ホロライブのスタッフを辞めて、にじさんじのスタッフになるお話 作:主義
信頼されていることは嬉しいこと。それはタレントさんであろうと同僚であろうと。信頼しているのからだろうとは思うものの、信頼され過ぎるのもどうなのかなぁと思い始めている。
特にそれを感じるのはライブ前とかイベント前。ライブとかイベントでステージ上に立つときはもちろん貴重品などを持ち歩かない。なので自分の貴重品はしっかりと自分でどこかに置いていくとかが普通。
「これ預かっといてくれんか?」
「…いいですよ。でも本当にいいんですか?」
「なにがじゃ?」
「いやこんな貴重品を僕に預けておくのは不安とかないんですか?」
「不安?」
「だって僕が盗む可能性だってゼロじゃないわけですよ。これは竜胆さんにとって大切なものですし、なにかあったらマズいじゃないですか」
「スタッフさんがそんなことするわけないじゃろ」
竜胆さんは真顔で言うので…これ以上なにも言えなくなってしまった。
「妾はスタッフさんのことを信頼しとるんよ。さすがに信頼がないような人に携帯とか財布とか預けられないよ。預けている時点でキミのことを信頼してるってこと」
「そこまで信頼して頂いているのは有難いことですけど…」
さすがにここまで信頼されるとさすがに信頼され過ぎではないかと感じる。普通であれば貴重品は個人管理。そうじゃないと無くなってしまった時に責任が発生してしまう。だけど自分での管理であれば無くしたとなってもそれは自分の責任。
「それにもし、スタッフさんがお金とかに困っているんだったら言ってくれればあげるよ」
「そんなことしませんよ」
「妾はスタッフさんのためだったらどんなことでも出来るから」
竜胆さんの顔や目は嘘を言っているようには見えなくて至って真面目。真面目過ぎてさすがに怖い。もちろん、タレントさんにお金を借りるようなことをするわけないし、それなりに給料は貰っているし。
「じゃあお願い」
竜胆さんの僕に財布やお財布、携帯を手渡してどこかに行ってしまった。
さすがに預かっていまった以上はしっかりと管理しておかないと。もし無くなるなんてことが起こったら竜胆さんに謝るだけじゃ足りない。僕は自分のカバンの中に竜胆さんの荷物を入れる。
「責任重大すぎて…ちょっと怖い」
そんなことを呟きながら腕時計を確認するとライブの開始まで一時間を切っていた。
タレントさんは控室に集まっていると思うし、今のところは何も問題は起きていない。このまま何も起きずにライブが終わってくれることを願う。
すると急に後ろから肩を掴まれた。
「ちょっとええ?」
その声だけでも…戌亥さんというのはすぐに分かった。でも後ろを振り向くことは出来なかった。なぜならだって声色が怖い。明らかに怒っている時と同じのトーンだし。
「…あ、はい」
そして僕は戌亥さんの後を大人しくついて行く。ここで変に口答えをしようものなら僕は戌亥さんに…何をされるか分かったもんじゃない。
付いて行って行き着いたのは……誰も来ないような部屋。
「スタッフはんってなんかあるん?」
「いつのですか?」
「このライブ終わった後の予定やで」
「…ライブの後だったら何もないですよ。会社からこれが終わったら帰って良いと言われているので」
「ほな…今はなんも予定があらへんってことでええんよね」
「あ、はい」
「ほな予定空けといてな」
戌亥さんが立ち去ろうとしたので勇気を振りそぼって聞いてみることにした。
「あの…なんで予定を空けとかないといけないのかを聞いてもいいですか!?」
僕の質問に戌亥さんはちょっと悩む素振りを見せてから答えてくれた。
「まぁ…ええか。リゼはんとアンジュはんがスタッフはんのこと呼びたいとやかましおしてな。それなのに二人は誘う勇気はあらへん。そうなってくるとあたしが誘うたるしかないやん」
「じゃあ、戌亥さんはその二人をお願いを叶えるために誘って来たってことですね」
「そう」
あの二人のお願いであれば戌亥さんは叶えてあげようと動くのは必然ですね。
「でも…あたしも」
「でも?」
「うちもスタッフはんとはいっぺん食事をしてみたい思うとったんよ」
「なんでですか?」
「だってなんか周りの人らが食事に行ったって言うとったんよ。そやのにうちだけ行ってへんのいややし」
