機動戦姫ガンダムSG   作:鍋の中の白い奴シラタキ

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セイバーガンダムもっと出番くれてやれよ


日常、守りたいもの

 自身に与えられた命令を二度に渡り達成できなかったクリスは館から抜け出しあてどもなく街を歩いていた。

 

(あいつはあたしがソロモンの杖の起動に半年かかったのにあの一瞬でデュランダルを起動させやがった。だからフィーネはあいつを・・・。)

 

また一人になってしまう。自身を内紛地帯に連れて行きボランティア活動を行いそこで自身だけ残して内紛に巻き込まれて死んだ両親のようにフィーネは自分の前から居なくなるのだろうか。

 

(あたしだってやれるんだ。次は、次には・・・。)

 

捨てられるかもしれないそんな事を考えていたクリスは前をよく見ていなかった為誰かにぶつかってしまう。

 

「悪い。」

「こっちこそごめんね前見てなかったや。」

 

ぶつかった相手は響だった。

 

(向こうからあたしを捕まえに来たのか!?いや、こいつ気づいてない!)

「どうしたの?そんな運命の相手にあったみたいな顔して。」

「どういう顔だよ!?」

 

やっぱり気づいてるのかと疑いだしたクリスの視線が響の背後に屹立するガンダムエクシアの立像に吸い込まれるとその視線を追った響が問いかけてくる。

 

「もしかして、ガンダム知らない?」

「いや、まぁ知らないな。」

「でも此処に来たって事は興味があるって事だ!」

「お、おうそうだ。知り合いが話しててな。」

 

咄嗟の言い訳をするクリスの手を響は掴むとエクシアの像の後ろにあるガンダムベースへと引っ張っていく。

 

「だったら先輩として私がスタートを祝福するよ!」

(暖かいなこいつの手・・・何考えてんだあたしは!?こいつは敵だぞ!?)

 

クリスは気がつくとガンダムベース内に連れてこられていた。

 

「始めるなら此処のHGから始めるのが私のおすすめかな。何か気になるのはある?」

「えっと、こいつだ。」

 

ろくに選べもせずにクリスは近くにあった棚から目についたものを手に取るとそれを響に見せる。

 

「フラウロスか、良いと思うよ。」

 

言うが早いか響はキットを組み立てるのに必要な機材を手に取るとガンダムフラウロスのガンプラの持つクリスと共にレジに行くと支払いを済ませビルドスペースへと行く。

 

「悪い、払わせちまって。」

「良いよ良いよ。言ったじゃん盛大に祝福するって!私もさっき買ったのがあるからさ一緒に作ろうよ。」

 

今すぐ拒絶し館に帰ることもできたはずなのにクリスはその選択肢を選ばずに響と共にガンプラを作る選択肢を取る。

 

(本当に、人を繋ぐ絆は愛は痛みだけなのか?)

 

洗脳に近いレベルで刻まれた教えがクリスの中でひび割れていく。

 

(こいつはこんな顔できるんだな。だけど、鎧を纏ったあたしが会うときこんな顔をしてくれない。)

 

当たり前の事であるのにクリスは久しく触れてこなかった人の持つ暖かさそして響の太陽のような笑顔にほだされ始めていた。

 

「できた。」

「私もできた。」

 

ガンプラが完成するクリスのフラウロスと響のGNフラッグの二機がテーブルに立つ。

 

(あたしの手が壊すだけじゃなくて、何かを作れた。)

「良くできてる。愛を感じるね。」

「愛?」

「愛だよ、好きだからこそ此処に来たんだ。そこには愛があるんだ。」

「分からないな、あたしには愛は・・・。」

 

もはやクリスには愛がなんなのか分からなくなっていたフィーネの言う痛みなのか今響の持つこの暖かさこそが愛なのか。

 

「きっと分かってるよ。言葉にできてないだけで。」

 

分かっているはずそう言う響に何かを言おうとしたが響のスマホに着信が入る。

 

「ごめんね。」

「気にすんな。」

 

出るように促したクリスに響は頷くと電話にで一言二言話すと通話を終らせる。

 

「友達が心配してるから私は帰るね。」

「そうか、あまり心配かけてやるなよ。」

「私もそうしたいんだけどね。」

 

