機動戦姫ガンダムSG   作:鍋の中の白い奴シラタキ

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恐怖!恐るべきカルマノイズ!

 デビルノイズ達との戦いを終らせた響は自宅で包帯を取り替えていた。

 

「また広がってる・・・。」

 

包帯の下にある皮膚は肌色ではなく銀色の輝きを放つ金属に覆われていた。

即ちそれはDG細胞による浸食である。今はまだ心臓のガングニールの欠片によって手足までの浸食で留まっているがそれは響自身には分からずいつ自分がこれに覆い尽くされてしまうのかという恐怖に襲われていた。

 

『殺せ、殺せ。殺し尽くせ、未来の為に。』

「殺して手に入る未来なんて無いっ!!!」

 

血を滲ませながら腕からDG細胞の皮膜を無理矢理剥がす。

皮膚を引き剥がしているのも同然の行いのために激痛が走るが頭の中に響く声がこの行いによって小さくなるので響は躊躇いなく皮膜を引き剥がす。

 

「っ!」

 

消毒液をありったけにぶちまけた後に包帯をギチギチに巻き付けると一息つくとテーブルの上のカロリーバーを一気に食べると水を流し込み食事を終える。

 

「・・・味がない。」

 

カロリーバーのパッケージにはフルーツ味との記載はしてあったが響の下はそれを感じ取ることはもうなくなっていた。

 

「味あったんだ・・・。」

 

パッケージを見ていよいよ自分の身体が人ではなくなってきていることに響の心は寒さを感じていた。

 

「だけどこの残酷が私には相応しいんだ。」

 

誰も手を差し伸べてくれない暗闇に閉ざされた世界こそが立花響には相応しいだけどもう忘れてしまったけどもずっと昔には誰かが隣に居てくれたような気がしたが響は妄想だと切って捨てた。

 

 

 

 

 

 

 一時的に宇宙にあがったソット・ヴォーチェからプチモビがキャロルとの決戦が行われた宙域の幾度目かの調査を行っていた。

 

「響は見つかったんですか?」

「回収された敵のモビルスーツに残されていた映像そして了子君の予測から響君は現在どこかの並行世界に居るものと思われる。」

「並行世界・・・待ってください。それじゃ響は今この世界に居ないって事ですか!?」

「高い確率でそうなるだろう。」

 

もし響が見つかった際に早く会えるようにとカナデと共に宇宙に上がってきていた未来は軽く目眩を覚える。

命懸けで世界を救ったのにその世界から消えてしまったそれはあまりにもあんまりではないのか。

 

「司令!地上のクリスさんから欠片が見つかったとの報告が!」

「本当か!」

 

米国のF.I.S跡地にて少ない可能性であるがあるかもしれないとフィーネが言っていた聖遺物の欠片が発見されたとの報告が入り弦十朗はそれに喜びを露わにする。

 

「見つかったって何が見つかったんですか?」

「世界と世界を繋ぐ聖遺物ギャラルホルン。その欠片だ。」

「世界を繋ぐそれで響を見つけることが!」

「ああ、可能かもしれん。」

 

そしてプチモビで構成されている調査隊が漂っていたエレクライトソードを回収して帰還する。

 

「見つかった剣はこれで二振り目か。」

「ですが縁というものがあるとすればこの剣とギャラルホルンの欠片で響さんの居る世界を特定することができるのではと僕は考えています。」

 

会話を聞いていたのかエルフナインが意見を述べると弦十朗はそこら辺は技術班に一任することにし地上への効果指示を出す。

 

「米国のF.I.S跡地に艦を降ろすぞ!クリス君達を回収したのちに日本へと向かう!」

「「「了解!」」」

 

その後A.B.E.L.は米国にてギャラルホルンの欠片と共にクリス、調、切歌を回収し日本へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 デビルノイズとの戦いを終らせたクリスとマリアは翼に連れられ並行世界の二課本部へとやって来ていた。

 

「此処が特異災害対策機動部二課。」

「あたしも入ったことねぇからよくわかんないな。」

「そうなの?」

「ああ、あたしが二課に入ったときには今みたいに潜水艦だったからな。」

「へぇ。」

 

