ホロライブのスタッフを辞めて、にじさんじのスタッフになるお話   作:主義

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【過去編】教育実習のお話①

 

学校の先生になるには…教育実習を履修しなくてはならない。

 

 

そして僕も教員免許を取るために教育実習を行う。母校に連絡をしてスケジュールを組んだりと色々と忙しかったが、やっとこの日を迎えられる。

 

 

これも高校時代に自分を目覚めさせてくれたお陰だ。やっぱり…ういには感謝したい。僕がイラストレーターという夢を追い求めず、次の目標に迎えたのは近くに彼女が居たからだ。彼女ことしぐれういは天才だ。小学校や中学生の頃は自分にも特別な才能が備わっていて、なりたいものになれると思っていた。

 

 

だけど、しぐれういの描いた絵を見た瞬間に僕の中で何かが崩れ落ちた。

 

自分には才能もないし、そろそろ目を覚ます時だと。

 

 

 

僕は教師を目指すことにした。

 

 

 

 

 

まず、自分よりもちょっと年上な感じの女性に挨拶をする。

 

 

 

「今日からよろしくお願いします!」

 

 

「うん、よろしくね」

 

この人が教育実習生として関わらせてもらうクラスの担任の方。何度か打ち合わせでお話をしたが、本当に生徒想いで良い人だ。自分が今まで出会ってきた人の中でもここまで誰かに対して優しく接して、しっかりと自分の信念を持っている人を初めて見たかもしれない。

 

 

 

それから僕は自分が二週間の間、関わらせてもらうクラスにいって挨拶をした。クラスの人たちの反応としては良かったと思う。普通に歓迎してもらえたのでこっちとしてはやりやすい。

 

 

 

 

 

 

数日間の間、教育実習生としてクラスに携わっているとそれぞれの性格というものを少しずつだが、理解してくる。例えば、あの子はとても良く明るい子とか、人と関わるよりも読書などの自分の時間を大切にしない子、運動抜群の子、なぜかよく話し掛けてくれる子とか本当にそれぞれ。

 

そしてさすがにクラス全員の名前を覚えるところまでまだ言っていないけど、何人かの生徒の名前は覚えた。でもそれは僕に対して何度か話し掛けてくれた子ばっかり。

 

 

高校生ぐらいの年ってとても難しい。あんまり話し掛けに行き過ぎるのもダメな気がするし、だからといって自分から行かな過ぎるのもダメな気がする。

 

 

 

そんな風な悩みを抱えている中でもよく話し掛けてくれる子はいる。

 

その一人が花芽すみれさん。彼女に関しては僕が初めて来た日から話し掛けてくれた。どうやら花芽さんはFPSが得意なようでやろうと言ってくれてはいるものの、さすがに今の教育実習生という立場で遊ぶわけにはいかないのでずっと断っている。

 

 

他には奏手イヅルくん。この子は放課後、歌っているところを見かけてから話すようになった。奏手くんの声は本当に美しくて、同性の自分も彼の声に魅了されてしまった。それぐらいに美しくていずれは歌手としてデビューすると僕は本気で思っていたりする。

 

その他も色々と話すようになった子たちはいるのである程度の関係性は気付けている方だとは思う。

 

 

 

 

 

それからさらに数日して僕は気付いてしまった。

 

 

生徒との距離感は一旦どれくらい正しいのだろうか。僕と生徒たちは友人関係というわけでもないし、本当の教師と生徒の関係性というわけでもない。あくまで二週間の間、一緒に過ごす人。

 

 

「花芽なずなさん、ちょっと距離を取ってくれませんか?」

 

 

「だめです。先生からは離れません」

 

 

「なんでですか?」

 

 

「私はここがいいので」

 

 

「なずちゃんは先生にくっつき過ぎじゃない!」

 

 

「全然普通。もっと先生とくっ付いていも良いぐらい」

 

花芽すみれさんと花芽なずなさんは姉妹。お二人とも、よく話し掛けてくれるけど距離感に関しては毎回疑問を持ってしまう。僕と花芽さんは友人という関係性ではないのであまり密着するような距離感で接せられると戸惑ってしまう。それにこんな密着しているところを先生たちに見られたら…絶対にマズいですし。

 

 

「二人共、もっと離れてくれませんか。来たばかりの自分に話し掛けてくれるのは本当に嬉しいですけど、さすがにこれはくっ付き過ぎだと思いますし」

 

 

「なずちゃんはくっ付ぎ過ぎです」

 

 

「いや、花芽すみれさんもですよ」

 

 

「私は普通です。これが先生と生徒の距離感です!」

 

 

「そ、そうなんですか?」

 

 

「はい。私はいつもこれぐらいの距離感です」

 

 

「では、自分が別に特別というわけではなくてどんな先生でもこれぐらいの距離感ってことですか?」

 

 

「そうです」

 

そうなのか…。だったら自分がちょっと自紙意識過剰なのかもしれない。自分が学生だった三年ぐらい前は生徒と教師の距離はここまで近くなかったと記憶しているんだけど。

 

 

「花芽すみれさんもこれぐらいは当たり前ですか?」

 

 

「もちろん」

 

 

僕は両腕を二人にそれぞれ抱きしめられていた。

 

 

 

 

 

そして本物の先生に付いて、色々なことについて学んでいく。やっぱり大学の講義よりも現場で学ぶことの方が全然多くて、毎日が本当に充実している。

 

でも、先生が一つだけ注意を受けたことがあった。

 

 

それはやっぱり「キミは優しそうだし、顔立ちも良い方だから生徒たちからかなり人気だけど、生徒と教師の距離感はしっかりするんだよ。しっかりと一線を引いて接するぐらいにした方がいいかも」と言われてしまった。やっぱり生徒との接し方はしっかりとしないといけない。

 

たぶん、先生は僕が生徒と接しているところを見てそう感じたんだと思う。

 

 

これからはしっかりと距離感を保ちながら接していこうと心に決めた。

 

 

 

 

 

 

「それなのに…」

 

僕の目の前には小雀ととさんが笑顔で立っている。

 

小雀ととさんとは『ゲーム部』で出会った。この学校にはゲーム部というものが存在していて、それなりに実績を残していることもあってかなりの部費と人数がいる。そしてそのゲーム部の顧問が僕が関わっているクラスの担任の方。そういう繋がりもあってゲーム部に訪問されてもらったことがあった。

 

 

その時にちょっとだけゲームを手伝わせてもらったことがある。元々趣味程度でゲームはしていたいこともあって、ゲーム部に所属している人たちに比べると全然劣るとは思うが、それでも一回試しでやってみて欲しいと言われてやった。どうやらそれがきっかけで彼ら彼女らに少し気に入られたようだ。

 

 

 

そして今、僕の目の前で通せんぼしているのは小雀ととだ。

 

「あ、あの…本当になんでこんなことをしてくるんですか?」

 

 

「それは私が先生と離れたくないからです」

 

 

「申し訳ないんですが、どうにか諦めてくれませんか」

 

 

「そうはいきません。先生が私ともう一度ゲームをやってくれると約束してくれるなら見逃してあげます」

 

 

「そのことについては何度も言ってますけど、ダメなんですよ」

 

僕を担当してくれている先生からも生徒との距離感は色々と注意されたばっかりですしね。

 

 

「じゃあ通しません!」

 

 

「通してくれないと困るんですよ」

 

 

「通しません。私は先生と一緒にゲームをしたいんです」

 

 

 

無理矢理にでも通ろうとしても小雀さんは引っ付いてきて、通してくれることはなかった。

 

さすがに授業に遅れるわけにはいかないので小雀さんの条件を飲む形で通過できた。




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