ヒビキを助けるために並行世界から渡ってきた未来とは違うこちらの世界の小日向未来はライブの惨劇以来会うことができなくなった親友である、彼女はまだ親友だと信じている立花響を探すためにリディアン近辺の街へと溜めたお小遣いを使って今日もまた来ていた。
「さっき見かけた気がしたのに・・・。」
先ほど公園に入っていくのが見えたことで同じく公園に入った未来は気のせいではないと信じて公園の周囲を探しているとやはりというべきか予感は正しくヒビキの姿を見かけるが直ぐに見失う。
「響っ!」
そしてヒビキに追いつこうとしたが彼女が角を曲がり姿を消すことで見失ってしまう。
「響、どこ・・・。」
未来はあの日初めて一人でヒビキの元へと向かった時に見た立花家の惨状を見てからずっとヒビキに会って側に居てあげられなかった事を謝りたいと思っていた。
「会って、会って謝らないと・・・。」
当てもなく見失ったヒビキを探していると未来の耳にノイズの出現を知らせる警報が届く。
「ノイズ・・・!」
ヒビキがノイズに襲われてはいけないと思いなんとか探し出そうとするが近くに居たのだろう避難誘導を始めた二課の人員によってシェルターに向かうよう言われる。
「友達がまだ居るかもしれないんです!」
「そのお友達も我々が避難させますから!貴女は早く逃げてください!」
「だけど・・・。」
逃げることに躊躇って居ると逃げていく人々の後方から悲鳴が轟く。
そこにはデビルノイズによってゾンビ兵と化した人間が同じ人間であった者を同胞にせんがために襲い掛かっていた。
「なにあれ・・・。」
「ここまで来たか!早く逃げなさい!」
効かないと分かっていながらも二課の人員は拳銃を取り出すとゾンビ兵とデビルノイズを撃つが当然のごとくに効かずにデビルノイズが迫り人々にDG細胞を感染させゾンビ兵とするためにその身を大きく広げる後方から現われた人影が障壁を展開しデビルノイズを押しとどめると上空から槍と弾丸が降り注ぐ。
「お前それファウストローブか!?」
「錬金術を使うならこっちのの方が効率良いから!今はスピード重視!」
「翼に無茶させてくれた礼はまだしたりないからなぁ!!」
「私とクリスちゃんで場を作る!」
「おう!」
先ほどまでとは異なり勢いよく減り始めたデビルノイズとゾンビ兵に人々が安堵し二課に従い急いで避難を開始する。
「響っ!」
「今のうちに早く!」
「待って、友達がノイズと!」
ファウストローブを纏い戦う響を見ながら二課の人員に訴える未来であったが無情にも避難する人の流れに押され戦闘が行われている場所から離されていった。
しかしそのことにより彼女の目に今戦闘が行われている場所から離れた場所で巻き起こった爆発の炎が目に入るとそれに照らされて浮かび上がった空気を踏み大型のデビルノイズを蹴り倒しているヒビキのシルエットが瞳に映る。
「響が・・・二人?」
かなり距離が離れているのにも関わらず炎に照らされる人影をヒビキと断定した未来は困惑しながら人の波に押し流されていった。
◎
響達がデビルノイズを倒している頃に先にデビルノイズと戦闘を始めたヒビキと未来であったが戦いのテンポをどんどんとあげていくヒビキを未来はかろうじてではあるがまだ援護することができていた。
「止まってヒビキ!そんな無理な戦い方してたら胸のガングニールの浸食が!折角DG細胞は取り除けたのに!」
「止まらない!止まれない私は!こいつらを殺し尽くすまで!」
「お願い止まって!」
デスアーミーへと合体することを許さずにヒビキは高まり続ける体温によって燃え上がる拳によって焼き尽くす。
「あるんだ私には・・・こいつらに復讐する権利がっ・・・!」
「復讐のためにその拳を振るわないで!」
「私のことを何も知らないくせに!勝手を言うな!」
「知ってるよ!ヒビキは誰よりも優しい子だって!」
