『後悔』
いつまで経っても…シオンはキミのことを…
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魔術師は何でもできる。何かを生み出そうと思えば、生み出せて、できないことなんてないと思っていた。
シオンは珍しく…魔界学校に行って図書館に入り浸る。
「だ、だいじょうぶ…。ぜったいにあるし」
すごい速度で本に目を通して目的のものじゃないと投げ捨てる。これをずっと繰り返している。他の生徒たちも司書の先生でさえも今の紫咲シオンには話し掛けられない。
「どこ…どこ…どこ…どっかに!」
今の紫咲シオンはいつものクソガキのような感じではなくて必死な顔をして何かを探している。それは周りの人が委縮してしまうほどに。
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シオンには好きな人がいる。どんな時でもシオンのことを支えてくれて、とっても優しくて、世界で一番シオンのことを大好きな人で、シオンが全世界の人の中で一番好きだって断言できる人。
どんな時でもキミと居ればとっても楽しくて時間が過ぎるのがとても速く感じちゃうぐらいに。こんな人と出会ったのは初めての経験で…最初はちょっと戸惑っちゃったけど、慣れればそれが当たり前になる。いつかは恋人になったり…できたらいいなぁなんて考えていた。
だけど、そんな時に問題が起きた。それは彼が謎の病に襲われた。医者に見せても…この病気に関しては『分からない』という一点張り。シオンとしては「医者だろ!」と言ってやりたいけど、彼が一番辛いはずなのにシオンが怒りをあらわにすることはできなかった。医者に出来ないならシオンが…特定する。そしてたくさんの本があって尚且つ、シオンが知っている場所は魔界学校にある図書館ぐらいしか思いつかなかった。
いくら探しても…彼の病状通りの病はない。何でも泣きそうになったけど、それでも探し続けた。彼のために……。シオンがここまで誰かの為に必死になるのは生まれて初めて…。
「シオンさん」
「…大丈夫。シオンは天才だから、絶対にキミを救ってみせる」
キミの前ではあんまり弱い所を見せたくない。それにそういうところは…キミのいないところですればいい。キミの目覚めている間ぐらいはいつものシオンを…。
「…あ、ありがとう…」
「あんまり話さないで。顔に響いちゃいけないし」
彼が目覚めるのは…2日に1度ぐらいの頻度。もちろん、何もなかった時は普通の人と同じように夜寝て、朝起きてという生活を送っていた。それなのに病の侵されてからは…こうなってしまった。
「そ、そういえばね…きょう、あくあちゃんがね――――――――」
なるべく彼を楽しませるような話をすることにした。もちろん、シオンはずっと彼の病の対処法を探すために走り待っているから誰かと遊んだりしている暇はないし、会っている暇はない。彼にしているお話は昔のお話や作り話。それでも彼は笑ってくれる。
「シオンはね…キミのことが好きだよ」
「…ぼ、ぼくも…だよ」
「そっかぁ……じゃあ、病気が治ったら結婚をしようね!そしてさ、誰の目にも触れないような田舎で二人で暮らそう。もう誰の目も気にしなくて生きていける場所で」
「…うん」
そして彼はまた眠りに落ちた。本当に眠る姿が安らか過ぎて…死んでしまったのではないかといつも不安になって口元に耳を近づけて息をしているのかを確かめてしまう。
「じゃあ…行ってくるね」
シオンはまた…家を出る。一刻も早く、彼の病を解明しないと全てが手遅れになってしまうかもしれない。そんなことになったらシオンはもう…生きたくないと思っちゃう。シオンの生きる目的はキミのため。シオンがいるだけでキミは笑顔になってくれる。その笑顔を見たくてシオンは…今まで生きてきたんだから。
そしてシオンが彼の病の正体を見破った時には…全てが終わっていた。シオンが喜んで家に帰った時には…息を引き取っていた。シオンは病を見破る事だけに夢中になり過ぎて…最後に彼の近くにいてあげられなかった。絶対に心細かったはずなのに……その時に。
「ご、ごめん……っ…一人にしちゃって…」
彼のことを大好きならずっと…近くに居なくちゃいけなかったんだ。
「…しおんは…だめなかのじょ……」
彼が死んじゃったんならシオンに生きる目的はない。彼のいないこの世界に何の未練もなければ生きたくもない。どうせ…苦しいだけ。これからずっと彼のことを考えて生きるなんて生き地獄だ。もう彼と会うことは絶対に出来ないのに。
「本当にごめんね。キミを幸せにしてあげられなくて」
それから程なくして…骨壺を抱きながら死んでいる女性の死体が見つかったのだった。
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