機動戦姫ガンダムSG   作:鍋の中の白い奴シラタキ

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遊びじゃないんだよ

 地下鉄のホームにて歌声と共に拳が振るわれる。

 

「おぉぉおおぉおお!!!」

 

迫り来るノイズに一切の抵抗をさせることなく一撃で粉砕していく拳には明らかに怒りが乗っていた。

 

『今の君を支配しつつある感情は重々承知だが言わせて貰おう!視野が狭まっていると!!』

「っ!」

 

爆炎が周囲を包み天井が崩落し響は瓦礫の下敷きになる。

 

「あれか、大きい反応は!」

 

瓦礫を吹き飛ばし今だ地下鉄内に溢れかえるノイズを炭へと還しながら響君は爆発を起こしたブドウのようなノイズを追う。

 

「お前さえ倒せば!」

 

警告を促したグラハムの言うように視野が狭まっていたのだろういつもの響なら直ぐに見抜いた仕掛けられた爆弾に気づかずその身が再び爆炎に包まれるが纏うガングニールのノイズに対するいっそ暴力的なまでのスペック差で無理矢理突破する。

 

「お前達のような奴が誰かの平穏を壊し!何でもない日常を犯す!!」

 

アームユニットの吐き出す粒子に赤が混じり始める。

 

「私は未来と星が見たかった!そんな約束もお前達が踏みにじらせる!!!」

 

今だ距離が空いているにも関わらず振るわれた拳から赤い閃光が放たれそれがノイズに着弾すると爆発を起こす果実を全て消し飛ばす。

通常ならば即座に再生し装填し直される果実は赤い粒子に阻害され再生することが叶わない。

 

「今・・・私は何を。」

『何があった響君!通信が阻害されていたが!』

「私は無事です!ノイズが!」

 

掛かってきた通信に応答している隙にブドウノイズが響の攻撃によって穿たれた地上への穴を登り地上へと向かっていく。

 

「待て!」

 

ノイズを追いかけ響もまた地上へと壁面を蹴りつけ駆け上がり宙に身体を躍らせるとノイズがビル街へと向かおうとするのが見える。

 

「遠いっ!」

 

歯噛みする響であったが後方から飛来した斬撃がノイズを切り裂き炭へと還す。

後ろを振り返る地面に降りながら天を見上げると響に光が写る。

 

「流れ星・・・。」

 

流星はそのまま着地した響の前方に着地する。

 

「翼さん。」

 

名を呼ばれてもなお翼は反応を示さず手に持つ刀を納刀するとノイズの殲滅を確認し帰還しようとする。

 

「私は!」

 

叫ぶ響に翼が歩みを止め視線だけを向ける。

 

「守りたいものがあるから戦ってます!私は翼さんを見てます!だけど翼さんは私を見てくれない!!」

「だったらあたしが見ててやるよ!!」

 

闇の中から鞭が伸びてくると響の首に巻き付き闇の中へと引きずっていく。

 

(息が!だけどこれくらい!!!)

 

身体を反転させ地面に足を突き刺し鞭を掴むことで綱引きの状態へと持って行くと隠れていた月が露わになり下手人の姿を晒す。

 

「守りたいものがあるんだろ?だったら大人しくしてな?」

「その声・・・!この前の!」

 

白銀の鎧を身に纏った少女がそこに居た。

 

「ネフシュタンの鎧・・・。」

「なんだアンタこいつの出自を知ってんのか!」

「私の不手際で失った物!私の不始末で失った命を忘れはするものか!!」

 

二年前に消えた筈のネフシュタンの鎧を確認した翼が抜刀するとネフシュタンの少女へと斬りかかるももう一本の鞭で足を掴まれた響を盾にされる。

 

「っ!」

「お優しいな!!」

 

思わず急制動をかけた翼にネフシュタンの少女は響をハンマーにしぶつける。

諸共に吹き飛び地に転がる二人であったが即座に立ち上がるが翼が響の前に刀身を翳す。

 

「翼さん?」

「足手纏いよ引っ込んでなさい。」

「まだ戦えます!」

「貴女が居ては邪魔だと言っている!」

 

言い合いを始めそうになる二人にネフシュタンの少女は杖を翳す。

 

「お喋りは後で仲良くしな!!まぁアンタには仲良くするお友達なんていなくなるけどな!!!」

 

ノイズが放たれ翼と響に迫る。

 

「ノイズが操られて!」

「あの杖か!」

「ご名答!!そら行けぇ!!」

 

実戦経験が豊富な翼が厄介と判断したのかネフシュタンの少女は翼に接近すると足払いを仕掛け鞭を剣のようにすると斬り掛かる。

 

「これが完全聖遺物の力!」

「鎧の力に頼ってるなんて思うなよ!あたしのてっぺんはまだ上だ!」

 

