機動戦姫ガンダムSG   作:鍋の中の白い奴シラタキ

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文字数が多くなっちゃうなぁ


いざエルドラ!

 燃え盛る村の中でヒトツメ達の首が吹き飛び血のようにオイルを噴き出すと鉄屑と成り果て力なく倒れ伏す。

 

「うぅぅぅ!!・・・お・・・れはぁ!!」

 

頭部を自分で殴りつけながらゼルトザームが逃げ惑う村人を背に集ってくるヒトツメに向け穂先の折れたランスを構える。

 

「はぁ・・・はぁ・・・!!おれ・・・はぁ!!!」

 

一瞬だけツインアイを青く輝かせたゼルトザームがヒトツメ達に襲い掛かった。

 

 

 

 

 

 

 エルドラより帰還しておよそ一週間ヒロトは医者も驚くレベルで後遺症なども何もなく直ぐに退院できていた。

 現在は自室にてコアガンダムの改修を行っていた。

もう一度エルドラへ行きフレディ達をアルスの魔の手から救うために彼はパーツ単位での見直しを行っていた。

 

『現在世界中に起こっている大規模通信障害の原因は我々の住む地球よりおよそ30光年先の惑星1G1202Cが原因と考えられており―。』

「・・・本当に居るんだな、GBNの向こうにフレディやみんなが。」

 

なんとか放送されているテレビのニュースを聞きながらヒロトはこの宇宙のどこか遠くにフレディ達が本当に生きていることそこでアルスによる虐殺が行われていることそして自分やビルドダイバーズにレイディエントフォースが本当の本当に死と隣り合わせの危うい状況だったことを思い知る。

だからこそと彼は思う一刻も早く駆けつけなければならないと。

 

(知ってしまったことは知らないふりなんてできない。)

 

エルドラから地球に帰ってきてからヒロトはエルドラで親しくなった者達がヒトツメに蹂躙され泣き叫び自分に縋りついて自らの腕の中で事切れる夢を寝るごとに見ていた。

 

『ヒロト・・・』

「イブ?」

 

聞こえない筈の声にエレクライトシステム用にクリアパーツを整えていた手が止まる。

 

「ヒロト、ごめん返事がなかったから。通信障害が治ったのに電話かけても出なくて。」

「ヒナタ・・・。」

 

再び聞こえた自身の名を呼ぶ声に振り返るとそこには幼馴染みのヒナタが部屋の入り口に立っていた。

机の上に広がるガンプラのパーツにヒナタの視線が釘付けになる。

 

「またGBNに行くの?」

「ああ。」

「どうして、一ヶ月近くも意識を無くしたのにどうしてまた行くの?」

 

ヒナタからの問にヒロトは暫し考えを纏めると答える。

 

「GBNの向こうにはもう一つのリアルがあってそこには俺達みたいに笑ったり悲しんだりする人達が居る。」

「ヒロト?」

「そこでは今戦争がいや一方的な虐殺が行われていてそれを止めることが俺達しか居ないから俺はもう一度そこに行くためにGBNにログインする。」

「それってガンダムの何かのシリーズの設定?」

「理解してくれなくても良い。でも知ってしまったからにはエルドラに住む人達を見捨てることはできない。」

 

答えを聞いたヒナタはヒロトがまだ入院しているときに偶然病院で会った弓道部の先輩シド-・ミズキの弟がGBNにログインしていこう目を覚ましていないことを思い出す。

さらにその弟が「GBNで本当に誰かを守れる。」と言っていたと言うことをシド-・ミズキ経由で聞いたヒナタはヒロトが今度こそもう二度と目を覚まさないかもしれないと思う。

 

「駄目、ヒロトも帰ってこれなくなっちゃうなんて駄目。私の先輩の弟さんがこの前のヒロトと同じでGBNにログインしたまま帰ってきてないの。私はヒロトにそうなって欲しくない!」

「ごめん、それでも俺は行くよ。もう大事なものから手を離したくないから。」

「これ以上止めてもヒロトは行くんだよね。」

「ああ。」

「なら約束して絶対に帰ってくるって。」

「帰ってくるよ、俺は此処に。それとヒナタの先輩の弟もエルドラから連れて帰る。」

 

