ホロライブのスタッフを辞めて、にじさんじのスタッフになるお話   作:主義

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距離が近すぎると嘆くスタッフさん

 

明らかに距離が近いと感じるようになったのはここ最近。今まではタレントさんともある程度の距離を保ちながら接していた。

 

でも、特にここ最近は距離が近くなってきていることに危機感を感じ始めた。タレントさんとスタッフは仕事で関わる事はあっても個人的な付き合いまではする必要はない。

 

そして前のホロライブの時と同じようにしっかりと距離を保っていないとファンの方に変なことを疑われてしまうかもしれない。やっぱり火のない所に煙は立たないのでそこら辺はしっかりしないといけない。同じようなことを繰り返してはいけないという想いも強い。

 

そして今も強くそう思っていた。

 

 

「あの…アルスさん、離れてください」

 

 

「やだ」

 

「離れてくださいよ」

 

アルス・アルマルさんこと彼女ここ最近よく仕事でお会いすることがある。でもその度に抱き着いて来る。彼女に真意を尋ねても「ただ抱き着きたいから」としか答えてくれない。これ性が反対だったら確実にセクハラで訴えられていると思う。

 

 

「離れてくれないと何もできないんですけど」

 

どうやらアルスさんに離してくれる感じはない。

 

 

 

 

 

アルスさんをやっと引き剥がすと今度は…アンジュさん。

 

 

「あの手を離してくれませんか?」

 

 

「やだ!アンちゃん絶対に離さないもん!」

 

まさか二回連続でこういうことが起こるとは思わなかった。彼女たちの行動理念は分からないですし、なんで僕がこんな目に合っているのか分からない。

 

だけどタレントさんなのであんまり邪険に扱う訳にもいかない。やっぱりタレントさんがいないと成り立ちませんから。

 

 

「アンジュさんって好きな食べ物とかありますか?」

 

 

「食べ物かぁ……チーズケーキとか」

 

 

「それならチーズケーキを奢りますので今は離してくれませんか?」

 

僕の提案にアンジュさんは悩んでいるような素振りを見せる。

 

アルスさんはどうにか抵抗されても引き剥がすことはできてもアンジュさんは血の底までも追って来そうなのでこれはこっちが譲歩する形で穏便に離れて欲しいというのが本音。

 

 

そしてどうやら結論は出たようだった。

 

 

「離しません」

 

 

「なんでですか?」

 

 

「だってチーズケーキはあとで行けるかもしれないですけど。スタッフさんは今しかないんす。今のスタッフさんは今しかないんです!」

 

なんか支離滅裂に語っていますけど僕にはさっぱり意味が分からない。

 

 

「このままだと仕事に支障が出るので離れてくれないですか?」

 

 

「絶対に離さない。もう婚期は逃さないって決めてるんや!」

 

 

「いや、それは知らないですけど僕とアンジュさんは結婚してませんよ」

 

 

「アンジュは好きっすよ」

 

 

「あ、はい。それはありがとうございます」

 

離れて欲しいというのが本音。だけど離れてくれる感じが全くしない。このままここで時間を潰しているわけにもいかないので、どうにかしてでも引き剥がさないと。

 

 

「どうしたらアンジュさんは離れてくれますか?」

 

 

「アンちゃんは離れる気はないよ。これからずっとアンジュはずっと一緒や!!」

 

 

「それは困るんですけど」

 

さすがにこのままだとマズイなぁと思い始めた時に…助け舟が来てくれた。どんな時でも頼りになる、ケルベロス。

 

 

「アンジュはん、あんまりスタッフはんに迷惑を掛けると嫌われんで」

 

 

「い、いぬい…」

 

 

「アンジュはんがスタッフはんのことえらい好きなんは分かってるつもり。それも応援してるし。そやけど、スタッフはんが嫌な事をしてまうと好感度も下がるんやあらへん?」

 

戌亥さんの言葉を聞くとアンジュんさんの抱きしめる力は弱まってきた。

 

 

「嫌われたくない」

 

 

「ほな、今は離れた方がええんとちがうかな」

 

やっぱり戌亥さんはすごくて、さっきまで離れる気が全くなかったアンジュさんがあと一押しすれば離れるようなところまで来ている。

 

 

「え、どういう状況?」

 

声のする方に視線を向けるとそこには…リゼさんがいた。この状況が理解できず、頭がフリーズしてしまっているようだ。

 

 

「こらえらいめんどいことになったな。それにしてもほんまに運悪い」

 

戌亥さんがそう口にしたのと同時にリゼさんは僕とアンジュさんの元に勢いよくかけてきた。

 

 

「アンジュ、なにしてるの!!!」

 

 

「いや、アンちゃんはただ社員さんのことを抱きしめているだけ」

 

 

「それがおかしいだろ。スタッフさんはアンジュのものじゃないでしょ」

 

 

「でも、リゼのものでもないよね。これはアンちゃんとスタッフさんの問題だよ」

 

 

「スタッフさん嫌がってんじゃん!」

 

 

「嫌がってないし!アンジュとスタッフさんは愛し合ってるの!」

 

 

「そんなわけないじゃん」

 

 

「なんでそんなことないって言えるの?」

 

 

「だ、だって…スタッフさんからそんなこと聞いたことないもん」

 

 

「言わなかっただけかもしれないよ」

 

 

「ち、ちがうし!ぜったいにちがうし!!スタッフさんがアンジュと愛し合うなんてことがあるわけないし、あっちゃいけないの!」

 

なぜかアンジュさんに押される感じでリゼさんの方が…涙目になりつつある。

 

 

「僕はアンジュさんと愛し合ってませんよ」

 

ここら辺で言っておかないとずっと続きそうだし。それに僕も本当にそろそろマズイ時間になってきている。

 

 

「そ、そうですよね!ほら、アンジュの言うこと嘘じゃん!」

 

 

「これからだし。社員さんも絶対にアンジュのこと好きになるもん!」

 

それからも戌亥さんが止めるまでずっと言い争いが繰り返されていた。

 

そして最終的にボクは少しだけ収録に遅れてしまって、怒られた。

 

 

 

 

 

――――――――――

 

???

 

 

 

 

 

ここは暗い部屋。照明は消えており、パソコンの画面から出ている光だけ。

 

そして一人の女性がモニターの前に座っている。

 

 

 

社員さんの笑顔。

 

あの笑顔がどうしても忘れられなかった。

 

何度も忘れようと頑張っているのに忘れられない。

 

このままじゃ私は…社員さんしか考えれなくなっちゃう。

 

 

 

本当にどこに行っちゃたの。

 

なんで私に言ってくれなかったの。

 




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