ホロライブのスタッフを辞めて、にじさんじのスタッフになるお話   作:主義

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飲み会

 

収録を終えて…僕と社さんは二人で個室のある居酒屋に来ていた。さすがに社さんはかなり有名人なので普通に飲むとバレる危険性がかなり高いということで。

 

「じゃあ…まずは生ビール、いきますか?」

 

 

「そうっすね」

 

まずは店員さんにビールとおつまみ系を注文をすることにした。後で何か食べたければどんどん追加していけばいいですしね。

 

 

「ライバーさんとこんな風にサシ飲みするのは初めてですね」

 

 

「そうなんですか?」

 

 

「…同僚と飲むことはありますけど、さすがにライバーさんとは飲まないですよ。あくまで仕事の関係ですし」

 

 

「まあ、確かにそうかもしれないですね」

 

それにホロライブは女性の集まりですからね。女性と一緒にサシで飲むなんて誰かに見られたら確実にアウトですしね。そんな危険を犯すようなことはするべきではないですしね。

 

 

「逆に社さんはライバーの方と飲み入ったりするんですか?」

 

 

「そうっすね…。そんなすごい頻度じゃないですけど、飲みに行くことはあったりしますよ」

 

 

「皆さん、仲良さそうですもんね」

 

 

「そうですか?」

 

 

「はい、とても仲良さそうに見えますよ。今日の椎名さんのこともそうですけど、普通にあんなことがあったら誰か本気で怒りそうなのに何だかんだ言って、許してましたし」

 

 

「まあ、椎名に関しては毎度のことなんで。もうさすがに慣れたって感じですかね。もちろん、最初は「なんで来ないんだよ」と思うこともありましたけど、もう慣れ過ぎて逆に時間通りに来ていると何かおかしいんじゃないかと思うぐらいになっちゃいましたね…」

 

それはもう椎名さんという人間を…理解したからですかね。

 

 

 

 

 

そんな話をしていると生ビールとおつまみが届いた。

 

「それじゃあ、やりますか」

 

 

「そうですね」

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、「乾杯!!」」

 

そして乾杯をする時は目上の人間のグラスよりも下にするのが社会人として生きると当たり前のようになる。そしてそこで僕も社さんもお互いに下にしようとして…そこで密かな攻防が行われたりもした。

 

 

「は~やっぱりいいっすね」

 

 

「そうですね。」

 

それからはお互いに他愛のない話をしたり、社さんの愚痴を聞いたりした。

 

 

「答えてくれてなくてもいいんですけど、一つだけ質問をしてもいいですか?」

 

 

「はい、なんですか?」

 

 

「あの…にじさんじのスタッフになる前ってどんなことしてたんすか?」

 

 

「あ、そのことですか…」

 

そこで僕はちょっと悩んだ。さすがに言っていいのかなと。別に社さんを信用していない訳じゃないし、バラされたとしても今の仕事には大きな影響はないのは分かっているんだけど、あまり話すようなことでもない気がしますし。

 

 

悩んだ結果として話すことにした。

 

「今よりも前はホロライブのスタッフとして働いていたんです」

 

 

「え、まじっすか!?」

 

 

「はい」

 

 

「へぇ…そうなんですか」

 

 

「別にホロライブが嫌になって辞めた訳じゃないんですけど、色々とありまして」

 

 

「まあ、色々とありますからね」

 

社さんも察してくれたのかそれ以上突き詰めて来ることはなかった。

 

 

「でも、あんまりこのことは言わないでくれると有難いです」

 

 

「はい、さすがに言いませんよ。これでも口は固い方なので」

 

 

「ありがとうございます」

 

それからもお酒をどんどん注文していき、社さんの顔はリンゴのように赤く染まっていく過程を目の前でずっと見ていた。さすがにこれ以上、飲むと帰りがマズそうなので止めようとしたが、社さんはもう止まらずにどんどん流し込んでいく。

 

「さすがにもう止めませんか?」

 

 

「い、いやぁ…だいぶですって…」

 