鍔迫り合う二人に翼の背後から響が飛び出しネフシュタンの少女を蹴り飛ばす。

 

「私達は人間だ!言葉が通じるんだ!争う必要なんてない!」

「言うことやることチグハグ!!」

「何を馬鹿な事を言っているの!相手はネフシュタンの鎧を纏いノイズを操る謎の聖遺物を有する、殺されるわよ!!」

 

操られているノイズを倒しながら翼が響に叫ぶ。

それに響はネフシュタンの少女を見ると翼に言う。

 

「だったらあの子は私が相手をします。狙いは私です。」

「何を言って!」

 

そして翼が止める間もなく響はネフシュタンの少女へと向け駆け出す。

 

「なんだおとなしく着いてくるのか?」

「違う!着いてくるのは貴女だ!」

 

放たれる攻撃を受けながらも響はネフシュタンの少女に近づくと顔を覆う仮面に手をかける。

 

「そんなので顔を隠してちゃ言葉は伝わらない!」

「気安く!」

「ダンスに誘ったのは貴女だ白雪姫!」

「とち狂ってんのか!?」

 

髪の色から判断したのかそう言う響をネフシュタンの少女は罅が入った仮面越しに睨み付けると殴り飛ばす。

 

「馬鹿力が!!来いプルーマァ!!」

「プルーマ?」

 

何故か出てきたモビルアーマーの随伴機の名に響が疑問を抱いた瞬間彼女の足元が吹き飛び赤いモノアイが除く。

 

「!?」

 

鉤爪が響を吹き飛ばし飛び出した黒い機影が翼にノイズを轢き殺しながら迫る。

 

「新手!?」

 

プルーマの鉤爪と斬り合う翼がモノアイに見つめられながら膂力に押され徐々に追い込まれていく。

 

「本物?」

「玩具に見えるか?」

 

どこからどう見てもそれは人を殺戮するために作られた存在であった。

 

「さて、お前を連れてこいってのが命令だ。」

「その子にかまけて私を忘れたか!」

 

背後からプルーマに猛追されながら翼がネフシュタンの少女に斬りかかるも腕で防がれ刀を弾き飛ばされる。

 

「のぼせ上がるな人気者!誰もがてめぇに構ってくれると思うな!」

「失うものか!!」

 

短刀を構え接近戦を仕掛ける翼が叫ぶ。

 

「あん?」

「もう失うものかと決めたのだ!!」

 

挟撃を喰らいながらも翼は脚部に刃を展開し回転しネフシュタンの少女を後退させるとプルーマの鉤爪から抜け出すと響を抱きかかえ距離を取る。

 

「立花。」

「翼さん。」

 

初めて自身の名を呼んでくれたにも関わらず響は翼の纏う雰囲気に何かを感じて純粋に喜べない。

 

「私は怖かった、ガングニールを纏う貴女が奏を奪っていくような気がして。冷たく当たる私にも貴女は手を伸ばし続けてくれた。だからそこで見て胸に焼き付けなさい防人の生き様を。」

「翼さん?」

 

響は起き上がりネフシュタンの少女とプルーマに向かっていく翼を追いかけようとするも動きが不自然に止まる。

 

「貴女の言うガンダムそれはきっと崇高な物よ。」

 

月明かりに照らされた響の影に短刀が突き刺さっていた。

トスと軽い音がすると響と同じようにネフシュタンの少女とプルーマの動きが止まる。

 

「生意気に!」

「月が見ているうちに終らせましょう。」

「歌うのか・・・絶唱を・・・。」

 

あの日の奏と同じように翼は自身のアームドギアである刀を天に掲げる。

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el baral zizzl」

「させるかよ!好きに勝手に!何してる動けプルーマ!」

 

ノイズを放ちながら命令を下すネフシュタンの少女であったがプルーマは機体を振動させるのみで動かない。

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el zizzl.」

 

肩を掴まれたことにネフシュタンの少女は目の前に翼が居ることに気がつく。

 

「ひっ・・・。」

 

短く悲鳴をあげるネフシュタンの少女とは対照的に翼は口角をあげると口に端から血を流す。その瞬間翼を中心にエネルギーが解き放たれノイズを消し飛ばしプルーマを破壊する。

 

「うわあぁあぁああああ!!!」

 

至近距離で絶唱を受けたネフシュタンの少女が悲鳴をあげながら地面を削り吹き飛ばされ木に打ち付けられると呻き声をあげながら何処へと撤退していった。

 

「翼さん!!」

 

奏と同じように翼も死んでしまうのではと恐怖を抱いた響が短刀が消失することで動けるようになったのか翼に駆け寄っていく。

 

「この身は剣よ。この程度の事では死なないわ。」

「翼さん!!!」

 