並行世界とはいえ初めて入る二課本部を話題に二人が雑談をしていると司令室の前に到着する。

 

「着いたぞ此処が司令室だ。」

「此処ね。」

 

そして二人は自分達が何故この世界にやって来たのかの理由を説明する。

 

「なるほど、完全聖遺物ギャラルホルンか。だが君たちの言うような黒いノイズ、カルマノイズだったかそれは観測されてはいないな。」

「では何故ギャラルホルンはアラートを・・・。風鳴司令あの銀色のノイズは一体なんなの?人に触れても炭化せずにゾンビのような物へと変貌させていたが。」

「あれか、あのノイズを我々はデビルノイズと呼称している。恐らくだがギャラルホルンがアラートを発したのはデビルノイズが原因ではないのか?」

 

弦十朗の予測を聞きマリアが納得をしようとしていると翼が口を挟む。

 

「ですがそれならば二年前に何故彼女たちはこの世界に来なかったのですか?デビルノイズに反応したと言うことなら二年前に彼女たちが装者ではなくとも彼女たちの世界に私が居るならばこちらに来ていたはずです。」

「デビルノイズは二年も前から出現していたのか、であればやはりギャラルホルンが反応したのはカルマノイズ。まさかこれから現われると言うのか。」

「これから更に強力な力を持ったノイズが、だと?」

 

あくまでギャラルホルンが反応するのはカルマノイズ、そうと仮定しその予測に翼が戦いていると司令室にアラートが響く。

 

「ノイズ、デビルノイズに酷似した反応を検知!!!」

「まさか!!」

「周辺映像出ます!これは、黒いノイズです!!!」

「カルマノイズだとぉ!?」

 

噂をすればなんとやらで現われたカルマノイズが大勢の人々がいるただ中に現われ瘴気をまき散らし人々同士を争わせ始める。

 

「場所を教えろ!直ぐに行く!」

「待ちなさいクリス!私も行くわ!」

「司令!私も行って参ります!」

「頼んだぞ三人とも!」

「場所は商店街付近だ!」

 

カルマノイズが出現した場所を聞いた三人は迅速に向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 天候が安定し晴れた雪山にて響は奏から貸してもらった腕輪をいじっていたのだがウンともスンとも言わなかった。

 

「奏さん、これ動かないですよ?」

「そうなんだよなぁ。寒すぎたら携帯動かなくなるだろ、それも結局は機械みたいでさ此処が寒すぎて起動しなくなっちまった。」

 

良い笑顔でそう宣う奏に響は頬を引き攣らせながらも奏の左腕に腕輪を嵌めた。

 

「どうしましょっか・・・。」

「とりあえずこれ焼いて食おうや。」

 

偶然見つけた結構でかめの鳥を指さしながらそう言う奏に響は黙って頷くと錬金術で頭部を撃ち抜き仕留める。

 

「ガンダムのところに戻りましょう。」

「おう。」

 

エレクライトガンダムの側で仕留めた鳥を調理し二人で分けてお腹を満たした後にどうするべきかと考えていた響はお腹が満たされたからかアイデアを思いつく。

 

「奏さんコックピットに行きましょう!」

「いいけど何すんだ?」

「今ならガンダム動かせるような気がします!あの時キャロルちゃんと戦ったときにできた穴をもう一度作ることができたら世界を渡れますよ!」

「マジか!」

 

腕輪を再び借りてそれをコックピット内部のコンソールから伸ばしたケーブルと繋ぐと響はキーボードを叩き始める。

 

「自己修復機能で機体は大分治ってる。後は世界を渡る機能を整えれば。」

 

エレクライトガンダムと腕輪二つの中にあるはずの世界を渡る機能を響は探しているうちに腕輪の名前を知る。

 

「この腕輪、エレクライトって言うんだ。」

 

それは今現在自分が操るエレクライトガンダムと同じ名を冠しており。

かつてGBNでディメンションをぶち抜く程の加速を見せたライトニングフラッグに搭載されていたエレクライトシステム。

あれらもそう言えばと思い出した響はエレクライトという名前に運命染みた何かを感じる。

 

「あったこの機能だ。腕輪の方は整ってるけどガンダムの方が粗さが過ぎる。これじゃエネルギーのロスが半端じゃない。ここは腕輪の方の機能をベースにしてモビルスーツ規格に合わせて・・・。」

