機動戦姫ガンダムSG   作:鍋の中の白い奴シラタキ

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戦鬼絶懐ゼルトザーム

 火山地帯を埋め尽くすほどのヒトツメがゼルトザームの放った大出力ビームランチャーにより蒸発していく。

だがどれだけ倒そうともヒトツメの機影がなくなることはなくゼルトザームを捕らえんと続々と集まってくる。

コックピットの中で激しい頭痛と操られていたとはいえ守らなければいけない者達を大勢殺してしまったことによる罪悪感に襲われながらシドー・マサキは操縦桿を手繰りゼルトザームに異形の右腕の力で再生したランスを振るわせ衝撃波を発生させるとヒトツメ達を吹き飛ばし他と比べて強力なモビルアーマータイプも一撃で粉砕していく。

脳裏に響くアルスの山の民を殺せと言う言葉を振り払いながら戦い続けているとコックピット内にアラートが響くと六機のガンプラがゼルトザームに向けて飛翔してくる。

 

「新型、か・・・!」

 

もう誰が敵で味方かも分からなくなったシドー・マサキはビームランチャーの矛先を先頭を翔るユーラヴェンガンダムに向け引き金を引くが躍り出たフラウロススターティアーズに防がれる。

 

「ここまでのレベルにするのは苦労したんだぜ?」

 

ナノラミネートアーマーによって弾かれたビームが地上のヒトツメに雨あられと降り注ぎ次々と爆散させていく。

ウォドムポッドが放ったビームキャノンによりゼルトザームへの道が開かれると道を塞ごうとするヒトツメをアストレイ・蛇骨天とイージスナイトが剣と槍で斬り捨てる。

 

「俺達が道を開く!」

「お前達は行け!」

 

仲間達の協力により開かれた道をユーラヴェンガンダムとエレクライトガンダムが駆け抜けていくがアルスアースリィガンダムによって放たれたビームライフルに足を止められる。

 

「アルス!」

『彼は渡しません。ガンプラは脅威。故に私の力にします。』

 

アルスアースリィガンダムの背後からフェイクνガンダム、デュビアスアルケーガンダム、ドミニオンガンダムバエルが現われる。

 

「今はお前にかかずらっている暇はない!彼には帰らなければならない場所が!待っている人が居るんだ!」

 

放たれるフィンファンネルからのビームを躱しGNファングを撃ち落としながら突き進むユーラヴェンガンダムに迫るアルスアースリィガンダムとドミニオンガンダムバエルをエレクライトガンダムとフラウロススターティアーズが抑える。

 

「行ってヒロト!」

「脇になってやるんだ!やり遂げてこい!」

 

ビット兵器の壁を乗り越えユーラヴェンガンダムがゼルトザームに到達するとサターンアーマーが飛来しユーラヴェンガンダムがリミテッドチェンジを行いドリルを構え回転させるとゼルトザームの右腕に突き刺す。

 

「シドー・マサキ!俺は貴方を助けに来た!」

「俺に、助けられる価値なんて・・・ない!」

 

シドー・マサキの心のままの言葉がランスと共に振るわれる。

咄嗟に後ずさったユーラヴェンガンダムがビームサーベルを抜き出力を全開にしランスに当て弾くと再度ゼルトザームに接触すると苦しみに喘ぐシドー・マサキの独白がコックピット内に響く。

 

「俺は、この手で守るべき者を・・・!友を・・・!」

 

右腕の装甲に罅が入りケーブルが溢れるとガンダムヘッドがケーブルの先に形成されユーラヴェンガンダムに牙を剥き出し襲い掛かる。

 

「もう戻れない!戻せない・・・!」

 

ケーブルがゼルトザームを侵食していき腹部の装甲が裂けデスアーミーの上半身が生えるとゼルトザームの上半身がだらりと力なく垂れ下がりツインアイの光が青から赤に変わる。

 

「アルスじゃない!?」

 

ガンダムヘッドがユーラヴェンガンダムに接近してきていたフェイクνガンダムを捕食するとデスアーミーにフェイクνガンダムの装甲が追加されるとケーブルが寄り集まりハイパーメガバズーカランチャーを構えるとケーブルがヒトツメ達を貫きエネルギーを強制的に徴収しエネルギーをハイパーメガバズーカランチャーに即座に充填されると引き金が引かれる。

迫るバズーカ砲に空から咆哮と共に同威力のビームが放たれ相殺されるも巨大なクレーターが形成されマグマが地を砕き溢れ出し火山は衝撃により噴火する。

 

「アルスの奴、マサキに侵略者を植え付けていたのか!」

「クアドルンさん!」

 

デスアーミーのモノアイがクアドルンを捕らえモノアイが光るとフィンファンネルが放たれる。

 

「マサキは私が相手をしよう、私が始めてしまったのだ私がけりをつける。」

「ヒロトさん、ゼルトザームはシドー・マサキはどうなってるんですか!?」

「俺にもわからない、だけどあのデスアーミーもリアルなんだ。」

「あれがエルドラを襲った侵略者・・・。」

 