「その立花響は死んだ・・・。お父さん達と一緒に・・・。」
もはや近づくだけで燃え尽きていくデビルノイズが全滅するとヒビキは未来に対して拳を向ける。
「ヒビキ?」
「私にこの拳を振るって欲しくないなら・・・力尽くで止めてみなよ。」
「待って私はヒビキと戦いたくなんて――。」
振るわれる拳が未来が言い終わる前に迫るがそれは別箇所のデビルノイズを殲滅し駆けつけた響によって受け止められ防がれる。
「私!?」
「っ!未来にだけは向けちゃいけないよ、私の拳は。例え並行世界の別人だとしてもっ!」
直接触れた事で手のひらを焼かれながらも響は語りかける。
「並行世界だって言っても私だ。考えてることは分かるよ、素直になれば良い!!!」
「何に対してだっ!」
言葉を続けようとしたヒビキであったが心臓付近を痛みが襲った事で頽れる。
「うっ、はぁ・・・ぐぅ・・・!」
「冷やせ!錬金術使えるならできるだろ!」
「分かった!」
追いついてきたクリスのアドバイスに従って冷水を大量に錬成すると響はヒビキに対して頭からぶっかけると凄まじい湯気が発生し錬成した冷水が流れていくとびしょ濡れのヒビキがギアを解除した状態で意識を失いぐったりしていた。
「もうこの段階かよ・・・。」
「どうした何があった!」
討ち漏らしがないかの確認を終えた奏が合流すると三人に問いかけるとクリスが答える。
「ガングニールの浸食のスピードが速すぎるんだ。」
「なんとかできる方法はないのか?」
「私の神獣鏡の光ならヒビキの身体からガングニールの欠片を消せます。」
「だったら今すぐやってやってくれ!」
「生身に当てたらどうなるか分からないんです・・・。」
「厳しすぎだろっ!世界って奴はよ!!!」
世界に嫌われているのかというレベルで試練が与えられるヒビキに対して奏はそれに対してのやるせなさを吐き出した。
「クリスちゃん、融合症例を外科的になんとかする方法はそっちの世界にはないの?そっちにも私が居るんでしょ?」
「こっちはアイツの神獣鏡で上手い具合にやったんだ。そっちこそモビルスーツなんてあるんだ技術的には上だろ。」
「私も似たような感じ。」
「そうか・・・。」
現状では次にヒビキがシンフォギアを纏った時に未来が神獣鏡の光を浴びせるしかないが次にギアを纏うと言うことは命を失うかかつてのフィーネのように聖遺物と完全に融合し人ではなくなるかの二択であると言うことだった。
◎
確かめなければならない小日向未来はあの日に親友であるはずの立花響になにがあったのかをそして何故彼女が戦っているのかを聞かねばならないのだ。
警報が収まった事で未来はシェルターから出ると復興が進められているがそれでも高頻度の三種のノイズの出現により復興が追いついていない街をヒビキの姿をひたすらに探す。
二課の本部にて現在増殖したガングニールの欠片を摘出されているヒビキは当然見つからずに未来が途方に暮れていると物陰から赤い長髪をオールバックにした男が現われる。
「捜し物か嬢ちゃん?」
「だ、誰ですか?」
「そんなに警戒してくれるなよ。俺達も探してるからな嬢ちゃんの捜し物を。」
「え?」
男の背後の空間が割れるとネロスガンダムが姿を覗かせると未来に腕を伸ばす。
「だから餌になって貰うぜぇ!!!」
「嫌っ!助けて、ひび――。」
逃げだそうとしたがあっという間にネロスガンダムに捕まると割れた空間に引きずり込まれると男はドロドロに溶け空間の亀裂に消えると亀裂が消える。
地面には未来がつけていた白いリボンが落ちていたが風に吹かれ空に舞い上がっていった。
◎
二課本部では戦闘にこそ参加はできないものの絶唱の負荷によるダメージがある程度回復した翼とマリアもデビルノイズの発生の起点となっている印を探すためのブリーフィングに参加していたが。
