ホロライブのスタッフを辞めて、にじさんじのスタッフになるお話   作:主義

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【にじFES2日目②】ライバーに囲まれるスタッフさん

葛葉さんのイベントの成功を見届けた後はしばらくお休みのはずだった。それなのに僕は…ライバーさんたちに四方八方を囲まれている。

 

 

「なんでこんなことになっているんですか?」

 

僕がそう問うとサロメさんが答えてくれた。

 

 

「それはスタッフさんが来てくれないからですわ」

 

 

「行かなくても皆さんなら大丈夫でしょう」

 

次は渡会さんが言葉を返してくれた。

 

 

「俺たちは大事じゃないってことですか?」

 

 

「なんでそんなことになるんですか。僕が行ったからって皆さんに何かを出来るわけじゃないですよ」

 

その次は星川さんが僕との距離を詰めながら訴えかけてきた。

 

 

「星川はスタッフさんに来て欲しいよ!!」

 

 

「で、でも、ちょっと難しそうなんですよ」

 

そしてリゼさんが次は距離を詰めて来る。

 

 

「私たちのパフォーマンスを見たくないってことですか?」

 

 

「だからそういう話ではないんですって」

 

今までの話からも分かるかもしれないが、僕はなぜか「SYMPHONIA」Day2のメンバーに取り囲まれているのだ。でも、力一さんだけは少し離れたところから現状を見ている感じだ。

 

 

「僕も皆さんのパフォーマンスを見れないのはとても残念なのですが、こればっかりは仕方がないと受け入れてください」

 

それに僕が見たか見ていないかってそんなに問題じゃないと思いますし。

 

 

「わたくしはスタッフさんにパフォーマンスを見て欲しいです!」

 

 

「いや、月ノさんまで…。分かってくださいよ。皆さんのパフォーマンスはお客さんがしっかりと目に焼き付けてくれます。僕はあくまで裏方の人間なので色々とお手伝いをしなければいけなかったりするんです」

 

元々はこんなに忙しいはずではなかったんですがね。ここに来てちょっと忙しくなってきてるのが…。

 

 

「え~どうにかなんないんすか?」

 

 

「そう言われてもさすがに無理だと思います。事務所の方からこの時間までにこのステージに行ってくださいとかはしっかりと連絡が来ていますし。今はちょうどイベントの真っ最中なので、予定を変えるとかは」

 

すると月ノさんが聞いたことを話し始めた。

 

 

「でも、剣持さんに聞いたところによるとDay1はしっかりと見たらしいじゃないですか」

 

 

「それはそうですね。昨日はそこまで忙しくなかったですし、ちょうどお手伝いで「SYMPHONIA」に行っていたので」

 

 

「それなら私たちのライブも見てくださいよ。Day1のメンバーだけ見てもらえるなんて不公平です!」

 

 

「そ、そんなことはないですよ、リゼさん。僕が見たところで皆様のパフォーマンスが向上するわけでもないですし」

 

どうにかここを収めようと力一さんのことを懇願するように見るが、力一さんはお手上げのポーズをしてしまった。

 

 

「わ、わたしはスタッフさんに見てもらえないと100%のパフォーマンスを発揮できません」

 

 

「いや、それは発揮してください。お客さんは皆さんの練習の成果を見るのを楽しみにしているんですからね」

 

しっかりと来てくださったお客さんには楽しんで欲しい。ライバーさんの一番輝いているところを見てもらって、目に焼き付けてもらえたら僕たちが今まで準備をしてきてよかったと思える。

 

 

「不破さんからも皆さんの説得をお願いしますよ」

 

 

「え~俺もスタッフさんに見て欲しいっすよ」

 

 

「そ、そう言われても…難しいものは難しいんですよ」

 

 

「やっぱりスタッフさんが見てもらえていると思うといつもよりパフォーマンスが絶対に上がる気がするんす」

 

 

「ないですよ。僕にそんな特殊な力はないですから」

 

 

「いや、ありますね。だって俺はスタッフさんに見てもらえると思うだけで、すっげぇ頑張ろうと思えますから」

 

 

「…そ、そうなんですか」

 

そこまで不破さんに気に入られるようなことをした覚えはない。ROF-MAOの収録とかでお会いすることもあるし。他の企画とかでも顔を合わせる機会は多い方のライバーさん。それでも何か特殊なことを不破さんとしたという記憶は遡ってもない。

 

 

「じゃあ、渡会さんとか長尾さんはどうにか説得してくれないですか?」

 

 

「俺は無理です。俺もスタッフさんにはしっかりと見ていて欲しいんです」

 

 

「なんで…渡会さんまで…」

 

 

