機動戦姫ガンダムSG   作:鍋の中の白い奴シラタキ

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舞い降りる撃槍

 二課本部にて装者四人を含めて今後の三種のノイズに対する対策のための会議を行おうとしていたが未来の姿が見えないことに弦十朗が疑問を呈する。

 

「未来くんの姿が見えないようだが。」

「あいつはあいつのやるべき事をやるんだとよ。」

「やるべき事?」

「あの子は立花響の専門家みたいなものよ。」

「そういうことか。」

 

二人からの説明で未来が響を探しに行ったと知った弦十朗は彼女が姿を見せないことに納得する。

 

「ならば、俺達は俺達のやるべき事をやるか。」

 

未来を除いた装者三人を含めて対策会議が行われた。

 

 

 

 

 

 

 現在の響は人に会いたくないから山中に身を潜めていた。

入浴などは川などの綺麗な水がある場所で澄ませているようであった。

 

「はぁ・・・はぁ・・・。うっ!」

 

遂に四肢だけではなく下顎から頬の近辺まで浸食してきたDG細胞に苦しみながらも響は可能な限り力強く包帯を巻き付け浸食を止めようとするが、彼女自身にもこの行為に意味なんてないことは始めからわかりきっていることで事であった。

 

「嫌だ・・・消えたくない・・・死にたくない・・・。」

 

自分から全てを奪ったノイズの手先に成り果ててしまう未来に響は恐怖し己の身をかき抱き蹲る。

 

「消さないで・・・私を消さないで・・・。」

 

浸食と共に消えていく身体の人間らしさそして最近ではゾンビ兵を砕いても震えることのなくなった拳に自らが消されて行っている確信を持っている響はただただ怯えていた。

 ノイズの出現を知らせる警報が鳴り響いたことで響の頭の中が自身が消えていく事への恐怖からノイズへの怒りへと切り替わる。

 

「懲りもせずに、奪うのか・・・まだ満足しないのかっ!」

 

警報が鳴り響く地点へとやって来ると今まさにノイズに襲われそうになっている少女の前に聖詠を歌いながら降り立つと未だギアを纏っていない拳でノイズを殴り飛ばし塵へと還す。

 

「逃げろ、早く!!」

「う、うん!」

 

竦んでいた少女は気丈にも立ち上がると逃げ出していく。

 

「もう、私は人じゃないか・・・。」

 

遅れて纏われたガングニールのシンフォギアを見ながら響は乾いた笑いを漏らしながらそう言葉を溢す。

 

「お前等全員殺し尽くしてやるっ!」

 

悲しみを怒りでねじ伏せた響がノイズを撃滅していると神獣鏡を纏った未来が背後から響を襲うノイズを光線で倒して横に並ぶ。

 

「響!」

「またお前か!一体何!?」

 

此処の世界の響とは違うとは言え長年響の側に居た未来が響の攻撃を的確に援護する。

 

「私は、響が一人っきりじゃないって伝えたいから!」

「一人じゃない?笑わせる!」

 

最後の大型のノイズを同時攻撃で倒した響が未来に詰め寄る。

 

「誰も居ない!もう誰も居ないんだ!大切だった家族も私がこの手で!」

 

あの日を思い出しながら未来に掴みかかった響が自身の発言で勢いを無くすと未来から離れて近くの壁を力なく叩く。

 

「とっくに私は、人殺しだ・・・。」

「違う!」

「何が違うんだ!」

 

貴女は人殺しなんかじゃないと言う未来に響が食って掛かると先ほど響が少女を助けていたのを見ていたのだろう未来がそれを告げる。

 

「だって響はその手で誰かを助けてた。響は誰よりも優しい人なのだから自分を人殺しなんて言わないで。」

「どうしてそんなことが分かるんだ・・・。」

「私は貴女とは違うけど響を知ってる。だから響が苦しんでるなら私は響を救いたい。」

「別の私?」

 

そこで響は最近夢に見る自身の現況とはかなりかけ離れた日々を送る夢の中の自分の存在に合点がいく。

 

「なんだ・・・結局は私じゃなくてアンタの大切な響のためか・・・。」

「違う!どっちかの響だけじゃなくて私はどちらの響も救いたいの!」

 

