機動戦姫ガンダムSG   作:鍋の中の白い奴シラタキ

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真面目に中国限定のプロヴィデンスが欲しい


迫りくる交差の時

 予想外の敵の出現こそあったもののアルスの魔の手からシドー・マサキの魂を解放し彼をエルドラから地球への救出を果たした次の日。

学校終わりにヒロトは部活へと向かうために弓道着へと着替えていたヒナタを捕まえて情報としては弦十朗を通して知らされていたものの実際に帰ってきた場面を見ていた彼女にシドー・マサキがしっかりと帰ってきたのかを聞いていた。

 

「彼は無事に目を覚ましたんだな。」

「うん、ミズキさんほっとしてた。ありがとうヒロト。」

「誰でも大切な人には側に居て欲しい物だから。彼は此処に帰ってこられて良かったと俺は思う。」

 

かつて腕の中で消えたイブの温もりを思い出しながらヒロトはそう言う。

知らず寂しそうに笑っているヒロトの頬をヒナタが手のひらで覆う。

 

「ヒナタ?」

「たまにそんな顔をするよねヒロト。」

「そんな?俺なにか変な顔をしていたか?」

「変じゃないよ、でも寂しそう。もしかしてヒロトの部屋に飾ってある写真の子になにかあったの?」

 

普通に自室の棚の上に飾っていたイブと写っている写真について言及されたヒロトが頬に当てられているヒナタの手を取りながら答える。

 

「もう会えなくなったんだ。」

「あの子のことが好きなの?」

「もう分からない疑いもせずにずっと一緒に居られると思ってたのにある日急に世界が彼女を否定した。彼女は、イブは世界を愛していたのに。」

 

世界を守るために発生し続ける膨大なバグによってイブ自身までもが世界を殺すバグに成り果てようとしたあの日。

GBNの星空の元でヒロトにもう一度会って未来に行きたいと願った彼女の熱がヒロトを震わせる。

 

「だけど、もう少しでまた会える。そんな気がするんだ。」

「また会えるって、それってエルドラって場所で?」

「たまに声が聞こえるんだ。イブの声が俺の背中を押してくれる。」

「ちゃんと帰ってくるんだよねヒロトは。」

 

不安に駆られたからかそう聞くヒナタにヒロトは当然だとばかりに笑う。

 

「帰ってくるよ俺はちゃんと此処に。」

 

嘘じゃなく最初から決めていることを告げるヒロトにヒナタは安心を覚える。

二人の居る渡り廊下とは反対側の渡り廊下を弓道着を来た生徒が駆けていく。

 

「部活があるんだったな。俺はそろそろ行くよ。」

「うん、行ってらっしゃい。ヒロトがエルドラで頑張ってるみたいに私も弓神事を頑張るよ。」

「ああ、頑張れ。」

 

二人は互いにエールを送り合った。

 

 

 

 

 

 

 ゼルトザームとの戦闘の終了後に神殿へと戻った時にシドー・マサキのお見舞いに近いうちに行こうとなっていたためヒロトはシドー・マサキが入院している病院の近辺にある公園でビルドダイバーズのメンバーとレイディエントフォースと合流した。

全員が集合したことで病院へと向かおうと行こうとなったときにバイクの走る音が真っ直ぐ迫ってくると皆の前で止まるとヘルメットを被った男がそれを外す。

 

「シドー・マサキ、どうして此処に。」

「こちらから向かうと言った筈だ。」

 

何故此処に居るのかと問うヒロトとメイに彼はバイクから降り少しふらつくが直ぐに持ち直す。

 

「もしかして抜け出してきたんですか!?」

「そうしなければいけないと思った。恩人達に足を運ばせるわけにはいけない。」

 

響の言葉を肯定しながらシドー・マサキは頭を皆に向けて下げる。

 

「感謝する。クアドルンや皆に俺の代わりに手を貸してくれて。そして俺を止めてくれたことを。」

「頭をあげてください。俺達はみんなが助けたいと思ってやったことです。それよりも病院を抜け出して本当に大丈夫なんですか?」

「良かった君たちのような人がエルドラの皆を守ってくれて。」

「お姉さんは心配しないんですか?」

 

身体の事を心配するヒロトにマサキは真面目な面差しになる。

 

「知っているか冬眠している熊の筋肉は衰えない。」

「そうなの響?」

「分かんない、あの子冬もずっと起きてるから。」

「響が餌付けしてるからじゃないの?」

「もしかして野生を忘れてるのかな。」

 

オールシーズンで響の組み手の相手にさせられている熊について未来が聞いているとそれを横で聞いていたカザミがマサキの一発で分かる変人ぶりとこちらはこちらで変なことをやっていると思われる響に若干引く。

ちなみにパルの日本人に対する誤解が加速した。

 

「なに言ってんだこいつ。」

「つまりだ冬眠していた俺は―。」

「マサキ!!」

 

何故急に熊についての豆知識を繰り出してきたのか分からないクリスが横の翼に同意を求めるとマサキはもう一度しかし今度は彼なりにわかりやすく説明しようと口を開き発言し始めた時に彼の姉であるミズキが彼の名を叫びながらやって来るとマサキの肩を鷲掴みにする。

 

「アンタ病院抜け出してこんなところで!」

「冬眠しているクマの筋肉は―。」

「はぁ!?」

 

熊知識を圧で黙らせたミズキが皆の方に向き直ると先ほどのマサキのように頭を下げる。

 

「皆さんがマサキを助けてくれたのは聞きました!そのことについてはありがとうございます!だけど、もうマサキに関わらないでください!お願いします!」

「姉さん。」

「お願いだから心配をかけないで・・・。」

 

