あれからさらに数百年たった。
とりあえず今更ながら家を建てた。別に困っていたわけではないが、ある日山から少し離れたところになんか石碑とお供え物があり『守り神様へ』と書かれていた。自分は食いたいときに狩りをしていたし寝床も洞窟の中だったので家はいらなかったが、お供え物を保存するために仕方なしに家を建てた。だって美味いんだもんお供え物。果物とか甘くてよかったね。
まあ特筆すべきことはないよ。酒虫を大量に手に入れただけで。あ、酒虫というのは水を入れた容器に入れることで水を酒にしてくれる虫のことだよ。
え?人間と関わりもって何も感じないのかって?だってあれから何年経っていると思っているの?その時の人間もう死んでいるよ?なのに、その子孫やらなんやらにいちいちイチャモンつけていたら身が持たないよ。まあ最初は不快感あったけど。
そしてある日のこと……
「たのもー」
「ん?」
外に出てみるとなんか頭から一本の角の生えた妖怪がいた。
「何か用で?」
「この地域で人間を守りながら妖怪を食らうものすごく強い変わった妖怪がいると聞いてな。」
あ~噂を聞きつけてわざわざこんな田舎に来たのか。
「それは遠路はるばる……」
「単刀直入に言う………我と戦え」
「…………なぜ?その角からしてあなたは鬼真でしょ?鬼真はここら一帯の妖怪の中でも最強クラス……それが私のような存在と戦う必要はないでしょ。」
私は素直にそう思った。なんせ鬼真はその圧倒的な腕力であまたの妖怪や人間を葬ってきているという噂が絶えないのだ。
「確かにそうかもしれんが噂ではおまえは普通の妖怪にはない底知れぬ力があるといわれている戦闘狂の我としては実に興味深い。言っとくが我は承諾するまでここを離れんぞ?」
なんてはた迷惑な鬼真なんだ!
別に私はこのままでもいいが流石にこんなごつい妖怪がここにいても鬱陶しいだけだ。
「わかった……ただ場所を移させてもらうよ。ここじゃあ私のすみかが被害にあう。なんで相手は『あの』鬼真だからね」
「よかろう……それでお主の全力が見れるならたやすい。」
少女&鬼真移動中
「さて………いつでもいいよ」
「ならさっそく」
その瞬間鬼真が一瞬で私の懐にまで肉薄してきた。
そしてそこから繰り出されるパンチを私はギリギリで避けた。
「………噂以上だね。まさかスピードまであるとは」
これは純粋に驚いた。風の噂ではものすごい力で蹂躙するとしか言われていないのだから。
「我もだ、初見でこの一撃を躱したのはお前が初めてだ。」
「それは光栄ね。じゃあ次はこっちからいくよ!」
そういって、私は地面を踏みつけ衝撃波を生み出す。それは一直線に鬼真に向かっていく
「甘いな」
そういって衝撃波を飛んで躱す。しかしそんなの想定内だ。
「かかったね。」
「!?」
私はそこから一対の羽をだし。鬼真が避けるであろう場所を予測し待ち構えたのだ。そして肩から鋭いかぎ爪をもつ黒い腕で鬼人を引き裂いた。
ザシュ!
「へぇ~受ける瞬間に防御じゃなく身をひねって致命傷を回避するなんて……やるじゃん」
「………はぁ…はぁ、お前も。相当頭が切れるじゃないか。あんな芸当は鬼人には無理だ。……それにその力も見たことがない。……噂通りだ。」
「で?どうする……まだやるの?」
「………やめておく。今の我では勝てそうにない。」
「そう………じゃあついてきなさい。治療してあげる」
「……どういうつもりだ?」
「そのままの意味だよ。今私たちはただ『遊んだ』だけ。『殺し合い』じゃないわ。」
「なぜそう思う?」
「でなければ、鬼真が簡単に勝負を捨てるなんてありえないもの。第一、殺気がなかったからね。」
「本音は?」
「話の分かる妖怪と一回話したかった。ここらの妖怪、私みたいに知能が高くなくてね。あなたみたいに話のできる妖怪と話したかった。」
「ふふ」
「?」
「フハハハハハハ!!!話せるから襲った妖怪を救うか!それも鬼真を!!しかも遊びとはな…気に入った!!!よかろう!手当てを受けよう!!」
「なんで偉そうなのよ!!」
ゴン!
「イテ!何をする!」
「さっさと来なさい!」
こうして私は鬼真と出会った。