機動戦姫ガンダムSG   作:鍋の中の白い奴シラタキ

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エルドラ事変
助け求められたなら


 日本政府管轄の秘匿港その近郊に存在するこれまた秘匿されたモビルスーツ工廠にて弦十朗とクリスはフロンティアより回収され現在は弦十朗が全責任を負う形でクリス専用に改修されていくガンダムレラジェをガラスの向こうにしてクリスのメディカルチェックが行われていた。

 

「なぁおっさん。わざわざこんなとこくんだりまで来てするのがメディカルチェックってどういうことだよ。」

「今回行われているメディカルチェックはただのメディカルチェックではない。クリス君とレラジェの阿頼耶識による同調率を調べるためのものだ。レラジェはフロンティアより回収された二千年以上前のモビルスーツだ。ギアに残された戦闘データを見る限りクリス君の身体とモビルスーツ双方にかなりの負荷が掛かっていた。」

「確かにあの時は血反吐まき散らしてたけどよ。あの後調べてなんともなかったじゃねぇか。」

「万が一クリス君がレラジェを使うことになった際に阿頼耶識を取り込み変異したギアが装者である君を殺しかねないレベルのバックファイアを見せるかもしれない。そのために君の身体に合わせてレラジェの出力に制限を設ける為のメディカルチェックだ。」

「つまりどういうことだよ。」

「君の遺伝子データを取り込んだレラジェに君の限界を教える。」

「OK、了解だ。あたしはギアを纏えば良いんだな。」

「合図を送り次第歌ってくれ。」

「了解だ。」

 

フレームのみの姿のレラジェのリアクターが稼働する。

 

「歌ってくれクリス君。」

「おう、なぁエイハブなんたらで電化製品は使えないんじゃないのか?」

「既にエイハブウェーブ下でも使用可能な物になっている。無論本部を兼ねる潜水艦もだ。」

「そいつぁ安心だ。じゃあ歌うぜ、Killter Ichaival tron.」

 

ギアを纏ったクリスに研究員達がレラジェとクリスを繋ぐ機器を取り付けるとレラジェ側からの情報がクリスを襲う。

 

「はぁっ!!」

「どうしたクリス君!」

「いや、何でもねぇ続けてくれ。」

 

片目から血涙を流しながらそう言うクリスに研究員が駆け寄ろうとするがクリスに止められる。

 

「早くしてくれ、こいつあたしに自分の事を全部教える気でいやがる!」

「お前等!制限をかけていけ!」

「了解!」

 

レラジェからクリスに機体の情報が流れ込んでいくように研究員達の手によりレラジェにクリスの詳細な生体情報が入力されていき出力が制限されていく。

 

「あぁこんくらいだ。だいぶ楽になった。」

「数値はどうだ。」

「装者及びモビルスーツの出力は許容範囲です。」

「あい分かった。クリス君、機器が外され次第ギアを解除してくれ!」

「分かった!」

 

リアクターの駆動が収まりクリスから機器が外され彼女はギアを解除する。

 

「この後は通常のメディカルチェックを行う。」

「りょーかい。」

「終る頃には昼か、今日は俺が何でも奢ってやろう。」

「言ったな、あたしはあいつ程じゃないが覚悟はしとけよな。」

「こう見えて高給取りだどんとこい。」

 

通常のメディカルチェックに向かったクリスを見送り弦十朗はレラジェから得られたデータにざっと目を通す。

 

「俺達の把握していないだけでこいつのような物がまだ地下に埋まっているかもしれんのか。」

 

ノイズは消滅したが聖遺物が引き起こす特異災害は消えていない。

シンフォギア装者は未だに必要とされていた。

 

「普通の生活に戻って欲しいとは願っている。だが、あの子達は戦士としてに比重を置きすぎた。おれの責務だ。」

 

子どもの未来の可能性を閉ざしてしまった事に弦十朗はずっと気を病んでいた。

 

 

 

 

 

 

 血を流したからと言う理由で昼から焼肉を奢って貰ったクリスは夕食は軽めに済ませた後に宿泊しているホテルの部屋で持ってきていた課題に取り組んでいた。

 

