機動戦姫ガンダムSG   作:鍋の中の白い奴シラタキ

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心重ねて

 GPDの筐体が創り出した仮想空間の内部で洸の操るストライクユニコーンが腕部のハイパービームトンファーにて相手のガンプラを圧倒的な暴力でもって破壊すると彼の勝利を告げるアナウンスが発せられる。

 

「どうだ響!お父さん優勝したぞ!」

 

バックパックにマグナムドラグーンを納めるストライクユニコーンと同タイミングで洸が幼い響の方を向く。

 

「凄いかっこよかった!」

「だろぉ!!」

 

これは在りし日の想い出もう帰ってこないもの。

喜び合う親子を観客の中から見ていた響は直ぐさまこれが夢だと言うことに気がつくと意識を現実に浮上させる。

 知らず零れていた涙を拭うと響は洸の事を頭から追い出す。

 

(もう、戻ってこないんだ。)

「検査の結果では異常はありませんでしたが、どこか痛みますか?」

「ううん、大丈夫。」

 

GS細胞が何か異常を起こしたのかもしれないと思い訪ねるが響は感情的な問題で不安を与えるわけにはいかないと考え問題なしと伝える。

 

(やっぱり響さん本人にも伝えた方が、ですが弦十朗さんに止められていますし。)

 

エルフナインが響の内にあるGS細胞を本人に伝えた方が良いかもしれないと考えていると先ほど響が涙を流していた理由を察した未来が響に問いかける。

 

「もしかして洸さんと何かあったの?」

「未来には隠し事ができないや。お父さん昔はかっこよくて頼りになったのに、今は全然そんな事なくてさ自分がやったことについてもへらへらしててかっこ悪かった。あんなお父さんの姿見たくなんてなかったよ。」

「響・・・。」

「でもへいき、私には未来が居るから。」

 

貴女がいるから大丈夫と言う響に未来は本心では父親に戻ってきて欲しいと思っていることを先の言葉から察していたが今の響には何も言うことができなかった。

 響より先に怪我の手当と身体に異常がないかの検査を終らせた切歌と調は共同溝での戦いにおいて様子のおかしかった響が気になってメディカルルームの近くまで来ていたが響の言葉を聞いて自分達にはどうにもすることができないことだと悟る。

 

「複雑怪奇な問題が過ぎるデス・・・。」

「力になりたいのに、どうにもできないなんて・・・。」

 

どうしようかと顔を見合わせた二人であったが共同溝内での戦いでの互いの行動が原因で喧嘩していたことを思い出すとぷいと顔を逸らし別々の方向へと歩き出していった。

 

『リンカーの量にも限りがあります。』

 

だが二人の耳にはエルフナインから用心としてリンカーを渡された際に言われた言葉が木霊していた。

 

 

 

 

 

 

 共同溝内でマリアから与えられたヒントを元に調べた緒川が弦十朗に敵の狙いを伝える。

 

「敵の狙いは電機経路の調査だと?」

『はい、恐らくシドニー襲撃事件の際に首都圏の電力設備を襲ったのは政府の重要施設を割り出すのが目的だったかと。』

「だがそれが狙いにしては陽動がでかすぎる。どちらも本命と考えるのが妥当か。」

『ええ、あの世界を分解するモビルアーマーはもう一機以上あると考えた方が良いでしょう。』

「まぁそれが常套だな。」

 

A.B.E.L.の見解としてはシドニー襲撃事件の際に使用されたモビルアーマーはエルフナインの予測も交えて試作機が妥当と言うものになっておりそのためにあの威力を超える力を持つと思われる本命のモビルアーマーが日本で使用されるというものが最も有力な説になっていた。

 

「鎌倉からもこれ以上土を踏ませるなと痛いほど言われているしな。」

『あの方言うでしょうね。既に首都圏の電力設備のみならずキャロルによって街が一つ分解されてしまっていますから。僕は別の方面からもキャロル残党の狙いを探ってみます。』

「頼んだぞ。」

 

緒川との通信を終えた弦十朗は報告書に目を通す。

 

「翼のモビルスーツは後は搬入を待つだけか。」

 

