機動戦姫ガンダムSG   作:鍋の中の白い奴シラタキ

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ポケ戦面白かったね


弱さを知って強くなる

 セレナーデシステムの副作用である最も恐れられていた事態であったシステムの操り人形となってしまい手痛い敗北を晒してしまったマリアは現在どういうわけだか筑波にある日本政府所有のビーチへと特訓という名目で装者達と共にやって来ていた。

 

(今私は強くなるためにここに居る。強くならなければいけない、気丈に振る舞って笑顔を見せているがあの子は笑えていない。私が弱かったせいだ。)

「マリアー!」

「何してるデスかー?」

 

切歌と調に呼ばれるとこれから行われる特訓へと意識を向ける。

 

「ええ、直ぐに行くわ。」

(弱さを超えて今日、私は強くなる!)

 

そして始まる特訓。そうビーチバレーであった。

 

「ぜぇぇぇえぇええい!!!」

 

とてもない気合いの入ったサーブがクリスによって放たれるとそれが見事に切歌の顔面にクリーンヒットしボールが直上に跳ね上がる。

 

「デス!?」

「切ちゃん!?」

「止めて見せな!」

 

クリスと同じチームに居る調が目の前の光景に思わず切歌の名を叫ぶがバレボールの後を顔に残しながら切歌は両手で踏み台を作り響を宙に跳ね上げる。

 

「やってやるデース!響さん!」

「オーケー!行こう切歌ちゃん!」

 

高く飛び上がった響が空に打ち上がったボールに追いつくとスマッシュを放つ。

 

「しまった!?」

「任せて!」

 

後方に回っていた調がボールを弾きクリスへと回す。

 

「厄介なお前から潰してやらぁ!」

「クリスちゃんビーチバレーにそんなルールないよ!?」

 

響へと向けてスマッシュが放たれた。

激しい攻防が続きどちらのチームにも点が入らないままに前半戦が終り選手交代となる。

 

「攻めは任せろ小日向。」

「後ろは任せてください!」

「頼むぞ。」

 

ガチのマジで特訓としてビーチバレーに望む翼と普通にビーチバレーを楽しむつもり未来のチームに対するは両者ともにビーチバレーを普通にやるつもりのマリアとエルフナインであった。

 

「ビーチバレーの知識は十分にありますから!」

「頼りにしてるわね。」

 

そして後半戦が始まると翼から刃のように鋭いサーブが放たれるとマリアがそれを何とか受け止める。

 

「翼、貴女!これはレクレーションよ!?」

「特訓であろう?ならば全力で臨むだけだ!」

「くっ、エルフナイン!」

「任せてください!」

 

自信満点にマリアより回されたボールでスマッシュを放とうとしたエルフナインであったがタイミングが合わなかったのか外してボールが砂浜に落ちる。

 

「あうう、ずびばぜん。」

「気にしないで大丈夫よ。さぁ、点を取り返すわよ!」

「は、はい!」

 

落ち込むのは後にしてビーチバレーに集中することにしたエルフナインであったが今までスポーツなどやったことなど有るはずがなく知識があるだけでは力不足だったために惨敗と言う結果に終ってしまった。

 

「すみません。知識は十分にあった筈なんですが・・・。」

「そうね、エルフナイン貴女は知識に縛られて定められた型に縛られ過ぎているわね。もっと自分らしさを出すことができれば良いんじゃないかしら。」

「自分らしさ・・・。」

 

それをどのようにして出せば良いのかと考えるエルフナインであったがマリアは内心にて自嘲していた。

 

(良く言ったものね。システムに呑まれて挙げ句にセレナの幻覚を見て暴走した私が。)

「どうしたマリア悩み事か?」

「翼、そうね貴女はどうやってダインスレイブの魔力を御してみせたの?」

 

魔剣ダインスレイブの心の闇を増幅し破壊衝動をもたらす呪いを克服した先にあるイグナイトギアにどのようにして至ったのかと聞かれた翼はもう気づいているはずと言わんばかりにマリアに含んだ言い方で告げる。

 

「貴女ならもう分かっているはずよ。後はそれを為すだけだ。」

「私がもう気づいている?」

「ええ、それがきっとマリアの求める強さだ。」

「求める、強さ。」

 

エルフナインは先ほど切歌とのコンビネーションスマッシュを披露した響にコツを聞きに行っていた。

 

 

 

 

 

 

