ホロライブのスタッフを辞めて、にじさんじのスタッフになるお話   作:主義

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【過去編】社員さんの一日『前編』

 

ちょっと昔のお話をしようかな。これはまだ僕がホロライブで社員として働いていた頃。

 

 

僕はいつものように事務所に出勤をして仕事を始める。

 

 

 

急に後ろから首に手を回された。普通の人であればこれに対して何だかの反応をしたり驚いたりするのかもしれないけど僕に関しては慣れ過ぎてそのまま仕事をする。

 

 

さすがに僕が反応をしすぎなくてしびれを切らしたのか、手を回した人が不満を漏らし始める。

 

 

 

「もうちょっと反応あってもよくない~~まつりちゃんが抱き着いているのに」

 

 

「いやもう慣れちゃいますよ。それに夏色さんもお仕事があって事務所に来たんじゃないですか?」

 

 

「そうだよ」

 

 

「だったらあんまり僕のところで時間を潰しているとマネージャーさんに怒られちゃいますよ」

 

 

「そこら辺は抜かりないよ。マネちゃんにはトイレに行ってくるって言っておいたから」

 

夏色さんのマネージャーさんもこれは苦労しますね。夏色さんがこういうことをしてくるのは最近始まったことではない。もうずっと……。スキンシップのような行動を取ることが多いので夏色さんがいるだけで色々と身構えてしまう体になってしまった。

 

 

「嘘はダメですよ。夏色さん」

 

 

「え~いいじゃん。そうじゃないとマネちゃん絶対に許してくれないもん」

 

それはそうですよ。マネちゃんも夏色さんとの話し合いや用があって事務所に呼んでいるわけですし。

 

 

「マネージャーさんに悪いので早く帰ってあげてください」

 

 

「いやだ」

 

 

「お願いですから」

 

 

「じゃあ、まつりのことが大好きって言ってくれたら考えてあげても良いかな」

 

これは半場脅しのようなものではないかな。僕としては夏色さんのマネージャーに迷惑を掛けるような真似をしたくはない。そうなれば僕は夏色さんの要求を呑むしかない。

 

 

「分かりましたよ」

 

僕は一度ため息を吐いてから夏色さんの方に向き直る。夏色さんも僕から一度手を離してくれたのは助かった。

 

 

「まつりさんのことが『大好き』ですよ」

 

すると目の前の夏色さんはなぜか、プルプルと震え出したかと思えばすぐに抱き着いてきた。

 

 

「え、すき!!まつりもすきだよ!!」

 

 

「力強いですって!」

 

 

「まつりは世界で一番大好きだよ!!」

 

 

「なんで言ったのに抱きしめる力が強くなっているんですか!!」

 

 

「そんなの決まってるじゃん。社員さんがまつりのことを大好きって言ってくれたからだよ!!」

 

 

「は、はなれてください!」

 

 

「はなれないもん!!」

 

それからも夏色さんはずっと離れなくて、どうしようかなぁと思いだした時に夏色さんのマネージャーが迎えに来た。どうやらトイレに探しに行ってもいなくて、色々な人に聞き込みをした結果として僕のところにいることを突き止めたらしい。

 

 

「僕の所為でマネージャーさんにお仕事を増やしてしまってすいません」

 

 

「いえいえ、大丈夫ですよ。それもこれもまつりさんが欲望のままに動いてしまうのが悪いので」

 

 

「やぁだ~まつりはまだここにいる!!」

 

 

「だめです。まつりさんにはやってもらわなくちゃいけない仕事がたくさんあるんですから!!」

 

マネージャーさんは夏色さんをしっかりと捕まえて引きずっていった。

 

 

夏色さんが去ってからは業務に集中できた。

 

 

 

でも…やっぱりそのまんま順調というわけにはいかなかった。視界の端にある人がずっと映っていて、集中が出来なくなってきてしまったので話し掛けることにした。

 

「さくらさん、どうしたんですか?」

 

 

「…ば、ばれた…」

 

 

「バレますよ」

 

あれでバレていないつもりだったのならそっちの方が驚きだ。

 

 

「それでさくらさんは僕に何か用ですか?」

 

 

「用とかはない…かな」

 