そこには翼のモビルスーツが完成し現在は日本において保管されていることが記されていた。

 

 

 

 

 

 

 チフォージュ・シャトー広間の床に首都圏の電力の優先的な送電先が記された図が表示される。

 

「派手ながら丁寧に剥いてきたな。」

「与えられた任務をこなしただけです。」

「貴女、私たちオートスコアラーよりも人形じみてますわね。」

 

からかわれるも何も反応を返さないフェルトにファラはつまらないとあからさまに興味を無くす。

 

「さてと、俺は最後の仕事に行きますかね。」

「同行の許可をマスター。」

「そうだな、お前はそこでまだおねんねしてる奴の指示に従え。」

「っ!」

 

これからガラッゾで出撃しA.B.E.L.に襲撃をかけるソネットに同行するつもりであったが断られたことでフェルトが顔に僅かであるがショックを浮かべる。

 

「文句か?」

「いえ、オーダー受諾しました。」

「おう、それで良い。」

 

素直に従ったフェルトにソネットは満足そうに頷くとガラッゾの元へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 ソット・ヴォーチェ内での私室で微睡んでいた響はスマホに着信が入ったことで眠気を振り払う。

スマホの着信画面に表示されるとはついぞ思っていなかった『訃堂さん』と言う名前に驚愕する。

何故あの日風鳴本家を出てから言葉を交わすことさえなかったのに思いはしたが電話をかけると言うことは用があると言うことなので響は通話に応じる。

 

『久しいな。』

「お久しぶりです。」

『言わんとすることは分かっているな。』

「シドニーの事ですか?」

 

そう言われた訃堂は数瞬黙ると一つため息の後に告げる。

 

『何故儂がお主に剣を教えた。』

「それは命を助けるためですよね。」

『夷狄より日の本の地を守るためよ。それがどういうことだシュウジにさえ及ばぬ錬金術師如きに国を荒らされおって!与えたガンダムはセブンソードたるエクシアお主が望んでいたものだ。もう分かっていような言わんとすることが。』

 

告げられる言葉から響は消えていった命の数を今一度振り返ると訃堂に言う。

 

「もう、誰も消させません。貰ったエクシアで私の拳でシンフォギアで護ります。」

『それで良い。血で塗れることを恐れるな。貴様の師たる東方不敗は守るべき者の為には血で塗れることを恐れなかったぞ。』

「・・・師匠が、分かりました。」

 

自らに流派東方不敗を伝授した東方不敗は守りたいと誓うもののためには自らが血に塗れることを良しとしたと伝えられた響はある種の覚悟を決めた。

 

『儂も忙しい切るぞ。』

 

訃堂は言うことは言ったとばかりに通話を一方的に断ち切った。

 

 

 

 

 

 

 A.B.E.L.に所属こそしているものの未だ学生でもある切歌と調はソット・ヴォーチェより降りて自宅へと向かう途中に上空から突如として放たれたGNバルカンが破壊した神社に目を奪われる。

 

「さぁ、遊ぼうぜ!モビルスーツ同士でな!!」

「シドニーが消えた時に居たモビルスーツ!Various shul shagana tron.」

「調!Zeios igalima raizen tron.」

 

シンフォギアを纏っての迎撃の方が早いと判断した調がギアを纏いヨーヨーのアームドギアを振るいガラッゾの周辺に召喚されていくアルカノイズを倒していく。

 

「そっちで来るか、だったら俺もあわせてやるか。」

 

モビルスーツではなくギアを纏ってきた二人を見てソネットはネフシュタンのファウストローブを纏うとコックピットから飛び出し調を地面に蹴り落とす。

 

「戦いだ!争乱こそが最も俺を滾らせる!」

「良くも調を!!」

「どうしたお子ちゃま!いつもみたいに仲良く歌わねぇのか!!」

 

ファングが殴られ地を転がる切歌に襲いかかるがそれを調が防ぐ。

 

「どうして、どうして考え無しに庇うデスか!」

「やっぱり、私を足手纏いと思ってる!」

「違うデス!調が大好きだから傷ついてほしくないんデス!」

 

そう言い調の背から飛び出しソネットに鎌を振るうが障壁に阻まれる。

 

