『死後』
今、目の前に横たわっているキミに何を言ったとしても聞こえないのはまつりも分かってる。
「ま、まつりのために生きてよ!!」
キミのためじゃなくてまつりのために……なんて本当に自己中な考え方。でも、まつりの本心。
「まつりにとってキミは太陽なの。キミがいるからまつりは輝ける。キミなしじゃまつりは輝けないの」
自分のためじゃなくてキミのためだからまつりは頑張れる。どんな時でも一番近くでキミが応援してくれているから
「……だ、だから…いきて」
どんな奇跡でも良いから彼を救って欲しい。それだけがまつりの願い。これからはもう我儘言わないし、どんなことでも頑張るから…。今は…今だけは…キミを助けてください。これからもし、どんな辛いことがあってもキミと二人きりだとしたらどんなことでも乗り越えていける気がするの。
だから……元気な顔を見せて…
――――――――――
キミの苦しそうな顔も悲しそうな顔も見たくないんだ…まつりは。まつりはキミの笑顔が好きなんだよ。キミが笑いかけてくれているだけでもまつりは幸せな気持ちになれるの。
誰かの笑顔でこんなに自分が救われるような経験をしたのは初めてで。それからはキミのために頑張って。
「そう言えば…最近ね、フブキがさぁ――――――――――
まつりは病室に来ては…最近あったことを話すようになった。少しでも話さないと現実を受け止めなくちゃいけなくなってキツイ。だから話すことで少しでも自分の気持ちを誤魔化すように。
でも…まつりが願っていることとは全然反対の方に…いっちゃう。容体はどんどん悪くなっていって生死を彷徨っているとお医者さんは言っていた。
神様に願えば…どうにかなると信じてお百度参りをすることにした。いつも朝が苦手なまつりなのに彼が入院するようになってからは五時に目が覚めてしまうようになった。全然、寝れなくて…毎日目覚めが悪い。
フブキからは「体調悪い?」と聞かれることも多くて…他のホロメンからも心配されるようになった。それでもお参りにだけが欠かさずに言ったし、彼にも欠かさず会いに行った。いつ倒れてもおかしくない状況だけど、それでも彼が頑張っているのに倒れる訳にはいかない。
そしてある夜に…電話が掛かってきた。寝付けにいたこともあって電話に出ることにした。その相手は看護婦さんで「すぐに来てください」と告げられた。まつりは…パジャマのまま急いで家を出た。
病院について…急いで彼の病室まで走る。そして病室には人だかりが出来ていた。そしてその中で一番偉い、お医者さんがまつりに気付いた。
「…すいません。手は尽くしたのですが」
その言葉を聞いた瞬間…意識が飛びそうになったがそれを我慢して…まつりはキミの姿をみた。とっても安らかで…まるで何も悔いがないような顔。
「な、なぁんでぇ……き、きみが…」
それからは色々と大変だった。お葬式とかもあってその間は苦しさから逃げることが出来た。でも、全てが終わるとやっぱりキミのことを考えちゃう。
その辛さは…まつりに耐えられなかった。
「よし…これでいい」
そしてその日に…あるマンションの一部屋で一人の女子高生が首をつって亡くなったという報道がされたのだった。
目を覚ますとそこは…どこか果てしなく広がるような白い空間だった。だけど、そこにはまつりが一番合いたかった人がいた。
「まつりさん、目を覚ましたんですね」
「…うん、やっと会えた」
「そうですね」
まつりは感情を抑えられなくてキミに抱き着いちゃった。それでもキミはまつりを振りほどくこともなくてされるがままされている。
「あ、あいたかったよ…っ…」
まつりが…望んだ、キミの姿がある。
「ちょっと早すぎますよ。まつりさん」
「ご、ごめん…」
「僕としてはまだこんなところに来て欲しくなかったのですが…」
「…本当にごめんなさい…」
「まあ、もう今更ですけどね…。だけど、僕もまつりさんに会いたかったです」
「まつりの方がキミに会いたかったけどね!」
「いや、僕の方が!」
それからもお互いに自分の方が相手を想っていることを伝えあう。
「あ、そう言えば…言わなくちゃいけないことがあったんだ」
「なんですか?」
「言っていい?」
「は、はい」
「…ま、まつりはだいすきなの!」
まつりは…恥ずかしがってキミに最後の一歩を踏み出せなかった。言おうと思ってたのに言えなかった。
「ごめんね…いえなくて……おそくなっちゃって…」
「いや、大丈夫ですよ」
「…ま、まつりのだんなさんになってください?」
「うん、喜んで僕でよければ」
「やったぁ~~じゃあ…これからはまつりとキミは一緒だね」
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