ホロライブのスタッフを辞めて、にじさんじのスタッフになるお話 作:主義
「リゼちゃん、なんか楽しそうやな」
「そ、そうかなぁ…」
「うん、楽しそう」
「…アンジュにも同じようなこと言われたんだけど、そんなに楽しそうに見えるのかな」
自分ではそこまで変わった感じはしないんだけど。
「うん、みえる」
「…でも、最近は事務所に行くのがとっても楽しいのは本当なの。前まではこんなことなかったんだけど……」
事務所に行くときは大概…お仕事のことなのでこんなに気分が高揚することはなかったのに。気分が高揚していて事務所までの道のりがとても楽しいし、事務所に着いた今でも楽しい気持ち。
「あのスタッフはんのお陰?」
「そ、そうなのかな?」
「そうやないの」
「あの人といると…楽しいんだよね。まだ出会ったばかりだし、あの人のことをそんなに知っている訳じゃないんだけどね」
でも、いつも事務所に行くと必ずと言っていい程スタッフさんを探しに行く。お話をするだけでも楽しくて、時間を忘れてしまう。
「でも、リゼちゃんがそないなに早う人に心を許すのは初めてみたかも」
「た、たしかに!」
「まあ、でもその気持ちは分かるかも」
「え、とこちゃんも!?」
「うん。ウチもあの人と話すこと多し。何だかんだ色々と話し込んじゃうんよな。聞き手として上手すぎるから話しとるこっちの方が時間を忘れちゃうこともあったし」
「とこちゃんもそうなんだぁ…」
「たぶん、あの人はスタッフとかいう以前に人間として…ええ人なんだと思うんよ。そやし、たくさんのライバーが彼に惹かれるんやないかなぁって」
「…確かにスタッフさんの話は皆からよく話を聞くよね」
「それぐらいに皆から好かれとることだと思う。最近入ったばかりなのに昔から居たみたいな感じになっとるし。誰でもそないな風になるわけちゃうし、スタッフはん、やからそうなっとるんだと思うしな」
「…確かにそうかも…」
そんな風に話していると…渦中の人物がこちらに向かって歩いてきた。私ととこちゃんがほぼ同タイミングで見たもんだから、スタッフさんは少し混乱していてこちらに話し掛けてきた。
「な、なにか用ですか?」
「い、いや、そういうわけじゃなくて…」
「ずっとこっちを見ていたので何かあるもんだと」
「あんたはすごい人やっていう話をしとったんよ」
「そんなことはないと思いますけど…」
「少なくともあたしとリゼちゃんが…『すごくいい人』やと思っとる」
「…僕なんかよりも良い人はいますよ、全然」
良い人や優しい人はたくさんあったことあるんだけど、この人だけは何か違うんだよな。言葉で言い表すのがとても難しい感じ…。今まで出会った、どんな人よりも良い人なのは確かだけど。
「あ~スタッフさ~ん」
「ごめんなさい。呼ばれたようなので行ってきます」
「止めちゃってごめんなさい!」
「いってらっしゃい」
そしてスタッフさんが私とは反対方向に向かっていった。私たちの目的地は真逆なので振り返らなくてもよかったんだけど、ちょっとさっきスタッフさんのことを呼んでいた声が…知人の声に似ていたこともあって振り返ってしまった。
「まだ次の収録まで時間があったと思っていたんですけど、もう始まりですか?」
「ううん」
「じゃあ、何か僕に手伝って欲しいこととか?」
「ううん」
「……え、じゃ…どんな用ですか?」
「私がスタッフさんと一緒に居たいと思ったからっすよ」
そこには…スタッフさんの腕を横から抱きしめている……よく知っている人の姿があった。さすがにこの現場を見て、私は知らずに通りすがる事はできなかった。
「あ、あの…」
「だれ……って……り、りぜ…」
「アンジュ、何しているのかな?」
「いや、これは…ちょっと甘えたくてなんて…」
「どう考えてもそれだけじゃないでしょ。スタッフさんに迷惑かけてるし」
「そ、それは…ぁ…」
「僕は迷惑とは思っていませんので…」
「スタッフさんは優し過ぎです。アンジュにはしっかりと言っておかないと直らないんです!」
「いや、さすがにリゼさんのアンジュさんへの声色が明らかにキレている人でアンジュさんが今にも泣きそうな顔をしているので、これぐらいで勘弁してあげてくれないですか?」
「……わ、わかりました…」
さすがにこれ以上、言ったら本当にアンジュが泣きそう。
「それにしてもアンジュさんはなんで僕を?」
「え、さっきも言った通りで一緒に居たいと思ったからっすよ」