「お姉さん、血の匂いがするんだぜ。」

「っ!誰だ!?」

 

突然聞こえてきた少女の声に振り返るもそこには誰も居ない。

 

「こっちだぜ。」

 

再び背後から聞こえてきた声にクリスが振り向くとそこには天井に立っている少女がクリスの瞳を至近距離で見つめていた。

 

「うぉわぁ!!」

「そうだぜ、うちは化け物なんだぜ?その反応がただしぃんだ、ぜ!!!」

 

少女の瞳が怪しく輝き当然表れた逆さ女にびびっていたクリスがトロンとした表情を浮かべくずおれる。

 

「事前情報でお化けが苦手って聞いてたけど。ここまでとは思わなかったぜ。・・・チョロすぎるぜ。」

 

天井から降りた少女がクリスに囁く。

 

「ベッドに眠りこけるんだぜ。」

「あぁ・・・。」

 

言われるがままにベッドに行き即座に眠り始めたクリスの太ももに少女は注射器を刺すと採血を行う。

 

「局長命令達成だぜ。全く化け物使いの荒い奴だぜ。」

「クリス君!何があった!」

「厄介な奴が来たんだぜ。」

 

部屋の入り口のドアを叩く弦十朗に少女はうげぇと嫌そうな顔を浮かべるとクリスの耳元でささやく。

 

「何とかしてくるんだぜ。」

「ん?あぁ、ん?」

「あ・・・。」

 

術のかかりが浅かったからか一眠りしたため術が解けたクリスが自身に覆い被さる少女を見てはだけている自分を見ると顔を赤くして少女に全力の張り手を放つ。

 

「なにしやがる!」

「大丈夫か!クリス君!」

「おっさんか!変質者だ!襲われそうになった!」

「なに!?開けるぞ!」

「くそ!貴重だから使いたくなかったんだぜ!」

 

なんとかクリスの血液が入った注射器を死守した少女は立ち上がると何やら小瓶を足元に投げつける。

 

「何者だ、貴様!」

「まだトップシークレットなんだぜ!だけどその内また会うことになるぜシンフォギア!」

 

部屋に突入した弦十朗を見てそう言い捨てると少女は光と共に消えた。

 

「何者だったんだ。クリス君大丈夫だったか?」

「あぁ、なんかされる前に起きたから大丈夫だ。ただ・・・。」

「どうした、やはり何かあったのか!?」

「耳を舐められた。」

「・・・それは。」

 

部屋はなんとも言えない空気に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 どこかの場所で先ほどクリスを襲った少女はクリスの血液が入った注射器を老人に渡す。

 

「雪音クリスの血液。これで良いんだぜ?」

 

無言で受け取った老人はそれを箱にしまうと少女に銀色の粉が入った小瓶を渡す。

 

「受け取ると良い。」

「うちの家族の手を汚させてはいないんだぜ?」

「無論よ、儂は約束は違えん。」

「信じるぜ、局長。」

 

小瓶を受け取った少女は立ち去る前に局長と呼んだ老人に問う。

 

「シンフォギアの血なんて何に使うんだぜ?」

「嫌がらせだ。」

 

新たに部屋に入ってきた銀髪の女がそう言う。

 

「お前は。」

「そう怖い顔すんじゃねぇよ。同じ雇われじゃねぇか、え?」

「進んで化け物になったお前と一緒にしないで欲しいんだぜ!」

「おお、こえぇ。俺の血でも吸うのか吸血鬼さんよ。」

「虚仮にしてくれるぜ!」

 

憤りながら退室した少女の気配が遠のくと老人は女に問う。

 

「完全な肉体の使い心地はどうだ?」

「悪くねぇな。わざわざこの姿を選んだかいがある。俺がせっかく手に入れたガンダムをお釈迦にしやがったバルベルデのガキに最高の嫌がらせができるからな。」

「悪趣味な男いや女よ。」

「アンタも大概だろ。」

「そうかもしれんな。」

 

女の吐いた煙草の紫煙が部屋に浮かぶ。

 