僕はさくらさんの答えに混乱してしまった。

 

 

「え、じゃあなんであんなところから覗いていたんですか?」

 

 

「の、のぞいてないよ…」

 

 

「…そうですか。それなら変な勘違いでさくらさんの時間を取ってしまってすいませんでした」

 

僕がちょっと過剰になっていたのかもしれないし、ここは仕事に戻ろう。仕事に戻るために踵を返したのと同時に後ろから抱き着かれた。

 

さすがに理解が追い付かず、しばらくの間立ち尽くしてしまった。

 

 

「さ、さくらさん…どうしたんですか?」

 

 

「今日の夜ってスタッフさんは時間空いてますか?」

 

 

「仕事が終われば大丈夫ですが、僕にどのような用ですか?」

 

あんまりタレントとスタッフが一緒に出掛けるようなことはするべきではないと僕は思っている。お互いのためにもそれが一番のベストだと。タレントとスタッフとの間に信頼関係は必須だけど、それ以上になる必要もないし。プライベートまで一緒にいるのは変な誤解を誰にされるか分かったものではないですしね。

 

 

「い、いっしょにいてほしい!」

 

 

「一回落ち着いて下さい」

 

 

「…だめ?」

 

 

「だめとかではなくて、なんか事情があるなら教えてください」

 

さくらさんは今回みたいに覗いたりするようなタイプの人間でない。夏色さんとか星街さんとか他のよく何か仕掛けてくるような人たちならいつものように突っぱねていたのかもしれないけど、さくらさんはそういうタイプじゃないことを僕は知っている。

 

 

「…いっしょにいてくれる?」

 

 

「それはお話を聞いてからですね」

 

 

「じ、じゃあ…はなす」

 

 

「はい、話してください」

 

さくらさんがこうなってしまうぐらいの事となるとかなり深刻かもしれない。そんな考えを持ちながら僕はさくらさんが紡ぐ言葉を待つことにした。

 

 

「…ほ、ほらーが…こわくて…」

 

 

「ホラーですか?」

 

そう聞くとさくらさんは静かに首を縦に振った。

 

 

「ホラー映画を見たら…昨日からずっと眠れないの」

 

 

「…そ、そうなんですか」

 

深刻な話だと思っていたのでかなり拍子抜けな感じだけど、さくらさんからすれば深刻な悩みなんだと思う。それにしっかりと寝れていないのはパフォーマンスにも響くかもしれない。スタッフとしてそれだけは避けなくてはならない。

 

 

「それで…さくらさんは僕に何をして欲しいんですか?」

 

 

「一緒に居て欲しい」

 

 

「一緒に居て欲しいと言われても、さくらさんを家まで送り届けるまでとかそれぐらいですよ」

 

 

「…スタッフさんなら家に入ってもいい」

 

 

「それは絶対にダメです」

 

これは絶対に容認できない。いくら、さくらさんの頼みと言ってもこれを受け入れてしまったら今まで自分がしっかりと距離を取っていたものが全て無駄になってしまう。

 

 

「で、でも…スタッフさんと一緒じゃなきゃいや」

 

 

「そう言われてましても…」

 

さすがに家に入るとかは認められないが、ここでさくらさんの悩みを解決しないのもダメだ。そこで僕が頭をフル回転させて思い付いたのはあまりに陳腐な考えだったが、提案してみることにした。

 

 

「通話とかどうですか?」

 

 

「通話?」

 

 

「はい、さくらさんがしたい時に通話を掛けてきていいので。そうすれば少しは怖さは紛らわせませんか?」

 

 

「……ぜったいに出てくれるの?」

 

 

「出ますよ。自分も仕事とかあるので夜中1時ぐらいまでが限界ですけど」

 

さすがにあまり起きていると次の仕事に響きますし。

 

 

「ち、ちゃんと出てくれるんだよね!?」

 

 

「はい。出ますよ」

 

 

「みこが寝るまで切らないでくれる?」

 

 

「切りませんよ。さくらさんが少しでも安心できるように努めるつもりです」

 

 

「そ、それなら…」

 

そして最終的にさくらさんと通話するという形でどうにか丸く収まった。

 

 




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主人公は誰かと結ばれて欲しいですか?

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