GNフラッグを箱にしまい機材を片付けた響が席を立ち去って行きクリスに手を振ると帰って行くのを見送るとクリスはガンダムフラウロスと機材を箱にしまう。

 

「あたしも帰るか・・・。好きだからか、あたしこいつの事何もしらないんだけどな。」

 

少しだけ館に帰るのが嫌だった。

 

 

 

 

 

 

 『帰ったか!帰ったか!』

「おかえり響。」

「ただいま~。」

 

日も落ちた頃に帰った来た響が転がってきたハロを持つ。

 

「最近忙しそうにしてるけど大丈夫なの?」

「平気平気。」

 

ハロを床に降ろしながら部屋の奥に進んでいく響の背を見て未来はポツリと呟く。

 

「心配位させて欲しいな・・・。」

『伝えるか?伝えるか?』

「ううん、大丈夫。響に余計な心配をかけさせたくないの。最近の響隠してるつもりで何かに悩んでるのバレバレだもの。」

『下手くそ。下手くそ。』

「もう。」

『わー。』

 

転がされたハロが悲鳴をあげる中響は買い物袋の中から箱を取り出すと部屋に入ってきた未来に渡す。

 

「未来これ欲しかったでしょ?」

「そうだけど、良いの?」

「最近一緒に入れないからさ、せめて何かしてあげたいなって。」

 

響が渡したSDキュベレイをテーブルに置くと未来は響の手を取る。

 

「傷、増えてる。」

「未来?」

「ねぇ響、本当に危ない事してないよね?」

 

何をしているのかは知らないが響が危ないことをしていると察している未来が響の服の袖をめくりそこにも前まではなかった傷跡を見つける。

 

「大丈夫、未来を心配させるような事はしてないよ。」

「私は響に隠し事なんてしたくない。」

「私も、未来に隠し事なんてしないよ。」

 

言えるはずがないのだノイズに加えプルーマとも戦っているなんて。

 

『お熱いね。お熱いね。』

「どこで覚えてきたの!?」

 

学習させていない筈の概念を何故か理解しているハロに響は驚愕した。

 

 

 

 

 

 

 翌朝、館の側の湖畔にてクリスはノイズを操る完全聖遺物ソロモンの杖を見ていた。

 

(あたしがこれを使ったら、ノイズが人を殺す。)

 

今まで考えないようにしていたことが昨日響と交流を持ってしまったことで頭にちらつく。

背後に気配を感じクリスが振り返るとそこにはフィーネが口元に笑みを浮かべ立っていた。

 

「言われずとも分かってるさ!!」

(そうだ、あたしは既に殺人者だ。世界から争いを無くすなら悪魔にでもなってやる。)

 

ソロモンの杖をフィーネに投げつけながらクリスは叫ぶ。

 

「そんな物も!プルーマも要らねぇ!!あたしの!あたしだけの力であいつを連れてきてやる!」

(考えるなよ!惑われるなよ!あいつとあたしは敵同士だ!)

 

去って行くクリスを見ながらフィーネはソロモンの杖を懐にしまいながら思う。

 

(駄目ね、あの子はもうほだされている。捨て時ね、牙の抜けた猟犬を飼うほど私は優しくはない。)

 

クリスに与えられている自室にあるフラウロスが静かに倒れた。

 

 

 

 

 

 

 リディアンに付属する翼が入院している病院の病室前で響は緒川に頼まれやって来ていた。

 

「良し!」

 

心の準備を整えた響が病室の扉を開き中に入ろうとすると驚愕の光景が飛び込む。

 

「え?」

 

思わず硬直する響に病室に戻ってきた翼が声をかける。

 

「何をしているの?」

「お見舞いに来たんですけど・・・。入っても大丈夫ですか?」

 

一瞬襲撃を受けたのかとも考えたがそれにしては院内が穏やかなので響は第二の可能性に思い至り翼に聞く。

 

「折角来てくれたのだから遠慮なんてせずに・・・。」

 

そう室内は脱ぎ散らかされた衣類やゴミで酷いことになっていた。

 

「これは、違うの。」

「何も言ってません。」

「不覚っ!」

 

流石に人に見られて恥ずかしいと思う羞恥心を持っていた翼がベッドに座っている中で響が部屋の掃除を終らせる。

 

「終りました。」

「悪いわね、いつもは緒川さんにやって貰っているんだけど。」

「男の人にやって貰ってるんですか!?」

「確かにちょっと問題かもしれないけれど。報告書読ませて貰ってるわ。」

 

