機動戦姫ガンダムSG   作:鍋の中の白い奴シラタキ

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最近更新時間が不定期なのほんと申し訳ない


神獣鏡起動

 引っ張り出した簡易キャンプセットで響が野宿を敢行しているころ。

心折れた翼を引っ張って二課本部に戻ってきたクリスとマリアはS.O.N.G.へ報告に戻らなければならないと弦十朗へと伝える。

 

「分かった、それに元々こちらは翼一人で対処していたようなものだ。」

「だけど今の先輩で大丈夫なのかよ。」

 

過去の咎に貫かれ意気消沈している翼を心配してそう言ったクリスに張本人である翼がメディカルチェックを終らせたのか司令室に入室する。

 

「問題ない。剣であれば折れている暇などない。私なぞよりも無辜の命を守ることの方が優先される。」

「自分一人守れない奴には誰も守れないってあたしは思うけどな。だから無理はすんな死んじまったら何にもならねぇだろ。」

 

自分の事を大事にしろとクリスが翼に言うと司令室にノイズの出現を知らせる警報が響く。

 

「通常のノイズです!」

「次から次にっ!」

「帰還前にもう一仕事を頼んでも良いだろうか。」

「見て見ぬふりはできないわ。」

 

カルマノイズの出現に伴いこれまで以上に出現頻度を増してきている普通のノイズの間を置かない再出現に三人は疲れも取れぬままに出撃した。

ノイズを倒しはしたものの今回は現われなかった響に接触の機会を持てなかったとクリスとマリアは少し落胆するが事前に伝えていたとおりにギャラルホルンによって開かれた並行世界を繋ぐゲートを通り二人の居た世界に報告の為に帰還していった。

 

 

 

 

 

 

 F.I.S跡地より回収されたギャラルホルンの欠片と思わしき聖遺物を最近は良く表に出てくるようになったフィーネの手を借りてA.B.E.L.がなんとか並行世界に飛ばされたであろう響を位置の特定をしようとしているところであった。

その男が唐突に司令室に現われたのは。

 

「貴様、一体どこから・・・。」

「繋いだのさ、点と点を。」

 

弦十朗からの問を受け流し我が物顔のようにコンソールを触りギャラルホルンの欠片を解析している区画への電力供給を男があっという間に止める。

 

「何が目的だ。」

「困るんだよ、呼び込まれては、デビルガンダムを。もうないからね、鎖は。開かれてしまったのさ、世界が。」

「何を言っている貴様。」

 

一応は目的を述べているのだろうが要領を得ない回答に弦十朗が困惑していると男は続ける。

 

「まだだったね、そう言えば、自己紹介が。無礼に当たるね、世界を守った君たちに。」

 

弦十朗に握手を求めるように手を差し出した男が言う。

 

「アダムさ。アダム・ヴァイスハウプト。GBNのゲームマスター、であり初代パヴァリア光明結社統制局長。」

「パヴァリア光明結社だとっ!?」

 

GBNのゲームマスターであるということを軽く流されパヴァリア光明結社統制局長という部分に注目が集まってしまったことで警戒されるがアダムは何食わぬ顔で握手を求める。

 

「ご隠居さ、今は。任せているからね、後継に。」

「隠居だと?」

「そうさ、オンラインゲームの管理人さ、気ままにね。」

 

愉快そうにそう言ったアダムは痺れを切らしたのかやや強引に握手をすると近くの椅子に座る。

 

「だが、お前はただのオンラインゲームの管理人ではないのだろう。何故秘匿されているはずのソット・ヴォーチェに誰にも気づかれぬ事なく入ってこられた。」

「居るだろう、キャロルが。縁があるからね、彼女とは。使わせて貰ったよ、目印として。」

 

この言い方ではキャロルが内通者になってしまうと考えたアダムは捕捉をつける。

 

「悪くないよ、彼女は。利用しただけだからね、僕が。」

「そんなことは分かっているさ。敵ではないというの言うのなら目的を言ったらどうだ。」

「やめるんだね、救出を、立花響の。」

「なんだと?」

 