「いや、別に僕と一緒に食べても楽しくないと思いますよ」
「そら分からやん。スタッフはんはそう思てるだけで他の子ぉらがおんなじ印象を抱いてるとは限らへん」
それだけ言い終わると戌亥さんは部屋を出てしまっていた。
それにしてもなんでリゼさんとアンジュさんは僕を招待したいなんて思ったんだろうか。リゼさんとは仲良くさせてもらっている方だと思うけど、アンジュさんに関してはそこまで深い付き合いではないと思いますし。それにいくら親しくてもただのスタッフに過ぎない僕を打ち上げに呼ぶなんて普通はしないはず。
もちろんライブが終わって、ライブメンバーや音響の人とか裏方の人と皆で打ち上げをするのは珍しくない。だけど今回はそういう打ち上げをするなんて話も聞いていないし。
僕の頭の中には謎が残る。だけど僕もさすがにこの部屋にずっといるわけにもいかない。そして部屋を出るとまた僕を呼ぶ声が聞こえて来る。
「スタッフさ~ん」
「あ、レインさん」
僕の前まで掛けてきた。
「なにか急用ですか?」
「は、はい!!これは急用です。パタちにとってはとっても重要です!」
レインさんが息を整えてから深呼吸をしてから話し始める。
「パタちを預かってください!!」
「…え?」
この人は一体何を言いたいのだろうか。
「パタちを預かってください!!」
「…あの…まず何を言っているのか分からないです」
するとレインさんはなんで伝わらないんだろうという顔をした。でもどう考えてもさっきのレインさんの発言から全ての意図をくみ取る方が難しいと思うのだけど。
それからレインさんに何度も聞いたけど…結果としてレインさんが言いたいのはこの後、レインさんを一日家に泊めて欲しいということだった。
うん?
整理してもやっぱりおかしい。
「え、どういうことですか?」
「明日、朝から事務所で打ち合わせがあるんです」
レインさんはそれ以上話す必要がないというように黙ってしまった。どう考えても情報不足。
「打ち合わせがあるんです!」
「え、なんで?」
普段タレントさんに対してため口で話すことはほとんどないんですが、今回は自然と出てしまった。
「打ち合わせがあるのでスタッフさんのお家に泊まらせて欲しいんです」
「どういうこと?」
「泊まらせて欲しい」
レインさんはそこからもずっと『泊まらせて欲しい』と連呼してきた。僕はレインさんの事情もある程度は理解は示しているものの、僕の家に泊まるということは容認できない。誰かに見られでもしたらレインさんに迷惑が掛かってしまう。それだけはスタッフとしてどうしても避けなければいけないから。
一応、丁重に断った。
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待ち伏せ
いろはちゃんから話を聞いて、沙花叉はその場所を張り続けることにした。もちろん、他のメンバーには知らせない。たぶん今のメンバーは社員さんに会いたいと思っている人の数は多い。ここで沙花叉が情報を広げるようことをしちゃったら皆、目の色を変えてここで社員さんが通るのを待つと思う。
でもやっぱり……沙花叉だけが知りたい。そしたら沙花叉が社員さんのことを独占できるんだもん。
「それにしても社員さんはなにしてるんだろ…。前ににじさんじの月ノ美兎さんの配信に社員さんに似た人がいたということもあったけどたぶん違うと思うし」
沙花叉は社員さんがどこかに行っちゃう一日前も普通に話した。あの時の社員さんからはいつもと違うような感じはしなかったし、
すると急に社員さんがやってきた。
「え、いた…」
いろはちゃんの言っていたことは正しかったんだ。
すぐに声に駆けようと思ったけどその瞬間にある考えが思いついた。それはこのまま付けて社員さんの素性を調べよう。たぶん、話し掛けて教えてとせがんでも簡単に教えてくれるとは思わない。
どこに勤めて、どこに住んでいるのか、今の社員さんのことを全て。
そして沙花叉は社員さんのことを付けることにした。
感想があれば
主人公は誰かと結ばれて欲しいですか?
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結ばれて欲しい
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結ばれないで欲しい