ホロライブのスタッフを辞めて、にじさんじのスタッフになるお話   作:主義

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天敵

 

「すたっふさ~ん」

 

 

「…星川さん…」

 

 

「も~『サラ』って呼んでくださいって言ったじゃないですかぁ~」

 

 

「一応、スタッフと演者の関係なので。そこら辺はしっかりと線引きをしておかないといけないと思いますので」

 

僕にとって…『星川サラ』さんはライバーさんの中でもとても困る。どうやら、僕に興味を持ってくれたらしくて会うたびに話し掛けてくれる。そのことについては有難いのですが、明らかに距離の詰め方が早いし、物理的にも近い。これは前の職場の…夏色まつりさんの時と同じ感じがする。夏色さんも最初から距離の詰め方が異常だったんですよね。

 

 

「ちょっと離れてくれませんか?」

 

 

「え~ほしかわといっしょがいやなの~」

 

 

「い、いや…嫌というわけではなくて…ここは仕事場なので」

 

 

「じゃあ、仕事場じゃなかったら抱き着いてもいいってこと?」

 

 

「そういうわけではなくて、どこでも抱き着いては来ないで欲しいんですが」

 

 

「やっぱり、星川といっしょがいやってことなの…?」

 

 

「そ、そういうわけじゃなくて…」

 

星川さんは本当にどうすればいいんだろう。この人の扱いはどうしても慣れなくて、いつも押されっぱなしでどうにかこの状況から脱出することを考えている。

 

 

「本当にスタッフさんて正直っすよね」

 

 

「…そ、そうですかね…」

 

 

「星川がからかったら絶対に良い反応してくれますし。まじでこんなに初心な人ってそうはいないでね」

 

僕ってそんなに初心じゃないと個人的には思っていたりするんですけどね。でも、感情とかが顔には出やすい方なんですよね。トランプともいつも絶対に負けちゃいますしね。

 

 

「なるべくからかうことを止めてくれるといいんですが…」

 

 

「それは無理な相談ですね。星川はこの命が尽きるまでスタッフさんのことをからかうって心に決めてるんで」

 

 

「本当に勘弁してくださいよ」

 

星川さんは楽しんでいるんだろうけど、こちらとしては寿命がちょっと削れている感覚を覚える。

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてまた次の日に事務所を歩いていると急に後ろから抱き着かれた。

 

「スタッフさん、つかまえた」

 

 

「星川さん…」

 

 

「星川は絶対に放さないよ」

 

僕の言おうとしていることを先読みしているかのように星川さんは話した。

 

 

「まだ何も言っていないですよ」

 

 

「だってスタッフさんのことじゃあ、星川に解放して欲しいって言うんでしょ」

 

 

「そうですね。まだ次の仕事も残っているのですぐに解放して欲しいところですね」

 

だけど、今までの経験からしても星川さんがすぐに解放してくれるわけないですし。ちょっとは拘束されることを考えないといけないかもしれないですね。

 

 

「やだよ。星川が満足するまで絶対に放さないもん」

 

そうですよね。星川さんが簡単に解放してくれないですよね。

 

 

でも、これから次の仕事があるし、多少強引な方法であったとしても抜け出さないと。なのでちょっと強引に行こうかなと思った矢先に誰かの声が聞こえてきた。

 

「星川さん、そろそろ解放してあげてくださいよ」

 

声のした方に視線を向けるとそこには…甲斐田さんがいた。

 

 

「なんだよ~甲斐田かよ。今、星川はスタッフさんとイチャイチャしているんだから邪魔しないでよね」

 

 

「いや、どう見ても一方的でしょ。スタッフさん、明らかに困ったような表情してますし」

 

 

「全然してないし~~ラブラブだし!」

 

 

「…さすがにそれは無理がありますって」

 

甲斐田さんが来てくれたのはチャンスかもしれない。この時を逃す手はないですね。

 

 

「一回…星川さん、離れてくれませんか?」

 

 

「え~~やだやだやだやだやだ~」

 

 

「一度だけでいいので。そうじゃないと…星川さんのことを嫌いになってしまうかもしれません」

 

 

「それはやだ!星川、スタッフさんに好かれたいもん!」

 

すると星川さんはすぐに離れてくれてやっと自由になった。

 

 

「甲斐田さんはどうしたんですか?」

 

 

「あ、僕はちょうど『ろふまお』の収録がありまして、今はその休憩中で」

 

 

「そういうことですか、納得です」

 

甲斐田さんは加賀美ハヤト・剣持刀也・不破湊・甲斐田晴の四人で構成されている、『ろふまお』のメンバーの一人。人気も高くて、アルバムなども発売していたり、ライブをしたりと幅広く活動している。

 

 

「スタッフさんも色々と苦労しますね」

 

 

「…?」

 

 

「星川さんもそうですけど、他のタレントさんからも色々とアプローチを受けているみたいですし」

 

 

「あ、そうですね。そっちはかなり気を遣いますからね」

 

まだ事務所の中では大丈夫だと思いますが、外部でのお仕事とかだと本当に神経を張り詰めないといけない。変なところを切り抜かれてタレントさんのイメージに関わる、根幹の部分を揺るがすようなことがあってはならないですしね。

 

 

「ねぇ~~甲斐田とだけ話さないでよ~~星川にも構ってよ~」

 

ちょっと星川さんのことをおざなりにし過ぎてしまったのか、また星川さんが抱き着いてこようとしてくる。だけど、さすがにこれ以上抱き着かれるわけにもいかないので必死に星川さんから逃げる。

 

 

「すいませんが、今日は星川さんには構えないんです」

 

 

「やだ!スタッフさんが構ってくれないと星川はここで泣くよ」

 

 

「それは止めて欲しいですけど今日は本当に構えないんですよ」

 

この後の仕事もありますしね。甲斐田さんはそんな僕と星川さんのやり取りを…どうすればいいのか分からず眺めている感じだ。たぶん、これ以上このことに首を突っ込むと星川さんから色々とグチグチ言われるのは確実ですし、でも、僕のことを見捨てるのも良心が痛むという感じですかね。

 

 

 

それからも星川さんは諦めてくれなくて色々と苦労をした。織姫星のお二人が星川さんのことを引き取ってくれたのでやっと僕は解放された。

 

 

 

 

 

――――――――――――――

 

 

今のホロライブ事務所ではなんで月ノ美兎の配信内に社員さんの声が入っているのかという話題で持ち切りだ。だとしてもそれはタレントの中でだけど。

 

これはあるメッセージのやり取り。

 

 

 

「るなたんもなぞなのら」

 

 

「やっぱりそうだよね。どう考えても似ている人って感じじゃないし。何よりもボクたちが社員さんの声を聞き間違えれるなんてことあり得ない」

 

 

「じゃあ、にじさんじに社員さんはいるってことなのら」

 

 

「そうなのかな…」

 

 

「るなたんはあんまりそうはおもえないのら」

 

この二人が彼をにじさんじにいると断言できないのは……彼が自分たちを捨てたという現実を受け入れたくないという思考が大きい。もし、彼がにじさんじにいることを認めてしまえば自分たちから離れてしまったことを受け入れなくてはならない。

 

 

「…し、しゃいんさんがボクたちから離れるわけないもん」

 

 

「そうなのら」

 

 

「そうだよね。社員さんがボクたちを裏切るわけないよね?」

 

 

「そうなのら。ぜったいにそんなことないのら」

 

 

二人はそんなメッセージのやり取りを行っていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 




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