もう完全に呂律が回らなくなってきちゃっている。時間としてはまだ来て、2時間ぐらいしか経っていないけど…このまま飲ませちゃうと明日の仕事にも響きそうだし。

僕がそんなことを考えていると…社さんは携帯を取り出して何かポチポチと操作し始めた。何しているんだろうと思っていると携帯を耳に当てだして…何か話し始めた。

 

それからしばらくは聞き役に徹することにした。

 

 

「あ、あの…何していたんですか?」

 

 

「…でぇんわ…」

 

 

「え、誰に電話を掛けたんですか?」

 

 

「…そぉれぇは~ひみつ…」

 

普段の社さんじゃ絶対に言わないことを口にしている。これを録画して明日にでも社さんに見せたら確実に恥ずかしくなっちゃうだろうなって…そんなことを考えている場合じゃないですね。

 

 

 

 

 

それから少し経って…誰かがドアをノックしていた。食事なら「失礼します」と言って入って来るはずなのに全然、入って来る感じがしない。なので僕がドアを開けることにした。

 

「は~い……って葛葉さん!」

 

 

「あ、こんちは」

 

 

「こんばんは」

 

 

「父さんに呼ばれてきたんすけど」

 

最初は誰の事を言っているのか分からなかったけど、数秒して理解した。

 

 

「あ、社さんはあの通りです」

 

僕が社さんの今の現状を説明すると葛葉さんは「やっぱりかぁ」って呟いた。

 

 

「さっきの電話、明らかに呂律が回ってなかったしな」

 

 

「こんなところまで呼んでしまってすいません」

 

 

「いや、社員さんが謝ることじゃないですって。それに俺もお腹減ってたんで注文してもいいっすか?」

 

 

「あ、はい」

 

この個室はそれなりに大きくて十人が同時に入ったとしても問題ないぐらいに広い。だから一人増えたところで特に問題はないんですよね。

 

 

「そう言えば…葛葉さんはどこで連絡を受けたんですか?」

 

 

「あ、ちょうどスタジオで撮影をし終わって帰るところでしたね」

 

 

「本当にご迷惑をお掛けてしてすいません!」

 

 

「だ、だから、大丈夫ですって。それに父さんがこんなに酔いつぶれているのは初めてみたんで逆に面白いっす」

 

普段はしっかりしていて皆をまとめる感じの人が社さんですしね。

 

 

「まあ…そうですね」

 

 

「こっちの方が謝らなくちゃいけないことがあって…」

 

 

「謝ること?」

 

 

「は、はい……。父さんがなるべく大人数で来てくれって言っていたんで…」

 

あ、この続きを聞かなかったとしても分かってしまう。

 

 

「…たくさん誘っちゃいまして…」

 

そうですよね…。

 

 

 

 

 

 

 

「あ、ここみたいです!」

 

そんな声が聞こえて来るとすぐに扉が開かれてそこには―――――――――

 

 

「…月ノさん」

 

 

「あ、あなたも来ていたんですね」

 

 

「あ、はい…。そして月ノさんの後ろに居るのは…リゼさんですか?」

 

 

「そ、そうです。よろしくお願いします」

 

まさか葛葉さんが誘ったのが…このお二人とは思いもしなかった。

 

 

「ちょっと…撮影で一緒だったもんで誘っちゃって…」

 

 

「い、いや、葛葉さんが悪い訳でもないですし。これに関しては社さんが飲むのを止められなかった、僕の責任です」

 

もっと社さんのことを知っていれば…飲んだらこんな風になっちゃうことぐらいは想像できただろうし。

 

 

 

 

 

そして月ノさんとリゼさんが席に付いて…注文を済ませていよいよ本当に飲み会となってきた。

 

 

 

「あのご趣味とかありますか?」

 

 

「…ご、ご趣味!?」

 

 

「はい」

 

 

「…え、趣味は在り来たりですけど、映画鑑賞とかですかね」

 

 

「あ~そうなんですか~私も映画好きなんですよ」

 

 

「そ、そうなんですか……ってこれ何やっているんですか?」

 

 

「え、ただのお見合いごっこですよ」

 

