機動戦姫ガンダムSG   作:鍋の中の白い奴シラタキ

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天舞う業火

 メディカルルームデで眠り続ける響達の様子を見に来ていた弦十朗の元に緒川が情報を纏めた資料を手にやって来る。

 

「司令、現在皆さんが陥っている物と同じ状態の方が四名判明しました。」

「四人も居たのか。」

「はい、彼らもまた皆さんと同じくGBNにログインしていたところで昏睡状態に陥ったようです。」

 

生命維持装置無しには呼吸もままならなくなった響達と同じ状態になった者が四人も現われたことに弦十朗は驚愕する。

 

「原因は判明しているのか?」

「いえ、彼らもまたGBNの運営からの回答ではログアウトした形跡無しとの事です。この情報は秘匿されているようですが被害者が増えれば時間の問題かと。」

「待てよ、確かシド-・マサキという青年も。」

「はい、彼も同じ状態です。」

「何かしらの聖遺物が関連していると考えるのは大げさか・・・。」

「そのような情報は得られませんでした。」

「手詰まりか。」

 

ただ無事に目を覚ますことを祈るしかできない八方塞がりの状態に弦十朗を始め皆お手上げの状態だった。

 

 

 

 

 

 

 GBNからログアウトができないとなり騒ぎが起こってから三日ヒビキ達は砂漠地帯に存在するヒトツメの基地への襲撃をかけるために集っていた。

 

「なぁんでログアウトできないんだよぉ・・・。」

「ずっと言ってるそのログアウトって何ですかカザミさん?」

「家に帰れないって事だよフレディ・・・。」

「もしかして僕のせいですか!?」

「んにゃ、多分あの時空がバグったせいだな。」

「ああ!あの紫の!」

 

何故かコックピットの中に居るフレディの相手をしながらカザミはヒビキから言われたことを思い出す。

 

『今、私たちはGBNに居ないかもしれない。』

 

その時はパルと言うフォースメンバーが自分よりも顔を青くして怯えていたため落ち着いていたがあの時言われた事が本当だとするとそれこそ恐ろしい事であるとカザミは考える。

 

「おい、パル大丈夫か?」

「は、はい頑張ります!」

「ダメージアウトしたらどうなるか分かんねぇからな!」

「脅かさないでください!」

 

不安故に会話をして誤魔化そうとするがパルはどうして此処に来たのかというレベルで怯えていた。

 

「待てよ、此処で俺が活躍すれば。・・・キャプテンやあの人みたいになれるじゃねぇか!」

 

恐怖に縛られぬように自身を奮い立たせていると突如として近くの穴が爆発する。

 

「なんだぁ!?」

「ここら辺の穴は爆発するんです!」

「早く言っとけ!」

「ご、ごめんなさい!」

 

先頭を歩いていたウィングビートの近くの穴からエルドラアーミーが現われる。

 

「出た!ツバサさん!」

「行くぞヒビキ!」

「はい!」

 

始まった戦いの音にカザミとパルの意識がそちらに向く。

 

「出やがった!」

「っ!?カザミさん後ろ!」

「へ?」

 

背後の穴から音もなく現われたエルドラアーミーがジャスティスナイトに向けて大剣を振り下ろすが間一髪でシールドで防ぐことに成功する。

 

「あ、危ねぇ・・・。助かったぜパル!ナイスアシストだ!」

「ありがとうございます!」

「カザミさんまだ来てますよ!?」

「なにぃ!?」

 

更に現われたエルドラアーミーによりジャスティスナイトがメイスにより打ち上げられマグマが溜まる穴に落ちていく。

 

「うぉわぁぁぁあああああ!?!???!?」

「あぁ!?」

「翔べぇ!ジャスティスナイトォ!!!」

 

背部スラスターを吹かせたジャスティスナイトはシールドを踏み台にし穴から脱出する。

 

「俺じゃなきゃやられてたぜ。」

「わぁぁあぁああ!!!」

 

カザミがやられていたようにパルもまたエルドラアーミーにやられていた。

 

「ふっ!」

 

ヴァルキランダーに向けてメイスを振り下ろそうとしていたエルドラアーミーにアストレイ・蛇骨がアーマーシュナイダーを三本投擲し撃破する。

 

「あ、ありがとうございます。」

「ジェド達が作戦を遂行するまでよ。生き残りなさい。」

「は、はい!」

 

先ほどカザミを襲っていた二機のエルドラアーミーはウィングビートにより刺し貫かれることにより撃破されていた。

 

「生のマスクドフラッグ、フラッグじゃないけど・・・。」

「フラッグってなんですか?」

「阿修羅を超える存在だぜ。」

「強そうですね!」

 

だが一息つく間もなくエルドラアーミーが続々と現われる。

 

