機動戦姫ガンダムSG   作:鍋の中の白い奴シラタキ

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ファウストローブ

 構えられたボウガンから放たれる散弾が調と切歌だけではなく彼女たちの背後に居る自衛隊に向けて放たれる。

シンフォギアを纏っている二人は防ぐ事が叶ったがただの人間である自衛隊はろくな抵抗を許されずに赤い花を咲かせる。

 

「お前っ!!」

「ミッション、開始。」

 

鎌を三枚刃にした切歌が斬りかかるが極僅かなの動きで躱されるとすれ違いざまに背負い投げを行われ地面に強かに身を打ち付ける。

 

「切ちゃん!よくも!」

「行け。」

 

装甲の一部がパージされるとそれらが宙に浮かび丸鋸を展開し疾走する調に飛来しビームを放つ。

 

「モビルスーツでもないのにビット攻撃!?」

「歌で私は倒せない。」

 

ビットが調に組み付き爆発を起こし彼女を地に伏せさせる。

 

「強い、本当にクリス先輩の相手をしてるみたい。」

「されどもあたし達の後ろに通す訳にはいかないデス!!」

 

身を起こした切歌が放たれる弾丸を躱しながらフェルトに接近し鎌で斬り付け装甲に傷をつける。

 

「クリス・・・雪音クリスっ!ざわつく名前だ!!!」

「こいつ急に!?」

 

斬りつけられながらもミサイルポッドを脚部に展開したフェルトが蹴りを叩き込むと同時に全弾を切歌にゼロ距離で炸裂させる。

もちろん彼女自身もミサイルの爆発に巻き込まれたが意に介さずに切歌に追撃を放ち調の真横の地面に蹴り込みめり込ませる。

 

「私は私だ・・・私なんだ・・・。一人で良いんだ、一緒にするな。」

 

自らに言い聞かせ冷静さを取り戻していくフェルトの前で打ちのめされながらも立ち上がった二人が持ちだしてきていた二本目のリンカーを持ちながら立ち上がる。

 

「シンフォギアもどきが強いなら、あたし達の適合係数をもっと!」

「二人揃ったザババの刃に切り裂けないものはない。」

 

キスをするような距離で互いにリンカーの注射器を相手の首筋に二人が当てる。

 

「調が居るなら、あたしは何も怖くないデス。」

「私も切ちゃんが居るなら。」

 

追加でリンカーが二人の体内に投与されると適合係数が更に引き上げられる。

 

「うっ。」

 

思わず口を抑えた調の手に血が付着する。

 

「オーバードーズ・・・。」

「鼻血に吐血がなんぼのもんデス。」

 

切歌もまたリンカーのオーバードーズにより鼻血を出していた。

 

「曲調が変化した・・・。」

「さっきまでのようには!」

「いくと思うなデス!!」

 

引き上げられた適合係数によりギアの出力があがった二人が連携によりフェルトに攻撃を仕掛ける。

 

「歌がソロからデュエットに変わった程度で。」

 

新たに放たれたビットを調が放った丸鋸が撃ち落とし丸腰になったフェルトを切歌の放ったワイヤーが拘束する。

 

「予測を超えられたっ!」

「ぉぉおおお!!」

 

ギロチンのように展開した刃をワイヤーのさきに展開した切歌が刃を蹴り込み自分ごとフェルトに迫る。

刃が迫り始めた瞬間に上空から羽根が放たれ切歌が吹き飛ばされる。

 

「救援、確認。」

 

雲を切り裂きガンダムヘブンズソードが舞い降りると翼をはためかせて竜巻を二人に放つ。

受け身を取り即座に戦線に復帰した切歌が調を攻撃の範囲外に蹴り飛ばす。

調の目の前で切歌が空に巻き上げられると落下していくところにフェルトが狙撃を行いマイクユニットを破壊する。

ギアを破壊された事でろくに受け身を取れずに切歌が地面に倒れ伏した。

 

 

 

 

 

 

 突如とした乱入してきたヘブンズソードにより戦況を覆された事で戦いを司令室で見ていたマリアが手に持つ壊れたギアペンダントを握りしめる。

 

「私に戦える力があれば・・・!」

 

戦うことのできないマリアが歯がみしているとモビルスーツハンガーより通信が入る。

 

『ガンダムエクシアが発進の許可を求めています!』

「パイロットは誰だ!」

『あたしだ。相手がモビルスーツならシンフォギアのバリアコーティングは必要ない。』

「確かにそうだが!」

 

司令室からいつの間にか抜け出していたカナデがハロの状態でコックピットのハロを納める位置に納まりながらエクシアを発進カタパルトに動かす。

 

『ハッチを開けろ!出すぞ!』

「墜とされるなよ!」

『逆に墜とす!ガンダムエクシア出るぞ!』

 