「…別に僕と話しても楽しくないですよ」
「面白いっす!!それに私はこれを楽しみしてたんすよ!」
「え…」
「この仕事を受けたのは…スタッフさんに会えるからっていう理由ですからね!」
「…そ、そんな…理由で」
「そんな理由って!?アンちゃんにとっては重要なことなの!」
「そ、そうですか…」
「あのスタッフさん…」
「どうしたんですか?リゼさん」
「アンジュって確か…今日は『オフ』って言っていた気がするんですが…」
「そうですよ。本当はお休みだったんですが、ちょっと収録を予定していたライバーのうちの一人が風邪でどうしても来れなくなってしまったのでその代わりに無理言って来てもらったんです。本当に感謝しかないです」
やっぱり…そういうことだよね。だってちょっと前に話した時に「一日オフの日があるんだよね。どっかちょっと旅行でもしようかなぁって思っててさ」って言ってたもんね。
「…アンジュ」
「どうしたの?」
「止めたの?」
「うん。キャンセルを入れたよ。キャンセル料を払わなくちゃいけないけど、それでもスタッフさんに会うためなら安いもんだし。それに何よりも…スタッフさんが一番に私のところに電話を掛けてくれたことだけでも嬉し過ぎて…」
アンジュの心も射止めちゃうなんて…スタッフさんはすごい。まあ、アンジュに関しては誰にも当たり屋だから…心を射止めるのはそんなに難しくなさそうだけど。
いや、でも…今さっきのアンジュの言葉の中に聞き捨てならないことがあった。
「…え、アンジュが一番…」
電話を掛けられた順番はその人の信用とか仲良し度によって…違う。だと…スタッフさんにとってアンジュが一番だっ…てことに。
私はスタッフさんにちょっとずつ詰め寄っていく。
「…す、すたっふさん!」
「ど、どうして…そんな怖い顔をしているんですか?」
「一番最初にアンジュのところに電話を掛けたって本当ですか!?」
「そ、そうですね…」
「な……なぁ…んで…」
「……な、なに…」
「なんで私じゃなくて…アンジュが最初なの!」
「…い、いや…リゼさんがお仕事だというのは聞いていたので電話をしても無理だと思いましたので」
「そ、それでも…もしかしたら行けるかもしれないですよ!!」
「さすがにそれは無理ですよ」
「で、でも!!!いけたもん!!」
「…無理ですって。それにリゼさんがお仕事なのも分かっていましたし、電話を掛けて代わりを頼んだりすると…リゼさんが断る時に心を痛めちゃうかと思いましたし」
やっぱりスタッフさんは…私のことを理解しているんですね。もし、電話が掛かってきたらどっちにしろ断る事にはなっていたと思う。私の一存で決めていいのなら絶対にスタッフさんの頼みの方を優先していたと思うんだけどね。
「で、でも…次は絶対に私に最初に掛けてきてくださいね!絶対に駆けつけるので!!」
「…わ、わかったので…ちょっと距離を取ってくれると有難いです」
「…あ、はい…」
それから少し話しているとアンジュと社員さんは呼ばれて走り去ってちゃった。
「こ、今度はわたしが…」
「リゼはんもがんばれ」
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『ねぽらぼ』オフコラボ打ち合わせ
「ねねもがんばる!」
「なにを?」
「社員さん、見つけるために!!」
桃鈴ねねは片手を天高く突き上げて宣言する。
「そう言えば、最近は皆なにか色々とやっているみたいだよね」
「ポルカもそれは思った。特にすいちゃんとかは恋の暴走列車な感じ。もう止まることを知らず、このまま突き進んでいきそうだもん」
「ラミィも社員さんにあいたい~~」
「ねねも~~~」
「ポ、ポルカもあいたいよ!」
子供の用に騒ぎ始める三人のことを獅白ぼたんは少し離れたところから見ている。
「三人共、そんな風にしている時間があったら少しでも社員さんを探すために行動したら?」
「そ、そうだね!!」
「たしかに!」
「ポルカもやるぞ!」
「早く社員さんが見つかってくれないと…これからどうなるか…」
感想があれば
主人公は誰かと結ばれて欲しいですか?
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結ばれて欲しい
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結ばれないで欲しい