機動戦姫ガンダムSG   作:鍋の中の白い奴シラタキ

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祈りの骸

 工場長が自らの命との引き換えに召喚されたアルカノイズが装者三人と東方不敗によって殲滅された後に翼はA.B.E.L.へと連絡を入れていた。

 

「現地協力者の助けも有りアルカノイズの殲滅は完了しましたが現地民一名に負傷者が生じました。近辺の医院に搬送次第艦に帰投します。」

『状況は理解した。こちらもマリア君達が帰還したところだ。現状の大規模戦闘は発生していない。負傷者の搬送後に迅速に帰還してくれ。』

「了解しました。」

 

連絡を終えた翼が仲間達の方へと目を向けるとそこでは担架に乗せられたステファンの前で膝を突く彼の姉であるソーニャの後ろでクリスが所在なさげにしていた。

 

「ソーニャ・・・。」

「・・・仕方ないのは分かってる。だけど、私はステファンの足を奪った貴女をっ!」

「恨んでくれて良いさ。だけど、ああして撃たなきゃ足だけじゃすまなかった・・・。」

 

足を撃ち抜きアルカノイズとの接触を止めなければ全身が分解されていて死んでしまっていたと分かっていたとしてもソーニャは恨み言を溢さずにはいられなかった。

 

「争いとは無為よ。悲しみばかりが広がる。」

「だからこんなこと止めなきゃいけないそうですよね師匠。」

「うむ。」

 

ステファンのような被害者をこれ以上増やしてはいけないと響はそう決意していた。

 

 

 

 

 

 

 

 響達がステファンを医院に搬送を行っているときにソット・ヴォーチェに帰還したマリア達はモビルスーツの整備が行われている間に身体を休めていた。

 

「あまねく全てを救う神だと?」

 

先ほどの戦闘に置いて出現していたデビルヨナルデパズトーリに取り込まれていた大統領達が異口同音に発していた全てを救う神という発言にマリアは改めて口に出すことで否定する。

 

(あれは明らかにあの子が並行世界で出くわしたデビルノイズと呼ばれる物。だがあそこまでの強靱な再生力は持つ個体は存在していなかったはず。いや、そもそもあれは本当に再生か?)

「マリアーあったかいもの貰ってきたデスよー!」

「あったかいもの、ありがとう。」

「どういたしましてデス。」

 

考え事をしている間にやってきた切歌にあったかいものを貰い身体を温める。

 

「切歌、貴女はあの蛇を切ってどう感じた?」

「手応えはあったデス。でもあれは卑怯が過ぎるデスよ。」

「私はあの現象は再生ではなく巻き起こった事象をなかったことにしているんじゃないかと思うの。」

「それだとどうしようもないじゃないデスか。」

「そうなのよね。」

 

自らでデビルヨナルデパズトーリが起こした現象に当たりをつけたマリアであったが切歌の言うようにそれでは打つ手がないために頭を悩ませる。

 

「一つ良い方法があるわ。」

「流石マリアデス!」

「出される前に奴らを叩く。」

「おぉ、流石はマリアデス・・・。」

 

とてつもないごり押しではあるがそれしか方法がないと言うことも切歌は理解しているのか彼女もデビルヨナルデパズトーリが出現する前にソネット達を倒すしかないと言うことも納得していた。

 

 

 

 

 

 

 デビルヨナルデパズトーリの活動限界によって撤退していたソネット達の元からチャップマンがファイティングスーツに身を包むと出撃していこうとする。

 

「今は命令はないはずだぜ?」

「私のガンダムの性能確認だ。久しぶりのファイトだからな。」

「そういや後はお前だけだったな。」

 

既にロールアウトした自身のアルケーと並行世界にて響の手で一度は破壊されたもののその後進化し復活したミケロのネロスと違いチャップマンのジョンブルガンダムはまだ戦闘を行っていなかったとしてソネットとミケロは彼を見送った。

 

「さて俺達はやることをやるか。」

「ククク、ああ十分に生け贄は溜まったからな。呼び戻すには十分だ。」

 

彼らも彼らで自らに課せられた任務を果たすためにどこかへと向かっていった。

 多くの避難民を乗せた飛行機が発進しようとしている空港に多数のデスアーミーを引き連れたジョンブルガンダムが出現すると空港を警護していた反政府軍のフラッグに攻撃を仕掛け始める。

 

「なんなんだこいつらは!?」

「通すな!攻撃をしてきたって事は敵だ!」

 

デスアーミーの影に紛れたジョンブルガンダムの手によって一機また一機と撃墜されていくフラッグに反政府軍の者達が焦りを隠せないで居ると上空からヒートロッドが振るわれデスアーミーを焼き切り爆発させると撃破する。

 

「身を潜める時期は終ったという訳ね。つまりこの地獄を巻き起こしたのはパヴァリア光明結社だけではない。もう一つの巨大な意思・・・デビルガンダムか!」

 