今まさに助けようとしている者を諦めろと言われた弦十朗の声に微かに怒気が乗る。

 

「なってしまうのさ、世界の終わり、その呼び水に。」

「どういう意味だ。」

「気持ちは分かるよ、仲間を助けたいという。だが察知されてはいけない、鎖がないことを。戻ってきてしまうのさ、神を殺すために人を殺す。究極の人造神、デビルガンダムが。」

 

急に設備の電源が落ちたことで司令室にやって来た調とエルフナイン。今の調はフィーネが表に出ているが。

 

「お前は。」

「久しぶりだね。」

 

親しげにそう言うアダムに疑念の視線を送るフィーネであったがそれに構わずアダムが続ける。

 

「狂い果て、倒すべきものと同じく、世界を喰らう。そう言う存在さ、デビルガンダムは。」

「なにをしにきた人でなし。」

「接触は控えたまえ、並行世界に。」

 

軽く罵倒を交えてそう言うフィーネに答えたアダムは言葉を続ける。

 

「自らの力で行ったのだろう、立花響は。」

「あれは偶発的な物に過ぎません。」

「戻ってくるさ、力があるならば。帰らせてもらうよ、言うべきことは言ったからね。」

 

エルフナインにそう言うとアダム現われた時同様に姿を消した。

 

「了子君、あの男の事を知っているのか?」

「あれはカストディアンが生んだ文字通りの人でなしよ。」

 

嫌なモノを見たとでも言いたげにフィーネはそう言った。

 

 

 

 

 

 

 ギャラルホルン世界に二人が帰還し報告を行ったが更に悪化している響の容態と何故そうなってしまったのかというエルフナインの予測を聞かせられていた。

 

「向こうの立花響の負の感情、それがカルマノイズの呪いによって増幅してしまったが故の精神的な物による衰弱か・・・。エルフナイン何か打てるはないの?」

「並行世界の響さんに正の感情を持って貰う、それこそ孤独感を感じさせないレベルで。」

 

マリアに聞かれ実行できればそれが一番だという手段を提示したエルフナインであったが尋常ではない有様の並行世界の響を見てきた二人にはそれがとてつもなく難しいであろうことは容易に分かった。

難しい顔をしている二人で会ったが響の様子が落ち着いたからか未来がやって来る。

 

「私が行くことはできないのかな。」

「その気持ちはありがたいが、貴女には纏うべきギアがないじゃない。」

「そう、ですよね。」

 

落ち込む未来であったが向こうが並行世界であるという可能性にかけた考えを口にする。

 

「確かにあいつにはお前だもんな。ギアがないなら向こうの二課から借りれば良いんじゃないか?」

「貴女ねそう不確かなこと言うものじゃないわよ。」

 

咎めるマリアであったがそれも一考の余地はあると考えたのか未来に言う。

 

「貴女が戦う覚悟があるのなら向こうの二課に神獣鏡が無いか掛け合ってみるわ。」

「ありがとうございます!」

 

報告を終えたマリアとクリスは一晩をS.O.N.G.で明かし鳴り止まぬギャラルホルンのアラートを納めるために再び並行世界に向かう。

 再び並行世界にやって来たマリア達は二課本部に向かい神獣鏡の事について聞くと既に廃棄処分が行われていると弦十朗から告げられる。

 

「廃棄処分!?」

「了子君が作成したが長らく適合者が見つからなくてな、無理な起動実験の末に破損してしまったのだ。」

 

廃棄処分までの過程を聞かされ二人がなければしょうがないと思っていると弦十朗が言葉を続ける。

 

