ホロライブのスタッフを辞めて、にじさんじのスタッフになるお話   作:主義

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天然たらしはどっち?

「夕陽さんって『天然たらし』なんですか?」

 

 

「え……」

 

 

「あ、すいません。ちょっと他のライバーさんが言っていたので聞いてみたくなりまして」

 

夕陽リリさんは『天然たらし』である。そういうことはライバーさんと話したりするとよく聞く。僕は今まで夕陽さんとお仕事を一緒にする機会がそんなに多くなかったので審議の確かめようがなかった。

 

 

「それ誰から聞いたんすか?」

 

 

「山神さんとか月ノさんからです。でもそれ以外の方からもよく聞くので夕陽さんは『天然たらし』なんだぁと思ってました」

 

僕がそう言うと夕陽さんはなぜかため息を吐いた。

 

 

「私は別に天然たらしじゃないですよ」

 

 

「え、そうなんですか!?」

 

 

「そうですよ。私よりも天然たらしの人が目の前にいるじゃないですか」

 

 

「目の前…?」

 

 

「はい」

 

夕陽さんは僕のことを指差しているけど…僕なわけないし。僕の後ろに誰かいるのかなぁと振り返ってみても誰もいない。

 

 

「…もしかして…僕のことですか?」

 

すると夕陽さんは首を上下に振る。それが肯定的な返事だと理解はしているものの、なんで夕陽さんの目に僕が天然たらしのように映っているのかが不思議でしかないですね。僕は誰も魅了はしていませんし、まずできませんし。僕にそんな魅力はありませんからね。

 

 

「そうですよ。スタッフさんの方こそ多くのライバーを魅了しているじゃないですか」

 

 

「それはないですよ。僕が魅了なんて」

 

 

「本人はこういうんですよね。無意識のうちに人を魅了しちゃってるから分かっていないんですよ」

 

 

「ないですって」

 

僕が誰かを魅了するなんて天地がひっくり返ったとしてもあり得ないです。自分のことを自分が一番分かっている。

 

 

「無自覚っての本当に怖いですよね。スタッフさんが自分で自分のことをどう思っているのかを知りませんがスタッフさんは自分が考えているよりも凶悪ですごい人ですよ」

 

否定しようとしたものの夕陽さんがそれ以上話させてくれなかった。

 

 

それから僕は自分の仕事に戻っていつも通りにこなす。そして気づいた頃には定時の時間になっていた。仕事も残っていないし僕は帰り支度を整えて事務所を出た。

 

ちょうど事務所の前で夕陽さんと剣持さんがいたので挨拶をすることにした。

 

 

「夕陽さん、剣持さん、こんにちは」

 

時間的には『こんばんは』の方がいいかなぁと思いながらも…口から出てしまったものは変えられないので仕方ないですね。

 

 

「社員さん、こんばんは」

 

 

「こんな時間までお仕事とは大変ですね、天然たらしさん」

 

 

「あの僕のことを『天然たらし』と呼ぶのは勘弁してくれませんか?」

 

 

「やめませんよ。この話を最初に振って来たのはスタッフさんからですかね。今日から暫くは天然たらしと呼ばせてもらうのでそのおつもりで」

 

夕陽さんはいたずらっ子のような笑みを浮かべていた。

 

 

「僕は天然たらしじゃないですからね」

 

 

「いやいや、スタッフさんのことを天然たらしと呼ばないで誰を呼ぶんですか」

 

この感じだと本当に夕陽さんはこれからも呼び続けて来そう。それだけは勘弁して欲しいんですけどね。

 

 

 

でも、剣持さんは少し置いてきぼりになってしまっているのでポカーンとしていた。

 

 

「剣持さんにも伺いたいんですが、僕は天然たらしじゃないですよね」

 

 

「いや、たらしでしょ」

 

 

「え、なんで!?」

 

 

「正直、天然たらしだとはずっと思ってましたよ。たぶんスタッフさんにそういう意図はないと思うんですけど」

 

 

「け、剣持さんまで…」

 

 

「ほらね、スタッフさんは天然たらしなんですよ。認めてください」

 

僕って天然たらしなのかな。夕陽さんだけならからかわれているぐらいにか感じなかった。でも、剣持さんまで言うってことはそうなのかもと少し思い始めた。

 

 

「剣持さんは僕のどんなところを見て、天然たらしだと思うんですか?」

 

 

「全てです。たぶん、スタッフさんに関しては意識してなくても自然と相手のハートを射抜く力があるのかな。たぶん意識して直せるようなものじゃないと思いますよ」

 

 

「さすがにそんな力はないと思うんですけどね。僕ってそんなに魅力的な人間ではないですし」

 

 

「はぁ…これだからスタッフさんは。私のことを天然たらしと呼ぶんであれば、スタッフさんはもっとひどいですよ」

 

 

「…そ、そんなことないと思うんですけど…」

 

 

そしてそれからも夕陽さんと剣持さんにずっと『天然たらし』だと言われ続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

自宅に着いてから『たらし』について調べてみることにした。

 

 

たらしとは異性を騙したり、弄ぶこと。

 

「え…僕ってそんなことしてたのかな」

 

僕は一人しかいない部屋で頭を悩ませるのであった。

 

 

 

――――――――――

 

 

すいちゃんは社員さんのことが好き。

 

世界で一番社員さんの事が好き。

 

誰にも社員さんを渡す気はない。

 

あの人はすいちゃんだけのもの。

 

 

 

 

ホロライブの中で社員さんの居場所を知っているのはすいちゃんだけ。社員さんには他の皆に言わない代わりにある約束を取り付けた。それは『一週間に一度は絶対に会う』。

 

社員さんも他のホロメンにはバレたくないみたいで…妥協して受け入れてくれた。

 

毎週、社員さんと会える日が楽しみ。なんか前よりも寛大な心になって、どんなことでも許せそう。それぐらいにすいちゃんは幸せ。社員さんと会えるってだけで見える世界も違う。

 

 

これからも…すいちゃんはこの幸せをずっと感じていたい。

 




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