東方幻想妖   作:犠牲者

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第五話:さわらぬ神に祟りなしとはこのことだと思う……神じゃないけど

集落を訪れてから2日後……私たちはいつもと変わらぬ日常を謳歌していた。狩りをしたり鬼真と飲み会したり散歩したり鬼真と闘争したりと………

そして今日も狩りをしようとした時だ

 

 

 

「なんだコレ?」

 

 

 

今私たちの目の前には大量の妖怪達がいる。

ちょっと困惑したがとりあえず聞いてみることに

 

 

「何があったの?」

 

 

そこに代表格の見た目は少女の紅い長髪の妖怪が前に出た。

 

「実は……」

 

 

 

話を聞く限り人妖の対立は決定的なものになっていた。人間たちがついに妖怪の駆逐を始めたのだ。

人間は強力な重火器で妖怪を駆逐し始め、私と鬼真の妖山とその周辺、あとは数匹の大妖怪が守る猫の額ほどの土地以外に妖怪が定住できる場所は無くなっていた。そこで未だ唯一広大な土地を持つ私のところへ平和的に移住しようと考えここに来たらしい。

 

「お願いします!どうか私たちをここへ住まわせてください!」

「構わないわ。」

「本当ですか?」

「ただし条件がある」

「なんでしょうか?」

「このままではジリ貧……私たちは人間によって駆逐されてしまう。だから私に策があるから手伝ってほしい………ちょうど妖怪の手が欲しかったし。」

「それはつまり……」

「成功するかはわからないけど私たち妖怪の土地を取り戻しましょ。」

「!?……は、はい!」

 

 

これは事実だ。襲ってくる人間を駆除しても再び攻められてしまう。数では繁殖機能の高い人間が圧倒的に多いのだ。ならば攻めることで自分たちの領土くらいは取り戻さなければならない。

 

 

 

 

 

私たち妖怪も団結する時が来たのだ。

 

 

 

 

 

「だけどまずはいろいろと役割分担しないとね……貴方は?」

「私はクトゥアです。」

「そう私のことは………とりあえず「零」と呼んで頂戴」

「はい!」

「それにしてもクトゥアか……あなたほどの大妖怪までやられたの?」

 

クトゥアと言えばここから南にある火山地帯に生息する『熱と炎を支配する程度の能力』をもつ炎の大妖怪だ。そこが人間の実力でやられたというなら容認できない事態である。

 

「大妖怪とはいえ、私一人では限界がありますし他の妖怪達も……」

「なるほどね……じゃあ今どれだけの妖怪がいるかわかる?」

「ざっと見積もって1500は……」

「ずいぶん多いわね」

「何か嫌な予感がしたので、すぐに逃げられるようにしていたので……」

 

なるほど、勘がよく統制能力まであるとはこの妖怪はなかなかに重要となるカギとなる。

 

「じゃあまずはこの山の周囲の見張りを……それから山の周囲に穴掘って人間が通りにくくするわよ。分担は貴方に任すわ。あなたのほうがその子たちのことわかっているだろうし……鬼真!」

「なんだ?」

「今すぐ此処の妖怪達を集めなさい!これは私たちの生存をかけた戦いになる!!戦力はあるだけあったほうがいいわ!」

「承知した」

 

こうして山に住まう妖怪たち全員が一同に集った。

彼らも人間たちの行いに苦虫を食っていたことと鬼真が前から根回ししていたらしくすぐに集まってくれ、元人間である私の言うことも聞いてくれた。なんでも彼ら曰く「元人間であるアンタだからこそ人間のことを良く知るアンタの知恵が欲しい」とのことだ。これが妖怪の総意だ。

そして私は人間の集落へ赴き諜報活動を行い彼らがこの地へ攻めてくる時期も大体把握した。もとより人間との交渉なんて期待していない。よしんば上手くいっても、またいつか同じことが起こるだろう。人間の欲望は果てしない。

 

「人間たちは今から7回太陽が昇る日に攻めてくるらしい」

「本当ですか?」

 

その朗報にクトゥアたち全員が喜んだ。

………しかし

 

「だけど私はこれが嘘だと思う」

「え?どうしてですか?」

 

その言葉に一同疑問を持つ

 

