ホロライブのスタッフを辞めて、にじさんじのスタッフになるお話   作:主義

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アルランディスと水無世燐央とスタッフ

 

 

今日はお休みということもあって、町を適当に徘徊している。本当は家で惰眠をむさぼりたいところだけど、前に健屋さんから「しっかりと運動をしてください」と言われてしまった。

 

 

 

確かに今の自分は仕事場に行くぐらいしか足を動かすことをしない。休日にどこかに出かけたりすることもほとんどないと言っても良い。さすがにこのまま年を取っていく過程でマズイという意識はあるので今日は散歩だけでもしようと街に繰り出していた。

 

 

 

 

 

「あれ、社員さんじゃないですか?」

 

自分の名前が呼ばれた気がして振り返るとそこには懐かしい人が立っていた。

 

 

「アルランディスさんじゃないですか」

 

 

「え、本当に社員さんじゃないですか!」

 

 

「本当にお久し振りですね」

 

 

「お久し振りです」

 

アルランディスさんとは前にホロライブで働いていた時によくお話をした。あの頃はまだタレントさんとの距離感を測りかねていたし、あんまり近づかない方がいいと思っていたので、どこか飲みに行ったり、食べたりすることはなかった。

 

それでも僕がホロライブのタレントさんで一番話していた人は誰?と問いかけられたら一番はアルランディスさんと答えるだろう。それぐらいには話していた。

 

 

「本当に社員さんが居なくなってからは…すごかったっすよ」

 

 

「それに関しては謝罪することしかできません。本当にすいません」

 

 

「あ、あやまらないでくださいよ!社員さんも色々と考えた末に出した結論だと分かっているので、咎めたりする気はないので」

 

 

「そう言って頂けると有難いです」

 

 

「ホロスターズのメンバーはある程度の事情を理解していたので割り切れましたけど、フブキさんとかまつりちゃんの方は全然納得していない感じでしたね」

 

 

「それはそうですね。夏色さん本人から色々と聞いたので…」

 

たぶん、夏色さんからすれば今まで一緒に仕事をしていた人が急に居なくなるというのはかなりメンタル面にきたのだろう。そして白上さんの話では家に閉じこもっちゃったこともあったと聞いた。

 

 

僕の所為で夏色さんをそこまで追い込んでしまったのなら…謝らないわけにはいかない。

 

 

「それにしても社員さんはどうしてここら辺に?」

 

 

「ちょっと散歩です。ある知人から「社員さんはそしっかりと運動をしてください」と言われてしまったので」

 

 

「それで今は散歩中ということですね。では今は暇ということでいいですか?」

 

 

「そ、そうですね。今日はお仕事もないですし、どこに行くという目的も全くないですね」

 

 

「それじゃあ…ちょっと俺に付き合ってくれませんか?」

 

ちょっと悩んだものの、折角お会いすることが出来たわけだし、もう少しお話したいと思って承諾した。

 

 

 

 

 

その後、アルランディスさんと僕は場所を移動して近くのカフェんへと入った。どうやらアルランディスさんのお話を聞く限りは誰かと待ち合わせをしているらしい。そしてその待ち合わせの人物は僕もよく知っているし、相手も僕のことをよく知っているらしい。

 

それからしばらく待っていると…確かに僕がよく知っている人物が来た。

 

 

「水無世さん、本当に久し振りですね」

 

 

「え、社員さんじゃないっすか!」

 

 

「はい、水無世さんがお元気そうでよかったです」

 

水無世さんとはホロライブに所属していた頃に色々と相談されたりした。

 

 

 

 

そして水無世さんが席に付いて注文を済ませてからお互いの近況について話すことになった。

 

「社員さんってどこで働いているんすか?」

 

 

「今はにじさんじですね」

 

 

「え、まじっすか!」

 

 

「はい、にじさんじで働かせてもらってます」

 

さすがに競合他社に入ったことに驚かないわけないですよね。

 

 

「これはずっと思っていたんですけど、ホロスターズの皆さんに辞めることを伝えるのが直前ぐらいにはなっちゃたのは本当に申し訳なく思ってます」

 

本当は女性陣には伝えずに男性陣にはしっかりと伝えることにしていた。なのでもっと余裕を持って伝えることをするべきだったんだ。

 

 

「さっきも言いましたけど、俺たちは大丈夫ですよ」

 

 

「僕たちは事情に関しても理解してたしね」

 

ホロスターズの面々には理由などを含めて伝えてある。

 

 

「そう言ってもらえると有難いです」

 

やっぱりホロライブのメンバーよりもホロスターズの面々と話している方が同性ということもあって安心できる。これは今のにじさんじでも同じような感じだけど。

 

 

すると水無世さんが話し始めた。

 

 

「でも、僕は社員さんが辞めちゃうみたいな話を聞いた時は悲しかったよ」

 

 

「…すみません」

 

 

「いや、別に謝る必要は全然ないですよ。それは社員さんが自分で決めたことですし、僕が色々と言ったりするのはさすがにおこがましいですし」

 

 

「いや、でも結果的に皆さんの元を離れることになってしまったのは事実なので」

 

そう答えると今度はアルランディスさんが僕たちのやり取りを聞いてからは話始めた。

 

 

「本当に最初に会った時から思っていたけど、誰に対しても丁寧ですよね」

 

 

「タレントさんに対して丁寧に接するのは当たり前ですし、私生活などでもこの喋り方に慣れてしまったので」

 

 

「まぁ…それも社員さんの良いところだと思いますけど、もうちょっとフランクに話してもらっても全然大丈夫ですよ」

 

