ホロライブのスタッフを辞めて、にじさんじのスタッフになるお話 作:主義
やっと僕の周りも少しずつ落ち着いて来た。
少し前まで本当に忙しかったし、周りも騒がしかった。
特ににじさんじのタレントさんへの連絡。
なんでそんなことをしたのかと言えば、それはあの3D配信の後にタレントさんからすごい量の連絡が来たから。
どうやらあの結果を受けて、僕がホロライブに帰ると思ったらしい。
確かにあの3D配信での勝者は猫又さんたちの方だけど、僕は別に帰る気もなければ、あれはあの人たちが勝手に僕を賞品にしていただけ。僕に何の同意も得ることなく。
ーーーーーーーーーー
そして今日はお休みということもあって…お昼過ぎまで寝ていた。
インターホンの音が鳴ってドアを開けてに行く。
「は~い、どなたですか?」
ドアを開けるとそこには…僕の想像を超えている人物がいた。
「お久しぶりです」
「…お、おひさしぶりです」
なんでここに彼女が。
「一先ず、家に入ってください」
「うん」
僕は困惑しながらも彼女のことを家に上げることにした。
「あの…まずはなんで来たのかを聞いても良い?」
「社員さんが住んでるって聞いたから」
「そっか」
たぶん、情報元は常闇さんか星街さんだ。この感じだと誰でも構わず、話していると考えた方がいいかもしれない。
「まずはお久しぶりですね、しぐれうい先生」
「…なんで先生って呼ぶの?」
「先生ですから」
「前は普通に名前で呼んでくれたよね」
「それは高校の頃の話ですよ。今の僕としぐれうい先生では全然違うので。僕はホロライブでもにじさんじでもスタッフとして働いていたので分かりますが、やっぱり先生ですよ」
「今は私とキミの2人だけだよ」
「それでもやっぱり簡単に変わるものではないんです
「抜いてよ。前みたいに普通に名前で呼んで」
そう言われると昔は名前で呼んでいた。
「変にそれが残ってしまうのは嫌なんです。これからもしぐれうい先生と色々とお付き合いをしていくと思うので」
これからもしぐれうい先生と事務所を通してのお仕事をたくさんすることになると思う。そういう時にプライベートな口調が出てしまうことだけは避けたい。だからいっそのこと呼び方は統一しておきたい。
「呼んでよ」
「…」
「呼んでよ」
「どうしてそこまで呼び方にこだわるんですか?」
「大事だから。このまま先生って呼ばれてると本当に私とキミはが遠く離れちゃっているみたいだし。キミが私のことをどう思っているのかは分からないけど、私は今でもキミのことを好きだよ」
話している時のしぐれさんは本当に真剣そのものだった。
「…しぐれさんで勘弁してください」
「分かりました、許しましょう」
なんで「許しましょう」と言われたのかは分からないけど。
「それでしぐれさんは僕に会いに来たんですよね」
「うん」
「なんでですか?」
「私はキミと一緒がいいからですよ」
「…それは高校の頃みたいにってことですか」
「うん」
高校時代の僕は今になって思えば……傲慢だった。自分自身にも何か特別な才能があるかのように思ってしまっていた。今の僕があの頃に戻れるのなら…昔の僕を確実に殴り飛ばすと思う。あんまり暴力に頼りたくはないものの、それぐらいしてやらないと自分は分からない。
しぐれさんとは高校の時に知り合って……付き合ってしまった。
「僕はしぐれさんに対してヒドイことをしてしまったのに…」
「確かにあの時のキミは強引だったよね。付き合う時も含めて」
「本当にごめんなさい」
「だけど…私は1度もキミのことを嫌だと思ったことはなかったよ」
「それはないです。あんな風に迫ってたら絶対に恐怖を覚えていたはずですよ」
「確かに最初はちょっと怖かった。それでも嫌だと思ったことはなかったよ。だって私はキミが告白する前からキミのことが好きだったからさ」
しぐれさんの目は僕に気を遣っている感じではなかった。ただ本当のことを話しているだけ。
「それはよかったです。ずっとあなたのことを僕の気持ちだけで押し切ってしまったんじゃないかと心配だったんです。しぐれさんは好きでもないのに断ることも出来ずに付き合うことになっちゃったんじゃないかって」
彼女と別れてからずっとそのことが頭によぎっていた。しぐれさんのことを精神的に傷つけてしまったんじゃないかと。
「私はそんなに安い人ではないです。嫌いな人とか何とも思っていない人から告白されても普通に断ります。私があなたの告白に対して首を縦に振ったのは…私があなたの事が好きだったからです」
「………」
「だから正直、あなたの方から告白してくれた時は嬉しかったんです」
「……」
「自分の好きな人が告白してくれたんです。嬉しい以外の感情なんか湧かなかったですよ。でも、なるべくあなたには気付かれないように無表情にしましたよ。あなたに子供っぽいとか思われてなかったので」
