舞い上がる瓦礫を足場に響は鞭の隙間を身体を捻り通り抜けるとクリスの前に着地すると下段に拳を構える。
「これ以上、貴女の手で何かを壊させたくない!!」
腹を殴りつけ鎧を砕きながら響はクリスを天にかちあげると跳躍し痛みに呻いているクリスの足首を掴み近くの森の中に投げ飛ばす。
「もうやめよう!これ以上やっても無駄なんだ!!」
「うるさい!!あたしはお前を連れて行く!!そして証明するんだ!あたしの価値を!」
生き物のように放たれる鞭を躱しながら響は先ほど自身が殴りつけ破壊したはずの鎧が再生していくのを目撃しさらにクリスが鎧が再生していく毎に苦悶の表情を浮かべているのを見ると自然目つきが鋭くなる。
「誰に!」
「お前に分かるかよ!独りぼっちの恐怖が!」
頬を濡らし慟哭をあげるクリスは白い光球を響に放つ。
「痛みだ!人は痛みだけで愛を知れるんだよ!」
「そんなこと!」
「持ってけダブルだぁ!!」
更にもう一発放たれた光球と合わさり巨大化したそれを響は真正面から受け止めると火傷を負った手をクリスに向けて差し出す。
「だったらこの痛みが私に対する愛ってことだ。」
「お前・・・。」
一歩響が近づくとクリスが一歩さがる。
『どうする、彼女は外界を知らぬ子猫いや、あの目地獄を知った者か。』
「私は痛みが愛なんて言わない!」
「来るなよ・・・。」
拒絶されてなお響は歩み寄る。
「来いと言ったのは貴女だ、来るなと言うなら私が連れて行く!貴女を縛るその呪い此処で断ち切る!!」
「何処にだよ!!」
「私の元に!」
歩を止め拳を握ると手の甲にガングニールのアウフヴァッヘン波形の紋様が浮かび光り輝く。
「私のこの手が愛で救えと輝き唸る!!」
「光っ!」
輝く拳を構えた響がネフシュタンの鎧を引き剥がさんとクリスに迫る。
「必殺!シャァァァアアイニングフィンガァァァァアアア!!!」
「ネフシュタンが!?」
それはクリスにダメージを与えることなく鎧を剥がしていく。
「あたしはもう負けるわけには!!ぶっ飛べよアーマーパージだ!」
「な!?」
まさかのアーマーパージによって響は剥がそうとしていた鎧ごと吹き飛ばされ木に打ち付けられる。
「いっつぅ・・・。」
「Killter Ichaival tron.見せてやる!雪音クリスの!イチイバルの力を!!」
「
起き上がった響の目に赤いシンフォギアを纏ったクリスの姿が目に入るがそれよりも重大な事に気づく。
「それは良いや。やっと名前を教えてくれた。」
「は?教えたつもりはねぇ!」
「だったら私も教えてあげるよクリスちゃん。私の名前は立花響。九月十三日生まれの乙女座で今年一五歳!好きな物はご飯とエクシア!そして彼氏いない歴は年齢と一緒!体重はもう少し仲良くなってから教えてあげる。」
「自己紹介会場じゃねぇんだよ!」
叫びと共にクリスのアームドギアから放たれた弾丸を響は全てキャッチすると地面に放る。
「馬鹿にしてんのか!?あたしに大っ嫌いな歌を歌わせたんだ!これで終わりだと思うな!!」
以前頬を濡らしながら響に向け攻撃を仕掛けるクリスであったが響は木々や砕いた地面を盾に巧みに躱していく。
「嫌いなもんか!クリスちゃんの歌には隠しきれてない好きがある!!」
「あたしの事何も知らないくせにヌケヌケと!!」
「知らない!だからこれから互いにわかり合っていきたいんだ!!」
「綺麗事!青くせぇんだよ!!」
激情のままに放たれたミサイルがガトリングを躱し隙ができた響に吸い込まれていく。
「くっ!」
「しまっ!」
撃った方のクリスが何故か動揺する中彼女の前で響が爆炎に包まれる。
(これで良いんだ。後は気絶したアイツを。)
舞い上がった土埃が晴れるとそこには壁が立っていた。
「壁?」
「剣だ!」
声の方向に顔を向けるとそこには巨大な剣の上で腕を組む翼が居た。
「は!死に体でおねんねって聞いてたんだがな!」
ひとまず響が無事であったとして安堵からかクリスは翼に悪態をつく。
「様変わりしたわね。今の貴女は助けを求める少女にしか見えない。」
「揃いも揃って!」