 

 

 

 

 

 物資の搬入口より侵入したジェド達はエルドラプルーマに追われながら爆弾を仕掛けていた。

 

「居ると考えていて正解だったか!」

「言ってる場合かよ!あたしとアンタはともかくあの二人は大丈夫なのかよ!」

「彼らはああ見えて実戦豊富だ!」

「ホントかよ!?」

 

カリコとザブンの身を案じるクリスに要所に爆弾を仕掛けながらジェドが答える。

背後から今にも追いついてきそうな勢いで迫るエルドラプルーマにクリスも爆弾を仕掛けながら歯がみする。

 

「イチイバルさえ使えればこいつらくらい!」

「イチイバル?」

「ガンプラみたいなもんだ。」

 

戦うための力としてクリスはわかりやすくジェドにそう言う。

階段を登りきったところでジェドは歯がみする。

 

「新型!それも見るからに飛行型!」

「やばい追いつかれた!」

「くっ!」

 

銃を構えてビームを撃つもナノラミネートアーマーが剥がれていない為にエルドラプルーマに通用しない。

 

(イチイバル、あたしの歌!そこに居るなら応えてくれ!)

 

迫り来るエルドラプルーマを前にクリスの胸元に光り共にギアペンダントが現われる。

 

「イチイバル!よし!下がってろ!」

「だが!」

「あたしの歌、聞かせてやる。Killter Ichaival tron.」

 

クリスの身体が光に包まれる。

 

 

 

 

 

 

 司令室のモニターでは突如として感知されたイチイバルのアウフヴァッヘンに弦十朗が目を見開く。

 

「イチイバルだとぉ!?クリス君はどうなっている!」

「クリスちゃんは眠ったままです!」

「ギアペンダントの内部のイチイバルが励起しています!」

「何が起こっている!」

 

フォニックゲインがどこかに流れているのに気づいたスタッフが報告する。

 

「これは、フォニックゲインがどこかに。」

「まさか。」

 

そして弦十朗の予想は当たり流入先がモニターに表示される。

 

『GBN』

「GBNだとぉ!?」

 

ただのゲームに過ぎないと思っていたGBNに対して弦十朗は何かとてつもない物が蠢いているのをこの短い期間で察し始めた。

 

 

 

 

 

 

 光に包まれたクリスが猫のようなダイバールックからギアを纏ったリアルでのクリスの姿に変わる。

 

「さぁぎょろ目共あたしの歌を聴きやがれ!」

 

ガトリングをぶちかましエルドラプルーマを撃破しながらクリスはジェドに言う。

 

「とっとと爆弾仕掛けてこい!残量的に此処で最後だろ!」

「あ、ああ!任せてくれ!」

 

残りの爆弾を仕掛けに行ったジェドを背後にクリスは階段を登ってくるエルドラプルーマを足止めする。

 

「悪いジェド!」

「爆弾の起動スイッチ押しちまったぁ!!」

「仕掛けは終った脱出するぞ!」

 

天井をロケットランチャーで壊したクリスが脱出用のミサイルを起動し爆弾を仕掛け終ったジェド達に向けて言う。

 

「終ったならこれに掴まれ脱出すんぞ!」

「これに!?」

「掴まれって!?」

「行くぞ二人とも!」

「「ジェド!?」」

 

通路の両サイドから四人を逃がさんとエルドラプルーマが迫る。

 

「死にたくないなら早くしやがれ!」

 

カリコとザブンが恐る恐るミサイルの取っ手を掴みジェドが迎撃用の爆弾をエルドラプルーマに投げつけミサイルを掴むとクリスは発進させた。

だが四人が脱出すると共に爆破され崩れていく基地から飛行型のエルドラアーミーであるエルドラエアブルートが飛び立っていった。

 

 

 

 

 

 

 倒しても倒しても二機ずつ現われるエルドラアーミーにいい加減皆が疲弊し始めた頃に基地がようやく爆発する。

 

「おお作戦成功か!」

「きっとジェド兄さん達です!」

「なら後はこいつらを倒せば無限湧きも終るぜぇ!」

 

槍を構えたジャスティスナイトがアストレイ・蛇骨に向けて大剣を振り下ろそうとしていたエルドラアーミーに突撃する。

 

「ジャスティィィィィス!!!サンダーアタック!!!」

 

だがカザミの考えを読んでいたのか上半身を回転させたエルドラアーミーによってジャスティスナイトは首から上を切り飛ばされたうえに吹っ飛ばれてそこら辺の岩に激突した。

 

「回るのかよぉ!?」

「カザミさぁん!?」

「何をやっているんだ。あの男は・・・。」

 

