別れ   作:主義

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『耐えられない痛み』


姫森ルーナ編

「ねぇ~~る~なのことかまってよ~」

 

 

「はい、はい…分かっていますよ。ルーナ姫は本当に甘えん坊ですね」

 

そして青年が両手を広げるとルーナ姫は抱き着いた。

 

 

「ルーナたんは甘えん坊じゃないもん」

 

 

「そうですか?それにしてはすぐに抱き着いてきましたよ」

 

 

「ちがうもん。ただ…ルーナイトが寂しそうだから抱き着いてあげただけなのらよ」

 

 

「そうですか。それはありがとうございます」

 

 

 

 

 

ルーナたんにとってルーナイトは特別な存在。誰にも代えがきかなくて…生まれた時からずっとルーナたんのことを見守ってくれている人。いつもルーナたんの側に居て、困っていたら絶対に助けてくれるし、寂しかったらいつでも抱きしめてくれる。

 

 

 

 

―――――――――

 

 

ルーナはたまに…城下に降りて探検をする。ずっとお城の中なんてつまらないのら。ルーナイトもこの事は知っているけど、お父さんには言わないでくれている。

 

 

「今日はなにを買おうか…迷うのらね」

 

城下にはたくさんのお菓子のお店がある。そしてその中にはルーナたんが食べたことがない、お菓子もあったりする。

 

 

「ど、どうしよう…」

 

あっちのお店も美味しそうな匂いがするのらね…で、でも、あっちもいいのら。考えだすと全然決まらないのら。あんまり時間を掛けると…お父さんにバレちゃうかも。

 

 

「じゃあ…あっちのお菓子にするのら!」

 

そう思って…お店に近づこうとした瞬間に誰かにつんざくような叫び声が聞こえてきた。そっちの方に視線を向けるとそこには…大柄の男がナイフを持ってこっちに走ってきていた。

 

逃げなきゃいけないのに…ルーナの足は全く動かない。このままあのナイフに…刺されちゃうのかな。

 

 

 

 

 

「あぶない!」

 

そんな言葉が聞こえ来たのと同時に誰かに押された。

 

 

 

 

「お、おれは…べつに……しらね、しらねぇ!!!!」

 

叫びながらナイフを持っていた男が去っていた…。その男が持っていたナイフには血らしきもので染まっていて…地面にはルーナイトが横たわっていた。

 

すぐにルーナはルーナイトに駆け寄る。

 

 

「…る、るーないと…」

 

 

「よ、よかったぁ…姫様は無事ですね…。こ、これで姫様に傷一つでもあったら…最悪ですし」

 

ルーナイトのお腹には…ナイフが刺さっている。そこから血が……。

 

 

「そんな顔しないでくださいよ。僕は大丈夫ですから…姫様には笑顔が似合うんですからね。そんな暗い顔は似合いませんよ」

 

 

「しゃべらないで…」

 

 

「…ち、ちゃんとしっかりとご飯を食べてくださいね…。あんまり好き嫌いとかせずに…食べて立派なレディーになってください…」

 

 

「なに…いってるのら…」

 

 

「あ、あと…ゲームで負けそうになるとゲームを中断する癖は直してください。立派なレディーになるためにも必要ですよ」

 

 

「…な、なに言ってるのら!!!なに死にそうなこと言ってるのら!!!ルーナイトは絶対に死なない!だ、だってずっとルーナ…の……と、となりに…いるって…」

 

 

「…そ、そうですね……じゃあ…ごめんなさいですね。ルーナ姫が成長していくところを近くで見れないのはすこし…ざんねんですね…っ……で、でも、だいじょうぶですね。るーな…ひめ…はつよいひとなので…」

 

 

「る、るーないと…」

 

 

「…………」

 

いくら呼びかけてもルーナイトは返事を返してくれない。そこでルーナの意識は完全に途絶えた。

 

 

 

 

 

 

ルーナ姫を襲おうとした男は捕まった。そしてルーナイトの命がけで姫様を守る姿は多くの人の心を動かした。今では銅像が建てられるほどだ。

 

だけど、何よりも…ルーナイトの死は…ルーナ姫には耐えられないものだった。

 

 

それからお菓子の国のお姫様ことルーナ姫は誰にも心の扉を開けることはなくなった。引き籠るようになって誰とも話さずに…一日を過ごす。だが、誰もがルーナ姫がこうなってしまった理由を知っているからこそ変にズカズカと入って行けない。

 

 

ルーナ姫にとってルーナイトの死は立ちなおされないほどにショックが大きかったのだろう。絶対的な信頼していて……恋心を抱いていた人がいなくなったことはルーナ姫の心を閉ざすのには十分だった。そして何よりも自分が城下に降りた所為でルーナイトが死んでしまった。

 

これがルーナ姫の心を完全に砕いてしまった。




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