「第一に、この情報が非戦闘員にまで大々的に伝えられていたこと。士気向上という理由もあるだろうけど、それにしたっておかしい。まるで私たち妖怪に知らしてくれと言わんばかりにね。第二に、人間は強力な重火器を持っていても所詮は人間であること」

「つまりどういうことですか?」

「つまり人間の本質……力の源は腕力や妖力ではなく知力なのよ。故に彼らは狡賢い。あの武器にしたって彼らの知力によって生み出された賜物。彼ら自身に物理的な力はない。そんな彼らがそんな大々的な布告をすると思う?」

「つまり……」

「彼らはおそらく近いうちに来る……それも奇襲とかしてね。だから太陽が昇っている間と沈んでいる間で後退して見張りをするわ。堀は?」

「9割はできている。」

「この短期間にしては上出来ね。じゃあみんな!気を引き締めていこう!!」

 

『オオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』

 

 

 

 

そして二日後の夜

 

「零さん!人間がせめて来ました!」

「来たわね……じゃあみんな作戦通りに……」

「ハイ!」

 

私の予想は完全に的中していた。人間たちは7日ではなく2日にここへ来たしかも夜に……しかしこちらとてただ手を拱いているわけではない。ちゃんと対策も練っている。

 

さて、教えてあげる。妖怪が『団結』し『知恵』を得たその恐ろしさを……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:人間ズ

 

作戦は完璧だ。最近妖怪たちは周囲の妖怪も含め、あの山に籠っているという……確かにあそこは長い間我々の干渉をことごとくはねのけた妖怪がいる。だが………30000の兵器を持った部隊だ。そしてその妖怪も頭がいいが我々人間には劣る。偽の情報につかまされ舞い上がっていることだろう。奇襲すれば敵ではない。周りを囲めば逃げ場もなくなる。たかが妖怪ごときが我ら人間の力にかなうわけがない。さてあの守り神と呼ばれた妖怪をどうやって殺すか。………妖怪も恐怖するのだろうか?見てみたいものだ。そしてそいつを殺せば上層部は殺したものを『大将軍』の地位を与えてくれるらしい。これでやる気がでない者はいないだろう。む……どうやら妖山が見えてきたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:零

 

戦いは一方的だった。人間たちは濠を超えることはできず、こちらは衝撃波や火球、光線といった遠距離からの攻撃。石や岩などを投げることで人間を駆逐していった。私たち妖怪は腕力や妖力が高い。故に人間にとっては数か月または数年かかる濠も妖怪からしたら数日でできてしまう。ではなぜ作らないのか?簡単だ、面倒だからだ。それに濠を作っても飛び越えたり空からくるものまでは対処できないし、むしろそういう妖怪のほうが多い。なら作っても意味はないのである。だが今回の相手は人間、私たち妖怪にとっては簡単に飛び越えられる距離でも人間にとっては致命的なのだ。しかもこちらは決して濠から先へは出てこないのだから。まさに無双状態である。しかし醜いものだ。最初ここへ攻めてきた人間の下卑た表情はどこにもなく顔面蒼白となって逃げだそうとしている。挙句の果てには命乞いをしている輩までいる始末だ。しかし逃がすつもりも助けるつもりもない。私は指先から光線をだし、足元を崩した。

戦い………というより虐殺は1時間もかからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:人間ズ

 

なんだ……これは?

今我々の前にあるのはとても深い濠だ。それだけでも信じられない光景だというのにさらに信じられない光景がそこにあった。

妖怪どもが統率のとれた動きをしているのだ。こんな光景は今まで見たことがない。奴らは我が強いため、誰かに従うことをしようとはしない。だから奇襲やだまし討ちといったこともしやすかったというのに……しかもこいつら決して濠から出ようとしない。全て遠距離からの攻撃だ。おかげでこちらの攻撃が届かない!

 

「く!?仕方ない……いったん撤退するぞ!!」

 

そういって我々は撤退しようとした……したが

 

 

 

 

 

ドガァン!!

 

 

 

 

 

な!?足元が急に……不味い!このままではこの奈落の底へ……こんなところで死ぬのか?い、嫌だ!死にたくない!!誰か、誰か助けてくれ!!!

 

しかしそんな人間の声なぞ聞こえるわけもなく、人間たちの殆どは奈落の底へと落ちて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして人と妖怪の戦いはひとまずの終結を迎えた。妖怪の勝利によって……

 

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