別れ   作:主義

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『いってらっしゃい』


白銀ノエル編

 

私は牛丼が好き。

 

 

それはずっと変わらないこと。

 

 

 

 

そして牛丼の中でも大好きな人が作ってくれた牛丼が今までの人生の中で一番美味しい。これは断言できる。だって美味しんだもん。

 

 

 

「おかわり、いいかな?」

 

 

「いいですよ。逆になんでそんなに申し訳なさそうに言うんですか?」

 

 

「だ、だって…大食いな女の子とか嫌いかなって」

 

 

「そんなことないですよ。今まで僕がノエルさんの食べているところを嫌だなぁみたいな目で見たことってありますか?」

 

 

「なかった。いつも私の食べているところは幸せな顔で見てくれてる!」

 

 

「そうですよ。僕はノエルさんの食べているところを見るのが一番好きなので」

 

 

 

 

私には勿体ないぐらい優しくて、愛してくれる人。ここまで誰かに愛されると人って困惑しちゃうんだと初めて知った。キミは私に対していつでも愛の言葉を囁いてくれる。

 

これから先もキミと一緒に歩めたらどれだけ幸せなのかな。想像するだけで幸せな気持ちになる。

 

キミと一緒であればどんなことでもできると思えるぐらいに…団長の中でキミが大きくなってる。

 

この先の未来をこの人の隣で歩いて行けたら……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

団長とキミはまだ付き合っているカップル。

 

だけど、団長としてはいつかは結婚を出来たらと思ってる。

 

 

 

一週間に一度はデートをするというルールみたいなものが団長とキミの中である。それはどんな時でも相手のために時間を取ろうという…感じのこと。

 

そしてどんなデートもキミとのデートだったらどんなものでも団長にとっては…楽しい。

 

 

 

 

今日もキミとのデートとの日。お仕事が予定よりも早く終わっちゃったので集合場所でキミが来るのを待つ。

 

待っている時間がこんなに楽しいんだってこともキミと出会わなければし有らないような感覚だ。

 

 

「たのしみだなぁ…」

 

数分待っていると…キミじゃなくて違う男の人たちが近付いてきた。

 

 

「ねぇ、お姉さん一人?」

 

 

「いえ、連れを待っているので」

 

 

「へぇ~そうなんだ。それって男?」

 

 

「そうですけど、なんですか?」

 

こういう人を見ると彼は本当に私を大切に扱ってくれているんだと感じる。彼は一度たりとも私に対して何かをすることはなくて、いつも私のことを一番に考えてくれてる。

 

 

「そんな奴じゃなくてオレと一緒に遊ばない?」

 

そう言いながら男の人は私の手を掴んできた。

 

 

「や、やめてくれませんか?」

 

 

「いいじゃん」

 

恐怖を覚えた…。このままだと私はこの男の人に連れ去られてしまうかもしれない。抵抗しようと力を出そうとしてもこんな風に接近されて腕まで掴まれた経験がなさ過ぎて恐怖に支配されている。

 

頭はパニックになってどうすればいいのとあたふたしているところに…一番聞きたかった声が聞こえてきた。

 

 

「その方は僕の彼女なので離してくれませんか?」

 

声の主は…キミだった。そこからキミはすごかった。

 

だって話し合いで解決しちゃったから。

 

そして最後にはさっきまで怖かった男の人たちも普通に帰っていった。

 

 

 

「さすがに暴力沙汰になったら自分は勝てないので」

 

 

「ううん、とてもカッコ良かったよ」

 

 

「いえ、本当はもっとカッコよく助けられたら良かったんですけど」

 

キミはそう言っているけど、私はキミの姿が本当にカッコよく見えた。だって何一つ臆することなくて、普通に私のことを助けに来てくれた姿は。

 

その後のデートもすごく楽しくて、私の記憶の中に刻み込まれる一日だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少しして団長とキミは結婚することになった。とても日々が楽しくて、幸せの絶好調と思っちゃうぐらいに幸せの連続。結ばれたいと思っていた人と結ばれて、これからも一緒に居てくれる。

