別れ   作:主義

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『最後の記憶』


雪花ラミィ編

ラミィはキミのために生きると誓った。誰よりもラミィのことを愛してくる人だからラミィも世界で一番キミのことを愛したい。ラミィは自分で言うのもなんだけど…ちょっと重い時もある。キミのことが愛しているからこそ少し縛っちゃうところもあるのは自覚してる。キミには負担を掛けちゃってると思う。

 

 

でもそれぐらいラミィはキミのことを愛している。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

今日もラミィはキミのアパートに来ていた。でもいつもと違うのはキミがベッドにいて、少し呼吸が荒いこと。そう、キミは風邪を引いてしまったのだ。

 

キミは移すとマズいから来なくていいと言っていたけど、ラミィがそれを知って行かないわけない。それにラミィとしてはキミの風邪が治るんであれば移して欲しい。キミが苦しんでいるところは見たくないし。

 

 

「なにかラミィにして欲しいことある?」

 

 

「ううん。大丈夫ですよ。これぐらいの風邪なら眠っていれば治ると思いますし」

 

なるべくラミィに心配掛けないようにいつものように話してくれている。

 

でも、ラミィには分かる。かなり無理をしているということを。

 

 

「ラミィはキミの彼女だよ。キミが苦しんでいたらなにか手助けしたいだけ。だから頼ってよ。ラミィはキミのためならどんなことでもやってあげられるよ」

 

それこそラミィの全てを捧げる覚悟も出来てる。

 

 

「じゃあ…おかゆが食べたいかな」

 

 

「おかゆ!?」

 

 

「うん…」

 

 

「…おかゆのことが好きなの?」

 

 

「いや、そういうわけじゃないけど今食べれそうなのはおかゆだけかなって」

 

そこでやっとキミが言っているのは『おかゆ』じゃなくて食べ物の『おかゆ』の方だと分かった。

 

 

「…あ、なんだ…おかゆかぁ…」

 

 

「は、はい。おかゆです」

 

 

「分かった。ラミィがキミのために愛情たっぷりのおかゆを作るよ!」

 

 

そしておかゆを作ろうと思った矢先にラミィはあることが頭をよぎった。これをそろそろ聞かないと。

 

 

「そろそろいいんじゃないかな…?」

 

 

「でも…何かあってからでは遅いですし」

 

 

「そこはラミィが気を付ければどうにかなるよ」

 

 

「…ラミィさんの邪魔だけはしたくないんですよ」

 

 

「キミがラミィのことを考えてくれているのは分かってる。でも、ラミィのことを考えるならやっぱり近くに居て欲しい」

 

愛している人が近くに居るか、それとも遠いのかはモチベーションにも差が出る。今はお互いに部屋を借りて別のマンションに住んでいる。これはキミの方からの提案だった。ラミィが配信者として活動していることもあって、誰かと一緒に住んでいると何かしら問題が起こるかもしれないと…。

 

 

もちろんキミの心配も分かるし、ラミィのことを想って言ってくれていたのを知ってる。でもやっぱり一緒に暮らしたかった。

 

 

 

「ほんとに大丈夫ですか?」

 

 

「大丈夫。それに何かあってもキミのことはラミィが絶対に守るからさ」

 

 

「…で、でも…」

 

キミはまだ心配している様子。このままだと埒が明かないと思って、ラミィはキミのことを強く抱きしめる。

 

 

「大丈夫。もうちょっとラミィのことを信頼してよ。ラミィはどんなことになってもキミと一緒だから」

 

ラミィの側にはキミが居てくれればラミィは生きていける。

 

 

「……うん、わかった」

 

それからおかゆを作って、必要なものを全て用意してから家を出ることにした。

 

 

「気を付けてくださいね」

 

 

「それはラミィのセリフだよ。キミの方こそ調子が悪いんだからしっかりと休んで」

 

 

 

そしてラミィは家を出た。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――

 

 

キミの調子も悪いし、今日はなるべく早く帰りたいと思っていたらその想いが通じたのか、お仕事は早く終わった。

 

今日は調子悪いそうだし、キミが食べられるものを聞こう。

 

 

 

そう思って連絡をしても…出ない。

いつもだったら二回も電話をすれば必ずと言っていいほど出てくれる。

 

 

 

 

少し胸騒ぎがしてラミィはキミのアパートへと急ぐ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、なに…これ…」

 

ラミィは自分の目に映っているものが信じられなかった。いや、信じたくない。こんなの非現実過ぎてすぐに信じろというものが無理だ。

 

 

 

だって朝まで普通のアパートだったのに……今は火が燃え盛ってる。

 

 

 

 

「い、いかないと…」

 

まだ彼が中にいるかもしれない。

 

 

 

私は自然とアパートへと歩み進んで行く。

 

周りの声なんて何も聞こえてなくて、ただラミィはキミのことを迎えに行かなくちゃいけない。

 

 

 

 

 

「おい、キミ!」

 

 

 

この火の中にキミがいる。

 

 

ラミィのことを待ってくれてる。

 

 

ラミィの助けを待ってる。

 

 

 

うん。ラミィがキミのことをその火の中から救い出してあげるから。

 

 

 

 

 

「おい、キミ!これ以上先に行けば火に巻き込まれてしまう!」

 

すると急に後ろから羽交い絞めにされた。ラミィはなんでそんなことをされたのか分からないけど、ラミィは行かなくちゃいけない。だってキミがラミィの助けを待っているから。

 

 

「ど、どうなってんだ。この力……こんな細い女のどこにこんな力が…」

 

あとちょっと羽交い絞めが解けそうになったところでもっと邪魔する奴がきて、ラミィは地面に倒された。

 

 

「なんでラミィのことを邪魔するの?」

 

 

「これより先はもう危険だ。一般人を入らせるわけにはいかない」

 

 

「ラミィは行かなくちゃいけないの!まだかれが…」

 

 

それからもずっと抑えつけられて…消防車が来て消火されるまでラミィは動けなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キミは死んだ。

 

それを受け入れるわけもない。

 

発火の原因はタバコの火。その発火者も死んでしまったらしい。

 

もし、死んでなかったらラミィがそいつを殺していたかもしれない。だってそれさえなければラミィがキミを失うこともなかった。

 

 

 

 

 

その日からラミィから見える景色は変わった。

 

何をしても…楽しくないし、やる気もない。

 

 

 

 

ラミィの時は止まった。




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