未来がどちらの響も救いたいと言っていると二課から通信が入る。

 

『現在未来くんが居る場所にカルマノイズと思われる高エネルギー反応を検知した!別ポイントのノイズを殲滅した翼達も向かわせている!響くんも居ることは分かっている死ぬなよ!』

 

弦十朗の言葉通りに上空に大型のカルマノイズが現われる。

 

「カルマノイズ!」

「でかい・・・。」

 

お互いから意識をカルマノイズへと向けた瞬間にカルマノイズに呼応するようにデビルノイズも現われる。

 

「出た・・・。」

 

響にとってはカルマノイズや普通のノイズよりも憎むべき存在であるデビルノイズに怒りを向けると駆け出す。

 

「待って響!協力しないと!」

 

未来の制止を振り切った響が上空から爆撃してくるカルマノイズを無視してデビルノイズの群れへと単騎で突撃するとそれを未来も追って行く。

 

「私は響を助けたいの!だからお願い!」

「私を助ける?今更!今更が過ぎる!誰も本当に助けて欲しい時には側に居てくれなかった癖に!」

「私は、小日向未来は響を助けたい!」

「うるさいっ!」

 

告げられた名前に頭を少し痛ませながらも響は怒声をあげ拳を振るう。

 

(だけど、なんでどうして私はこいつに居心地の良さをっ!)

 

口では拒絶しながらも未来に対して響が暖かさを感じているとデビルノイズの内より黒槍が放たれ未来を吹き飛ばす。

 

「きゃあっ!」

「未来!」

 

思わず名前を呼んでしまった響であったが名前を呼んだことで思い出す。

 

(そうだ、私にも居たまだ大切な人が小日向未来。だけど、私の前から・・・。)

 

後ろ向きな考えに引っ張られそうになっていると人型になったデビルノイズの手が響を掴みあげる。

 

「お前は、蛇を前に何をしている?」

「ノイズが、人に!?それにお前は!?」

 

響を掴み挙げる者、それは黒いガングニールを纏ったマリアであった。

 

「マリアさん?」

 

未来が愕然としていると到着した翼達も驚愕する。

 

「どうしてマリアがもう一人居やがる。」

「ガングニールだと・・・。」

 

言葉を発することができた二人とは違い更に追加で現われたガングニールと思わしき物に翼は奏の想いが踏みにじられていると感じたのか怒りで刀を振るわせる。

 

「司令・・・奴は?」

『間違いなくガングニールではある。だがあれはデビルノイズだ。』

「悪魔めが・・・!」

 

憤る翼とその他の装者には目もくれずもう一人のマリアは響に語りかける。

 

「お前もそろそろ知るが良い、何故選ばれたのかを。我らの中でじっくりとな。」

 

そう告げられると響はデビルノイズの群れの中へと放り込まれ起き上がる暇もなく飲み込まれていく。

 

「響ぃいぃぃぃいい!!!」

「貴様!立花響をどうするつもりだ!」

「資格を捨てた木っ端が誰が言の葉を紡いで良いと言った。」

「なんだと!?」

 

マリアからの問いかけを嘲りで返したもう一人のマリアの後ろでデビルノイズが消し飛ぶと明らかに暴走状態と思われる響が立ち上がり咆哮をあげる。

 

「融合症例か・・・。」

 

巨腕を追加武装として唸らせる暴走状態の響が敵味方の区別なく全員に襲い掛かる。

 

「躾てやろうさ!同胞!」

「貴様の相手は私だ!」

「いいや、こいつらだ。」

 

翼の振るう刀は追加で現われたデビルノイズに押しとどめられ更に今この世界に居る装者が全員集った事で更にもう一体現われたカルマノイズまでもが乱戦に加わった。

 

 

 

 

 

 

 宣言通りに二日で奏が最初に居た世界の座標を特定したスクルド達によってエレクライトガンダムに座標のデータが入力されいつでもいける状態となっていた。

 

「ありがとな、これであたしはようやく自分の世界に帰れる。翼に会える。」

「お礼を言われる程の事でもないわ。私たちもモビルスーツやエレクライトのデータを教えて貰ったのだし。」

「それでもだ。あたしは戦場に翼をひとりぼっちで置いてきちまったからな。」

 

