ゲールマンの元から去り、工房を出るとすぐ足下の石階段から、それはそれは恐らく五十センチも無い小さな骸骨が無数に現れる。
「ってうわぁ!? な、なんだコイツら……?」
オオォォ……と不気味な声を上げる骸骨。
ヒッヒヒと不気味な笑みを浮かべる骸骨。
そして彼らは三本の武器と二つの拳銃らしき物を持っていた。もしかしたらここからそれぞれ一つずつ選べとても言っているのだろう。
武器は一つは、鋸刃の付いた鉈のような武器。
一つは、とても柄が長いハルバードのような斧。
一つは、杖……?
銃は、小口径と大口径の銃が二つ。
俺は暫く悩んだあと、ハルバードと小口径の銃を選んだ。
それぞれ“獣狩りの斧”と“獣狩りの短銃”と呼ぶようだ。
斧はよく見れば片手で持てるが、伸縮機能があり、両手持ちに切り替えられ。短銃に関しては……試しに上空に向かって撃てば、反動で肩が外れそうになった。……。銃まで必要かなぁ……?
正直言って気持ちは超憂鬱。あの墓石に触れれば狩りが始まるのは分かったけど、俺は今の今さっきまでごく普通の社会人だったんだ。
そして小石をどこぞのクソガキにぶん投げられた挙句、そのまま死んだと思ったら何故狩人とか言う人生を送る事に。
ふざけやがって……。どうか。例え夢でなくても、どうか悪い夢であってくれ。そして目覚めるんだ。いつもの生活へと。
俺はまた大きくため息を吐きながら墓石に触れると、石からたちまち光が漏れ始め、特に光に驚くほどの余裕もなく、そのまま光に包まれた。
次に視界が開けた時、俺が目覚めたのは硬い鉄の担架の上だった。
既に腕からは赤い液の管が。その先を見れば分かる、輸血液で繋がれていた。俺はどこかの病院で入院していたのだろうか?
そうだ。石ころで気絶して病院に運ばれたんだきっと。まぁ、石ころ程度で輸血が必要とは大袈裟だが。やはり今のは悪い夢で、自分のことを見回せばいつも着ている黒のスーツ姿だ。
「なぁんだ。驚かせやがって……って? ひぃっ!?」
俺はほっと息を吐いて落ち着いて辺りをもう一度見回す。
そこで信じられない光景を目の当たりにして思わず間抜けな声を上げてしまった。
血、血、血。辺り一面は夥しい大量の血がぶち撒けてられており。
恐らく病室であろう自分が居たその場所には既に、ほかに多くの担架と輸血液が吊られた点滴スタンドが置かれていた。
ふと気が付けば俺の片手には、ついさっき手に入れた斧があり、俺が目覚める前にいた場所はやはり夢ではないんだと理解させる。
「はぁ〜……。全くどうなってんだ……。俺が一体何をしたって言うんだ……」
担架から一旦降りて、不気味で薄暗い病室をしばらく。その場でぐるぐると同じ場所を歩き回る。いくら歩き回ってもただ疲れるだけで、もう一度目を覚ますなんてことはなく、やはり俺は獣狩りなんてことをしなくちゃいけないのだろうか。
ならばと。とりあえず病院の外へ出ることを今の目的とする。
そうしてふと血で湿った木の椅子の上を見ると、そこには書き置きがあった。
そこにはどう見ても自筆。だがこんな書き置きした記憶なんて頭のどこを探してもない。
『青ざめた血を求めよ。狩りを全うするために』
全く持って意味が分からない。
先ず青ざめた血がなんなのかが分からないが、俺は“狩りを全う”だなんて使命感すら感じていないんだから。
あぁ、まさかこの輸血液に薬でも入っていたんじゃないか? 記憶操作するとかそんなものが。だって石ころで気絶した程度でやっぱり輸血が必要なんておかしいもんな?
「くそっ……だれがこんな物!」
乱暴に腕に繋がれた管を引きちぎる。少しだけ痛いが我慢する。
さて、早く病院を出て外の様子を。今の状況がどんな物なのか調べなくては。