先輩の弟をシドー・マサキの事だと確信しているヒロトがそう言うと彼のスマホに非通知で着信が入る。

 

「ごめん。」

「ううん、大丈夫。」

 

何かを聞きたそうにしていたヒナタに断りをいれヒロトが通話に応じる。

 

「もしもし。」

『ヒロト、クガ・ヒロトだな。』

「その声メイか?」

『そうだリアルであって話しがしたい。今から落ち合う場所の情報を送るそこに来てくれ。』

 

言うだけ言ってメイが通話を終らせるとヒロトのスマホに情報が送られてくる。

 

「ガンダムベースに行ってくる。」

「GBNをしに行くの?」

「今日は仲間と会ってくる。シドー・マサキは一人でエルドラに行った。だけど、俺には仲間が居る。」

「マサキさんに会ったの!?」

「彼は今もエルドラに居る。」

 

ヒロトはヒナタにそう言うとメイの待つガンダムベースへと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 エールストライクの立像のあるガンダムベースが建物の二階部分のカフェスペースに黒服に案内されたヒロトは一番奥の個室へ向かう。

 

「こうして会うのは初めてだな。」

 

声は聞こえたが見当たらないメイの姿に辺りを見渡していると再び声が発せられる。

 

「ここだ。テーブルの上だ。」

「そんな所に。」

 

メイを見つけたヒロトがモビルドール姿の彼女をじっくり見ると一言。

 

「本当にガンプラで動いているんだな。」

「リアルでELダイバーを見るのは初めてか?」

「ああ、リアルで会ったELダイバーはメイが初めてだ。」

 

手に取る事に許可を貰ったヒロトがメイを手に乗せて観察していると後ろから結構大きな声が発せられる。

 

「おお!お前ヒロトだな!」

「カザミか?」

「他の誰に見えるよ!風を見ると書いて風見!トリマチ・カザミだ!」

 

ヒロトと同じ背丈くらいの少年が自らを指さしそう言う。

 

「こっちだと随分と小さいな。」

「なにぃ!?そういうお前だって随分小さいじゃねぇか。」

 

カザミがメイの売り言葉を買っていると電動車椅子に乗った少年がやって来る。

 

「皆さんお待たせしました。」

「考えるに、お前パルか!」

「はい、僕がパルヴィーズです。」

「これで全員揃ったな。場所を変えよう。」

 

ビルドダイバーズが全員揃ったのを確認したメイが場所を変えると言うとひとまず皆それに従い人のあまり居ない展望台に移った。

 展望台に移ったところでメイが語る。

 

「この宇宙の向こうにフレディやストラ達が居る。そこは私にとってはGBNから地続きのリアルで何も変わりはない。彼らはその世界を大切に思っているならば私は世界を大切に思う者が居るならそこを守りたい。」

「つまり何が言いたいんだ?」

「私はもう一度エルドラへ行く。例えこちらにもう帰ってこれなくとも。お前達はどうする私はそれが聞きたい。」

 

メイからの問いかけにカザミが一番最初に答える。

 

「俺はGBNでヒーローごっこをやりたかっただけで命を背負うつもりなんて毛頭なかった。だけど、エルドラでフレディやマイヤ達みんなと一緒に過ごしてあいつらは本当にあそこで生きてるんだと思ったらもう見て見ぬふりはできねぇ。俺は行くエルドラに、なによりリーダーがびびって逃げたんじゃ示しがつかねぇ!」

「僕も行きます、あそこがリアルで命の危険があるとしても約束したから。アシャ、トワナ、フルンをモルジアーナに乗せてあげるって。だから僕もエルドラにもう一度行きます。」

「ヒロト、お前はどうする。」

 

皆の視線がヒロトに集まる。

 

『これからも誰かの為に頑張れるみんなでいてね。』

 

イブから送られた願いを胸に抱きヒロトは雲間から覗く太陽を見上げる。

 

「一人でも行くつもりだった。だけど、みんなが同じ気持ちだと知れて俺は嬉しい。」

「お前それは水臭ぇぞ。」

「カザミ、お前は多分本当に俺の相棒なんだと思う。お前が強引にも引っ張ってくれたおかげで俺は捜し物が見つかりそうだ。」

「なんだよ、急に照れるだろ・・・。」

 

