ホロライブのスタッフを辞めて、にじさんじのスタッフになるお話 作:主義
仕事が終わらなければ残業をするのは普通のこと。そして今日の僕は色々と立て込んでいて資料が出来上がっていないので残にすることにした。上司の方にはそんなに根を詰めすぎなくてもいいと言われたが言われた仕事はなるべく早く完遂したい。
「じゃあ頑張りますか」
コンビニで買ってきた栄養ドリンクを飲み干してまた気合を入れる。有難いことに自分という人間はあんまり疲れを知らない。どんなに働いたとしても疲れを感じずに働けるのは一つの取柄だと個人的には考えている。それでも残業することは栄養ドリンクを飲むようにはしている。多分、仕事が終わったらそのまま帰路に付いて食事もせずに寝ちゃうだろうし。
「まだ残っていたんですか…」
振り返るとそこにはシスタークレアさんが心配そうにこちらを見ていた。
「え…クレアさんの方こそまだ残っていたんですか?」
もう事務所にいるのは僕と同じように残業をしている人ぐらいだと思っていた。タレントさんはもう全員出ていると考えていた。
「はい。ちょっと収録が長引いちゃいまして」
「そうなんですか。お疲れ様です」
「私としてはスタッフさんが残っていたことに驚きです」
「どうしても仕事を終わらせたくて」
「あの…私も隣で見ていていいですか?」
「え……ど、どうしてですか?」
そんなことをしても何もないし。僕とクレアさんはとても仲が良いわけではない。逆に接点がない方。それに仕事を見ていても退屈だと思うんですが。
「スタッフさんが仕事をしているのを見ていたいんです」
「そんな面白いものじゃないですよ。書類作りですし」
「それでもいいんです。スタッフさんとお話してみたいんです!」
最終的に僕はクレアさんからの頼みを断れるなく、受け入れることにした。
「スタッフさんはいつもこんな時間まで残っているんですか?」
「いいや、もちろん定時で帰ることもありますよ。でもこの書類は今日中にしっかりと終わりにしておきたいので」
「そうなんですね」
「スタッフさんは仕事熱心ですよね」
「そんなことはないと思いますよ。僕はただ与えられた仕事をこなしているだけなので」
「でも、ライバーからのお悩みの相談とかものっているんですよね?」
「のってますけど、それも仕事ですよ」
「それでも私はスタッフさんのことをすごいと思います」
「そうですか?」
「はい!」
クレアさんの笑顔は見惚れてしまいそうなほど綺麗で…僕はすぐに視線を書類に戻した。長く見ていると惚れてしまいそうだ。本当にクレアさんは誰もが認める、『清楚』。
「僕の方こそ皆さんが頑張っている姿に背中を押されているんです」
「そうなんですか?」
「はい。やっぱり身近な誰かが頑張っている姿を見ると自分も頑張らなくちゃいけないと思えるんで。そういう意味でもタレントの皆さんや同僚の人たちには感謝していますよ」
するとクレアさんは急に突拍子のないようなことを口にした。
「褒めて見てくれませんか?」
「え、なんでかを聞いていいですか?」
「ちょっとスタッフさんに褒めてもらいたい気分なんです」
「そんな気分あるんですか?」
「あるんです!」
クレアさんが望んでいるんであればしてあげるべきか。
「クレアさんはどんな時でも笑顔であいさつを返してくれて、前に僕のミスで色々とご迷惑を掛けてしまった時も「大丈夫ですよ」と優しくしてくれてあの時は本当に『女神』だと思いましたよ。本当に初心な人でたまにホラーゲームをしている時に本気で怖がっている姿も可愛いです。全てまとめて言えば、クレアさんは本当に良い人ですよね」
するとクレアさんは赤くなった顔を両手で覆っていた。
「…スタッフさんに褒められると照れちゃいますね」
その仕草も本当に『清楚』。このにじんさんじの中で一番純粋で清楚かもしれない。他の人たちが純粋じゃないとかじゃなくてこの人が清楚すぎる。清楚を具現化したみたいな人ですし。
「いや…クレアさんは本当に可愛いですね」
口に出して初めて気づいたけど、今の自分ってキモイ気がする。タレントさんに対して自然と『可愛い』と言ってしまった。それをファンの方が言うのはいいけど、事務所の関係者が言うのは少しだめな気がする。
これからはもうちょっとそういうところも考えないと。
それからして僕も仕事が終わった。
なので駅までクレアさんと話しながら行くことになった。
「寒いですね」
「そうですね」
「明日もお仕事ですよね」
「そうですね」
明日で今年の仕事も終わりだ。たぶん年越しは事務所で迎えることになる。あとで正月が過ぎて落ち着いてた頃に休みを貰って休もう。両親からも「正月ぐらいは家に帰って来なさい!」と散々電話で言われたんだよね。
そこではひたすら謝って長期休みのめどが立ったら休むとだけ伝えた。
にじさんじとしても年が明けてからライブなど色々と忙しくて休んでいる暇がないけど、それさえ終わればしばらくは楽なる。
「私に手伝えることってありませんか?」
「え…クレアさんにですか?」
「はい、私はあなたのことを一目見た時から少し怖いんです」
「怖いですか?もしかして僕って怖い顔してましたか!?」
「いいえ、そういうことではなくて」
「あなたを一目見た時から優しいのは分かりました。本当に他のライバーさんが言うように。でも、だからこそ怖かった。あそこまで優しくて好かれる人は自分で抱え込んで…最後は倒れちゃうんじゃないかって。その日からいつもスタッフさんのことを見るようにしているんです」
まさかクレアさんが僕のことをそんな風に心配してくれていたとは…。今までクレアさんと話していてもそんなことを考えていると微塵も感じさせなかった。
「心配してくれていたんですね」
「心配ですよ。スタッフさんは大事なにじさんじの一員ですし。やっぱりあなたは少し特別なので…」
「クレアさんは本当に優しいですね」
ここまで優しいといずれ何か怪しい勧誘とかに引っかかったりしないか非常に心配だ。
「そうですかね」
「そうですよ」
「でも大丈夫ですよ。僕はそんなに柔な体をしていないので」
これぐらいであれば耐えられる。それにその先に休みがあると思えば気力でどうにか乗り越えられる。
だけど、クレアさんは少し心配そうな顔で見て来る。
「あんまり無理をしてはダメですよ」
「分かってますよ」
それからも二人で話したりしながら最寄り駅まで向かうのだった。
感想があれば
主人公は誰かと結ばれて欲しいですか?
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結ばれて欲しい
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結ばれないで欲しい