「唯女になっただけじゃないのさ!こいつはぁ!」

「あぐぅあ!」

 

ファングに吹き飛ばされた切歌が地面を滑る。

苦戦を強いられている二人の元に弦十朗から通信が入る。

 

『直ぐに増援を送る!それまで、耐えてくれ!』

 

だがインカムの向こうから轟音が響く。

 

『グランドガンダムだと!?』

「だったらあたし達のガンダムを!」

『分かった!今より向かわせる!』

 

グランドガンダムの襲撃にあったソット・ヴォーチェにせめてツインエッジを寄越せとの要請を送った切歌の求めに応じて弦十朗はグランドガンダムをソット・ヴォーチェの兵装で迎撃しながら切歌と調の元へツインエッジを向かわせる。

 

「切ちゃん、私も切ちゃんに傷ついて欲しくない。」

「あたしは前に調に庇われたときに分かったんデス。どうしてみんながあたし達を怒るのかそれはみんながあたし達の事を大切に思ってくれてるから。」

「私達の事を大切に思ってくれるみんな。そんなみんなが居る世界を残してくれたマムの為にもかっこ悪くなんて居たくない。」

「だったらかっこよくなるしかないデス!」

 

並び立ち手を合わせた二人が相手のマイクユニットに手をかける。

 

「二人揃ったザババの刃は!」

「無敵デス!」

「「イグナイトモジュール抜剣!」」デス!」

 

抜き放たれた剣が二人の胸を貫くとその身を黒く覆うが互いの存在を寄る辺にダインスレイブの呪いを御する。

 

「そうこなくちゃ面白くねぇ!!」

「ここからは!」

「マイターンデス!!」

 

イグナイトの力に加え起源と同じとする聖遺物を纏った二人の歌が重なりフォニックゲインが爆発的に高まると先ほどまでは優勢であったソネットを着実に追い詰めていく。

 

「ははははははは!!!!想定外だぁ!ここまでとはなぁ!」

 

下半身を二つの刃に挟まれ泣き別れとなるもネフシュタンの力で即座に再生したソネットが空中に待機させていたガラッゾに乗り込むとタイミング良くガンダムツインエッジが到着する。

 

「調!」

「切ちゃん!」

 

二人もコックピットに乗り込むとバーニヤを噴かせるとビームサイズを構えさせソービットを放つ。

 

「トランザムよぉ!!」

 

トランザムを発動したガラッゾであったが高まり続けるフォニックゲインに後押しされ機体性能以上の性能を発揮したツインエッジに翻弄される。

 

「んだとぉ!?」

「「これで終わりぃぃぃぃいい!!!」」デェェェス!!!」

 

ビームサイズがガラッゾのコアファイター諸共コックピット付近を貫くと接触回線による通信が入る。

 

「覚えとけ、こいつが命を奪う瞬間よぉ!!」

 

わざとモニターにビームで焼かれていく自身の姿を映したソネットの姿に二人が息を飲んだ瞬間に彼女の笑い声と共にガラッゾは爆発した。

 

「倒したけど・・・。」

「胸くそ悪いデス・・・。でもこの選択をあたしは後悔しないデス。」

「ガンダムに乗るって事はこういう事だもんね切ちゃん・・・。」

 

ガラッゾの撃破と共にグランドガンダムも撤退しその相手をしていたレラジェとセレナーデに乗っていたクリスとマリアも一息ついていた。

 

 

 

 

 

 

 チフォージュ・シャトーの広間に安置されていた箱が開く。

 

「逝ったか・・・いや絶える直前でパヴァリアに戻ったか。まぁ良い、世界の終わりは更に加速した。」

 

ミカが居た土台が光を放ったのを見て蘇ったキャロルがほくそ笑む。

 

「貴女に指示を受けろとの命令。」

「お前のマスターは今よりオレだ。」

「受諾、了解マスター。」

「元よりお前はオレが産みだした存在だこの形が正しい。」

 

フェルトにそう告げると宇宙に居る廃棄躯体が行っているアルニムの建造が終了していることを知ったキャロルは哄笑をあげた。

 

 

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