「そうだったんですね」
「それでも自室に帰ってからは飛ぶように喜びました。あんなに喜んだのは生まれて初めてのことだったかも」
「だからあなたと一緒に過ごしている時間はとっても楽しかった。今でも鮮明に思い出せるぐらいに」
「そう思ってくれていたのなら本当によかった」
「でも…そんなに長く続かなかったね」
しぐれさんのトーンが一瞬で落ちた。
「私のどこが悪いのか教えてくれれば直したよ」
「しぐれさんが悪いわけではないですよ。全部自分の所為なので」
「キミとこれからも一緒に居たかったよ。でも、キミがそれを望んでいないからこそ私は諦めた。それでもキミの近くにいることだけはどうしても諦めきれなくて、キミと同じ道を歩もうとした。だけどそのタイミングでキミは私に言ったよね」
このままだとしぐれさんの夢が壊れてしまうと思った。これからの先の未来が。
だから僕は――
『ういにはういの夢がある。俺の夢は俺の夢だ。俺に縛られ続ける必要はない。これからはお互いに違う道を歩んで行こう』と言ったんだ。
「あの時は今すぐにでも泣きわめきたいぐらいだった。完全にキミから拒否されたからね。一緒に来ないで欲しいと……。あなたのためにもこのままではダメだと思って、私はキミと同じ夢を追うことを諦めた」
「すいません…」
「それでも私とキミはまた会えたよね。キミがホロライブのスタッフとして働くようになってすぐだった。私もホロライブの事務所に用があって行った時。最初は信じられなかったけど、私がキミのことを見間違えるはずがないし」
自分は『しぐれうい』という存在は知っていたが、まさかホロライブに勤めてるようになってまた会うことになるとは思ってもいなかった。
「私は嬉しかった。もう一度キミと会えるなんて」
「そうですね。ご飯も食べに行きましたしね」
僕としぐれさんは再開を祝してご飯を食べに行ったりした。
「でもキミはまた勝手にどこかに行っちゃった。その時の私の気持ちがキミに分かる?」
「…………」
「仕事も手に付かないぐらいに悲しかったんだよ。折角、会えたのにまた私の元から離れて行っちゃう。どこに行ったのかも分からないし」
「それはごめんなさい」
「別に謝って欲しいわけじゃないよ。私はキミにそこまで信用されていないってことでしょ?」
「そ、そういうことじゃ…」
「だって何も教えてくれなかった。私のことを少しでも考えてくれているなら教えてくれてもいいはずだし」
「…すいません」
「だから謝らないで」
普通ここまで勝手に行動していたら愛想を尽かされたとしても全然おかしくない。自分に対して興味を失ってもおかしくないはずなのにしぐれさんはそれでも自分のことを考えてくれている。
「それに私はまだ諦めてないんだ」
「何をですか?」
「キミの一番隣にいることだよ」
「………」
「今の私じゃダメかもしれないけど、いつか絶対にキミを惚れせてやる!」
「…それはすごい気合ですね」
「好きになっちゃったから。自分の好きな人には好きになって欲しい!」
「そんなに自分のことを想ってくれてありがとうございます」
「まぁ…世界で一番キミのことを大好きなのは私だと思いますよ。だからこれからもご飯とか誘うし、連絡することもあるけど無視しないでくださいね」
「はい、分かりました」
「分かればよろしい」
しぐれさんは胸を張ってそう口にした。
そして次に僕のことを指差した。
「私はあなたのことが大好きなんです」
本当にしぐれさんの笑顔は美しい。ここまで自分のことを考えてくれるような人が親族以外でいてくれるのは本当に幸せなことだと分かってる。
いくら自分が離れても彼女の想いが途切れることはなくて、本当に一途で素晴らしい人。だから自分には勿体ない。
――――――――――――
通話
「そう言えば…まつりちゃんってスタッフさんのこと好きなん?」
「大好き…いや、愛している!」
「相変わらず、まつりちゃんはストレート」
「逆に星川はどう思ってるの?」
「そりゃ…好きっしょ。あんなに優しい人でいざという時に頼りになる人を好きにならないとか無理」
「そうだよね。社員さんの頼りになる度はまじですごいよね」
「うん!あれだけ頼りになる人って他にいないよ」
それからも二人はお互いに想う、良さを話していると星川の携帯にある人から連絡が来る。
「あ、すーちゃんから連絡きたわ」
「え、なんてなんて?」
「えっと…『にじさんじのスタッフさんがいるって本当ですか?いるんだったら私に紹介してくれませんか?』だってさ」
「なんでそんなことを…」
「そんなの星川にも分からないよ」
感想があれば
主人公は誰かと結ばれて欲しいですか?
-
結ばれて欲しい
-
結ばれないで欲しい