 

イノベイター特有の量子脳を利用した超速の思考を行いエレクライトガンダムの並行世界移動機能を整えていく響を奏は感心した様子で眺めていた。

 

「後二、三時間ください。それで組みます。」

「そこら辺はアンタの裁量に任せるさ。」

「ありがとうございます。」

 

プログラムを整えるのに合わせて響は可変機構に掛かっていたロックも解除した。

 

 

 

 

 

 

 出現したカルマノイズが人々を襲っているとその中の一部の人間がカルマノイズに襲い掛かり炭化し塵となる。

 

「クソ!正気を失ってやがる!」

「民間人は私が避難させる!翼とクリスはカルマノイズの足止めを!」

「任せとけ!」

「了解した!」

 

アームドギアを上手く利用しマリアが正気を失った民間人を退避させているとその中の一部の人間がゾンビ兵へと変貌しカルマノイズに襲い掛かる。

 

「なにが!?」

「ゾンビだと!?」

 

それが切っ掛けだったかのように空に亀裂がはしるとデビルノイズが出現しデスアーミーとなり降り立つとその瞬間に爆散する。

 

「なにしにきやがったんだ!?」

「うぉぉぉおお!!!」

 

舞い上がる土煙の中から飛び出した響がゾンビ兵の頭部を砕くと次にターゲットを定め襲い掛かる。

 

「待て立花響!彼らは人だぞ!」

「分かれ!あれはもう人じゃない・・・ノイズだ!」

 

手を震わせながら自らにそう言い聞かせながら新たなゾンビ兵を砕いた響がマリアを睨み付ける。

 

「それとも、お前も私を人殺しと言うの?」

「誰もそんなことは言っていないでしょ!」

「人は所詮、一人だ。誰も居ない世界には。」

「何を言っている!もっとわかりやすく言いなさい!」

 

問答をしている二人の間を翼とクリスが転がる。

 

「翼!クリス!」

「・・・ノイズ!」

 

獲物を見つけたとばかりに響は拳を血払いするとカルマノイズに殴りかかる。

 

「一人じゃ無茶だ馬鹿!力あわせんだよ!」

 

警告を発するクリスを無視して響は唯の一人でカルマノイズと殴り合う。

 

『蛇め、忌まわしき蛇。』

「うるさい!黙れ!」

 

頭の中に響く声に対しての声であったが傍目から見ればそれは協力を拒む声にしか聞こえない。

単騎でカルマノイズを相手取ろうと言う無謀など上手くいくはずもなく響は殴り飛ばされると壁にめり込む。

追撃を行うと思われたカルマノイズであったが周囲のフォニックゲインが低下したことに姿を消した。

 

「撤退したか・・・。」

 

カルマノイズが撤退したのを確認したマリアが起き上がった翼とクリスはともかくとしてめり込んだ状態で動かない響へと近づく。

 

「一人ではどうしても限界はあるものよ。だからこれからは――。」

 

カルマノイズの攻撃を受けた事でギアが解除された響にそう語りかけながら助けようとしたマリアは解けた包帯の下にあるDG細胞の皮膜を見つけてしまう。

 

「これは?」

「違うっ!」

 

ちょうど目が覚めたのか急いで包帯を巻き直した響はそう叫ぶと急いでマリアから距離を取る。

 

「私は違う!誰も殺してない!あいつらとは違う!」

 

震える手を抑えながら響は逃げ出していった。

 

「どうした何があった。」

「翼、デビルノイズに襲われたらゾンビになってしまうとのことだけど助かった例は?」

「少ないがある。初期の浸食であれば除去は可能だ。櫻井女史が治療法を確立したが、あくまで初期段階までだが。それがどうしたのか?」

「立花響にはその治療を行う必要があるとしたら。」

「まさか、立花響は浸食されているのか?」

「その可能性が高い。あの子にはなんとしてでもこちらに来て貰わないと。」

 

二人の会話を聞いていたクリスがぽつりと呟く。

 

「どこの世界のあいつも厄介な事になってやがる。」

 

砕かれたゾンビ兵によって血塗れた商店街に冷たい風が吹いた。

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