「それで響くん、なにか感じ取ることはあったか?」
「私自身が感じ取れるほどの強い反応はありませんでしたが、ガンダムのレーダーは微かにですけど戦いの後に通常とは異なる波形を感知してました。」
「本当か!位置などはわかるか?」
「ここです。」
地図で指し示された場所は市街地エリアであった。
「この場所に巨大なもの。それこそモビルスーツサイズの物を隠せないが、SF的思考でいくならば別次元か。」
「私もそう思います。」
敵を炙り出す方法を詰めていく二人を見てマリアは唖然とする。
「本当に、立花響か・・・?」
「分かる、あたしも同じ気持ちだ。どうにも並行世界の馬鹿は馬鹿じゃないみたいだ。」
「私はどうなんだ?」
「安心して、今の所翼が大きく変わっていた事はないわ。」
「そうなのか・・・。」
「なんでちょっと残念がってんだアンタは。」
今の所は翼はワンパターンだと言われたことで本人は自分はつまらないのかと少しもやっとした。
「では次にデビルノイズが出現した際に響くんがガンダムで亀裂に突入し敵の親玉を引きずり出してくれ。」
「はい。」
作戦が決まったことで奏が席を立ち退室していく。
「奏?」
その様子に直感でマズいと感じた翼が追いかけていく。
「どうしたんだ二人揃って?」
「そっとしておきましょ、数年ぶりの再会だもの。」
「それもそうか。」
マリアにそう言われたクリスが納得すると先ほどの戦いで響が見せた錬金術について聞いた。
「そういやお前誰から錬金術を習ったんだ?エルフナインか?」
「エルフナインちゃんから?違うよ、私の一人目の師匠だよ。」
「一人目の?おっさん以外にも師匠が居んのか。」
「うん、錬金術と戦い方は東方不敗さん、剣術は訃堂さんで応用的なのを弦十朗さんからかな。」
「訃堂?風鳴訃堂か!?」
「そうですけど・・・。」
「深くは関わらないようにしなさい。その男は外道よ。」
「マリアさんの世界の訃堂さんはそうかもしれませんけど・・・。」
世界が違えば人は違うと諭されたマリアが思わず言ってしまった事についてはっとなり謝罪する。
「それもそうね、軽率だったわ。」
「大丈夫です、悪意は感じませんでしたから。」
響が気を悪くしていないことにマリアはほっとした。
「まぁその訃堂ってのは置いといてさ。東方不敗ってどんな奴なんだ?」
「生身でノイズを倒せる人。」
「嘘だろ!?」
生身でノイズを倒せると簡単に言われその場の全員が驚いた。
◎
退室しふらつく足取りでトイレに入っていった奏を追って翼も後を追って入るとそこには洗面台一杯に血を吐いている奏が居た。
「奏!?」
「見られちゃったか・・・。」
おまけと言わんばかりにもう一度吐血した奏が口を濯ぐ。
「今まで此処に帰ってきて翼の元気な姿を見たくて頑張ってたからあたし自身の身体のガタを無視しちゃってたんだよなぁ。ほら、帰ってくるまでリンカー無しでギア纏ってたからな。」
「だったら、もう戦わないで・・・。せっかく会えたのにもう会えなくなるなって嫌だよ・・・。」
「なんだ?まだ泣き虫のままか?」
「私が涙を見せるのは奏だけ・・・。」
「嬉しいこと言ってくれるじゃないか。」
隻腕であるが翼を抱きしめた奏は彼女に語りかける。
「悪いけどあたしはまだ戦うさ。」
「どうして?」
「この世界の響があんなことになってんだ。どう考えなくてもあたしのせいだろ?だったらあの子が戦わなくて良いようにあたしは歌を響かせたい。」
「奏は悪くないわ・・・。」
「そう言って貰えたら少しは気が楽になるよ。」
奏は翼の瞳を真っ直ぐに見据え言う。
「あたしと一緒に歌ってくれるか?」
「・・・。奏が望むなら私は奏と歌いたい。」
「ありがとな・・・。」
「でも、本当に限界が来たらそこからは私の歌を特等席で聴いてね。」
「もちろんさ。」
再びの抱擁、そして今度は翼からも抱きしめ返した。