身体中から血を流しながら倒れる翼を響が抱き留めたタイミングで車に乗ってきた弦十朗と了子が到着する。

 

「無事か!翼!」

「弦十朗さん!翼さんが!」

 

涙を流し叫ぶ響が抱える翼を見ると弦十朗は通信機を取り出し叫ぶ。

 

「直ぐに救護班を手配しろ!!」

 

脈と呼吸を確認した了子が響に安心させるように言う。

 

「大丈夫よ響ちゃん。翼ちゃんは生きてるわ。」

「了子さん・・・。」

「貴女の怪我もなかなか酷いわ。」

 

プルーマの一撃を受け足を紫色に変色させている響を見て了子はそう言う。

その後三分と経たずにやって来た救急車に響と翼は乗せられリディアン付属の病院へと連れて行かれた。

 

 

 

 

 

 

 幸い骨折はしておらず入院する必要はないと判断された響は待合室で項垂れていた。

翼がなんとか一命を取り留めたと聞き安堵を覚える響の前を弦十朗が黒服達にネフシュタンの少女を探し出すように命令を下しながら通っていく。

何がシンフォギア装者(ガンダムマイスター)だ。力を手にして舞い上がっていただけじゃないかそう思い拳を握りしめる響に声がかけられる。

 

「貴女が気に病む必要はありませんよ。」

「緒川さん・・・。」

 

差し出されたコーヒーを受け取りながら響は自身の前に座った男の名を呼ぶ。

 

「翼さんは死さえ覚悟して絶唱を歌ったのです。」

 

コーヒーを飲み一息つくと緒川は続ける。

 

「ご存知だと思いますが翼さんは以前アイドルユニットを組んでいました。」

「ツヴァイウィング・・・。」

「翼さんの相棒でもあり貴女の胸に宿るガングニールの前装者の天羽奏さん。彼女は二年前絶唱を解き放ちノイズの軍団を一掃しましたがその代償として命を落としました。そしてその後一人となった翼さんは奏さんの抜けた穴を埋めるようにその身を剣として戦ってきました。同年代の女の子達のような青春を送ることなく。」

 

手に力が入り紙コップが歪むのを気にせず響は声を震わせ言う。

 

「そんなの酷すぎます。なのに私は翼さんの事を何も知らないのに怒りと悲しみで錆び付いてるなんて!」

「それはきっと貴女なりに翼さんを思って言ってくれたのでしょう。だからこそ響さん貴女にお願いしたいのです。どうか翼さんを嫌いにならないで欲しいんです。そして世界でたった一人にしないであげてください。」

「嫌いになんてなりません。だって私は翼さんのこと大好きですから。それに翼さんとはあと少しで友達に成れそうなんです!」

 

朝日が差し込んだ。

 

 

 

 

 

 

 RGグフの腕部を完成させ胴体に差し掛かった響に未来が言う。

 

「響、最近浮かない顔してることが多いけど大丈夫?」

「心配してくれてありがとう未来。だけど大丈夫これは私が私で解決しなきゃいけないことだから。」

「そうなんだ、でも私にも相談してくれて良いのよ?それと流れ星撮ってたんだ。見る?」

「本当に!?見たい!」

 

カメラを出しそう言う未来に響はニッパーを置くと彼女の横に座り直す。

撮影された流れ星の様子が再生される。

 

「なにも写ってないよ?」

「光量不足だったみたい。」

「駄目じゃん!!」

 

響が突っ込むと二人は顔を見合わせ笑い合う。

 

「次こそは一緒に見ようね。響。」

「うん、次は絶対に。」

 

心の底から感情を乗せて響は未来にそう返した。

 

 

 

 

 

 

 

 ある日の朝にて風鳴邸の門の前にて響が声を張り上げる。

 

「頼もー!!!」

「どうしたんだ急に?」

 

突然現われた道着姿の響に弦十朗は困惑しながらも応対する。

 

「私を強くしてください!!」

「俺がきみを?」

「はい!!!」

『他の流派を取り込みファイターとして高みを目指すその意気や良し。だが響よ東方不敗の心構え忘れるでないぞ!』

(押忍!!!)

 

弦十朗と東方不敗に同時に響が返答すると弦十朗は少し困った顔をしたが直ぐに教えを与える者の顔つきになると言う。

 

「良いだろう。だが俺のやり方は厳しいぞ。」

「押忍!」

「ところで響君。君はアクション映画などは嗜むか?」

「大好物です!」

「ならば良し!!」

 

その日から響の言うなれば流派・風鳴の修行が始まった。

同時期にGBNにてタイミング良くグフ系MS討伐イベントが始まった事により響はグフ系MSを仮想敵とすることでネフシュタンの少女への対策を始めた。

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