「やめんか、書物に匂いが移る。」

「一本くらい吸わせろよ。」

「外で吸わんか。」

「仕方がねぇ。せっかく酒を持ってきてやったのによ。」

「飲まんわ馬鹿タレ。」

 

器用に煙草を吸いながら酒を飲むと女は退室していった。

 

「さて、もうじき新たな試練がお主を襲うぞ響。乗り越えてみせよ。さすればお主は近づく。」

 

 

 

 

 

 

 精密なメディカルチェックを行いにどこぞにクリスが弦十朗と共に立ってから数日後ようやく帰ってきたクリスと共に響、翼、未来はふらわーで食事を終えた後にGBNへとログインしていた。

 

「えぇ!?泊まったホテルにお化けが出たの!?」

「あまりでかい声で言うなこの馬鹿!」

「じゃあなんで私に言ったの?」

「・・・うるせぇ。」

 

猫のダイバー姿故にマスクドフラッグ状態のヒビキに抱かれた状態で移動するクリスは自身が言い出したにもかかわらず話を断ち切る。

 

「どうしたのヒビキ?シークレットミッション見つかったの?」

「ううん、クリスちゃんがね。」

「こっちの気がするってあたしの勘が叫んでいる!」

「ちょっとクリスちゃん待ってよ!」

 

逃げるように腕から抜け出し走って行くクリスを追いかけるヒビキをミクが追いかける。

 

「もうまたなんかしたんでしょ。」

「クリスちゃんが言い出したんだよ!?」

 

恐怖を分かち合おうとしたクリスの作戦が失敗したことは幸い最初の相手がヒビキだったのでばれることはなかったが走り去ったクリスの悲鳴が響く。

 

「クリスちゃん!」

「なにがあった!?」

『事件か!?ミッションか!?』

 

同じく悲鳴を聞いて駆けつけたツバサと少しワクワクしているハロ状態のカナデがヒビキ達と共にクリスの元に集まると彼女は路地の突き当たりに浮かぶモニターに腰を抜かしていた。

 

「もしかしてクリスちゃん、これにびっくりしたの。」

「言うな!」

「ごめん!だから引っ掻くのやめて!マントの下は普通に地肌だから!」

『助けてくれ!』

 

モニターに映る猫のような獣人の少年が発した言葉に場が静まりかえる。

 

『お願いだマスクドフラッグ!ジェドさん達を助けて!』

「え!?名指し!?」

 

まさかのヒビキへの名指しに当の本人が1番驚くが切実に助けを求める声に応じる。

 

「分かった、助けるよ。私はどうすれば良いの。」

 

するとヒビキの前にミッションを受諾するか否かの文言と共にパネルが現われる。

 

「聞かれるまでもない!救援要請!その旨を良しとする!」

 

受諾ボタンをヒビキが押した瞬間その場に居た全員が光に包まれ消えた。

 

 

 

 

 

 

 光が収まり視界が開けるとそこは遺跡のような場所だった。

見たことのない景色に戸惑うなかヒビキの前に先ほどの少年がやってくる。

 

「少年、私は何処に行けば良い。」

「こっち!」

「みんな先に行ってる!」

『あたしも行くぜ!サポート居るだろ!』

「お願い!」

 

少年に連れられ遺跡のそとに出るとそこにはライトニングフラッグ、スローネローズ、グシオンスノーホワイト、アストレイ・蛇骨が鎮座していた。

 

「カナデ、シャイニングは?」

『今日ずっとハロのつもりだったから・・・。』

「分かった。少年救助ポイントまで案内を!」

「はい!」

「一緒に乗った方が手っ取り早い!」

 

少年とカナデと共にライトニングフラッグに乗り込んだヒビキがカナデを台座に納める。

 

「方角は!」

「あっち!直ぐそこだ!」

「あそこか!」

 

激しく炎が上がる場所にライトニングフラッグは飛行形態になると向かい現場の上でモビルスーツ形態に戻る。

 

『敵機分析!敵機分析!デスアーミー、プルーマ複数!』

「どういう組み合わせ?」

 

疑問をおいてライトニングフラッグは「鷲」を抜くと紫がかったデスアーミーとプルーマに斬りかかった。

 

 

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