ホロライブのスタッフを辞めて、にじさんじのスタッフになるお話   作:主義

27 / 72
お嬢様と皇女のお願いは断れない

「スタッフさん、手伝ってくれない?」

 

「お願いします!」

 

 

「わかりました」

 

僕は反射的にそう答えてしまった。なぜか鷹宮リオンさんやリゼ・ヘルエスタさんから頼まれたことを断れないんですよね。自分でもなぜこんなことになったのか分からない。

 

自分もタレントさんから頼まれたことはなるべく叶えてあげたい。だからお願いをされることに関しては別にいいというか有難い。それぐらいに信頼してくれるということですからね。

 

 

でも鷹宮さんとリゼさんのお願いは大体……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあこのままにしていてね」

 

僕はずっと動かずにしていると鷹宮さんが右の方からリゼさんが左の方から抱き着いて来る。これも最初の頃はなんで自分がこんな目にあっているのか理解できなかった。

 

 

「好きよ」

 

「好きだよ」

 

二人は頑張って背伸びをして僕の耳元で囁く。

 

 

 

いや今でも分からない。なんで僕がこんな目にあっているのか。

 

 

 

どうやらこれはバイノーラルマイクで配信をするための予行練習らしい。これは予行練習になっているとは思えないんですけど。それを言ったところで二人は全然聞いてくれなかった。

 

 

 

「社員さんは大人しくあたしたちの好きにされていればいいの」

 

 

「…そういうわけには…」

 

 

「じっとしていてください。スタッフさんは私たちの予行練習なんですから」

 

鷹宮さんもリゼさんも話しを聞いてくれない。ここは事務所でも倉庫のように扱われている場所。ここに来る人はほとんどいないからバレないかもしれないけど、もし……もしも、こんなところを見られたら本当に『辞表』を出さなければならない。

 

 

それに僕は二人よりも身長が高いので普通だと耳に届かない。なので二人が僕の耳元で囁く時は台を使うのだ。僕としてはそこまでしてやる意味はないと思いますけど。

 

 

「私もリゼも社員さんじゃないとだめなの」

 

 

「…バイノーラルマイクの練習ならバイノーラルマイクでやればいいじゃないですか。事務所にも何個かありますし、頼めば一時間ぐらいは使わせてもらえると思いますよ」

 

それにこの二人は今までにも何回か、バイノーラルマイクを使った配信をしていたと記憶してる。予行練習なんて必要ないはず。

 

 

「そ、そんなの関係ないよ。私はスタッフさんに手伝って欲しいんです!」

 

なぜかリゼさんはちょっと身振りも加えながら必死に訴えかけて来る。

 

 

「いや、もし二人が本当に予行練習をするなら事務所じゃなくて家でやればいいんじゃないですか。二人共、バイノーラルマイクは持っていますよね」

 

これも謎だった。練習をするにしても態々、事務所でやる意味が分からない。それぞれ家でやった方がいいと思う、僕はおかしいのかな。

 

 

「あたしは持ってるけど、スタッフさんがいないとだめ!」

 

 

「なぜですか?」

 

 

「反応が面白いんだもん!」

 

 

「…それって僕のことをからかってるだけじゃないですか?」

 

 

「からかってるよ」

 

 

「止めてくれませんか?」

 

 

「い、や、だ」

 

前に他のタレントさんにも言われましたが、そんなに反応がいいのかな。もちろん自分がポーカーフェイスだとは思っていないけど、表情に出やすいタイプだとも思っていない。

 

 

「じゃあじっとしててね」

 

 

「いきますね」

 

鷹宮さんとリゼさんが耳に吐息が掛かってしまうような距離で囁いて来る。

 

 

「スタッフさんってカッコいいね」

 

 

「す、すたっふさん、すきです!」

 

耳はやっぱり敏感で今にも崩れ落ちそうなぐらいの快感。だけどここで崩れ落ちたら鷹宮さんにもっとからかわれることになるからダメだ。

 

必死に我慢しているものの、やっぱり顔には出ちゃうものだ。

 

 

「そんなにあたしらの囁き声が気持ちいいの?」

 

 

「…そんなことはないですよ」

 

 

「じゃあ、気持ちよくなかったの?」

 

なんでそんな捨てられた犬みたいな目で見て来るんですか。そんな目で見られたら『気持ちよくなかった』なんて言えなくなってしまうよ。

 

 

「そ、そういうわけじゃないですよ」

 

 

「じゃあ気持ちよかったんだね!」

 

鷹宮さんが笑顔なのがちょっと嫌だけど、リゼさんを悲しませるわけにはいきませんからね。

 

 

 

 

 

 

それから僕は鷹宮さんとリゼさんのおもちゃとなったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――

常闇トワside

 

 

 

 

 

 

トワにとって社員さんは信頼できる人。

あそこまでトワたちのことを考えてくれるような人を信頼しない方が難しい。

 

だから社員さんがいなくなった日は本当に驚いたのを今でも覚えてる。でもどこかで分かってたのかも。その数日前から社員さんの顔は少し曇っていた。いつもの笑顔を浮かべていたけど、ずっと見てきたからこそ分かる。あれは違うって。

だけど、トワはなにも言わなかった。

 

ただ疲れているだけだと思いたかった。まさか社員さんがホロライブから去るなんて思いもしなかったから。

 

 

でも、もしあの時に戻れたとしてもトワは社員さんのことを止めることは出来ないのかもしれない。だって社員さんがホロライブを辞めたのにも理由があるはず。その理由を聞いてしまったら…トワはもう止められない。

トワたちに何か愛想を尽かす理由があったんだと思うし。

 

 

「それでもやっぱり社員さんに会いたいんだよね…」

 

 




感想があればお願いします!

主人公は誰かと結ばれて欲しいですか?

  • 結ばれて欲しい
  • 結ばれないで欲しい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。