パルとミクにヒロトがそう告げると眼下ではデスアーミーがビームバズーカをクアドルンに向けて放っていた。

暴れるデスアーミーの周囲ではケーブルが大地やヒトツメに突き刺さりDG細胞による浸食が始まる。

エルドラの大地からガンダムヘッドが生えビルドダイバーズとレイディエントフォースそしてアルスを襲い乗っ取られたヒトツメ達までもが襲ってくる。

 

『あり得ません、あれは完全に制御下においていたはず。』

 

自らの計算結果ではあり得なかった結果にアルスが戸惑っていると乗っ取られたエルドラムラサメがビームサーベルでアルスアースリィガンダムを斬り付ける。

それによって現実に帰ってきたアルスがアルスアースリィガンダムにビームライフルの引き金を引かせ乗っ取られたヒトツメ達を撃ち抜かせる。

 

「アルス!何をしたのかを分かっているのか!お前は古き民の思いを踏みにじったのだぞ!」

『違う、私はエルドラを守るために!故にどのような手段を使ってでも!』

 

デスアーミーの放つフィンファンネルを雷で撃ち落としながらそう言うクアドルンにアルスはアーマーチェンジを行いディスネンスガンダムにアルスアースリィガンダムを変化させながら言い返す。

 

「これを見て分からないのか、この光景は彼の日に繰り返された地獄の一部だ!」

『私は、ただあのお方達の帰るべきこのエルドラを・・・!』

 

ゼルトザームの頭部のフェイスガードが砕け牙が露わになると首が伸び真っ直ぐエレクライトガンダムに向かっていく。

腕部に噛みついたゼルトザームの頭部からDG細胞の浸食と共にヒビキの脳にDG細胞に込められた思念の一部が響く。

 

『器・・・悠久の果てに、願いのための・・・。』

「器?私が?」

『母さん!』

「っ!」

 

カナデからの呼びかけで思念を振り払ったヒビキがエレクライトガンダムの腕部装甲をパージするとゼルトザームの首をたたき切り串刺しにし爆散させるとエレクライトを宙に飛び上がらせるコアチェンジを行う。

 

「コアチェンジ!エレクライトトゥガングニール!」

 

食らいつかんとするガンダムヘッドがアーマーの放つ輝きによって焼き尽くされるとエルドラの大地に太陽が顕現する。

 

「ソルブライトガンダム!!」

 

闇を祓い光をもたらすガンダム、ソルブライトガンダムが大地に降り立つとゆらりと構えを取るとエネルギーを纏う。

 

「超級覇王電影弾!!」

 

渦巻くエネルギー塊がヒトツメ達の間を駆け抜けポーズを決める。

 

「爆発!!」

 

かけ声と共にヒトツメ達が爆発を起こしその数を一気に減らす。

首元にマフラーを靡かせるソルブライトガンダムに殺到するDG細胞に浸食されたヒトツメをソルブライトガンダムはマフラーを手に取るとそれを剣のように振るいヒトツメ達を両断していくと一機をマフラーで包みハンマーのように振り回すとフラウロススターティアーズが相手をしているドミニオンガンダムバエルにぶつけバランスを崩させる。

生じた隙を逃さずレールガンを撃ち込もうとしたフラウロススターティアーズにドミニオンガンダムバエルは背部の翼を展開すると有線式のカッタービットを放ちフラウロススターティアーズのレールガンを弾く。

 

「こいつ!バエルの癖にムルムルみたいな事しやがる!」

 

上空ではデュビアスアルケーガンダムとヴァルキランダー及びスローネローズリペアードが戦闘を行っていた。

当初はGNファングをスローネローズリペアードのGNミサイルファングによって相殺しヴァルキランダーよスローネローズリペアードの二機による接近戦を仕掛けていたがトランザムを発動したデュビアスアルケーガンダムにパルが翻弄されてしまったことでミクがヴァルキランダーへの攻撃を防御せざるを得ない事を見抜かれ劣勢に立たされていた。

 

「す、すいません!」

「ヒビキが言ってた、ガンプラの声を聞いて手を繋げば誰にも負けないって!」

「モルジアーナの声を・・・。」

 

完全に感覚派なアドバイスをされたパルであったが真面目にガンプラの声を聞こうと集中する。

一人でデュビアスアルケーガンダムの相手をするミクを心配してフレディが声をあげる。

 

「パルさん!」

「初めてで僕も怖いけど、一緒に飛ぼうモルジアーナ!ガンドランザム!」

「サイコトランザム!」

 

ヴァルキランダーがトランザムを発動させたのを見てスローネローズリペアードもトランザムを発動させるとGNジャベリンとGNアックスを連結させGNハイパージャベリンとすると盾と剣を構えると突撃するも姿勢制御が上手くいかずデュビアスアルケーガンダムに一太刀浴びせると地面に墜落する。

 

「パル!トランザムを切れこの状況での弱体化は得策じゃない!」

「メイさん!・・・ごめん、モルジアーナ!」

 

デュビアスアルケーガンダムのGNファングを肩のバインダーをシールドファンネルにして防ぎながらスローネローズリペアードがGNハイパージャベリンを振るいデュビアスアルケーガンダムの肩を切り裂く。