状況を変えるには仕方がないと判断した弦十朗が出撃の許可を出すとエクシアがソット・ヴォーチェより発進していった。

さらにそこにタイミング良くエルフナインが司令室に完成した強化型シンフォギアを携えてやって来る。

 

「お待たせしました!」

「待ちかねたぞ!」

「こいつが強化型シンフォギア。」

 

ギアペンダントを受け取る翼とクリスにエルフナインが警告をする。

 

「今調さんと切歌さんが戦っているのはファウストローブです。」

「ファウストローブ?」

「先日響さんが纏った物と同じく歌を介さずに聖遺物の力を発揮する物です。そしてあれは検出された波形から十中八九イチイバル。つまりクリスさんのコピー、誰がどのような意図で生み出したのかは定かではありませんがあのファウストローブを纏っているのは。」

「あたしのコピー・・・、あの時かっ!」

 

エルドラへと向かう数日前に寝込みを謎の少女に襲われた事を思い出したクリスがその時に遺伝子情報を奪われていたのだと察する。

 

「エクシア敵モビルスーツと戦闘に入りました!」

「私たちも向かうぞ雪音。」

「ああ、あたしのコピーなんてたいそうな奴をとっ捕まえてやる。」

 

戦場に向かおうとする二人にマリアが声をかける。

 

「お願い、二人を。」

「案ずるなこの手に再び剣が戻ったのだ。必ず助けるとも。」

「マリアはそこであいつらの帰りを待ってな。」

 

二人はそう返すと戦場へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 GNビームサーベルを抜いたエクシアが眼下の調と切歌から離すようにヘブンズソードに斬りかかる。

 

『これ以上やらせるかよ!』

 

それに対してヘブンズソードは人型に変形するとソードブレイカーを腕に出現させエクシアへと斬り付ける。

 

「人形どうし踊りたいのかしら。」

『ラストダンスにしてやるよ!母さんにできてあたしにできない道理は無い!』

 

斬撃をGNシールドで受け止めたエクシアがヘブンズソードを下から斬りあげ腕を切断するが即座に再生される。

 

「その程度では無理よ。」

『こなくそぉ!!』

 

上空でモビルスーツの戦闘が行われ始めた時と同じくして調はギアが破壊され裸で倒れる切歌の元に向かおうとするがフェルトに攻撃をされ向かえないでいた。

 

『適合係数の低いちっこい方は殺せ。』

「了解、オーダー受諾。」

 

アルカノイズを召喚するための結晶を銃に込めて撃ち放ちフェルトが調の周囲にアルカノイズが出現する。

 

「対象の排除を開始。」

「邪魔だぁ!!」

 

切歌が分解されると焦る調がアルカノイズ相手にアームドギアで応戦するが冷静さを欠いた上にリンカーの過剰投与に身体に負荷がかなり掛かっていることもあってか動きの精彩さを失っていた。

アルカノイズの分解器官によりアームドギアが分解されバランスを崩した調の脚部が撃たれることで移動に利用していたローラーが破壊されることで転倒したところにヒューマノイドタイプのアルカノイズの一撃が胸部に炸裂しマイクユニットを破壊しながら調の小さな身体を吹き飛ばしコンクリートの壁に打ち付ける。

 

「かふっ・・・。」

 

ギアが破壊された事でとうとうたっていられなくなった調にフェルトがボウガンを構え迫る。

 

「やめて、調を殺さないでっ!」

 

涙を流しやめるように叫ぶ切歌の声を無視してフェルトが呻く調の脳天に照準を定め引き金に指をかける。

 

「オーダー、コンプリート。」

 

引き金が引かれ切歌が叫びを上げるが何故か調が花を咲かせることはなく頭の真横の地面が抉れる。

 

「ずれた?」

 

撃った本人にも当たらなかった理由が分からないのか再び狙いを定めたフェルトが引き金に指をかけると腕が震え始める。

 

「なぜっ!?」

(身体が拒絶している!?)

 

遂にはボウガンが手からこぼれ落ちたフェルトはそれをあり得ないという目で見ながら後ずさる。

 

(私は雪音クリスじゃないっ!フェルトだ、たかがオリジナル如きの血で!オリジナル?それじゃまるでっ!)

『なにをしている、殺せフェルト。』

「了解・・・マスター。」

 

顔を青ざめさせるフェルトが再びボウガンを取り出し調に狙いを定めた。

 上空では無限に再生を続けるヘブンズソードのソードブレイカーによってセブンソードを砕かれたエクシアが脚撃によりソット・ヴォーチェに打ち付けられる。

 

『こっちじゃやっぱりGBNとは勝手が違うっ!』

 

機体には不備はないがGNドライヴではなく粒子貯蔵タンク型のためにエクシアの活動限界時間になってしまう。

 

『クソ、時限式じゃ此処までかよっ!』

 

動かなくなったエクシアの中でカナデは悔しさに身を震わせた。

 

 

 

 

 

 

――――人殺し!

