・。可愛いけど。」

「あれ見ちゃうとなぁ。」

 

鮭を咥えたベアッガイの頭部パーツを図らずも手に入れてしまったヒビキとミクは湖から離れるように花畑方面へと向かっていった。

 花畑エリアを散策していると二人は後ろから唐突に声をかけられる。

 

「こんにちは。」

 

振り返るとそこにはどこか不思議な雰囲気を持つ少女が居た。

 

「あ・・・。」

「こんにちは、貴女はヒビキの友達?」

 

挨拶を返しそう聞くミクに少女はふるふると首を横に振る。

 

「でもこれからなれたら良いなって思うわ。この広い世界で二回も会うなんて素敵な事だと思わない?」

 

微笑みながら言う少女にヒビキは頭を下げる。

 

「この前はいきなり突き飛ばしてごめんなさい。」

「大丈夫気にしてないわ。貴女もそんなつもりはなかったでしょ。」

「許してくれるの?」

「最初から怒ってないわ。だからね、私とお友達になって?あんなに素敵なガンプラを作れるのだもの貴女はきっといい人。」

 

以前出会った際に仮面を落とした時の事を謝るヒビキに少女は気にしていないと言う。

 

「私はイブ。はい、今フレンド申請を送ったわ。」

「貴女がそう言うなら、私も友達に成りたい。」

「私も良いの?」

「此処はみんなで仲良くする世界。仲間はずれは可哀想でしょ?」

 

フレンド交換をし友達になった三人は蝶が舞う花畑を歩く。

 

「アナタはまだ卵なのね。」

『何言ってんだ。何言ってんだ。』

 

途中イブがハロに対して不思議な事を言っていたりしたが何とはなしに陽の光に照らされながら歩き気がつくと先ほどツキノワッガイの狩りが行われていた湖の湖畔に来ていた。

 

「うわ、さっきのカプルの欠片だ・・・。」

「自然の摂理って奴なのかな。」

 

南無南無とSDカプルだった物に手を合わせる二人をイブは近くの岩に腰掛け微笑ましそうに眺めていると誰かから送られてきたメッセージを読みそれに返信する。

 

「あのね、紹介したい友達が居るの。」

「友達?」

 

紹介したい人が居るというイブにヒビキが疑問をこぼすと辺りに影が差すと近くに小さなガンダムが降り立つ。

 

「あのガンダムって。」

「あれもSDなの?」

「違うと思う。SDだったらもっと可愛い見た目してるから。」

「あの子はコアガンダム。」

 

膝立ちになりダイバーを地面に下ろすコアガンダムをそう紹介するイブはこちらに来たアヴァロンの制服を着た男の手を引き二人の前に立たせる。

 

「ほら自己紹介。」

「え?」

「あっえっと私はヒビキです!この前はいきなりログアウトしてごめんなさい!」

「私はミク、ヒビキの親友です。」

「ヒロトが言わないからヒビキ達が先に言っちゃった。」

「えぇ・・・。」

 

困惑するヒロトであったが直ぐに気を取り直す。

 

「ヒロト。この前の事はイブが気にしてないなら別に良いよ。」

「そうだ!貴女のガンプラを見せて、この前は直ぐに居なくなっちゃったから。ね?」

「見せるくらいならそんなに必死に頼まなくても。」

 

目を輝かせてヒビキのガンプラを見せてくれと言うイブにヒビキはコアガンダムとは少し離れた場所にライトニングフラッグを出す。

 

「これは、やっぱりフラッグをベースに。」

「名前はライトニングフラッグ。スサノオとGNフラッグとオーバーフラッグに後は自作のクリアパーツで作ったんだ。」

「あの紫色のは塗装じゃなくてクリアパーツってことなのか?」

「うん、大変だったけど上手くいったよ。」

 

ライトニングフラッグについての大まかな事を話すヒビキとヒロトを見ながらイブは微笑む。

 

「あの子も言ってるヒビキが元に戻ってくれて良かったって。貴女のお陰なのね。」

「ヒビキは私の一番大切な人なの。だからヒビキが泣いてるなら私がなんとかしてあげるんだ。」

「私もその気持ち分かるわ。大切な人には何でもしてあげたくなるもの。」

 

気がつくとあっという間に仲良くなっていたヒビキとヒロトは遂に手の内とも言えるギミックについても説明し始めていた。

 

「てことはコアガンダムはアーマー換装で何処でも戦えるんだ。」

「ああ、今はまだ全てには対応してないけど俺はこのコアガンダムでいつかイブと一緒にこの世界の全てを見たいんだ。」

「凄いロマンチックで良いと思う!」

「そうでしょ、ヒロトは素敵な人なの。」

「聞いてたのか、イブ。」

「丸聞こえよ。」

 

頬を赤くし恥ずかしがるヒロトの唇に人差し指を当てながらイブはからかうようにそう言うと何かを思いつく。

 

「良いことを思いついたの!今度みんなで此処で流れ星を見ましょう?」

「そう言えば流星群イベントがあったな。」

「見てみたい、誰かと見るのは初めてだから。」

「私もこの世界の星を見てみたい。」

「だったらフレンドになっておこう連絡が取れるから。」

 

そしてその場が全員がフレンドになり流れ星を見ようという約束をする。

 

「仲良くなれた記念に私のエレクライトのビルドデータをあげるよ。」

「良いのか?頑張って作ったオリジナルなのに。」

「あくまで作り方だから。」

「だったら俺もコアガンダムの基礎設計データをあげるよ。小さなガンプラの可能性を俺は見てみたい俺だけじゃなくていろんな人が使うことでガンプラの可能性を広げたいんだ。」

 

四人は別れヒビキとミクはライトニングフラッグに乗り飛んでいきヒロトとイブは完成したばかりの水中用アーマーの試運転を行うことにした。

 