何もないのに爆散するデスアーミーを見てマリアは切歌と調のリンカーに効果がまだ切れていないのを確認するとセレナーデシステムを発動し被害が最小限で済む作戦を確認するとビームソードを構えレーダーが捉えたジョンブルガンダムへと向けて相手の放つ砲撃を切り捨てながら一気に肉薄すると斬り付けるがそれを躱された次の瞬間にヒートロッドへと切り替えるとジョンブルガンダムの銃を破壊する。

 

「マイターン!!蛇が無敵でも貴様は違う!!進化し追いつかれる前に墜とす!!!」

「ぬぅ・・・!」

 

接近戦に持ち込まれた事によってチャップマンはジョンブルガンダムの腕部のみをグランドの物へと変化させるとそれをレイピアのように振るいセレナーデと互角の近接戦闘を行う。

 

「英国の英雄である私はオールラウンダーなのだよ!」

「英雄であると自負をするのなら何故このような事をする!」

「人が不当な支配のただ中であるからだ。」

「支配?」

「そうだ、幾たび放たれた蝶の羽ばたき。それは全て一つの意思の元だ。それによる支配からの脱却が叶うなら私は英雄として悪の道を突き進もう!」

「その道を歩んだとして何も得るものはない!有るのはただ失う事だけだ!」

 

バルベルデで地獄を起こした理由の一端を語るチャップマンと言葉を応酬するマリアであったが瞬時に砲塔へと変わった腕部による連続砲撃によりデスアーミーもろとも吹き飛ばされセレナーデが滑走路へと転がる。

 

「「マリア!」」

「私は平気よ。今は奴を止める!」

「了解デス!」

「分かった!」

 

即座に態勢を整えたマリアがセレナーデを起こし自らを追って滑走路へと侵入しようとしてくるデスアーミー達をフラッグ達と共に撃破していくが切歌と調のリンカーの効果が終りツインエッジの出力が急激に低下していく。

 

「リンカーが切れたって!」

「あたしたちが歌わない理由にはならないんデスよ!」

 

だが魂から歌を振り絞った二人そして二人を助けるように歌を合わせたマリアの三人によるユニゾンにより出力の低下をなんとか押しとどめると避難民が乗っている飛行機をなんとかデスアーミー達から守り抜く。

護衛として飛行機と共に飛び立っていくフラッグは数機は居たがそれでも問題はないほどに戦線を押し返しデスアーミーの数も当初とはことなりかなり減っておりあと一息となっておりそこにマリアがビームソードの出力の制限を解除しジョンブルガンダムへと向けて一息に振り下ろす。

 

「はぁ!!!」

「くっ!」

 

後方に居たツインエッジとフラッグ各機は無事であったがセレナーデの振り下ろしたビームソードの範囲に居たデスアーミーは溶解し撃破されていくとビームソードの直撃を受けたジョンブルガンダムはグランドホーンで数瞬ビームソードと拮抗していたのであるが耐えきることができずに両断されると盛大に爆発を起こす。

 

「やったねマリア!」

「まず一機デスよ!」

 

巻き起こる炎を見てパヴァリア光明結社の幹部の一人で撃破したと喜ぶ二人にマリアが警戒を促す。

 

「違うまだよ!奴は生きている!」

 

その言葉通りにジョンブルガンダムはパイロットのチャップマンもろとも再生しながら立ち上がると隣にネロスガンダムが前面にアルケーガンダムが現われる。

 

「準備は終ったのか?」

「ああ、だから俺達も楽しみに来たんだぜ。」

 

GNバスターソードをアルケーガンダムに構えさせながらソネットがそう言うとマリアらと彼らの間の空間に亀裂がはしるとデビルヨナルデパズトーリが現出すると咆哮をあげる。

 

「出てしまったかっ!」

 

デビルヨナルデパズトーリの出現によって緊張が戦闘区域に走ったまさにその瞬間に彼方から紫色の稲妻が走ると一気にモビルスーツ形態に変化するとイグナイトモジュールを発動させるとデビルヨナルデパズトーリの頭部にイグナイトフィンガーを叩き込むとデビルヨナルデパズトーリを大きく吹き飛ばすと不思議な事に無かったことになる現象が発生しない。

 

「誰かに悲しみを与えるというのなら。そこに私が居るぞ!」

 

エレクライトガンダムのコックピットで吼える響に呼応するかのように身を起こしたデビルヨナルデパズトーリに亀裂から光が集まっていくとその身に亀裂が走っていくと内側から発生した巨大な存在によって砕かれる。

デビルヨナルデパズトーリのうちより現われた巨大な機械の悪魔はツインアイを血のように赤く輝かせると月夜から全てを見下ろす。

 

「デビルガンダム・・・。」

 

フェイスマスクを開き牙を剥き出しにしたデビルガンダムがその異形の身の一部を遂に自らが生み出された世界へと帰還させた。

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