 装者達が特訓と言う名の休暇を過ごしている頃に異端技術研究所ではナスターシャが残したデータを解析し構築された物が緒川と藤尭の前にあった。

 

「これは一体・・・。」

「便宜上フォトスフィアと我々は呼称しています。実際の物はもっと巨大な大きさを誇っています。」

「ナスターシャ教授は一体何のためにこのようなものを。」

 

何故ナスターシャがこのようなものを遺したのかは未だに不明であるが異端技術の権威とも言われた彼女が最期の最期に遺したものとすればフォトスフィアには重大な意味があることは確実であった。

フォトスフィアを含む異端技術のデータの受領任務を終らせた緒川が翼に装者達の様子を伺うために連絡を入れる。

 

「受領任務は終りました。そちらは今どのような感じですか?」

『なかなかどうして身になる特訓です!』

 

翼がそう答えると通信機越しに轟音が響く。

 

「大丈夫ですか?」

『心配は要りません。イグナイトの制御に失敗したマリアを立花が眠らせただけです。』

「後々に響かないようにお願いしますね。」

『了解です。』

 

休暇を与えたつもりが普通に特訓を行っている装者達に緒川は若さを感じた。

 

 

 

 

 

 

 実際にイグナイトモジュールを発動し制御する為に組み手を行ったマリアと響であったがあと一歩の所でダインスレイブの呪いに溺れてしまいマリアが暴走してしまう。

響にぶん殴られ眠らされたことによりギア自体が強制解除されたマリアをビーチパラソルに下に寝かせていると少し立って目を覚ます。

 

「っ!」

「あ、マリアさん。起きました?」

「大口を叩いたのに魔剣の呪いに呑まれるとは・・・。」

 

落ち込むマリアの横に座った響が言う。

 

「こう押さえつけようとするんじゃなくて拳に乗せる感じでシュッとやるんですよ。」

「・・・随分感覚的なのね。」

「そうですかね?」

「そうよ。」

 

会話が途切れたことでふとマリアが響の方を見ると彼女はどこか浮かない顔をしていた。

 

「・・・シドニーの事は私の判断ミスだった。あそこはオートスコアラーよりもモビルアーマーの破壊を優先するべきだったわ。」

「いえ、私があそこでコックピットを破壊していれば撃たれることはなかったんです。」

「貴女の手が血で染まるのは似合わないわ。」

「それでも、やらないといけないと思い知らされました。じゃないと多くの人がまた死んでしまう事になるから。私は逃げたくないんです。」

 

逃げたくないという言葉から何かを察したマリアが問う。

 

「貴女は父親を否定したい、いやそうして欲しかった?」

「やっぱり分かります?あの時折角会えたのに私が助けて欲しいときは助けてくれなかったのに知らない女の子は助けてるお父さんを見てカっとなっちゃったんです。だから言っちゃったんです知らない人って。」

「見知らぬ少女を助けていたと言うことは貴女の父親は少なからず過去の行いを悔いていると言うことじゃないかしら。」

「敵わないなマリアさんには。」

「その台詞は私の方が言いたいわね。」

 

アドバイスを送っていたはずの響は逆にマリアから父親に関しての助言を送られる。

 しばし静かな時間が流れていると突如として海面から水柱が立ち上るとデスアーミーと共にガリィが現われる。

 

「夏の想い出作りガリィちゃんも混ぜて貰おっかな~。」

「誰がだ!いやちょうど良い!遊んでやるよ!Killter Ichaival tron.」

 

木陰で昼寝をしていたクリスであったがガリィの出現にいち早く気づくと飛び起き即座にギアを纏う。

クリスに一息遅れて響とマリアもギアを纏うとガリィの前に躍り出る。

 

「私が遊びたいのは一人――。」

 

そう言いながらアルカノイズを呼び出し響とクリスに嗾けるとガリィは氷の剣を構えマリアに襲い掛かる。

 

「アンタの歌を今回は聴かせな!アイドル大統領!!」

「雪辱を果たすは今!存分に聴いていけオートスコアラー!!」

 

 

 

 

 

 

 浜辺のコテージの中に居た藤尭が持ってきていたパソコンでアルカノイズの反応を検知する。

 

「アルカノイズの反応を検知!」

「翼さん!オートスコアラーの強襲です!」

『了解しました!暁、月読両名と共に急行します!』

 

翼に通信をかけた緒川は戦う力を持たない未来とエルフナインの救出へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 コンビニに買い出しに向かっていた翼、切歌、調は浜辺に現われた此処から確認できるデスアーミーを見て本物だと興奮している少年達をどうにか避難させていると声をかけられる。