なに、この人は当たり前のような顔をして言えるんだろうか。どう考えても飲み会の席でお見合いごっこをするのは普通ではないでしょう。

 

 

僕の隣に座っている、リゼさんはなぜかメモを取っている。

 

 

「の、のみかいでは『お見合いごっこ』をするのが普通っと…」

 

 

「リゼさん、お見合いごっこは普通ではないのでメモらなくて大丈夫ですよ」

 

 

「そ、そうなんですか!?」

 

 

「はい。あんまりリゼさんはこういう場に来ることが多くない方ですか?」

 

 

「…は、はい…」

 

 

「別にそんなに気を張らなくて大丈夫ですよ。ただの…飲み会ですし。一つだけ気を付けるのは酔っている人にはあまり近づかないことです。巻き込まれてしまうかもしれないので…」

 

 

「わ、わかりました!!」

 

 

「…まぁ…大丈夫ですから、素直に楽しめたら楽しんでください」

 

 

「はい!」

 

初めての飲み会だと…気を張り過ぎて色々と疲れちゃうんですよね。自分にもそんな経験があるから分かる。それに飲み会とかは…やっぱり苦手な人は苦手だろうし。お酒が入ると変わっちゃう人もいますしね。

 

 

「ちゃんと個室にしておいてよかったです…」

 

 

「それは確かにそうっすね」

 

最初は二人だけだったからそこまで考えることはなかったけど、この人数となると個室を取っておいて本当に良かったと感じる。

 

 

「皆さんは…夕食とか食べたんですか?」

 

 

「私はまだですね」

 

 

「わ、わたしも…」

 

 

「なら…好きなものを頼んでください。ここまで来させてしまったですし。今日は僕が奢るので」

 

 

正直、僕の財布事情的にもこれ以上は増えないでくれると有難いんだけど…。たぶん、そうはいかないかなぁ。

 

「え、いいんすか?」

 

 

「さすがに態々、来てもらった人たちに出させるのは悪いですしね」

 

 

 

 

それからは…本当に色々なライバーさんが来たりと…予想以上にどんちゃん騒ぎだった。全員分の代金は払ったけど…『本当に下ろしておいてよかった』と心の底から思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

居酒屋の別部屋

 

青い髪をした少女と紫色の髪色でなぜか尻尾のようなものが生えている二人が話していた。

 

「それにしても本当にどこに行っちゃったんだろう」

 

 

「…スタッフさんが立ち話をしているのを聞いちゃったんだけど、辞めちゃったって」

 

 

「そ、それ本当!?」

 

 

「ト、トワに詰め寄ってこないでよ。あくまでスタッフさんが話していただけで裏付けがある訳じゃないから本当には分からないけど…」

 

 

「でも…それが本当だとしたら社員さんはもうホロライブにはいないってことだよね」

「そ、そうかな…」

 

少し紫髪の少女の方が青髪の少女に怯えている。

 

 

「…だとしたら…社員さんはすいちゃんのことを捨てたってことだよね」

 

 

「す、すてたって…恋人だったわけでもないし…」

 

 

「ううん。すいちゃんは…社員さんのことを大好きなのにそれを裏切ったの…」

 

 

「…そ、それは…」

 

紫髪の少女は何か言い返そうとしたが、今は刺激すべきではないと判断したのか言うのをやめた。

 

 

それからお互いに飲み物や食べ物を頼んだ。

 

 

 

すると1時間もしないうちに青い髪の少女はなぜか、目に涙を溜めていた。

 

「なぁんで~」

 

 

「すいちゃん、なんでお酒飲んでないのに…酔っ払ってるの?」

 

 

「よっぱらってねぇし~」

 

 

「いや、どう考えても酔っているでしょ」

 

 

「なぁんでぇ…すいちゃじゃぁ…だぁめぇなの…」

 

 

「いや、だから社員さんが辞めたとしても別にすいちゃんのことじゃないと思うけど」

 

 

「やぁだぁ~~いっしょじゃなきゃだめぇなのぉ~~~」

 

 

「はぁ…めんどう」

 

 

 




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