ビルドダイバーズを見渡しヒロトは言う。

 

「行こう、エルドラに。」

「決まりだな、なら妹達に会いに行こう。」

「妹?」

 

唐突に妹に会いに行くと言い出したメイにカザミが疑問をこぼす。

 

「気づいて居なかったのか?あのハロはELダイバーだ。」

「はぁ!?」

「待て、あのハロはヒビキさんがずっと持ってた・・・そうかイブの言っていた事はそう言うことだったのか。」

 

時折ハロに話しかけていたイブを思い出してヒロトが一人納得していると黒服の男がやって来る。

 

「お話は纏まったようですね。それでは行きましょう。」

「行くってどこにだよ。」

「詳しくはお話できません。」

「行くぞカザミ、信用して大丈夫だ。」

 

黒服に案内されビルドダイバーズはスモークが施された車に乗り込むと何処かへ向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 車に乗せられ小一時間が経ちようやく到着するとそこは既に屋内であった。

 

「お連れしました。」

「ご苦労様です。ここからは僕が引き継ぎます。」

 

役割を引き継いだ緒川がビルドダイバーズに自身の名刺を渡すと屋内もとい艦内へと彼らを連れて行く。

 

「風鳴翼のマネージャー!?なんでこんなとこに居るんだよ。」

「世界には色々あるものですよ。」

 

さらりとカザミの溢れかえる疑問の一つを受け流した緒川は広めの部屋にビルドダイバーズを案内する。

 

「こちらでお待ちください。」

 

部屋に通されたビルドダイバーズの間になんとも言えない空気が流れていると扉が開きハロが入ってくるとテーブルに登りメイの横に陣取る。

 

『こっちじゃというよりも初めましてだな!』

「このハロがメイの妹か?」

「これ組み立てて作るお喋りハロですよ。」

 

ハロのまま喋り始めたカナデをメイが小突く。

 

「中から出てこい。」

『え、え~。まぁ良いか。』

 

口が開きハロの中に収まっていたカナデが出てくるカザミが目を見開く。

 

「あ、天羽奏!?」

「あ~違う違う。あたしは天羽奏じゃなくてELダイバーのカナデだ。」

「つまりはそっくりさんということか。」

「そう言うことだ!」

 

ヒロトの発言をカナデが肯定するのを見ていつも通りだと判断したメイは響の無事を確信する。

 

「お前の後見人は無事なのか。」

「母さんのことか、最初の三日はやばかったけど今はもう大丈夫だな。新しいガンプラを作ってるくらいだしな。ヒロトお前のコアガンダムを参考にしてるらしいぜ!」

「俺のコアガンダムを。構わないさ。」

「そう言って貰えてあたしも一安心さ!」

 

雑談が進んでいると部屋に弦十朗が入ってくる。

 

「初めましてビルドダイバーズの皆。俺は風鳴弦十朗、此処の司令をやっているものだ。君たちと共にエルドラで戦ったレイディエントフォースの保護責任者でもある。」

「し、司令。リアルなのに一気にガンダムっぽいな。」

「ガンダムで言うところの艦長くらいに思ってくれて構わないさ。」

「そうですか。初めまして俺がビルドダイバーズのリーダーのカザミです。でちょっと無愛想なのがヒロトで、可愛気のあるのがパル、ちんまいのがメイだ。」

「ちんまいとはなんだ。」

「今はその方がわかりやすいだろ。」

「知っているさ、話は翼から聞いている。」

 

ビルドダイバーズの対面に弦十朗が座る。

 

「俺達は君たちが戦ったアルスと言う存在を特異災害と認定した。そのため俺としては君たちがエルドラに行くのを止めたい。」

 

アルスが特異災害認定されたのにはデータベースからシンフォギアに関する記録を軒並みコピーされたのも理由である。

エルドラに行くなと言う弦十朗にヒロトが一呼吸置いて断わりを入れる。

 

「申し訳ありませんがそれはできません。」

「それは何故だ。」

「約束だからです。俺達ビルドダイバーズとヒビキさん達レイディエントフォースがエルドラのみんなを助けるって言う。」

 