これ以上この話はやめようという意思で翼は強引に話題を変える。

 

「私が抜けた穴を貴女がよく埋めてくれているって。」

「そんな、二課の皆さんに助けられてばかりです。」

「それでもよデュランダルを制御したとも聞いたわ。」

「まだまだです。気を抜くと黒い感情に意識を塗りつぶされそうになりましたから。」

 

薬品工場地帯で振るったデュランダルの感触を思い出している響に翼が問う。

 

「立花、ノイズそしてプルーマとの戦いがGBNでのガンプラバトルとは異なり遊びではないことは幾つもの死線を乗り越えた貴女は既に知っているはずよ。だから聞くわ、貴女の戦う理由はなに?」

「私はガンダムになりたいんです。」

「貴女の言うガンダムそれはなに?」

 

響はあのライブ会場の惨劇の中で自身を助けるために命を燃やし尽くした奏を思い出しながら言う。

 

「ガンダムは誰かを救う光です。あの日私の命を救ってくれた奏さんは間違い無くガンダムでした。だから私はガンダムになるために戦います。」

「貴女が目指す光それは素敵な物ね。だけど今の貴女はあの日生き残った事への自己断罪をしているようにも見える。それは前向きな自殺衝動よ。」

「自殺衝動・・・。」

「私に言えた事ではないけれど絶唱を歌った事が何よりの証拠よ。自らの命をもっと大事にしなさい守りたいものがあるのでしょう?」

 

自己断罪と言われた響は手のひらを見つめた後翼の瞳を見据える。

 

「守りたいものがあります。それは何気ない日常なんです、誰もが笑顔ですごせる日常なんです。だからその日々を守るために私は戦います。」

「戦うと言うことは戦士になること戦士になればその分日常から離れると言うこと貴女にその覚悟はあるの?」

「あの日私にガングニールが応えてくれてシンフォギア装者(ガンダムマイスター)になった日から私は覚悟を決めています。」

「ならば貴女の信念は何?」

 

信念、今までの戦いの中で感じた思いを思い返した響が拳を握る。

 

「誰かがノイズに襲われているのなら私は最速で、最短に、真っ直ぐに、一直線に。この拳で救います。それに相手が人なら私はわかり合いたい。」

「貴女がアームドギアを使えないのではなかったのね。貴女のその他者と繋がりたいという思いこそが貴女の立花響のアームドギアよ。現に私は貴女を今、友とそう思っているわ。」

「翼さん!」

「駄目だったかしら?」

 

少し残念そうな顔をする翼の手を響は手に取ると頭を横に振りながら言う。

 

「駄目じゃないです!私も翼さんと友達になりたいです!」

「ありがとう、立花。」

『それで良いのさ、翼にしかめっ面は似合わないよ。』

 

聞こえてきた声に翼が思わず振り返るとそこには何故かハロが響のカバンから転がり落ちていた。

 

「ハロ?」

「私が作ったんです。でもなんで居るんだろ?」

「貴女器用なのね。」

「説明書通りに組み立てただけですよ。でもちょっとは手を加えたかも。」

『ハロー、翼!ハロー!』

 

手を加えたレベルはちょっとどころではなかったりする。

 

「未来と、友達と約束があるから私帰りますね。また来ますね。」

「ええ、いつでも来てくれて構わないわ。」

『またな!またな!』

 

また会おうというハロの声と共に響は去って行った。

 

「奏、私前を向いて歩けていけるようになったよ。」

 

青空を見上げ翼は独りごちた。

 

 

 

 

 

 

 

 二課本部にて警報がなる。

 

「アウフヴァッヘンを検知!これはプルーマです!」

「数は以前増加中!!」

 

告げられる報告に弦十朗が苦い顔をしながら叫ぶ。

 

「直ぐに響君に連絡だ!」

「駄目です!何かに妨害されています!」

「なんだとぉ!?エイハブリアクターをも造り出したのか!」

 

思わずそうは言うが映像自体はしっかりと送られてきている。

 

「周辺地域に避難勧告を出せ!」

「既にやってます!」

「よくやった藤尭!」

 

モニターには未来と一緒に居る響に刻一刻と真っ直ぐ迫るプルーマの映像が映されている。

 