何かを言おうとしたマサキであったが涙ぐみながらそう言う姉に何も言えるはずがなく黙ると自身が乗ってきたバイクに乗った姉の後ろに座るように促されヘルメットをすると乗る。

マサキが落ちないように態勢を整えたのを確認すると病院へ向けてバイクを発進させていった。

 

 

 

 

 

 

 エルドラの静止衛星上に存在するアルスの座す月にある基地は既に砲塔を残して他の修復は完了していた。

砲塔をガードアイ達が修復していくのと並列して基地の外では大型のアルスコアガンダムにそれに見合ったアーマーが建造されていき次第に装着されていく。

モニターにて次の戦いにおいて投入されるゼルトザームに変わる最大戦力が着実に完成していくのを確認しながらアルスは揺蕩う。

 

『何故です、完全に制御下においていたはずです。』

 

先の戦闘におけるアルスの制御から外れたDG細胞の暴走によるエルドラへの浸食。

そしてその浸食をヒビキの駆るソルブライトガンダムが浄化した事実がアルスの思考にノイズを発生させる。

 

『私はただ守ろうと。』

 

ホログラム故になにも掴めない手を虚空に伸ばしながらそれでもアルスは何かを掴むそぶりを見せる。

 

『いつまで待てばよろしいのです。私はいつまで貴方達を待っていればよろしいのですか。』

 

かつて眠る前に与えられたいつかまた必ず会いに来ると言う創造主からのもはや果たされるには時が経ちすぎた約束がアルスが自身で不完全と判断したが自らにも存在する心を掻き乱す。

 

『何故私にはエルドラが守れないのです。何故私に貴方方の帰るべき場所を守るための力がないのですか。』

 

答えのでない自問自答をアルスは無限に繰り返し続ける。

基地内では外で建造されている大型機体とは別でGBNから得られたデータを解析したことで強力な機体と判断されたターンXを模したリバースターンXユニットの建造が完了していた。

その情報を確認したアルスがエルドラの大地に生きる山の民が映るモニターを睨み付ける。

 

『全てを排しましょう。来たるべきいつかのために。』

 

地上へと降下させるためにヒトツメもかつてダイバー達が宇宙でアルスと戦った時以上の数が建造されていた。

 

 

 

 

 

 

 GBN内に存在するマギーの店にメイに呼び出されたカザミがやって来ると扉を開き入店する。

 

「あらぁ!見ない顔!お姉様~ご新規さんよぉ~!!」

「いらっしゃ~い!!って貴方カザミンね!」

 

個性的な店員に気圧されていたカザミが自身の事を知っているように言うマギーの言葉で正気に戻る。

 

「俺の事知ってるんですか!?」

「もちのろんよ~!だって私メイちゃんのママだものぉ~。」

「なるほどだから此処指定ね。へぇ~。」

 

奥で何食わぬ顔でジュースを飲んでいるメイに視線を来ると軽く手を挙げることで返事の代わりにされる。

 

「それでヒロト君とパルきゅんは不在かしら?」

「あいつらは今、ガンプラの調整だ。」

「てことはヒビキちゃん達も調整中と。」

 

近くの丸椅子に座ったマギーがカザミをじっと見つめると口を開く。

 

「私、実はゴジョウちゃんから貴方を助けてあげてって言われてたんだけど。」

「ゴジョウさんから。」

「そう、だけどその必要はなさそうね。大丈夫だって分かってたのかしらね伝言よ。『キャプテンジオンが何故かっこいいのかもう分かっただろ?』だそうよ。」

「ああ、分かってるよゴジョウさんキャプテンのかっこよさの理由を。」

 

かつて自分が散々迷惑をかけたフォースのリーダーが未だに気にかけてくれていた事実にカザミが感動しているとマギーが話を本題に進める。

 

「今貴方の動画は凄くホットよ。」

「ホット?どうして?」

「どうしてって貴方自分のGチューブチャンネル見てないの?」

「俺の?・・・えぇなんでだ!?」

「なんでだって、そりゃ私のガンスタでシェアしたもの。」

 

再生回数が軽く一千万回を超えている自身がアップしていたエルドラでの戦いの動画にカザミが戦慄しているとマギーが続ける。

 

「みんなゲームだって思ってるけどそこに込められた熱さを感じたんじゃないかしら。」

「てことはだ、みんなもっとアドバイスをくれ!」

 

念の為に撮影していた宇宙での戦い以降の動画を次々とGチューブにアップする。

 

「それでリハーサルの事だけど。」

「お前のママさんの人脈どうなってんだよ・・・。」

 

アヴァロンや第七機甲師団を始めとした有名なフォースが参加しているのを見てカザミが戦慄する。

褒められていると思ったメイが今度も軽く手を挙げて応える。

 

「そしてこの子達も来るわよビルドダイバーズのリーダーさん?」

 

提示された写真に驚くカザミに悪戯が成功した子どものようにマギーが笑う。

 

「ビルドダイバーズ・・・。」

 

エルドラの宇宙で行われるアルスとの最終決戦を想定したリハーサルのクリエイトミッション参加してくれる最後のフォースはリク達のビルドダイバーズであった。

 

 

 

 

 

 

 ハードディメンションヴァルガが二機のガンプラの激突によって揺れる。

赤い機体GP・羅刹天と白い機体ダブルオースカイメビウスの剣がぶつかり漁夫の利を狙おうとしていたダイバー達が余波だけでダメージアウトする。

 

「また美味くなったなぁリク!!バトルの旨みが増しているな!」

「そろそろ約束の時間ですよ!オーガさん!」

「今はバトルだぁ!!他のことに気を取られて不味くするなよ!!」

 

両機はトランザムを発動すると約束の時間が迫っているにも関わらず全力でぶつかり合った。

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