ホロライブのスタッフを辞めて、にじさんじのスタッフになるお話   作:主義

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出勤中

 

僕がリスナーさんの中で話題になっている。それは少し前の月ノさんの配信が切れてなかった時に声が配信にのってしまったから。正直もう沈静化してきたと思っていたんだけどまだダメだったみたい。でも、タレントさんの方が笑い話にしてくれているんだし、僕の方が気にし過ぎても仕方ないのは分かっているつもり。こんなミスを繰り返さないためにも

 

急に後ろから圧力がかかって転びそうになってしまったがどうにか耐えて後ろを確認する。

 

「おはようございます」

 

 

「おはよ」

 

そこには月ノさんと椎名さんが立っていた。

 

 

「普通に声を掛けてくれると有難いんですが」

 

さすがに出勤中に怪我を負いたくないですし。

 

 

「そうですよね。これは委員長がやろうって言いだしたんです。私は止めようと言ったんですけど委員長が…」

 

 

「いやいや、全然違いますよ。これは椎名さんの方から『やろう』って持ち掛け来てそれに私がのったって感じでしたよね」

 

 

「委員長が私の所為に…ぃ…」

 

 

「いや本当のことですよ!」

 

言い合っている二人を置いて出勤しようとしたけど呼び止められて最終的に一緒に通勤することになった。月ノさんと椎名さんの話を聞きながらたまに振られると答えるという感じ。

 

 

 

一つの話題が終わり、静寂が訪れたかと思ったら月ノさんが僕に問いかけてきた。

 

 

「そう言えば…明後日の午後9時って予定空いてますか?」

 

 

「…明後日は別に仕事さえ終われば空いていると思いますけど、どうしたんですか?」

 

 

「スタッフさんに出演してもらいたいと思っているので」

 

出演という言い方だけでもある程度予想は付いてしまうが聞いてみることにする。

 

 

「何にですか?」

 

 

「それは勿論配信にですよ」

 

聞かなくてもその答えは予想がついていましたが、そうではないことを望んで聞いた。

 

 

僕は月ノさんに明確な答えを返す。

 

「いやですよ。僕はあくまで裏方なので表には出ませんよ」

 

裏方はあくまで裏方。ホロライブの時はえーちゃんやのどかさんが裏方をやりながらも表に立っていたけど、僕にはできない。それにまずやりたいとも思わないですし。

 

 

「私は頑固です」

 

 

「…諦めてくれませんか?」

 

 

「絶対に諦めませんよ」

 

そんな話をしていると蚊帳の外になってしまっていた椎名さんがこっちを見ていた。その瞳が何かを訴えようとしているかのように思う。でも僕には何を言おうとしているのかまるで分からない。

 

 

「椎名さんはどうしたんですか?」

 

 

「あたしもスタッフさんに配信出て欲しいわ」

 

 

「さっきの話を聞いていましたか。僕は誰の配信にも出ないと言ったつもりですが」

 

誰か一つの配信にでも出てしまったら他の人に言われた時に断れなくなってしまう。だからこそ、前例を作ってはいけない。いくらお願いをされても絶対に断る。

 

 

「絶対にスタッフさんがいれば楽しくなるんよ」

 

 

「そんなことないですよ。僕が出たところで何も変わらないです」

 

 

「いや、これは断言できる。皆、スタッフさんが配信に出てくれることを願ってるんすよ!!」

 

なんか椎名さんからは熱意は感じられるものの、僕はそれに答えられない。

 

 

「椎名さんの言う通りです。私たちはスタッフさんが来てくれるのを望んでいます!」

 

 

「いくら言われても無理ですよ。ここだけは絶対に曲げないので」

 

それから僕は事務所に着くまで首を縦に振ることなかった。

 

 

 

―――――――――――――

 

 

 

 

「ころさん~」

 

 

「おがゆ、どうしたの?」

 

 

「最近どう~?」

 

 

「なんか物足りないかなぁ…なんでか分からないけど」

 

 

「そうだよね。ボクも。なんか必要なピースがハマってないような感じがして」

 

二人はお互いに見つめ合ってから同じタイミングでため息を吐く。

 

 

「やっぱり社員さんだよね」

 

 

「そうだでな」

 

 

「いないと寂しいね」

 

 

「うん」

 

 

「…さみしい…」

 

 

「さみしい」




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