 

 

 

 

 

 砂漠のディメンションにてGBNチャンピオンのクジョウ・キョウヤとロンメルがマスダイバーによって打ち倒されたロンメル隊のダイバーが操っていたガンプラの残骸を前に厳しい表情で立っていた。

 

「相手はマスダイバーか。」

「そう聞いている。」

「だが、幾らマスダイバーが相手とは言え君のエース部隊がこうも簡単に・・・。」

「ガンプラが再生したそうだ。」

「なに?」

 

砂塵の中で倒れるガンプラの残骸に目を細めながらロンメルは拳を握る。

 

「それほど進化していると言うことだブレイクデカールが。」

 

再生するガンプラにはヒビキとヒロトの両名が遭遇していたのだがヒビキがあまりにもあっさり倒してしまった為に報告が詳しく上がっていなかった。

 

「これは明日のフォースバトルを鑑賞している場合ではないな。」

「いや、君はフォースバトルを見てあげてくれ。かねてから気を配っていた子の真の意味でのデビュー戦なのだろう?」

「この件君に任せても良いのかい?」

「ああ任せてくれ運営に掛け合ってみるとも。」

「頼もしい限りだ。」

 

風に吹かれガンプラの欠片が空を舞った。

 

 

 

 

 

 

 フォースアヴァロンのキョウヤの私室にて彼はロンメルから送られてきていたマスダイバーとの戦闘の様子を一通り見るとUIを閉じる。

 

「クローズドモードに切り替える!ゲートオープン!」

 

指を鳴らした彼の周囲がネガ反転し景色が百八十度回転すると何もない空間となり彼の前にガンダイバーが現われる。

 

「呼び出しとはね、リアルを介しての。分かっているのかい、僕と君の立場を。」

「理解しているとも、その上で聞かせて欲しい。何故運営はマスダイバーを放置しているのかを!答えてくれゲームマスター!」

「マスダイバーか、やはりね。」

 

聞かれることが分かっていたのか苦々しそうに言うゲームマスターはキョウヤの質問に答える。

 

「ナノICチップを貼るのさ、ガンプラにね。そして読み込ませるのさ、GBNに。不正データが数値以上に強くするのさ、ガンプラを。故に認識しているとも、マスダイバーの存在と脅威を。」

「ならば何故!運営は何も対処しない!」

「無いのだよ、証拠がね。」

 

あり得ないとキョウヤは思ったなぜならば先日ブレイクデカールを使用したステアというダイバーが自供したからだ。

 

「自供があったはずだ!」

「調べたとも、隅々まで。だが見つからなかったのだよ、ブレイクデカールは。」

「そんな馬鹿な・・・。」

「異常は無かったのさ、何も。同じくなにも無かったのさ、さきのロンメル隊にも。彼らは負けたのだよ、不正なくね。」

 

異常も不正も何も無いそう言いながらゲームマスターは続ける。

 

「無かったのさ、売買履歴も。だが居るんだよ、マスダイバーは。見つけなければね、黒幕を。それが意思さ、僕たち運営のね。」

 

愕然とするキョウヤに運営側の意思を伝えるとゲームマスターはUIを操作しキョウヤをフォースネストの私室へと戻す。

 

「存在しない悪だと・・・!」

 

堂々と姿を晒して居ながらエクリプスガンダムのように潜み続けるマスダイバー達にキョウヤは怒りを燃やした。

 

 

 

 

 

 

 ヒロトにイブと友達になった翌日ヒビキは第七フラッグ隊の隊長としてフォースバトルが行われる場所である市街地エリアに来ていた。

 

「お待たせしましたロンメルさん!」

「安心したまえ君が一番乗りだ。」

「良かったぁ。時間があるなら紹介しますね!この子が私の親友のミクです!」

「よろしくお願いします。」

「そうか、君が。こちらこそよろしく頼むよ。彼女は思い詰めやすいからね。」

「良く分かってます。」

 

握手するロンメルとミクであったがしばらく立っても手を離さずに肉球を揉むミクにロンメルが冷静に言う。

 

「そろそろ他の人が来てしまうよ、気持ちは分かるがね。」

「ごめんなさい、気持ちよくて。」

「何気にしてないさ。」

 

ロンメルの尻尾は揺れていた。

 

「一日ぶりです!大佐、隊長!」

「ちょうど全員集まりましたよ。」

 

聞こえてきたハワードとリヴァイブの声で視線がそちらに向くと確かに全員揃っていた。

それを見てヒビキも服装をロンメル隊の物へと変える。

 

「今日は勝とう!」

 

その一声に隊の全員が応と返すと彼らが来た方向とは別の方向からバトル相手であるビルドダイバーズが入ってくる。

 

「お久しぶりですロンメルさん!今回も勝たせて貰います!」

「それはどうかな彼女たちは士官学校の者達とは違うよ。」

「それでも負ける気では挑みません!」

「それでこそのリク君だ。」

 

何故か一緒にマギーがヒビキを見つけると駆け寄ってきて手を取る。

 

「見るたびに元気になっててお姉さん嬉しいわ。」

「ありがとうございますマギーさん。」

「貴女が親友ちゃんね私はマギーよろしく。」

「はい、よろしくお願いします。」

 

ミクとも挨拶を終えたマギーがビルドダイバーズを見ながら言う。

 

「あの子達強いわよ。」

「それでも負けません。私と私のチームは強いですから!」

「良いわねその意気よ!存分にバトルを楽しみなさい!」

「はい!」

 

そして二つのチームのリーダーが向かい合う。

 

「俺はリク。今日は勝たせて貰います。」

「ヒビキです。こっちだって負けません。」

 

フォースバトルが始まる。




このゲームマスター喋り方独特だなぁ
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