「いや名目上はそうなっているが、流石に聖遺物だ。本当に捨てられてはいない、聖遺物の保管庫にあるはずだ持ってこさせよう。」

「なんだよあるんじゃねぇかよ!」

「司令、そんな簡単に聖遺物を譲渡してもよろしいのでしょうか?」

「構わんよ、小うるさい政府の役人よりも命の方が大事だ。きっと神獣鏡は響くんを助けるために必要なのだろう?」

「言うのが遅れたけれど、そうね。立花響を誰よりも助けたいと願う者をこちら側に連れてくることができるわ。それにその子は神獣鏡の適合者だもの。」

 

それを聞いた弦十朗は持ってこさせた神獣鏡をマリアに手渡した。

 

「来て早々に申し訳ないが私たちは神獣鏡を持ってS.O.N.G.に向かうわ。」

「今はノイズの出現も落ち着いている、構わんよ。」

 

承諾を貰った二人はとんぼ返りとも言うべき早さでS.O.N.G.に帰還していった。

 

 

 

 

 

 

 数時間後、ギャラルホルンのゲートから未来を伴って二人が現われる。

 

「ここが並行世界・・・。」

「ああ、デビルノイズとやらのせいで結構滅茶苦茶になってんだ。」

 

自分達の世界とは違い至る所から黒煙をあげる並行世界の様子に未来が目を白黒させていると待っていましたとばかりに警報が鳴り響く。

 

「しょうがねぇ!此処の二課の奴に紹介すんのは後だ!」

「うん!」

 

クリスに促されたことで未来も二人と共にノイズが現われたと思わしき場所へと向かっていった。

 現場に到着した頃には既に翼が戦闘を行っていた。

 

「無事か!」

「もう戻ってきたか!そこの少女が件の人物か。」

 

刀を振るいノイズを倒しながらも神獣鏡を纏っている未来に気がついた翼がそう言う。

 

「は、はい!よろしくお願いします!」

「ああ、立花を頼む。後は貴女だけが頼りなんだ。」

「私が。」

 

四人の装者がノイズを倒しているとちらほらと空間に亀裂がはしりデビルノイズが溢れるとそれを察知した響が共に現われるとデビルノイズを優先して倒し始める。

 

「あれがこの世界の響・・・。」

 

荒々しく拳を振るいデビルノイズを砕いていく響を見て未来は自分が知る彼女との違いに驚く。

 

「私も始めは驚愕したが、あの子の身に降りかかったことを考えれば納得できるというものよ。正直貴女は聞かない方が良いと思うけれどあの子を救いたいのならば知っておく必要がある。」

「はい。」

 

幸い住民の避難は済んでいたのかゾンビ兵かする者は現われずに戦いが終ると未来は響に近づいていく。

 

「響、助けに来てくれてありがとう。」

「また新しいの・・・。」

 

響からしてみれば見知らぬ装者がまた増えていることに翼の周りに人が集まっていると思い苛立ちから目を細める。

 

「助けたつもりなんてない。私は私の敵を殺しただけだ。」

「響・・・。」

「用がないならどっか行って。」

 

突き放すようにそう言った響はどこぞへと去って行った。

 

 

 

 

 

 

 二課本部に戻り未来の紹介を終えた後に未来は弦十朗と翼からこの世界で響の身に起きた事を聞き絶句する。

 

「どうしてこの世界の私は響の側に居なかったんですか。」

「両親の仕事の都合でライブ事件の後に遠方へと引っ越しているらしい。そのため君とは違いリディアンへは進学していない。仮にリディアンへと進学していても響くん本人がリディアンへは進学していないために接点を持つのは難しいだろう。」

「響はリディアンに行っていないんですか。」

「ああ、彼女は義務教育は終えているがそれ以降は行っていないようだ。」

 

未来どころか響もリディアンに言っていないと聞いて未来は驚くがなおさら響を助けたいと決心した。

 

 

 

 

 

 

 永田町深淵部記憶の遺跡そこに米国より譲渡された自立型完全聖遺物ゴライアス。

今まさにそれについての研究が行われている場所には人間が誰一人として存在していなかった。

呻き声と共に今はまだ幼体のゴライアスが空間の亀裂に消えた。

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