 

「…では一度だけやってみましょうか」

 

 

「え、いいんですか?」

 

 

「フランクな感じで話せばいいんですよね」

 

 

「そうっすね」

 

 

「呼び捨てもこの時だけは許してくださいね、お二人共」

 

二人はそれに対して肯定的な返事を返してくれたので僕は少しだけフランクに喋ることにした。一応、今は僕が勤めている会社のタレントではないですし。やっぱり勤めている会社のタレントさんの時は難しい。

 

 

「こんな感じでどう?アルランディス、燐央」

 

 

「うわぁ…やっぱり声いいな~」

 

 

「それ僕も思った。社員さんって普通に声いいよね」

 

 

「そうかな?自分ではあんまり分からないんだけど」

 

 

「まじでいいですよ。裏方じゃなくて表で仕事をしても全然人気が出るような声だと思うけど」

 

 

「そうなのか。僕は全然自分の声とか好きじゃないけどな」

 

 

「そういうもんです。俺も自分の声を好きとかはあんまり思いませんけど、ファンの人とかが『カッコいい』とか言ってもらえると嬉しいですし、自信が付きましたし」

 

そんな話をしているとアルランディスさんが提案をしてきた。

 

 

「ちょっと俺からお願いしたことがあるんですけど」

 

 

「なにかな?」

 

 

「社員さん、俺たちに告白してみてくれないですか?」

 

 

「え、どういうこと?」

 

本当にどういうこと……。

 

 

「なんか言ってみて欲しいんです」

 

アルランディスはなぜかすごく熱意をもって訴えかけて来るので、僕も断りにくくなって承諾してしまった。まさか自分が…タレントさんに対して告白するような日が来るとは思ってもいなかった。

 

 

あんまり間を空けると恥ずかしさがどんどん増してくるのですぐにやることにした。

 

 

「僕はアルランディスのことを愛してるよ」

 

 

「お、お…しんぞうが…」

 

 

「僕は燐央のことが好きだよ」

 

 

「す、すげぇ……」

 

 

それからも僕は二人に要求された言葉を言い続けたのだった。

 

 

 

 

―――――――――

にじさんじでの日常①

 

 

 

 

「フミさん、おはようございます」

 

 

「スタッフさんもおはようございます」

 

 

「今日はよろしくお願いしますね」

 

 

「こっちこそよろしくお願いします。あのスタッフさんとお会いできるなんて…」

 

 

「あの…?」

 

 

「星川が会うたびに「スタッフさんは絶対に星川に惚れてる!」って言ってるんすけど」

 

 

「え、そんなことを言っているんですか?」

 

 

「まぁ…星川の作り話だっていうのは分かってるんですが、念のため本人にしっかりと確かめておきたかったんだけど、今のスタッフさんの反応で全て分かったのでいいです」

 

 

 

 

「あと、ちょっとお願いしてもいいですか?」

 

 

「フミさんが僕にですか?」

 

 

「はい、会ったらやってみたいことがあったんです」

 

 

「は、はい。僕に出来る範囲のことであれば」

 

 

「じゃあ、ちょっと『大好きだよ』と言ってみてくれませんか?」

 

さすがにこの頼みにはスタッフさんもかなり困惑しているようだった。

 

 

「え、なんでですか?」

 

 

「ちょっとやってみて欲しいんです!お願いします」

 

それからもフミが必死にお願いしたこともあってスタッフさんは『大好きだよ』という言葉をなるべく気持ちを込めていった。

 

 

 

 

スタッフさんは知る由もなかった。フミがその声をボイスレコーダーで録音して星川サラに渡していたことを。

 

 

 

 

―――――――――――

ホロライブにいた頃のお話②

 

 

 

 

「スバルの作ったお弁当を食べてくれる!?」

 

 

「え、作ってきてくれたんですか?」

 

 

「うん!社員さんのためにスバル早起きして作ったんだぁ~」

 

大空さんの笑顔で手を見てしまったらここで断るという選択肢はなかった。

 

 

「いただきますよ。大空さんが僕のために作ってくれたお弁当ですから」

 

ちょうどこれから近くのコンビニでも買いにいこうと思っていたところなので、有難く頂くことにしよう。

 

 

 

お弁当を開けて、驚いたのは盛り付けや色合いなど至るところにこだわりを感じるものになっていたこと。大空さんの料理の腕などはあんまり知りませんでしたが、この感じを見てしまうとかなり料理を頑張っているのかもしれない。

 

 

でも、大空さんの傷とかを見ると慣れている感じではなく、必死に練習しているという感じかも。

 

 

 

「大空さん、ずっとそんな風に見つめられているとさすがに緊張するんですが」

 

 

「スバルは見てたいの!」

 

 

「そ、そうですか」

 

さすがに作ってくださった本人にこれ以上なにも言うことは出来ず、食べることにした。

 

 

 

まずは定番の卵焼きを口に運び、咀嚼した。咀嚼した瞬間に卵焼きの甘さが口の中で広がっていくのを感じた。

 

「美味しいです!」

 

 

「え、ほんと!?」

 

 

「本当に美味しいですよ!」

 

 

「そ、そっかぁ…。よかった」

 

誰かが作ってくれたご飯を食べるのは本当に久し振りの経験。そしてこんなに…美味しいのは初めて。

 

 

「大空さんが作ってくれたお弁当は本当に美味しいです!」

 

 

「な、なんども言わなくて大丈夫だって……///」

 

 

社員がホロライブに居た頃の日常。

 

 




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