ホロライブのスタッフを辞めて、にじさんじのスタッフになるお話 作:主義
「え、それが本当ですか!?」
「リリムも驚いたけど、本当なんだよ!」
今まで一度もそんな噂は耳にしたことなかったし、もちろん本人たちからも聞いたことなかった。でも、リリムさんが嘘を言っているようには見えないですし。
「そうなんですか。まさかあのお二人が付き合い始めるなんて…。なにかあげた方がいいのでしょうか?」
「なにかって?」
「おめでとうの気持ちを込めてマグカップとかを」
「いやいや、結婚するわけじゃないんだから。スタッフさんはちょっと先を行きすぎだよ」
「そ、そうですか…」
自分でも身近な人同士が付き合い始めるという経験がないのでどうすれば分からない。
「それにしてもスタッフさんがそんなに取り乱すのって珍しいね」
「さすがに驚きますよ。逆に驚かない人なんているんですか」
「たしかに!」
「まさか…椎名さんと社さんが付き合い始めたなんて」
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社さんとは二日前、飲みに行った時にはそんなこと言ってなかったですし、椎名さんも前に笹木さんと三人でお出掛けをした時にも何も言ってなかったですよね。
「じゃあ…スタッフさんとリリムと付き合う?」
「な、なに言ってるんですか!」
「動揺してるスタッフさん、可愛い~」
「…はぁ……そんなことを言わないでくださいね。他のスタッフさんとかに聞かれたら…」
リリムさんはどんな時でも僕のことをからかってくるんです。僕は何事でも言われたことは信じちゃうのでリリムさん的には騙し外があるんだと思う。
「大丈夫だって。スタッフさんを心配し過ぎなんだよ」
「し、しんぱいしますよ…」
「で、でも…リリムはスタッフさんと付き合ってもいいよ。これは本当だから」
「今度は騙されませんよ。リリムさんの嘘に何度も騙されるわけにはいかないので」
どうやら僕の答えがリリムさんのお気に召さなかったようで、頬で膨らませてこっちを見ている。
「な、なんですか?」
「なんでもない!!スタッフさんがリリムの気持ちに気付いてくれなかったから、リリムはしばらく不機嫌になります」
なんでと言いたくなるところですが、ここでそれを言ったらたぶん「自分で考えてください」と言われるに決まってますしね。
「す、すいません。僕がリリムさんを不機嫌にさせてしまったのなら。だけど、僕は笑っているリリムさんのことが好きなので笑ってくれませんか」
これは本当の言葉。やっぱりタレントさんには笑顔であって欲しい。
「…最後の方だけもう一度言って」
「最後?」
「さっきスタッフさんが言ってたこと!」
「あ、それですか…え~と……だけど、僕は笑っているリリムさんのことが好きなので笑ってくれませんかであってますか?」
「もう一回言ってくれたら機嫌を直してあげる」
「僕は笑っているリリムさんのことが好きなので笑ってくれませんか?」
「しょうがないなぁ~~」
やっとリリムさんは僕の方に向き直ってくれて……とても笑顔だった。僕には眩しいぐらいの。
「やっぱり可愛いですよ、リリムさんは」
「な、なんで急にそんなこと言うの……///」
「だめですか…?」
「…いいよ」
顔を赤らめているのを僕に見られるのが嫌なのか、顔を両手で覆っている。そしてそんな様子を見ながらもお二人のことが頭をよぎる。
僕はお二人から直接報告されたわけではないですし、知らない振りをした方がいいかもしれないですね。変に知らせたとなったらリリムさんが他の人ととの信頼関係が揺らぎかねない。リリムさんだから教えた可能性も全然ありますしね。
そしてそれから数日して僕はある企画の現場にいた。
「あ、おはようございます!」
「おはようございます!」
いつものように挨拶を交わして企画説明の始めた。社さんもある程度は理解してくれていたようで最後の確認は本当に順調に進んでくれた。タレントさんによっては企画に関して何も知らずにというか、読まずに来てしまう人もいて説明が長引いてしまうことが多いんですよね。
「それでこんな感じで大丈夫ですか?疑問点があれば今のところに言ってくれると有難いのですが」
「いや、大丈夫です。流れは理解できましたし、後は相手だけですね」
社さんはちょっと苦そうな顔をしている。そしてその原因は…椎名さんのことですかね。今回の企画は社さんと椎名さんのお二人で行う。そのため本当は企画の最終確認は僕を入れて三人でやりたかった。
でも、これは毎度のことですが、椎名さんが寝坊をしてしまった。だけど今回はもう向かっているという話を聞いているのでそこまで時間が掛からず、ここに着いてくれるはず。