 

それが当たり前の日常へと変わっていたことが嬉しくて、かなりキミに対して甘えちゃったりした。お仕事に行くキミの両手を掴んで、「団長の側に居て」と言っちゃったこともあった。

 

 

少しでも側に居て欲しい。

 

でも、そんな気持ちとは裏腹に団長とキミはどっちもお仕事が忙しくなってデートをできない週とかも増えてきた。団長としては寂しい気持ちはあるけど、今はしっかりとお仕事を頑張って褒めてもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

そう思っていた矢先にキミの海外出張が決まった。

 

聞いた時は子供みたいに「いやだ~」と駄々をこねてしまった。だって海外出張ってなったらいつも一緒に入れなくなる。心は離れないけど、やっぱり近くにキミが居てくれないというのはいやだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして今日から海外の方に出張で行くことになってる。団長としては自分も付いて行こうと思ってた。キミと離れるぐらいなら団長は付いていって、お世話をしていたい。

 

だけど、それを言った時にキミは「ノエルさんには配信者としてのこともありますし、僕に付いてきちゃうと色々と苦労を掛けてしまうと思うので」という感じで遠回し断られた。団長としては別に苦労を掛けられるとかはどうでもいい。

 

 

キミは団長のことを支えるって思ってくれている。でも、団長もキミのことを支えてあげたいと思っているんだよ。

 

 

 

 

 

でも、団長にホロライブのメンバーとしてのお仕事があるのは事実。急に行くことになればスタッフさんとかにも迷惑を掛けることになっちゃうと思う。だけど、団長の気持ちだけで動いていいなら100%付いていっちゃうけど。

 

 

 

 

名残惜しいけど、仕方なく団長はキミのことを見送ることにした。

 

 

「一日に一回は絶対連絡を入れるんだよ」

 

 

「分かってますよ、ノエルさん」

 

 

「浮気とか絶対しちゃだめ!」

 

 

「はい、絶対にしませんよ」

 

 

「食生活もあんまり偏らないように」

 

 

「それはノエルさんの方こそ、偏らないようにしてくださいね。好きなものを食べるのはたまに」

 

 

「わ、わかってるよ。さすがに団長も毎日牛丼を食べようなんて思ってないよ」

 

 

「毎日食べようとしていたんですか…」

 

 

その後もお話をしてキミが出なくちゃいけない時間になった。

 

「それじゃあ、いってらっしゃい」

 

 

「いってきます」

 

 

 

 

それがキミとの最後の会話になるなんて思ってもいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キミが日本を旅立ってから少し経って、あるニュースが飛び込んできた。

 

 

それは『飛行機墜落』という五文字。

 

 

 

 

団長はすぐにその飛行機について調べた。キミが乗った飛行機なわけないと思ってはいるものの、調べずにはいられなかった。結果的に墜落したのは…キミのだった。

 

それが分かった時は…もうどうすればいいのか分からなかった。

 

 

 

 

キミが乗った飛行機が海に落ちたことを知った時はもうだめだった。何度も違う飛行機だと信じながら、検索した。でも、検索していく度にキミが乗るといっていた飛行機だということが分かってきてしまう。

 

電話を掛けても応答してくれることはなくて…。

 

団長はおかしくなりそう…。

 

 

 

 

 

 

「き、きみがしんじゃうなんてことはない……」

 

 

 

「そうだよ、ニュースがまちがっているんだ、まちがっているんだ」

 

 

 

「キミが団長のことを残してどこかに行くわけないよ」

 

 

 

 

「…だから…だいじょうぶ…」

 

 

 

 

その日から彼からメッセージは何もないし、警察の方が言うには『行方不明』という形らしい。他にも色々と警察の人は話してくれてはいるけど、団長の耳に入って来ることはない。

 

 

 

だっていつでも団長の脳内はキミのことで埋め尽くされているから。

 

 

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