「今まで俺が『歌ってみた』とかを出す時も絶対にスタッフさんと相談しましたし。歌に関することをする時はいつもスタッフさんといる方が調子いいんで」

 

 

「それは僕のことを買い被りすぎですって」

 

確かに渡会さんからメッセージが来て、色々と相談することは多かった。それもあくまで一個人の意見として。歌に関することなら僕よりも詳しいことなんてたくさんいるし、渡会さんの方がそういうことに慣れているだろう。なので僕に相談する意味ってあるのかなぁと思ったりもした。

 

 

「いいえ、俺はスタッフさんに相談したことは正しかったと今でも思ってます」

 

 

「…そうなんですね。ありがとうございますとだけ伝えておきます」

 

この感じだと渡会さんを説得するのは難しいと判断して次の人に助けを求めよう。

 

 

「長尾さん…説得をお願いできないですか?」

 

 

「ちょっと難しいかもしれないです…」

 

 

「…長尾さんまで…」

 

 

「すいません!ちょっとこのメンバーを説得するのは難しいというか…」

 

でも、長尾さんの言うことも分かる。このメンバーを説得させるのが難しいのは僕も分かっているつもりですし。

 

 

最後の望みこと、ジョー・力一さんへとと近付いていくことにした。

 

「力一さん、この状況を打破するようなことができたりしませんか?」

 

 

「ないですね。スタッフさんにこれを言うのは少し心苦しいですが、今回は諦めて我々の舞台を見た方が良いですよ」

 

 

「…そうですか…」

 

 

「まぁ…それだけ皆から人気があるってことで」

 

人気というか、からかわれている感じがするけど。なんか僕のことを困らせたいのかと思ってしまう。

 

 

「私もスタッフさんには見て欲しいですわ」

 

 

「サロメさんもですか…」

 

 

「はい、私はスタッフさんとそこまで関わって来ませんでしたが、あなたが見てくれている方がいいです!」

 

 

「…そうですか」

 

 

「はい!最高のパフォーマンスをしっかり見せてあげますわ!」

 

サロメさんは自信満々な感じが前面に出ているが、手の動きとかを見ていると明らかに緊張しているのが伝わって来る。こういう舞台に立つ機会はそんなに多いわけでないと思うし、皆で作り上げてきたからこそ失敗できないというプレッシャーは僕が想像できない程だろう。

 

 

「大丈夫です。サロメさん」

 

僕は彼女の緊張を少しでも和らげるためにサロメさんの片手を包み込むように両手で握る。ちょっと嫌かもしれないが、今だけはどうにか耐えて欲しい。

 

 

「僕はサロメさんが頑張っていたのを知ってます」

 

適度の緊張はパフォーマンス向上の役に立つこともある。何も緊張がないとダメになってしまう場合も。でも、過剰に緊張してしまうのは失敗の元になってしまうかもしれない。

 

なので少しでもその緊張を和らげ、適度な緊張の元にステージへと送り出すことが一番いいと僕は思ってる。

 

 

「なので自信を持ってください。僕はサロメさんならできると信じているので。この緊張を跳ね除けて、最高のパフォーマンスを発揮して、お客さんの心を掴むことができると…」

 

 

「…わたくしにできますか…?」

 

 

「できます。僕が断言します。サロメさんなら絶対にできるので、そんなに緊張しなくても大丈夫です」

 

 

「わかりました。私、必ず成功させて皆様に喜んでもらいます!」

 

 

「はい、その意気です」

 

そして僕は両手を離した。今の彼女は適度な緊張が混在している。このままステージに上がってもらうのが一番いい。これ以上、余計ななにかをするべきではない。

 

するとなぜか急に星川さんがすごい勢いで近付いてきた。

 

 

「スタッフさん!星川もすごく緊張しています!!」

 

 

「え…そ、そんな感じには見えませんけど」

 

星川さんを見る感じは適度な緊張という感じでサロメさんの時みたいに、震えているようには見えない。

 

 

「緊張しているんです!!なので星川もスタッフさんに緊張を和らげて欲しいです!!」

 

 

「…別に必要ないと思いますよ」

 

 

「必要なの!!」

 

すごい勢いだけで…必要なさそうなんだけど…と思っていると今度は他の皆さんも距離を詰めて来る。

 

 

「私もスタッフさんに褒めて欲しい!!」

 

 

「わたくしを褒めてくださいよ!褒めてくれないとステージに立てないです!」

 

 

「俺も緊張しているので、お願いしたいっすけど」

 

 

「…俺もお願いしたいです」

 

なぜか「褒めて欲しい」と人だかりが出来たので、仕方なく全員を褒めて送り出すことにした。

 

 




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主人公は誰かと結ばれて欲しいですか?

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