ホロライブのスタッフを辞めて、にじさんじのスタッフになるお話 作:主義
「勇気さん」
「その呼び方は止めて。ちひろのことはちひろと呼んで」
「気が向いたら呼ばせてもらいます」
勇気ちひろさん。
一期生のメンバーで魔法少女。
FPSゲームのことが大好きな人でよく配信でやっている。
とても良い方で初対面の時も挨拶に来てくれた。本当は僕の方から挨拶しなくちゃいけないんですけどね。それから何度か現場や事務所でお会いする時に話させてもらったり、一度だけ勇気さんに付き合って欲しいと言われて事務所でFPSをしたことがあったりもする。
僕としては事務所でゲームをするなんてダメなんじゃないかと思っていたが、昼休憩とかであれば事務所のパソコンでFPSをしてもいいらしい。でもこれは勇気さんが言っていたので真偽のほどは分からないですけどね。
「それで今日はどうしたんですか?」
僕が事務所に来たのは勇気さんに呼び出されたから。今日はちょっと遠いスタジオでの収録を終えて、帰路に付こうと思っていた。でも連絡を確認したら勇気さんから来ていた。
タレントさんからの誘いを断るわけにもいかないので来たのだ。
「ちょっとFPSでもやらないかな?」
「いいですけど」
個人的にあんまりFPSをしないので腕は全然ダメ。
「でも、僕でいいんですか?」
「うん」
「僕はFPS苦手なのでたぶん、勇気さんの足を引っ張ってしまうのが麺見えているんですけど」
「それでもキミとやりたいんだよ、ちひろは」
「そうですか」
そう話している時の勇気さんはとっても寂しそうな顔をしていた。でもすぐにいつもの明るい顔に戻ってセットを始めた。
もちろん…僕は足を引っ張った。
僕の所為で勇気さんがやられてしまったこともあった。それでも勇気さんは『笑顔』だった。負けたとしても勝ったとしても…それは変わらなかった。
本当にこの人はすごいと改めて感じた。勇気さんの笑顔には人を引き付ける魅力というものがあるのかもしれないなぁと考えてしまうほど。
「足を引っ張ってすいません」
「だからいいって。ちひろがスタッフさんと遊びたくて遊んでるんだし」
「そう言ってくださると有難いです」
「ちひろはとっても楽しかった」
どうやら僕が思っていたよりも勇気さんは楽しんでくれたようで安心した。僕は面白いこともできないので、全然期待外れだと言われる覚悟も少しはしていたんだけどね。
「たぶんこれはスタッフさんと一緒にやったから」
「いやそんなことはないですよ」
勇気さんは首を横に振った。
「スタッフさんはリアクションもいいし、すぐに顔に出ちゃったりするし……一生懸命頑張っている。そういうスタッフさんと一緒にやるとたぶんFPSに限らずどんなゲームでも楽しんだとちひろは思う」
「そうですかね?」
「うん。だから本当にありがとね」
「またいつでもお誘い頂ければやりますよ」
こんな風に誰かとゲームをすることはあんまりないから新鮮でとても楽しかった。仕事場でゲームをすることに対して、一抹の不安はあるものの、それでも楽しいという想いの方が上回った。
「え~ちひろの方からだけじゃなくてスタッフさんの方からも誘って欲しいんだけど」
「そうですね。あんまりタレントさんとは必要以上には絡まない方がいいんですが、勇気さんが望むのであれば誘いますよ」
最近では休日にタレントさんと会ったりすることも少なくない。元々の自分の理念には合っていないが、これもこれで信頼関係を築いていく上でいいのかもと最近は思うようになった。
ホロライブにいた頃は僕もまだタレントとの距離感をあんまり分かっていなかった。だからタレントさんとも距離が近く、休日にどこかに行くこともほぼ毎週だった。そしてそれをホロメンの方が自分の配信で話してしまったことでファンの方に反感を買ってしまうことになった。
だが今であれば、僕もある程度の距離感の設定はしっかりしている。前と同じようなことが起こらないようにすることもできるからね。
そんなことを考えていると勇気さんが僕の服の袖を掴んできた。
「なら誘ってよ」
「え、今ですか?」
「できないの?」
「いや、誘うぐらいは誰にでもできると思いますよ」
「じゃあ、誘って」
なんか誰かに誘われて言われて誘うのは少し緊張するものなんだと改めて思った。普通に相手を誘うのは別に難しくはないんだけど。
「勇気さんがお暇な日にゲームでもしませんか?」
「うん、する!」
勇気さんはとてもいい笑顔を浮かべた。
「じゃああとで暇な日を教えてください。勇気さんの予定に全て合わせるので」
「うん、今日中に連絡する!」
「そんなに焦らなくてもいいんですよ」
それから勇気さんと数分話してから事務所を一緒に出た。外はとても寒くて、防寒着を着ていないと凍え死にそうだ。そんな中、僕と勇気さんは二人で会話をしながら帰ったのだった。
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スタッフさんの現在
沙花叉は調べ上げた。社員さんの後を付けて、情報を収集した。でも色々と大変でholoxや飼育員の皆にも心配を掛けることになっちゃって『ごめんなさい』とは思うけど、沙花叉は後悔してない。だってあの時付けていなかったら、これからも社員さんのことを知ることはできなかったと思うから。
「それにしてもまさか社員さんがにじさんじで働いていたなんて」
これは社員さんのことを調べて分かったこと。まさか社員さんがにじさんじで働いているなんて思いもしなかった。
あの感じだと普通ににじさんじのスタッフとして働いていると思う。さすがに内部にまでは入っていないから、定かじゃないけどね。でも社員さんの居場所は分かった。
居場所さえわかれば会社の前で待ち伏せして力づくで来てもらうこともできる。だけどそれは最終手段。もうどんな手を使っても、社員さんがホロライブに帰らない場合のみ。
なるべく沙花叉も穏便にことを済ませたい。沙花叉だって社員さんのことは大好きだし、一生側に居たいし。
「だから待っててね、社員さん」
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