天使の子   作:ぺてんし

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仮面のお芝居。


act.1 百城千世子
第一話 天才子役


 

 

 

 

この世界に生まれてから、早や四年。

百城千世子は既に天才子役としてその名を上げていた。だが肝心の星の子達を見つけられず、もし見つけられたとしてどの様に導けば良いのかも未だ分からないまま時が一刻と過ぎていった───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あんたが天使とか呼ばれてる子ね‼︎

私は今日!あんたを超えるわ!覚悟しなさい‼︎」

 

ビシッ!と千世子を指差す、赤みがかった黒髪の少女、有馬かながそう言い放った。

 

 

遡る事、約1時間程前。

千代子は映画の撮影のため、楽屋で最終調整をしていた。

 

「(にしてもカントク酷いなぁ… この台本、改めて目を通して見ても無茶ばっかり。私は良いけど他の演者はかなり辛いだろうなー。どうせまた、全部、全部私頼みか…」

 

そんな事を考えながら私は、役作りに専念する。役作りと言っても、今の世間から見られている百城千世子と言うイメージを当てはめるだけだけど。今はそれで良い。時期に大衆が飽きてきてくるだろうから、その時にまた違う仮面を被れば良い。

 

今回撮影する映画の内容は、とある双子の子供が親の留守中に家の中で次々に起こる怪奇現象に立ち向かうといったもの。かなり低予算で作られている為、時間がない。それに役者の殆どがテレビなどで名の聞かない者ばかり。唯一名を聞くのは…私とメインを務める有馬かなさんだけ。正直会ってみないとどんな子か分からないから、もしヤバめの子だった大変だな、などと思いながらも私は目の前に置いてある虫かごの中を見る。入って居るのは少々小さいクワガタ。この撮影に来る前に捕まえてきた子だ。うん、可愛い。本当は楽屋にあまり持ち込んではいけないけど、今は子供の特権としてどうにか許してもらっている。

 

だが連れてきたことを私は後々後悔することまだ知らない。

 

 

 

 

 

かくして冒頭に戻る。

私の目の前に勢いよく現れたのは、10秒で泣ける天才子役として名を上げて居る有馬かなさん本人。なぜだか分からないけど敵対されている。

 

「あんたが天使とか呼ばれてる子ね‼︎

私は今日!あんたを超えるわ!覚悟しなさい‼︎」

「勝負ごとも良いけど。

基本は忘れちゃいけないよ?」

「んな⁉︎分かってるわよ」

 

ふん!と勢いよくそっぽを向く有馬さん。うん、ヤバめの子だ。

 

あれから30分ほど経っただろうか。そろそろマネージャーが呼びに来るはず。だがその前に先程からチラチラとこちらを見てくる有馬さんに私は話かけた。

 

「あのね有馬さん」

「な、何よ」

 

「映画も芸能も芸術じゃなくて、商業(ビジネス)

芝居が上手いだけじゃ世には必要とされないんだよ。

だからね、これだけは覚えておいて───

 

“俳優は大衆のために()れ”だよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

撮影終わりの夕方。今回もリテイクせずに終わらせたのだが私が所属する事務所…苺プロダクションの社長、斉藤壱護に呼び出され、私は今扉の前に立っていた。

 

社長に呼び出されるなんていつぶりかな?前世では厄介ごとを押し付けられる事もしばしばあったから、こう言う呼び出しは正直言って嫌い。だけどそんな事を考えていても仕方ないし、そろそろ入ろうかな。

 

一呼吸し、3回ノックをして返事を待つ。

 

「入ってくれ」

 

壱護さんの声が聞こえたと同時に、少し背伸びをして私は部屋の中に入った。そこで何かを渋るような待ち構えていた壱護さんをチラ見し、様子を伺い席に座る。すると壱護さんは徐に私に話しかけてきた。

 

「悪いな、千世子ちゃん」

「いえ、お気になさらず」

 

人当たりが良さそうな仮面を貼り付け、返事を返す。

 

「呼び出した理由なんだが……」

 