 

――――税金どろぼう!

 

――――お前だけが!

 

モノクロの世界の中で響は雨に打たれながら悪意の言葉と共に投げつけられた石が頭部に当たった事で流血した箇所を抑えながら家路を急ぐ。

だが、家に帰ったとしてもそこにはかつての暖かさはない。

 

「頑張ったのになぁ、また家族みんなで過ごせるようにリハビリ頑張ったのに・・・。」

 

誰も居ない家の中で自然と溢れ出した涙を止めることができずに響はリビングでへたり込む。

泣けど嘆けど現実は変わらない。

涙で視界がぼやけると共にモノクロの世界は終わりを告げていく。

 

「私が生きてたせいでお父さんは・・・。」

 

うっすらとではあるが家から出て行こうとする父が映るが瞬きをするとそこはメディカルルームであった。

 

「そうだった、私オートスコアラーと戦って・・・。」

 

胸元にガングニールは無いがそれでも存在を感じ取った響がメディカルルームから出ると真っ直ぐにエルフナインの部屋へと向かう。

部屋の中でギアペンダントを見つけた響はそれを手に取るとソット・ヴォーチェの外に向かう。

 

(誰かが粒子を使ったおかげで状況は分かる。)

 

外部に出て活動限界を迎えたエクシアを発見した響は聖詠を歌いシンフォギアを纏うとエクシアのコックピットへと向かう。

 

「カナデ、残った武装は?」

『武装もなにも粒子がなきゃ!』

「そんなもの私が幾らでも出せる!」

『GNビームサーベルとGNシールドは残ってるけど他はない!』

「十分!」

 

アームユニットをエクシアに接続することでGN粒子を機体に送り込み再起動させるとヒビキはヘブンズソードに向かってエクシアを飛翔させるとデッドリーウェイブを放ちヘブンズソードに再生に時間の掛かる損傷を与えるとヘブンズソードからファラが分離するとヘブンズソード自体を爆弾として放ちファラ自体は撤退する。

 

「GNフィールド!!」

 

GNフィールドを張ることで爆発から身を守ったエクシアのモニターが調と切歌の元に向かう翼とクリスを捕らえた。

 調に狙いを定めたフェルトに銃撃が行われボウガンが手から弾かれると周囲のアルカノイズが切り裂かれ撃破される。

 

「お前の弾よりあたしの方が速いみたいだな。」

「これが強化型シンフォギア、アルカノイズもはや恐るるに足らず。」

 

アルカノイズを一掃した翼が切歌と調に身を隠す布を渡す。

 

「立てるか?立てるならばソット・ヴォーチェへ退避しろ。」

「あたし達役に立ったデスか?」

「これ以上ないほどにな、後は私達に任せろ。」

 

そう返された切歌は調と共にソット・ヴォーチェへと向かっていく。

 

「ターゲットは逃がさない。」

「いいや逃がさせる。お前があたしなら撃たせねぇ。」

「私は私だ!」

 

対面で銃を構えるクリスにフェルトもまた銃を構える。

 

「雪音、反撃と行くか。」

「いいや逆襲ですよ先輩!」

 

改修されたことにより出力が遙かに増したシンフォギアがイチイバルのファウストローブを纏うフェルトを圧倒する。

 

「持ってけ!!」

 

放たれたミサイルが翼の剣技で意識を一瞬刈り取られたフェルトにダイレクトヒットする。

 

「後はふん縛ってつれてくだけだ。」

「待て雪音。」

 

爆煙の中に居るであろうフェルトを捕まえに行こうとしたクリスを翼が止めると煙の向こうからバリアを張りフェルトを守るキャロルが姿を現す。

 

「後はオレがやろう。」

「始めますか。」

「違う、終るのだ全てが。」

 

テレポートジェムでフェルトが撤退するとキャロルが二人に向き合うと二人の背後にエクシアが降り立ち響が飛び出す。

 

「立花、もう良いのか?」

「問題ないです。」

 

響がキャロルを真っ直ぐに見据え問う。

 

「やっぱり世界の分解をやめる気はないんだよね。」

「当然の事を聞いてどうする。」

「そっか、だったら私が拳で止める。」

「ようやく戦う気になったか、立花響!」

「戦うんじゃない!止めるんだ!」

「変わらないことだ。」

 

そう言うとキャロルはダウルダブラを取り出すと弦を弾き音を奏で起動させファウストローブとして纏う。

ダウルダブラのファウストローブを纏うと共に大人の姿となったキャロルが空より装者達を睥睨する。

 

「さぁいつものように歌で世界を救って見せろよシンフォギア。」

「世界だけじゃないキャロルちゃんもだ。」

 

雷鳴が鳴り響き稲妻が地を穿つと戦いの火蓋が切られた。

 

 

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