特異体質・『魅了の黒子』 作:底なしの呪力って無限ってこと?
ダイジェストに時間を飛ばすぜ!
ダラダラと書くのは、趣味じゃねぇ。
「あ、ごめんね。六本木行く前にもう1人、君たちの同級生が来るからまだ行かないよ」
「「えぇぇぇッ!?」」
「……五条先生、コイツらの反応楽しんでるでしょ」
「えぇ〜? 恵には僕がそーんな非道いやつに見えてるの??」
「はい、クズだと思ってます」
ひどッ、と五条は嘘泣きをする。伏黒はそれを無視し、虎杖に話しかける。
「お前には前から言ってるだろ? 結城は五条先生と同じ特級呪術師だから、出張で忙しくてお前に会えなかったって」
「あ、うん。そういえばそんなこと言われた」
「そんな大事なことも覚えてないなんて、アンタって鳩なの?」
「ひど! 鳩に謝れよ!」
ぶーぶー、とズレた指摘をする虎杖。
「ってか、特級てマジなの? 同級生なのよね?」
「うん、結城は高専に入学した時から特級だったよー。因みに一般家系の人間ね」
「はぁ!? 呪術師の家系でもないの?」
釘崎は「どうせ御三家とかでしょ?」と思っていた予想が覆され驚いた。虎杖はその異常さを分かっておらず、頭にはてなマークが咲いている。
通常、一般家系は呪術師の家系の者に比べ劣っていると考えられている。それは術式の差であったり、呪力量であったり、子供の頃からの教育の差であったりと多くある。
それらを全て覆して、高専入学から特級になった逸材、いや化物。釘崎はそれを正しく認識していた。
「ソイツの術式って何よ? いきなり特級になるんだから、相当強い術式なんでしょうねー」
「……いや、結城本人は術式を持っていない、らしい」
「……はぁ? もう訳わかんないわ」
「え? えっ? なになに? どういうこと?」
術式を持っていないにも関わらず、入学早々に特級となった異常。釘崎は自分の中にあった常識がガラガラと音を立てて崩れる気がした。
そこで、五条が気づいた。
「おっ、見つけた。大翔ー、こっちこっちぃー」
「……そんなに手振らなくていいですよ。五条先生は見つけやすいですから」
現れる、特級術師!
釘崎に緊張が走る! 一体どのような化け物の姿をしているのか!
―――きっと、見た目は腕が4本あって目が4つ口が2つある化け物みたいな感じよ! そして呪力も分かりやすく多い、呪霊みたいなやつ!
いや、それ宿儺じゃね? というツッコミは届かない。
釘崎は振り返る。するとそこには―――
「……初めまして、結城大翔です」
「じゃーん! 同級生の結城大翔くんでぇーっす!」
釘崎は安堵した。なんだ、ただのイケメンかと。
「よろしく、私は釘崎野薔薇。好き、私と付き合って」
「……やられたか」
「とーう!」
ゴチンッ、と五条の手刀が釘崎の脳天にぶち当たる。釘崎は正気に戻った。「は?! なんで私あんなこと言ったの?」という混乱&激怒の釘崎に、五条が結城の事情を説明する。
「『魅了の黒子』ぉぉ? それ、術式じゃないの?」
「……術式じゃない。五条先生の六眼みたいな、そういう特異体質だ」
「それでアンタはモテモテの人生って? はっ、気分良いわねー。あの黒歴史無かったことしたいから、今からアンタボコボコにしていい?」
「野薔薇ー、無理だからやめといた方がいいよー」
釘崎は自分の痴態を振り返り、凄まじい眼力で結城を見つめる。そんな
案外、雰囲気は悪くない。
一行は六本木へと向かう。
「そういえば、アンタ術式持ってないらしいけど、何が出来んの?」
「……今は、術式を持ってる」
「は? 伏黒がアンタは術式持ってないって言ってたわよ」
「……産まれた頃から持ってるものじゃない。俺の術式は後天的なものだ」
後天的? 生得術式が?
釘崎は今日何度目かの、常識が音を立てて崩れる音がした。
術式というのは基本、生まれながら持っているものである。後天的に努力で獲得できるものではない、才能。
それを後天的に獲得した? 訳がわからない。『常識』を学んできてほしい。
あれが同級生か……。
1人、同級生に女子がいると聞かされていた時から不安だった。
俺の『魅了の黒子』は、異性を強制的に惚れさせるものだ。しかし、何故か『呪術師』の女性には効かない、と言うわけではないが効き目が弱いことが判明した。
子供の頃から老いも若いも関係なく魅了してきたこの黒子。五条先生曰く、呪術師は無意識に呪力で『魅了の黒子』を
しかし、その対抗も完璧ではない。呪術師として未成熟な者は『魅了の黒子』に抗うことが出来ないのだ。
一度、禪院家に呼ばれたことがある。御三家ということもあり断りきれず、くれぐれも女性と俺を合わせないようにしてくれとだけ伝え禪院家へ赴き、その後、俺は何も知らされずに勝手に縁談を組まれた。
相手の女性は呪術師としての鍛錬をしていない人だった。禪院家はただ俺の血筋を欲しがり、結婚が無理ならせめて
勿論そんな要求を俺が飲む訳がなく、腹いせ代わりに少し暴れ、それから帰ろうとした。
「私を置いて行かれるのですか!? 私はこんなにも貴方を愛おしく思っているのにッ!!」
怖気が走った。
そんな、まさか、だって呪術師は魅了されないはず……
俺の期待は裏切られた。女性は間違いなく、『魅了の黒子』の影響下にあった。こうなればもう止められない。
女性の求愛は肯定しても拒否しても、結果は変わらない。
「ぁぁあああああああッ! 愛しい、愛しい愛しい愛しい! 貴方のその金の瞳に映りたい独り占めしたい壊したい貴方の黒の髪はまるで夜天のようで宇宙のように神秘的あぁ私をそう私をそのまま見つめていやいやいや私だけを見つめてこっちを見てそうそれでいいのあぁでもいつかは貴方は私を見なくなる私も貴方のそばに居られない時があるそんなの耐えられない無理無理無理ダメダメダメずっと一緒がいいの私を放っておかないでずっとそばに居て私を嫌いにならないででも無理よね分かってる人間の体ではダメ食事も排便も仕事もなにもかも不要な存在になりたい貴方とずっと一緒にいられる私になりたいそうすれば貴方は私を愛してくれる私もずっと貴方を愛してあげられるあぁ私はこのまま死んで―――」
「やめろ! 落ち着け!」
「こわ゛して」
いつも通り。
女性は自殺し―――呪霊となって俺を呪う。
近づいてきた女性の成れの果ては、俺の背後から出てきた『魅了の黒子』の被害者たちの呪霊が取り込み、一体化した。
「これでま゛た、ひろとのや゛くにた゛てるよぉ゛お゛!」
「……あぁ、ありがとう。『かあさん』」
「ひろとぉ゛、あ゛い゛してるう゛!」
釘崎も似たようなものだったが、呪術師として未熟ではあれど、衝撃を与えれば正気に戻る程度の魅了だったことが幸いだ。
しかし、これも最近判明したことだが、俺と長く関わりすぎたり親密になると
だから、俺がコイツらと関わることは無いだろう。
そんな風に任務に行っていた時だった。
虎杖の訃報を聞いたのは。
情報
結城大翔を呪う呪霊の名前は『かあさん』。
正体、『魅了の黒子』で死後呪いとなった者たちが統合された異常な存在。
意識は一つに統合されており、その意識を持つ存在は自分を「かあさんと呼んで」と大翔にお願いしたことから、『かあさん』と呼ぶことになった。