シンフォギアが使えない自分でも此処ならば誰かを守るために戦えると張り切っているミクはGNミサイルファングをデュビアスアルケーガンダムに一斉着弾させ地に落とす。

 

「パルくん!」

「討つぞパル!」

「はい!アヴァランチレックスバスター!!」

 

ウォドムポッドとヴァルキランダーの一斉掃射を受けデュビアスアルケーガンダムは爆散する。

 デスアーミーに組み付いたクアドルンにシドー・マサキの声が届く。

 

「クア・・・ドルン、俺を殺してくれ。」

「マサキ、そうかすまない私はお前に背負わなくて良い咎を背押せてしまった。」

「ありがとう・・・俺の友達。」

 

礼を言われたクアドルンが先ほど放ったビームをゼロ距離で放とうとするのを見たヒロトがガンダムヘッドを撃砕しながら叫ぶ。

 

「待ってくれクアドルン!俺は彼を助けると約束した!」

「だが、マサキは死を望んでいる。背負うには重すぎる咎を背負わせたのは私だ。ならばせめて最後の頼みを聞くのが私の役目だ。」

「最後じゃない!彼にはまだ未来がある!明日を歩ける!」

 

デスアーミーからバズーカを受けたクアドルンが宙に吹き飛ばされるとビームをチャージした状態でユーラヴェンガンダムに向く。

 

「・・・。」

「・・・。」

 

両者の間に沈黙が流れるとクアドルンがビームをユーラヴェンガンダムに放つがヒロトは躱そうとせずに唯クアドルンを見つめる。

するとユーラヴェンガンダムの背後から襲おうとしたディスネンスガンダムに直撃する。

 

「ならばマサキの意思で歩かさせて見せよ。」

「ああ。」

 

デスアーミーに向かっていきながらユーラヴェンガンダムはコアチェンジを行う。

 

「コアチェンジ!ウラヌストゥサターン!」

 

背後でディスネンスガンダムを蹴りつけて来たソルブライトガンダムがサタニクスガンダムに並ぶ。

 

「ヒロトはマサキさんを!」

「ならヒビキはデスアーミーを!」

 

サタニクスガンダムのドリルが高速回転を始めデスアーミーの猛攻を掻い潜りゼルトザームの部分に接近すると右肩にドリルを突き刺す。

 

「生きるの諦めるな!シドー・マサキ!貴方には貴方の帰りを待つ家族が居るはずだ!」

「家族・・・!姉・・・さん。」

 

右腕が機体本体から引き剥がされる。

 

「スイッチングクロー!!」

 

そしてクローを展開しゼルトザームから右腕を一気に引きちぎり放り捨てるとドリルを再び構え腹部から上の部分をデスアーミーから切り離すとゼルトザームの黒に染まった機体がテルティウムの青に戻り光となって消えるとシドー・マサキが落下してくる。

サタニクスガンダムがシドー・マサキを回収しデスアーミーから距離を取るとソルブライトガンダムが背部の光輪を展開しそれによって発生したエネルギーを右手に収束させるとガントレットが拳を覆いエネルギーロスを防ぐ。

 

「私のこの手が輝き叫ぶ!お前を倒せと轟き叫ぶ!」

 

ソルブライトガンダムの拳がデスアーミーの腹部に突き刺さるとデスアーミーから伸びるケーブルを通してガンダムヘッドにもエネルギーが流れ込む。

 

「必殺!!ソルブライトフィンガー!!!」

 

ガンダムヘッドが次々と爆散していきDG細胞に浸食された大地が元に戻っていく。

 

「フィィィィイィィネ!!!」

 

終わりが告げられるとデスアーミーが一際強く輝き爆散し跡形もなく消える。

アルスはシドー・マサキが救出されたの確認すると撤退していった。

 DG細胞に浸食されていたシドー・マサキであったが先ほどのソルブライトフィンガーの余波によりDG細胞が浄化されていた。

ヒロトによってマスクを外された彼は薄く瞳を開けるとクアドルンを見て目で謝意を示すとエルドラから光となって消えていった。

 

「これでシドー・マサキは助かったのかクアドルンさん。」

「マサキは帰った自らの世界へと。」

 

目を伏せクアドルンはそう告げた。

 

 

 

 

 

 

 ヒナタとシドー・マサキの姉であるシドー・ミズキの前で先ほど息を引き取ったと判断されたシドー・マサキの身体がまるで今にも起きそうな様子でベッドの上で眠る。

 

「マサキ、なんで・・・。」

「ヒロト・・・。」

 

握り返すことのない手を握りながら嘆くシドー・ミズキにヒナタが何も言えないで居るとシドー・マサキの手がシドー・ミズキの手を微かにあるであるが握り返す。

 

「え?」

「・・・ただ・・・いま。」

「マサキ!」

 

生き返ったとしかそう言えない現象にヒナタはヒロトがエルドラでシドー・マサキを助けたのだと確信する。

 

「あ、あり得ない。生き返ってる!」

 

遺体を運ぶために来た病院のスタッフは腰を抜かしていた。

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