やっぱり…あんたのことがすきだ。
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キミはいつも…あたしのことを見てくれなかった。だから、少しでもキミに見て欲しくてあたしは頑張った。認めて欲しかった。
あたしはキミのことが大好きだけど…キミの目にあたしは映っていない。それはすぐに気付いた。あんたが見据えているのはもっと先の事で。あたしのことなんて眼中にすらないように。
それからはキミにあたしを見て欲しくて頑張った。キミが可愛い女の子が好きと知ったから、少しでも可愛く思われたくて慣れないことも色々とやった。少し前までは男勝りのような性格だったからそれも変えて…。
友人と一緒にダメ元でアイドルオーディションに応募したら…受かってそれからはアイドルとしての活動が始まった。
もし、あたしがアイドルとして有名になったら少しぐらいキミの視線を独占できるかもしれないと思って、それだけを考えてきた。
そしてやっと…それなりに有名なアイドルになったのに。
ある日、起きると友達からキミが病院に運ばれたと聞いた。どうやら少し前から余命宣告を受けていたようでもう体がないということだった。
あたしはそれを聞いてすぐに入院している病院に行くことにした。そして受付で何号室にいつのかを聞いて、その部屋の前で深呼吸をしてから開けた。
するとそこには体を起き上がらして本を読んでいる姿があった。それは昔を思い出させるようだった。
「久しぶり」
「久しぶりだね。高校を卒業してから会っていなかったからもう長いね」
「うん」
「それにしても、ぼたんさんは綺麗ですね。昔のぼたんさんも良かったですけど、今のぼたんさんも可愛いですよ」
「ありがとう」
こんな状況じゃなければもっと嬉しかったと思う。初めてあんたから『綺麗』とか『可愛い』って言ってもらえたんだから。
「これからあたしはあんたを困らせることを言うけど、いい?」
「いいですよ」
「あたしはキミのことが好き」
「…そっかぁ…」
「…ごめん」
「いや、ぼたんさんが謝らないでください。ぼたんさんが俺なんかのことをそんな風に言ってくれるのは嬉しいよ」
「…なんであんたがそんな風になんの。あたしが何のために今まで頑張って来たか分からないじゃん。あたしは認めて欲しくて、こっちを一瞬でも見て欲しくて今まで頑張ってきた。どんな辛いことがあったとしてもそれがあるから頑張って来れた」
あたしが勝手にやってきたで、キミは何も悪くない。だけど、今までやってきたことが無駄だと言われた気がして口から出てしまっている。
「ごめんなさい」
「謝んないでよ。あんたが悪いわけじゃないんだからさ」
「でも…俺の所為で」
「あんたの所為じゃない。これはあたしがあたしのためにやったことで、あんたが負い目を感じたりする必要はない」
努力が必ず報われる訳じゃないのは分かっていたことだし。あたしがアイドルになったからと言って、キミが見てくれる保障はない。でもその可能性は決してゼロじゃなかったし、もしかしたらの希望があった。
だけど、そんな希望は砕け散った。
「頑張る。ぼたんさんのアイドル姿を見るまでは生きてるから」
「……」
「だから、僕にアイドルのぼたんさんを見せてください」
一番辛いはずのキミにそんな笑顔で言われたら、あたしは何も言えない。
「…うん。絶対に見てよ」
「はい、大丈夫ですよ」
それからは前より必死に頑張った。そしてやっとあたしは…デビューした。だけど、キミはどんどん病が体を蝕んで行って話すことも難しくなっていった。それでもお見舞いにいって近況を報告したりした。
テレビでライブをすることになって、病室でも見れるということだった。やっとあたしは見せられる。
その日はいつもより気合が入っていた。動き一つ取っても今までどの時よりもキレがあったとあたしは思う。
だけど…生放送が終わって携帯を確認してすぐに私は病院に向かった。
キミは死んじゃった。
もうほぼ昏睡状態だった。
それでもライブを付けてくれたようで…病室にいた人が言うにはちょっとだけ口角が上がったたしい。
キミに少しでも届いていたなら……あたしがやってきたことにも意味があったのかも。
それから、あたしはアイドルとして活動をした。あたしの名前が天国にまで届くように。
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