 

「な、なぁ!アンタら響の仲間なんだろ!?」

「急になんだ貴方は。」

「俺はあの子の父親だ!あそこに響が居るのか!?」

「答えることはできません。今は避難を此処は危険です!」

 

この島に住んでいたのだろうシドニーの消滅から生き延びた洸がソット・ヴォーチェの中でちらと見かけた翼にそう聞くと返ってきた答えで響がそこに居ると判断したのか向かおうとするが翼に止められる。

 

「ならば今は連絡先となるものを!後で私が立花に渡しておく!」

「信じるからな!」

 

洸はそう言うと自身の連絡先が示されたメモを翼に渡すと避難していった。

 

「本当に響さんに渡すんデスか?」

「特徴を伝え立花が父だと言ったならばだ。」

 

そう言うと翼は二人と共に急いで浜辺へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 剣を抜きガリィと戦うマリアはイグナイトモジュールを使用することを躊躇っていた。

 

(今抜いて暴走すれば目も当てられないことになる。)

「私が聴きたいのはそんなつまんない歌じゃないっつーの!!!」

 

トリッキーな動きでマリアを翻弄し攻撃を続けるガリィにそう言われながらもマリアはやはりマイクユニットに伸ばす手を途中で止めてカウンターでガリィを海に吹き飛ばす。

 

「抜かずともお前如き十分だ!」

「だったら抜かせてやるよぉ!!」

 

ガリィではなく彼女が変貌したことで出現したウォルターガンダムが海中から姿を現すとマリアを跳ね飛ばす。

 

「ぐぁああああ!!!」

「マリアさん!」

 

跳ね飛ばされたマリアの側に緒川の元から飛び出してきたエルフナインが駆け寄る。

 

「エルフナイン何をしているの!?」

「マリアさんが教えてくれたんです!僕らしくあれって、それはきっとマリアさんにも当てはまるんです!」

「私にも当てはまる・・・。そうか、そう言うことだったね。」

 

エルフナインの助言によって何かを掴んだマリアがウォルターガンダムの前に立つ。

 

「あらぁ、まだ立つのアイドル大統領。」

「ええ、何度でも立つわ。なぜなら今の私は強い。エルフナインから貰った勇気がある私は強い!イグナイトモジュール抜剣!」

 

剣が抜かれマリアの胸を貫く。

 

「お、おぉぉおおおお!!!」

(今までの私は過去の過ちから目を逸らしていた。だけどそれは呪いを押さえつけるのと同義!ならば今の私は!)

 

呪いを乗り越えたマリアのアガートラームがイグナイトへと進化する。

 

「弱さをも受け入れ強くなる!」

「弱さが強さ?トンチかよ。」

「トンチではない!」

 

抜かれた剣が響とクリスを襲うデスアーミーとアルカノイズを一撃で一掃する。

 

「でやぁぁぁあああ!!!」

「んな!?」

 

そして球状の殻に包まり攻撃を防ごうとしたウォルターガンダムの殻を破壊し吹き飛ばす。

 

「来い!ガンダム!!」

 

マリアの求めに応じソット・ヴォーチェよりセレナーデが無人発進するとワイバーン形態で彼女の元へと飛来しコックピットへとその身を収めさせるとモビルスーツ形態へと変形しイグナイトのオーラを纏うとセレナーデシステムを起動するが今回はマリアがシステムを掌握する。

 

「小細工は不要!最大出力だガンダム!!」

 

最大加熱されたヒートロッドがウォルターガンダムを縛り上げる。

 

「一番乗りゲット~♪」

 

そしてウォルターガンダムはヒートロッドによりバラバラにされるとガリィごと爆発した。

戦いの行く末をコテージの上でフォトスフィアのデータを回収したファラが眺めていた。

 

「お仕事ご苦労様よガリィちゃん。」

 

堅実に任務を達成した仲間に彼女は労いの言葉を送った。

 

 

 

 

 

 

 ガリィを撃破した後の夜、功労者であるマリアを労いながら皆で花火をしていると響に翼が話しかける。

 

「立花、以前お前が知らないと言っていた男がお前の父を名乗っていた。」

「ちょっと昔に喧嘩みたいなことがあって会いづらかったんです。」

「そうか、連絡先を控えさせたが必要か?」

「はい。ちゃんと話をしたいですから。」

 

洸の連絡先を響は翼から受け取った。

 

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