ホロライブのスタッフを辞めて、にじさんじのスタッフになるお話   作:主義

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天宮こころは嫉妬する

 

「天宮さん、大丈夫ですか?」

 

 

「だいじょうぶ…」

 

天宮さんの目は今にも瞑ってしまいそうでいつ寝てしまってもおかしくないような状況。最近は天宮さんとお仕事をする機会が増えている。ということはスタジオでの収録とかが多いということで色々と疲れることが多いんですよね。その疲れがかなり来ている感じかな。

 

 

だけど、天宮さんの収録は午後も続くしどうにか頑張ってもらえると有難いんですよね。あんまりタレントさんの精神をすり減らすような真似はしたくないですが、収録を後回しにするわけにもいかないというのが現実。

 

 

「すいません。天宮さんに無理させてしまって」

 

 

「ううん。スタッフさんの所為じゃないですもん。それにあまみゃはスタッフさんと会えて嬉しいですよ」

 

 

「そうですか?」

 

 

「うん!あまみゃのこと褒めてくれるし、優しいし。話していて面白いもん」

 

 

「そんな面白い話は出来ていないと思うんですが」

 

自分はただ天宮さんやタレントさんの緊張を少しでもほぐそうと話しているだけなので。正直そこまで中身のあるような話をしているのかと言われればしていない。

 

 

「あまみゃはスタッフさんが楽しそうに話しているだけでも楽しいよ」

 

 

「そうですか?」

 

 

「うん!!」

 

天宮さんはなぜか強く断言している。

 

 

 

 

 

そしてそれから天宮さんと少し話して最後の収録へと移る。

 

 

 

一応僕も遠くから収録を眺めている。何事もなく終われるのが一番。天宮さんのことを考えると下手したら過労とかで倒れちゃうかもしれないと思ったりしちゃうんですよね。控室の天宮さんはなるべく元気を出してくれていたようだけどかなり辛いと思うし。

そんなことを考えていると後ろから肩を叩かれて耳元で囁かれた。

 

「あの…ちょっといいですか?」

 

 

僕は肯定的な返事を意味する首を縦に振った。収録中なので僕たちの声を収録にのせるわけにはいかないので。そして僕と女性スタッフは一緒に収録現場を出た。

 

 

 

その時の僕は後ろからさすような視線が注がれていた事に気付いていなかった。

 

 

 

 

 

話の内容は次の大型ライブについてのことだった。どういう風な段取りにするかなども色々と考えて行かないといけない。そして僕は彼女と別れて収録現場に戻ると、天宮さんの収録は終わったようだった。

 

 

「ライブかぁ…」

 

これからはもっと忙しくなりそうかな。今のうちにしっかりと英気を養っておかないとライブ前になってきつくなりそうだし。一人で遊園地に行くっていうのもいいかな。それとも一人旅とかをするのもありかも。

 

 

そんなことを考えていると収録終わりの天宮さんが僕に近付いてきた。

 

 

「収録お疲れ様です、天宮さん」

 

 

「…はい」

 

 

「どうしたんですか?」

 

 

「どうしもしませんよ。あまみゃはスタッフさんが見ていてくれなかったことなんか全く気にしてませんよ」

 

 

「あ、そうですか…」

 

なんか収録前よりもご機嫌斜めになっている気がするのは気の所為かな。この後は昼休憩を挟むことになってますし、どうにか天宮さんに機嫌を直してもらうためにもご飯に誘ってみよう。

 

 

「なにか食べに行きますか?」

 

 

「食べ物で釣ろうとしても無駄です!」

 

 

「いや、釣ろうとしているわけではないんですけど」

 

でもこの感じだと天宮さんの機嫌はあんまり良くない。これがこのままだと午後の収録に影響が出てしまうかもしれない。それだけはどうにか避けないと……。

 

まずは天宮さんがなんで機嫌が悪くなってしまったのかを突き止めないと。

 

 

「…なにか機嫌を損ねるようなことがあったのなら謝りますので教えてくれませんか?」

 

 

「あまみゃは全然機嫌は悪くないですよ」

 

 

「いや…そうは見えないんですが」

 

 

「あまみやは笑顔だよ」

 

今まで天宮さんの笑顔がここまで怖いと感じたのは初めて。顔は笑っているけど、心は笑っていないように見える。

 

 

「怒っている理由を教えてくれませんか?」

 

 

「だからあまみゃは怒ってないよ」

 

絶対に怒ってる。

 

今まで天宮さんと何度かお仕事が一緒になった時はいつも…天使のような笑みだったと記憶している。でも今の天宮さんの笑顔は…怖さすらも覚える。

 

 

「僕が悪い事をしたのなら謝ります。なので機嫌を直してくれませんか?」

 

 

少しの間沈黙の時間が続き、それを破ったのは天宮さんの方だった。

 

 

「見てくれないじゃん…」

 

 

「…え、なにをですか」

 

 

「あまみゃが収録している最中にどこか行っちゃったよね」

 

 

「あ、ちょっとこれからのことで話し合いを…」

 

 

「…見てくれてなかった」

 

 

「い、いや、最初の方は見てましたよ」

 

 

「あまみゃはずっと見て欲しかったの」

 

 

「すみません」

 

結果的に天宮さんの収録中に外に出てしまったのは事実ですし。正直、僕が見ていなかったとしても別に問題はないんじゃないかとは思うけど、今それを口に出してしまったらややこしくなってしまうので止めた。

 

 

「約束して」

 

 

「約束ですか?」

 

 

「うん!!これからはあまみゃのことしか見ませんって」

 

 

「いやそれは…」

 

 

「約束して」

 

 

「…あ、はい」

 

人から見つめられだけでこんなに圧力を感じたのは初めてかもしれない。

 

 

「これからは天宮さんのことを見ます」

 

 

「うん、あまみゃのことだけ見てくださいね」

 

 

「…はい…」

 

 

天宮さんは可愛い人ですけど…ちょっと怖い人だと僕は思ったのだった。

 

 

 

 

 

 

―――――――――――

 

 

白上は深呼吸をしてからインターホンを鳴らす。

 

すると数十秒後に中から足音が聞こえてきて、ドアが開いた。姿を現したのは部屋着に身を包んだ、まつりちゃん。

 

 

「大丈夫?」

 

 

「うん、大丈夫だよ。入って」

 

まつりちゃんに案内されて部屋に入って感じたのは…ちょっと汚い。

 

 

今のまつりちゃんはちょっとマズイ状況。社員さんがいないというのがここまでストレスになってしまうとは白上も思っていなかった。最近は仕事も手に付かないし、配信もあんまり出来なくなった。まつりすの皆も心配で白上のところに「まつりちゃんの近況を教えてください!」というコメントが来るぐらい。

 

それぐらいにまつりちゃんはSNSがほとんど動いていない。

 

 

「まつりちゃん、大丈夫?」

 

 

「うん…まだ大丈夫…」

 

 

今、ここでまつりちゃんに社員さんのことを伝えればまつりちゃんは必ずすぐに探しに行く。でもまだ社員さんが今どこに何をしているのかは分からない。あの日、白上たちは社員さんのことを襲うことばかりで肝心なことを見落としていた。今の社員さんの近況について聞くことをせずに……朝になった。

 

そして目覚めた時に社員さんはいなかった。

 

 

 

 

でも今のまつりちゃんをこのままにしていたらいずれ壊れちゃう。少しでも社員さんのことを話して気を紛らわす方が今のまつりちゃんにはいいのかも。

 

 

「あの…まつりちゃん。社員さんのことなんだけどさ……」

 

それから白上はまつりちゃんに社員さんのことを話した。

 




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