「まあ、椎名さんに関してはあんまり時間を取れないと思うので社さんが引っ張ってあげてくださいね」
「そうっすね。さすがにこの企画を台無しにするわけにはいかないですから」
そう話している時の社さんは…なんかいつもと違く感じた。いつもならもっと椎名さんへの怒りを口にしているいるのに今日はそういう言葉がほとんど出ていない。
やっぱり、彼氏彼女という関係性になったことで変わったものがあったのかも。
「はい、頑張ってくださいね」
無事にとはいかなかったですが、デッドラインを超えるよりも前に椎名さんは到着した。本当に椎名さんが関わると胃がキュッと締め付けられるような感覚を覚えるんですよね。このままだといつか僕の胃は終わるかもしれない。
企画の方は『大成功』と言ってもいいような感じでした。この二人の相性はとても良くて安心感がありましたしね。
「お疲れ様です、お二人共」
「お疲れ様です」
「おつかれ~~」
そこで僕は椎名さんの腕にブレスレットがあることに気付いて、ちょっと気まずくなってしまった。社さんだって他の男性から貰ったものをしているというのはあまりいい気がしないものではないだろうか。
「本当にお二人はお似合いですよね」
「え、な、なんですか?急に」
「いや、そう思ったので口に出しただけですよ」
「そうやんな」
「はい。お二人がお付き合いしていると聞いた時は驚いたんですが、今見るととてもお似合いなカップルだと思います」
「は?」
そこで僕はやってしまったと思った。僕はまだお二人から報告されていないのに、それを口走ってしまった。
「…あ、すいません…」
「なんで俺と椎名が付き合っていることになってるんだ?」
「え、お付き合いしているんですよね」
なんか社さんの反応が…あんまりよくない。もしかして僕が知っていたことに怒っているのかな。
「そうなんよ、そうなんよ。隠していてごめん。やしきずと付き合うことにしたんよ」
「そうですよね!!お二人共、おめでとうございます!」
「いやいや、そんなわけないから。俺と椎名が付き合うなんて天変地異が起こってもあり得ない」
「やしくずも正直になればいいのに……ってこれ以上やるとスタッフさんが本気にしかねんから止めとくか」
「え…ど、どういうことですか?」
「スタッフさん、それ誰から聞ぃたん?」
「リリムさんです」
「じゃあ、リリムに騙されたんよ」
「…え」
「あたしとやしきずは付き合ぉてへんし。おもろいからもう少し勘違いさせておこうと思ったんやけど、スタッフさんは純粋な目でこっちを見て来るからさすがに悪いと思うし」
「そうです。リリムの奴がスタッフさんに嘘を言ったんですよ。椎名と付き合うなんてあり得ない」
「え~~あたしはいいけどな~」
まさか…リリムさんに騙されるなんて。
あとでリリムさんには色々と説教じみたことをしないといけないかもしれない。
「す、すいません」
「なんでスタッフさんが謝るんですか。スタッフさんはリリムが付いた嘘の被害者ですよ。あとで俺の方からリリムに言っておきますよ」
「い、いや、それは止めてあげてください。リリムさんも悪気があってやったわけじゃなくて、ただ面白半分だったんだと思いますし」
「それを悪気があるって言うんですよ」
「…お願いします…」
リリムさんは…社さんにマジギレのようなものをされたらメンタル面が心配。だから、ここはどうにか。
「ま、まぁ…騙されたスタッフさんがそこまで言うなら…」
「ありがとうございます」
そして次の日に…リリムさんに注意はしたものの懲りている感じではなかった。
――――――――――
星街すいせいの想い
それにしてもまさか…まじで社員さんとは思わなかった。いくら声が似てて、とこちゃんから聞いた話がちょっと社員さんに似ているとは思っていたものの、あくまで似ている人ぐらいだと思っていた。
でも、その結果は社員さん本人だった。
このことをどうするか。ホロメンに言えば確実ににじさんじの事務所に駆け込む。話した時に社員さんは「忘れていますよ」みたいなことを言っていたけど、そんなわけないじゃん。社員さんはすいちゃんたちがどれだけ好きかを分かっていない。簡単に忘れられるぐらいの好きじゃないの。
今、知っているのはすいちゃんだけ。これで誰にも知らせなければすいちゃんだけが社員さんを独占できる。
「いいよね」
ちょっとぐらい良い想いをしたとしても罰は当たらないよね。
感想があれば
主人公は誰かと結ばれて欲しいですか?
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結ばれて欲しい
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結ばれないで欲しい