『大好きな人』
いつかはこんな日が来ると分かっていた。覚悟はしていたはず…。それなのにいざその時が来たら…歪んでキミの顔すらも見えない。
「ごめんね…」
「……っ…」
「そんなに泣かないでください…」
いくらそんなこと言われても涙が止まる訳ないじゃん。白上は好きで好きでたまらない。キミが白上を包み込んでくれる時の匂いまで鮮明に覚えているもん。
「…むぅりだ…よぉ…」
「大丈夫です。これからも白上さんには色々な幸せがあると思います。僕があげられなかったものを与えれくれる人も現れるかもしれないですしね」
そんなことをキミは笑顔で話すんだ。キミの代わりなんて世界中のどこを探してもいる訳ないよ。白上のことを第一に考えてくれて、白上を優しく包み込んでくれて、本当に優しい人。
「…ぜ、ぜったいにいないよ!!きみのかわりなんて!!」
白上が惚れて、恋して、愛したのはキミだけなの。
「…そんな風に言ってくれて嬉しいですね」
「…し、しらかみがすきなのは…きみだけ…」
白上の寿命が尽きるまで生きたとしても絶対にキミほど愛せるほどに出会えることはないと断言できちゃう。こんなに白上のことを愛してくれる人もいない。
「有難いですね…でも、僕のことは少ししたら忘れてくださいね。あ、でも…たまには思い出してくれると嬉しいですね。言っていることが矛盾していますよね…。でも、やっぱり僕が生きていたことを誰かに覚えてもらえているだけでも…」
キミは本当に最後まで笑顔だ。白上が好きになった時と同じ笑顔。その太陽のように明るい笑顔に白上は惚れたんだよね。
「…わすれるわけないじゃん…」
キミは白上の心の中に根付いちゃってるんだよ。キミがいない生活なんて白上には考えられないほど。
「しらかみはすきなの!!いまでも!」
白上は必死に言葉を紡いでキミに想いを伝える。想っているだけじゃキミには伝わらないのを知ってる。感謝や気持ちは言葉に表さないと。
「きみのことがだいすきです!!こ、これからもずっときみのことがすきです!」
「…白上さんの気持ちは嬉しいです。白上さんにとってそれだけの人になれたのは嬉しいことですし」
いつもの笑顔で白上に話してくれている。それでも少しずつキミが弱っているのが分かってしまう。今まで一緒に暮らしてきたからこそ…分からなくてもいいことまで分かっちゃう。
少し不安になって白上は両手でキミの片手を取って握りしめる。少しでもキミが安心できるように。
「だ、だいじょうぶ!きみにはしらかみがついていますから!どんなときもいっしょですからね…っ…」
今にも白上の方が泣き出してしまいそうだけど…必死に我慢する。ここで白上が不安な顔をこれ以上、見せたらキミが不安な気持ちになっちゃうもんね。
「…本当にありがとね、フブキさん」
そしてそれから程なくしてキミは息を引き取った。キミは最後まで白上のことを心配していたけど…最後は笑顔だった。安らかで…キミらしい。笑顔の似合う人だったから。
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