奏とミーナが互いに礼を言っているとエレクライトガンダムの最終調整を終えた響がコックピット内より奏に語りかける。

 

「もう出られるよ!どうする?」

「じゃあ行こうか!アンタらにまた会うことがあったらそん時はよろしくな。」

 

別れを告げた奏がコックピットに入るとエレクライトガンダムが戦艦より発進し真っ直ぐ奏の世界へと向かっていく。

 

「ええ、また会うことがあれば頼りにするわ。」

 

去りゆく二人に向けてミーナはそう言った。

 

 

 

 

 

 

 乱戦の様相を呈している戦場にて更にカルマノイズが現われ合計三体となる。

 

「まだ出てくんのかよ!」

「弱音を吐いている暇はないわ!」

 

カルマノイズとデビルノイズそしてもう一人のマリアだけではなくこの戦場には今暴走している響が破壊衝動の赴くままに全てを破壊しよとしている。

 

「響駄目!貴女の手はそんなことをするためにあるものじゃないの!」

「うわぁああああああ!!!」

 

目を覚ませようと語りかける未来であったが暴走をしている響には届かない。

 

「貴様!ガングニールを何処で手に入れた!いや、奏はどこに居る!」

「自己の視点よりしか物事を見れぬ貴様に告げる言葉など持ち合わせていないさ!」

 

かつてガンダムヘッドに連れ去られた奏、そして今デビルノイズの内より現われたガングニールを振るうマリアを見て翼はこいつこそが奏を連れ去った犯人と判断しデビルノイズを切り捨て肉薄するも一笑の元に付される。

槍より放たれた全方位レーザーがその場の全員を吹き飛ばし一様に壁に叩きつける。

 

「・・・・・・もはやこれしかないか。まるでかつての焼き直し。」

「貴女だけにはいかせはしないわ。」

「マリア・・・ならば共に死出の旅路に付き合ってくれ。」

 

絶唱を歌おうとする二人を見て今の負傷のレベルでは命に関わるとクリスが制止する。

 

「無茶だ!その怪我じゃ二人揃って死ぬぞ!」

「嘘・・・!」

 

死ぬと言う言葉に未来が不安気に瞳を揺らしクリスは更に必死に引き留めるが翼とマリアは歌い始める。

 

「「Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el baral zizzl Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el zizzl.」」

 

絶唱が解き放たれ地上に居る二体のカルマノイズとデビルノイズ達そして暴走している響ともう一人のマリアを呑み込む。

 

「これが・・・防人の歌だ・・・。」

「翼っ!」

 

一番負傷していた翼が血反吐をまき散らし頽れマリアの腕の中に収まる。

 

「適度なそよ風だったぞ?」

「馬鹿にしてっ!」

 

ノイズ達を盾にしたもう一人のマリアが暴走状態の響を押さえつけながらなんともないことのようにそう宣う。

 

「ならば、もう一度・・・。」

 

予備のリンカーを取り出しもう一度絶唱を歌おうとするマリアを誰かが止める。

 

「やめとけ、こっからはバトンタッチだ。」

「なっ!」

「奏・・・?」

 

空間に空いた黒い穴より現われた右腕のない奏。すなわちこの世界で行方不明となっているはずの奏がマリアからリンカーを取ると自身に打ち込む。

 

「翼、今まで良く頑張ったな。こっからはあたし達がやる。」

 

まるで複数人で来たかのように言う奏にその場の皆が疑問を覚えると穴から響が現われる。

 

「後は私たちがやるから、休んでて。」

「また別の立花響か?」

 

マリアに軽く笑いかけた響は目の前に居る敵に対し奏と共に皆を守るように立ちはだかると奏と共に聖詠を歌いギアを纏う。

 

「Croitzal ronzell gungnir zizzl.」

「Balwisyall nescell gungnir tron.」

 

ギアを纏うことによって擬似的に右腕を再生した奏が槍を構える。

 

「行くぜ響!蛇と悪魔退治だ!」

「全力全開で行こう!」

「ああ、リンカー打ったんだ!久しぶりに思いっきり唄える!!」

 

舞い降りた二振りの撃槍がまがい物の槍をへし折るために駆けだした。

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