「頼む響君、気づいてくれ!」

 

 

 

 

 

 

 翼へのお見舞いを終らせた響は先日の流れ星を一緒に見られなかった埋め合わせのために未来と一緒に買い物に向かっていた。

 

「買い物が終ったらふらわーに行かない?」

「良いね、私実はもうお腹ぺこぺこなんだ。」

「本当に響はよく食べるね。」

「食が身体を作るんだよ未来。」

『炭水化物、過剰!過剰!』

 

カバンの中で話しを聞いていたのかハロがバランスを考えろと言う。

 

「野菜多めにして貰おうかな。」

「そう言うことなのかな?」

 

もうすぐで商店街だというところで響が微かに聞こえてきた聞き慣れた音に反応する。

 

「ノイズだ。」

「え?」

 

それはまだ遠くであるがしっかりと鳴らされているノイズ出現の警報であった。

 

『熱源接近!熱源接近!』

「ハロ?」

 

まるでガンプラバトルの際のような警告をハロが発した次の瞬間近くの建物をプルーマが突き破り飛び出してくると鉤爪を振るってくる。

 

「未来!」

「響!?」

 

響は未来を抱えると鉤爪を躱しプルーマを飛び台にすると屋根にあがりその上を駆けていく。

 

「ごめん未来!私のせいだ!」

「どうして響のせいなの!?それになんでプルーマが!」

『足元来るぞ!来るぞ!』

 

警告に従い響は横にステップし屋根を突き破って来るプルーマを躱すと道路を猛スピードで走ってくる車を見つける。

 

(ギアを纏わなきゃ未来が殺される!)

「響?」

「ごめんね、私未来に隠し事してた。」

「何を言ってるの?」

 

今まで過ごしていた日常が崩れ去る覚悟を決めた響が聖詠を歌う。

 

「Balwisyall nescell gungnir tron.」

「なにこれ・・・。」

 

先ほどまでとは比べものにならないスピードで駆けながら響は未来を片手で抱え直すと右手を天に掲げる。

 

(分かる、今の私は繋がってる!!!)

「デュランダル!!」

 

名を呼ばれたデュランダルが二課深部から地を砕き響の元へと飛翔するとその手に収まるとGNソード状に姿を変え響が放つ粒子が赤に変わる。

 

「私がガンダムだ!!」

『前方接近!前方接近!』

 

聖詠を歌う前に未来に預けたカバンの中から行われるハロの警告通りに現われたプルーマを響は刃を展開して両断すると急停車した車の前に降り立つ。

 

「響さん!無事でしたか!」

「私は大丈夫です!緒川さん未来をお願いします!」

「分かりました。さ、こちらに。」

 

自然な流れで車に乗せられそうになった未来が響に向かって叫ぶ。

 

「待って!響はどうするの!?」

「私はプルーマを倒すよ。」

「だって危ないことはしてないって!」

「ごめん!ハロ未来をお願い!」

『任せろ!任せろ!』

 

車に乗せられた未来はハロの声を聞きながら以前無数に居るプルーマを撃破していく響を見えなくなっても見続けていた。

 

「響・・・。」

 

頬を涙が伝った。

 プルーマと戦い続ける響を見たクリスが怒りに身を震わせながらネフシュタンの鎧を纏う。

 

「どういうつもりだフィーネ!あたしの力を疑ってやがんのかぁ!!」

 

怒りを持って振るわれた鞭が近くに居たプルーマを撃破しそれによりあがった爆炎に響が気づくことにより二人の視線が交差する。

 

「白雪姫・・・。」

「惑わすな、あたしを。」

「仮面の下の貴女は優しい人の筈だ!その下を知る私には分かる!」

 

言葉の意味を理解したクリスの身をつららが貫いたような寒気が襲う。

 

「気づいてたのかよ・・・。」

「そんな綺麗な声、気づかない方が駄目だ。」

 

デュランダルを近くに突き刺し手放した響がプルーマを蹴り飛ばし別のプルーマとぶつけることに撃破し周辺に居たプルーマを全て撃破したのを確認するとクリスに歩み寄ってくる。

 

「私と貴女はきっと友達になれる。」

「なれるもんかよ敵同士なのにぃ!!!」

 

鞭が響に向かって地を砕きながら走った。




てやんでい!認めたくない!認めたくない!

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