弦十朗とヒロトの視線が暫し交わると弦十朗がふっと笑う。

 

「止めても君たちは行くのだろうな。」

「そりゃ行くぜ!俺はあいつらを守るって言ったからな!」

「僕もヒロトさんと同じで約束があります!」

「世界を守るそれが私のミッションだ。」

「分かった。なら君たちを一時的に俺達の外部協力者とする。」

 

そう言うと弦十朗はビルドダイバーズにダイバーズギアを渡す。

 

「俺達もう持ってるぜ。」

「それを使ってログインしてエルドラに向かってくれそうすればこちらからサポートが可能だ。前回のようにログアウトができなくなるという事態にも陥ることがなくなる筈だからな。」

「マジかよ、すげぇなこれ。」

「そしてガンプラがエルドラでの戦力になるというのなら我々はサポートを惜しまない。」

「ありがとうございます。」

 

二課によって解析された響達のダイバーズギアのデータにより改良されたものをビルドダイバーズは受け取る。

 

「この後、響君たちとも顔を合わせておいてもらいたい。」

「リアルのマスクドフラッグ・・・!」

 

この後ビルドダイバーズとレイディエントフォースはリアルでの顔合わせを行った結果新型を完成させてエルドラへ向かう事になった。

急いでエルドラへ向かっても以前よりも強くなっているアルスに勝てるビジョンが浮かばなかったためである。

 

 

 

 

 

 

 四日後ガンプラを新しくした者はそれを完成させそれぞれのフォースが初めてエルドラへ向かった場所へと向かうとそれは奇しくも同じ場所だった。

そしてその場所にダイバー達が集う。

 

「気合いを入れて来たは良いんだけど。」

「ああ、向こう側から呼ばれなければ私たちはエルドラにいけない。」

 

驚異的な回復力で先の戦いで負った怪我を完治させたヒビキの呟きにメイが答える。

 

『・・・なさん!』

『みん・・・!』

 

路地の奥からノイズ混じりのフレディとストラの声が響く。

 

「いよいよだな。」

「ああ、行こう。」

 

ダイバー達の名前が呼ばれる毎に二人の声が鮮明になっていく。

 

『ビルドダイバーズの!』

『レイディエントフォースの!』

『『みんな(みなさん)!!』

 

ヒビキとカザミの前にあの時のようにミッション自注のパネルが浮かぶ。

 

「やってやるさ・・・いよぉし!!!細けぇこたぁ良いんだぁよ!!!」

「命を救う!その旨を良しとする!」

 

受諾のボタンが皆が光に包まれる。

 

「不足ないなクリス。」

「誰に言ってんだ、あたし様だぞ。」

「ヒビキ。」

「ミク、行こうエルドラに!」

「うん。」

『Ready Go !!』

 

カナデのかけ声を最後に全員が再びエルドラへと降り立った。

 衛星砲の衝撃でボロボロになった遺跡の内部でフレディとストラがダイバー達が再びエルドラに来てくれたことに安堵する。フレディに至っては泣いていた。

 

「みんな!ありがとうまた来てくれて!」

「最初にストラが言ったんだみんなを助けてって、繋いだ手は離さないよ。」

「ヒビキさん!」

 

カザミの顔面にフレディが泣きじゃくりながら飛びつく。

 

「またみなさんに会えて良かったです!!」

「わかったから離れろフレディ!獣臭が鼻にぃ!」

「ずびばぜん・・・。」

「ああ、ほら鼻噛めほらちーんしろ。」

「はぃい。」

 

アイテム欄から取り出したポケットティッシュでフレディの鼻水をカザミが処理する。

フレディとストラについて行き皆が遺跡の外に出るとそこには半透明の機体があった。

 

「なんか薄くねぇか?」

「おかしいなぁ、治す時は早かったのに。」

 

そしてヒロトのコアガンダムⅡとモビルドールメイとヴァルキランダーの剣とイージスナイトの盾のみが残った。

 

「不足しかないじゃねぇかぁ!?」

 

クリスの叫びに追従するようにカザミとパルの嘆きが木霊した。

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