大剣を構え回転し続けながら迫り来るエルドラアーミーにアストレイ・蛇骨は後退を余儀なくされる。

 

「くっ!アーマーシュナイダーはない、ならば。」

 

回転し続けるエルドラアーミーに向けアストレイ・蛇骨はモノアイがこちらを向いたタイミングで残った武装の中から投擲に適した短刀を投げつけると対艦刀を地面に突き刺しエルドラアーミーの回転を止め天羽々斬で一刀両断にする。

 

「ヒビキそちらはどうだ!」

「終りましたツバサさん!」

 

別の場所ではヴァルキランダーに後方からの火球による援護を任せたウィングビートによりエルドラアーミーが爆散する。

 

「パル君もナイスアシスト。」

「あ、ありがとうございます!」

 

しかし爆発し続ける基地からミサイルとそれを追う十機近いエルドラエアブルートが飛び出す。

 

「すまない新型を全て止められなかった!こいつらが村に飛んでいけば甚大な被害が出る!」

「村が・・・。」

 

空から響くジェドの声を聞いたパルの脳裏に村でであった山の民の姿が浮かぶ。

 

「駄目だ。」

 

ヴァルキランダーが空に向けて火球を放ちながら疾走する。

 

「そんなの駄目だぁ!!」

 

偶然当たった一発によりエルドラアーミーが撃墜されることによりヘイトがクリス達からヴァルキランダーに向く。

 

「あ・・・。」

 

冷静になった頃には既に遅くエルドラアーミー三機によるジェットストリームアタックをくらいヴァルキランダーは空高く舞い上がりマグマの穴に落ちていく。

 

「落ちる、また・・・。」

 

嵐の中で空から落ちる記憶が蘇る。

 

『俺の予測だけどヴァルキランダーは―。』

『飛びません。』

『そうか、だけど俺にはそうじゃないように見える。』

 

まるで見透かしてくるかのようにそう言って来たヒロトの言葉そして背を下に落ちていく事で目に入った青空に恐怖の下に蓋をされた願いが溢れる。

 

「僕は飛びたいあの空を。リアルじゃもう叶わないけどせめてもう一度此処で!」

 

操縦桿を握る手に力がこもる。

 

「それに何よりみんなを助けたい!だから力を貸してモルジアーナ!」

 

コックピット内が光り輝き竜の咆哮が響く。

 

「ありがとうモルジアーナ!」

 

閉じていた翼が開きマグマの爆発を推進力にヴァルキランダーが空高く自らの力で舞う。

 

「パル君大丈夫!?」

「もう大丈夫です!」

「だったら行こう!」

 

飛び立ってきたウィングビートがヴァルキランダーの背後に来ると周囲を囲むエルドラエアブルートに向かっていく。

火球を放ちながら時には回転してドリルのようにエルドラエアブルートを撃墜するヴァルキランダーの装甲がパージされる。

 

「モルジアーナの君の真の姿を!ドラゴンフュージョン!」

 

パージされた装甲が再装着されるとヴァルキランダーがSDタイプのガンプラに変わる。

 

「粒子充填!いっけぇ!」

 

GNランチャーデバイスから発射された砲撃がエルドラエアブルートの残りを一掃する。

 

「私達も行こうウィングビート、バスターライフルを使う!」

『調整は任しとけ!』

 

反対側のウィングビートはGNバスターライフルを一つ構えるとこちらもエルドラエアブルートを撃墜した。

 

 

 

 

 

 

 戦いが終り一息着く中フレディがふと疑問に思ったことを呟く。

 

「そう言えばストラはなんで今日来なかったんだろう。」

「今までサボってた分の畑作業が終ってないんだって。課題は溜まるときついからね。」

「確かにサボるのは駄目ですね!ヒビキさんはその課題を溜めたことがあるんですか?」

「私はやろうと思っても溜まっていくんだ・・・。」

「課題って恐ろしいですね。」

 

黙ってジェドに着いていったことも相まってストラは現在この作戦が終るまでの間畑作業の手伝いに駆り出されていた。

 

「そういうフレディはどうなんだよ。」

「僕は今までちゃんとやってましたから!」

「意外と真面目なんだな。」

「意外ですか!?」

 

フレディをからかいながらもカザミは自身のこの世界に来てからの撃墜数の表示がゼロであることにため息をついた。

 

(いや、俺はキャプテン。次はビシッと俺のかっこいいとこを見せてやる。)

「どうしたんですか?」

「いや、俺もキャプテンジオンやマスクドフラッグみたいになりてぇなって。」

「僕が聞いてきます!本人に聞いた方が早いですよ!」

「おわぁ!やめろ大丈夫だって!」

 

マスクドフラッグであるヒビキに聞きに行こうとしたフレディをカザミは羽交い締めにして止めた。

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