ないとは思うけど…もしかして撮影先で私、何かしちゃったかな…そんな思考に私が陥っていると、壱護さんが決心したように口を開いた。

 

「千世子ちゃん…君は…友達はいるかい?」

 

うん?急にどうしたのだろう。一護さんが言った言葉に引っ掛かりを感じる。もしかして私は友達がいないと思われているかもしれない。それは不味い、訂正しないと。

 

「…いますよ。友達の一人や二人」

 

ニッコリと笑顔を浮かべ答える。

 

「だよな…」

 

一体何をそんなに落ち込んでいるのだろうか…それと本当に呼び出した理由が友達が居るか居ないかだけを聞くためだけなら本当に笑えない。少し位深く聞いても私に罪はないはず。

 

「悪い、今日の話は聞かn「何をそんなに悩んでるんですか?」…いや、まぁ…そうだよな。呼び出しといてそりゃないよな…ははは」

「私で良ければ力になりますよ?」

 

そう私が言い放つと壱護さんは数秒考える素振りを見せ、口を開いた。

 

「……嗚呼、ありがとう。…実はな───

 

 

壱護さんの話によると、幼稚園に通う私の一つ下位の子供が二人居るらしく、なんでもその片割れが頑なに他の子供達と話したり遊んだりしないでずっと難しい本ばかり読んでいて心配らしい。それで今回私を呼び出した理由はその子と仲良くなって友達になって欲しいのだとか。だが私と会って、いざ話そうとしたらその子の事を考えてまい、本当にその子の為になるのかと思い言葉詰まったらしい。なんともまぁ見た目に反して優しい人である。そんな壱護さんを見ていたら少しでけ助けたくなってしまった。

 

この人のおかげで人気子役として名を上げていられるのも事実。私にできる事があるならしてあげようと思い、私は口を開いた。

 

「別に、友達になる位ならいくらでも良いですよ?」

「本当かい⁉︎ありがとう!千世子ちゃん!」

 

大人がはしゃいでるのを見るとなんだか可哀想に見えてくるのはなぜかしら……

そんな事を考えながら、私はこれから会うであろう子供のことを考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の名前は星野愛久愛海、基雨宮吾郎だった者だ。ひょんな事から転生し、推していたアイドルの子供になり今に至る。

 

だが今、大の大人が小さな俺にニコニコと笑顔で話しかけて来るこの場面はなんとも言え難い気持ち悪さを感じる。

 

「ってことで仲良くしてやってくれ、アクア!」

 

そう俺の目の前で言い放った、チンピラ顔負けの風貌をした苺プロの社長、斉藤壱護。

何が“ってことで仲良くしてやってくれ”だ意味が分からない。それにこの事務所、俺の他にも子役居たのかと思う所もあるが、それよりこの年頃の子供の相手をするのは俺にとってかなり苦痛だ。精神年齢がアラサーの時点で謎の負い目を感じてるせいもあるが…今はそれとこれとは別だ。いつ、どんな事でアイの事がバレるか分かったもんじゃない。壱護さんの気持ちはありがたいが仕方ない…ここはキッパリ断ろう。

 

俺がそんな事を考えているとゆっくりと扉が開く音がした。その音に無意識に反応し、俺はそちらを見つめる。

そこに現れたのは、ふわふわの白金の髪を背中まで伸ばし、人形のような端正な顔立ちをした美人可愛い系美幼女が立っていた。俺の方を見てコロコロと表情を変える様を見て、息を呑む。

 

アイもルビーも可愛いし可愛いし可愛いし綺麗だが、今部屋に入ってきた子は可愛いとか綺麗とかそう言うものをなんだか超えている気がする。などと言った浅はかな考えが俺の脳裏をよぎった。

 

扉が閉まる。

するとその少女が口を開いた。

 

「百城千世子です。

これからよろしくお願いします」

 

鈴のような声が部屋に響く。

声までも綺麗だとはな、天は二物を与えずとは言ったものだが、そんな事はないようだ。しみじみと俺は思いながらこちらも軽く自己紹介をする。正直したくない。笑われそうで…