剣を消した翼が響の前に降り立つ。
「立花、今の私は十全ではない。貴女の助け期待しているわ。」
「任せてください翼さん。それと私はクリスちゃんを助けたいです。」
「そうね、彼女は刃を交える相手ではない。」
敵として見られていないことにクリスは叫ぶ。
「どうしてだ!あたしらは今までやり合ってたんだぞ!」
「貴女を操る悪意、それこそが私たちの真に倒すべき敵だからだ。」
翼がそう言った時辺りに声が響く。
「やはりもう駄目だったみたいね。」
「フィーネ!」
「フィーネ、終わりの名を持つ者。」
声の主がいる方向を向いたクリスの視線を追うとそこには沈む夕陽を背にソロモンの杖を持つフィーネが居た。
「命じられた事もろくにできない貴女はもう要らないわ。」
周囲に散らばったネフシュタンの鎧が光を放つとフィーネに吸い込まれると飛行型ノイズが放たれその場に居る全員に襲い掛かる。
「どうしてだよフィーネ!」
「危ない!」
フィーネに気を取られていたクリスに迫るノイズを響は蹴り倒すとクリスの腕を掴みフィーネに向かうのを止めるとフィーネに向かって言う。
「貴女がクリスちゃんに今までの事を!?」
「だとしたら?」
「貴女は歪みだ!」
「ほざけ小娘が。」
失笑とばかりに言い捨てたフィーネが夕陽と共に去って行く。
「放せ!」
「クリスちゃん・・・。」
手を振り払ったクリスが飛び退ると追ってこようとした響の足元を撃つ。
「来るな!あたしらが一緒に居られる訳がねぇだろうが!!」
「クリスちゃん!」
襲ってくるノイズに邪魔された事で響はクリスを行かせてしまった。
「立花!あの子を探すのはコイツらを倒してからにしなさい!」
「・・・はい。」
呼び出された数はそこまででもなかったのかノイズは直ぐに殲滅された。
「師匠!クリスちゃんは!?」
『イチイバルの反応は先ほどロストした。だが、彼女の行方は目下捜査中だ。響君、今は帰還するんだ。』
「了解です。」
二人は迎えに来た二課の車に乗り本部へと戻っていった。
◎
一足先に二課本部に降りメディカルチェックを受けている響とは別に翼は遅れて二課本部へと向けエレベーターに乗っていた。
(人のみならざる私にも戦う理由と言う物がまたできた気がする。だけど奏、貴女の言う戦いの裏側を私はまだ見ることができない。)
「だったら人に戻れば良い、簡単なことじゃないか。そんなにガチガチだといつかポッキリ折れちまうぞ。奏だったらこう言うのでしょうね。」
声色を真似し奏が言いそうなことを口にしているうちにエレベーターが地下に到着する。
(だが今更戻ったところで何をすれば良いのか分からないではないか。)
心の中で翼が自嘲しているとエレベーターの扉が開き外に出ると声がする。
『好きなこと。好きなこと。』
「立花のハロ?」
心の中を聞いていたかのようにハロが翼の疑問に答える。
「あなたは何者なの?」
『ハロー、翼!ハロー!』
誰何に答えないハロを抱え翼は司令室に向かう。
(好きなこと・・・私にも昔、夢中になっていた物があったはず・・・。)
それはまだ分からない。
◎
メディカルチェックが終り軽い火傷こそ有ったものの他には疲労が大きい位で命に別状はなかった響は二課でのミーティングを終らせると帰宅していたがしかめっ面で雑誌を読む未来を見てなかなか部屋に入ることができないでいた。
「いつもまでもそこに居ないで入ってきたら此処は貴女の部屋でもあるんだから。」
「ごめん未来、危ないことしてないって言ってたのに。」
「どうして謝るの?良いことしてたんでしょ?」
「未来・・・。」
それだけ言うと未来は雑誌を閉じていつもは使わない二段ベッドの下に入りカーテンを閉め拒絶を示す。
(一番守りたい人を悲しませて私は何やってるんだろ・・・。)
何をする気も起きずに響はハロを抱いたまま二段ベッドの上で布団にくるまり蹲る。
(私なんかより未来の方がずっと苦しいはずだ。私は未来が居ないとガンダムになれない・・・弱いなぁ。)
眠気には勝てずにやがて響の瞼が閉じていくと肌を風が打つ。
「私ベッドで寝てたはず・・・。それに此処って。」