 

「星野…あく……愛久愛海

 

俺にはこれが限界だ。美しい者に笑われるのは勘弁したい。俺の持論が崩れてしまうからな。

 

「へぇ、愛久愛海ね。良い名前じゃん」

「笑わないのか?」

「なんで?そんなに愛されてる名前なのに?」

 

間違いない、この子は良い子だ。決して人の名前を笑ったり馬鹿にしたりするような奴じゃない。この瞬間でそれが実感できた。

それにこの子に興味が湧いてきた。普通、そんな考えをする幼稚園がいてたまるか。もしかしたら俺とルビーと同じ転生者なのかもしれない。もしそうなら、気が楽なんだが…

 

「二人とも良い感じだな。

俺が居て水さすのも悪りぃからよ。後は二人で楽しめよ!」

 

言い終わると一瞬にしてこの部屋から壱護さんは出て行った。

ただ気まずくて逃げたいだけだろと思ったが、今は何も言わないでおこう。

 

 

 

 

 

あれから約1時間程経った頃、俺達はかなり仲良くなった。

百城は大人びていて話しやすいし、気が楽になれる。だがかなり変わった奴だと言う事も分かった。なんでも普通の女の子が好きなはずがない昆虫が好きだとか、人の横顔を見るのが好きだとか、などと言った特殊な子だったのだ。俺がそんな思考に落ちってると百城が徐に口を開いた。

 

「ねえ、星野君」

「なんだ?」

「もし、もしだよ?」

「もし?」

 

前世の記憶があると言ったら、君ならどう思う?」

 

は?今なんて言った?前世の記憶がある?まさか…いや、何とくなく予想はついていたがまさかな…

 

「信じるよ」

「へぇ…信じるんだ。

変わってるね」

「お前が言えたことか?」

「ふふ…そうだね…

あのね───」

 

何処か遠くを見ながら百城は俺に語り出した。それを見て俺は耳を傾けた。

どうやら百城は以前はかなりの大女優だったらしい。だが、信頼していた者が実はストーカーでその者に襲われ、亡くなったらしい。何とも悲劇的な話だ。俺はその話を聞いて、アイが同じめに合わないようにこれから行動しようと思い、決意を固めたのだった。

 

「あはは、おかしな話だよね…今の話は忘れt「いや、おかしくないだろ」え…?」

「俺もそれに近い事が前世にあったしな」

 

この際なんだ、別に俺の話をしたところで何か不祥事が起こる事はない。それにアイの事をはぐらかせて話せば問題ないしな。別に綺麗な子と仲良くなりたいとかそんな事は決して思ってない…多分…いや、間違いなく…さりなちゃんに誓ってそう言える。

 

そうして話終えた俺は、百城の横顔を盗み見る。そこにあったのは───

 

驚き

喜び

悲しみ

期待

 

と、言った感情がごちゃ混ぜになった表情だった。何だか申し訳なく思ってしまう。別にそんな表情をさせる為に話した訳じゃないんだけどな。

 

「星野君…「アクアでいいよ」…」

「じゃあ、アクアちゃん」

「おい、ちゃん付けはやめろ」

「あはは!そうだね。

じゃあ、改めてましてよろしくね。アクア君」

 

こうして近い将来、大々的に天使と呼ばれる事になる大女優と俺の邂逅は幕を下ろすのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんな安らぎの時間は長くは続かない。

近い未来にあんな事が起こる事を俺はまだ知らないでいた。

 

 

 

 





人物紹介。

百城千世子

天使。この言葉に尽きる。



有馬かな

千世子に憧れと嫉妬と劣等感を感じているめんどくさい子。そこが可愛い。近い将来、反転アンチ化する。



星野愛久愛海

アイ、ルビー正義。千世子のことは友達と認定。



斉藤壱護

近い将来、???



小説書くのって難しい。
感想や評価してくれるとありがたいです。

次回の更新は1週間後です。
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