気がつくと響はあの日のライブ会場に居た。
上空から影が差しそれが会場に中心に降り立つ。
「ガンダム・・・エクシア・・・。」
コックピットハッチが開き中から青いパイロットスーツを着た青年が出てくると地に足を着くとヘルメットを外し顔を晒すと金に輝く瞳が響を射貫く。
「立花響、お前にとってのガンダムは救いの光と言ったな。」
「刹那・・・。」
「俺の名は今はどうでも良い。この光景はお前が生み出した物だからだ。」
手を伸ばせば触れそうな距離に来た刹那が人だった炭が舞う会場を見渡す。
「ガンダムとなり世界から歪みを排する前にお前にはなすべき事がある。仲間を信じることだ。」
「私は翼さんを信じています。」
「風鳴翼のことではない。」
会場の観客席を向いた刹那の視線を響も追うとそこには悲しそうにこちらを見る未来が居た。
「未来!」
「立花響、対話だ。」
「でも未来は目も合わせてくれなくて・・・。」
「信じてやるんだ彼女の強さを。」
話し合えと促した刹那がエクシアに乗り込み天に舞い上がっていくの眺めていると後ろから声が発せられる。
「そう真面目になりすぎちゃだめだぜ?」
響が振り返るとそこにはガングニールを纏った奏が瓦礫に座り込み天を翔るエクシアを眺めていた。
「奏さん?」
「他の誰だって言うんだ。アンタにも翼の真面目がうつったのか?まぁあたしの言いたいこともあいつが言ったしなぁ。」
「私、貴女みたいに誰かを助けられるようになりたくてでもそれで一番守りたい人を傷つけて!」
更に言葉を続けようとした響であったが奏に頭を撫で回され言葉を止められる。
「見てたから分かるさ、あたしに憧れてくれてるんだろ?嬉しいことだよ。あいつは話せって言ってたけどさあの子はアンタがノイズとかと戦って傷ついてくのが嫌なんだよ。それはわかってやりな。此処を出て直ぐに話し合おうとしても拗れるだけだ少し時間を置くことも大事なのさ。」
会場を照らしていた夕陽が沈み始める。
「時間だな。これだけは最後に言わせてくれ、あたしの歌あの時あんたの胸に刻んでくれてありがとう。」
『グッドモーニング、響!グッドモーニング!』
ハロの目覚まし機能が起動したのか響の視界が暗転し瞼を開くと目を点滅させモーニングコールを続けるハロが居た。
『起きたか!起きたか!』
「おはよう、ハロ。」
ベッドから身を起こし下をみると既に未来はおらずリディアンに登校した後だった。
だがテーブルの上には響の分の朝食がラップをかけられて用意されていた。
(優しいな未来は・・・。)
『もうすぐ遅刻。もうすぐ遅刻。』
「え!?」
時計を見ると既に八時半であった。
夢での出来事を響は不思議と全て覚えていた。
◎
二課本部に存在する自身の研究室にて了子はマグカップ片手に思考に耽っていた。
(二年前に行われた天羽奏と風鳴翼のライブ形式を取った起動実験において観客からも発せられるゲインを利用してネフシュタンの鎧は一先ずの覚醒が行われた。)
マグカップに入ったコーヒーを飲み一息つくと了子は思考を続ける。
(だが先日のデュランダル移送計画にて立花響は襲撃を仕掛けてきたネフシュタンの少女改め雪音クリスとの光線においてたった一人でデュランダルを起動させあまつさえ絶唱を解き放ち制御下に置く。今日の昼間彼女の意思一つでデュランダルが振るわれる事象が発生。)
「幸い穿たれた穴は支障を及ぼさなかったが少し肝を冷やされた。」
響が写った写真を手に取った了子がそれをマジマジと見つめる。
「融合症例第1号、貴女は可能性よ。何せ絶唱を歌ったにも関わらず肉体に掛かっていた負荷は想定よりも遙かに小さな物。貴女がかつて人類にかけられた呪いを解く鍵となるのよ。」
口角を上げ喜悦に浸る了子の更に下デュランダルの安置されている最深部よりおよそ地下に100メートル辺りにて一瞬赤い光が灯り笑い声のような音を響かせると来る目覚めに向け眠りについた。
1/1ハロ出ないかな
タイトルについて
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